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インターネット字書きマンの落書き帳

   
みつるぎ×弓彦の話をサルベージするコーナーです(BLだよ)
webに乗せていた御剣×弓彦の話をサルベージしてきまし……たッ!
(タメを入れてみた)

作品そのものは12年くらい前に書いたやつですね。
逆転検事2が出たのがもうそのくらい前だから古いのはしかたない、しかたないだねーッ。

すけべそうですけべでない、ちょっとすけべな話というラインで書いてます。
仕事部屋でいきなり裸を見せる弓彦を食うタイプの御剣を書いてます。
そう、俺のホームグラウンドはお兄さん×ショタ……。



『大人への道しるべ』

 その日、御剣の検事室へ訪れた弓彦は仕事をする訳でもなければ手伝う事もないまま、ただ御剣の横顔を眺めていた。

「何をしているんだ、イチヤナギ君」
「偵察に決まってるだろッ! 気にするな、本物の一流検事になるため、技術を盗んでいるだけだからな」

 弓彦の熱い視線に耐えかねた御剣が口を開けば、彼は特に悪びれた様子もなくこたえる。
 真剣なまなざしからすればやる気だけは本物だろうが、ただ見ているだけで特に何もする訳でもない姿からとても学んでいるようには思えなかった。

「見るなら自由に見ていてもいいのだが、それで技術が盗めるとは思えんな……」
「そんな事ないって! あの大ドロボウの子も言ってたからな。技は教えてもらうモンじゃなく、盗むモンだって……遠慮なく盗むからな、覚悟しろ。御剣検事!」

 そこでただ座って見ているだけでは盗めるモノも盗めないと思うのだが、見ていれば一流の検事になれると本気で信じているのかもしれない。仕事はコツコツするものですぐに上達する方法などないのだが、それでも見学をしようという心意気があるなら段々と学ぶコツもつかめると言うものだろう。
 御剣はあまりとやかく言うのは止め、仕事を続ける事にした。
 ただ見ているだけなら弓彦も静かにすごしてくれて有り難いと思ったというのもある。
 普段の弓彦は御剣の仕事にちょっかいをかけてきたり、不可思議な推理を口に出してみたり、検事として当然の仕事にも「何だそれ」なんて口を挟んだりするのだからそれがないだけでも快適に仕事ができるというものだろう。

「本当……御剣検事って、身体がおっきいよなーぁ」

 そう思っていたところ、我慢しきれなかったように弓彦がしゃべり出す。
 元々、一柳は黙ってじっと座っている事が出来ないタイプだ。 静かだと思っている時は大体考え事をしているか、キャパを越えた謎に翻弄されているだけである。黙って見て技を盗むなど、どだい無理な話だったのだろう。
 それを示すかのように、弓彦の言葉は検事の仕事と何ら関係ないものだった。

「……そうだろうか? 私は、一般的な成人男性よりは少し背が高い程度だと思うが?」
「いや、大きいって。御剣検事のまわりには、イトノコギリ刑事とか……もっとデッカイのがいるから気にしてないかもしれないけどさ。腕とか俺より太いだろ?」

 弓彦はおもむろに立ち上がると御剣の腕に触れる。 男の割に細い指先の体温が、白い手袋の奥からも感じられた。

「身体だって締まってるし……声もちゃんと低いしさ、すげー男らしいよなぁ……と思ってさ」

 肩口に触れていた指先が、腕へ、肘へとおりていき、最後は互いに手を振れる。無邪気に笑いながら身体に指を這わせる仕草は無垢であるからこその艶めかしさを伴っていた。

「俺なんてさ、身体はまだ細いし声変わりだってちゃんとしてないから。やっぱり、御剣検事と比べれば子供っぽいよなぁ」

 溜め息混じりで呟いて、がっくりと項垂れる。
 確かに弓彦の言う通り、彼は同じ年頃の少年と比べれば体つきは子供っぽい方だろう。ぱっと見た印象では、中学生と思われても仕方ない体格だ。普段から明朗な性格なのでそんな事に劣等感など抱いたりはしない性分だろうと勝手に思っていたのだが、一応は気にしていたらしい。

「そのくらいが年相応だと思うがな」
「年相応だったらさぁ、中学生と間違えられてあんな事されてないっての……はぁ、俺ってやっぱり、見た目子供っぽいのかな」
「そうは言っても実際にキミはまだ若いのだから仕方ないだろう」
「いやいやいや、一応オレ、もう17だよ! 背は、まぁ普通だと思うんだけど、他の奴らと比べても、あんまり筋肉はないかなぁって思うし。もっと鍛えた方がいいかな……あ、そうだ!」

 と、そこで一柳は書類に目を通す御剣の前、その机に座った。

「何をしているのだ、イチヤナギ君?」

 見学をするだけならいいが、邪魔をするのなら話は変わってくる。
 御剣は厳しい視線を向けるが、弓彦はそんな事おかまいなしといった様子でその場で服を脱ぎ始めた。

「何してるんだーってさ。ほら、オレの身体! 御剣検事から見てもやっぱり子供っぽいか、ちょっと確かめて欲しいなーって思ってさ。頼むよ!」

 胸元のボタンが外れ、弓彦の大人になりきっていない身体が露わとなる。

「ちょ、まち……待ちたまえ、イチヤナギく……」
「やーだ、オレ、待てなーい……」

 そのまま学生服のボタンを外し、ワイシャツのボタンを外し、御剣が止めるのも聞かないまま、上着を脱ぎ捨てた。

「なぁ、なぁ……御剣検事。オレの身体……どうかなぁ?」

 御剣と比べれば幾分か血色がよくは見えるが、まぁ色白といってもいい方だろう。
 身体もまだ出来上がっているとは言い難いが弓彦の歳を考えればこのくらいの肉付きしかないのは当然のように見える。 腕まわりも細く、身体もまだ薄いという印象だ。本人の言う通り、声変わりもしてないのだろう。喉元にはまだ声がかわる兆候も見られていない。 僅かに覗く胸元は綺麗な桜色をしていた。
 男の身体、というよりはまだ少年の身体という比喩の方が似合っているという印象だ。

「いや。うむ、その……何だ、まぁ、これからだろう……な?」

 男の肌など珍しくないはずなのに、場にそぐわぬ場所で裸身を晒されると気恥ずかしさが勝る。まだ育ちきっていない少年の身体なのだから尚更だ。
 ましてや相手は弓彦で、身体も肌もまったく知らない相手ではない。
 つとめて冷静を保とうとはしたが、二人だけの空間で理性は徐々に蝕まれていた。

「だから、とにかく。今はきちんと服を着たまえ、イチヤナギ君」

 そうしなければ、雰囲気に飲まれ自分でも、何をするかわからない。何とか弓彦の行動を留めようとするが、残念ながら彼は御剣のその雰囲気を察する程に空気の読める少年ではなかった。

「あ、そうだ! ほら、ちょっと触って確かめて確かめてくれよ、な!」

 笑顔のままそう言うと、御剣の手をとり半ば強引に自らの胸を触らせる。 見た目より柔らかく、暖かな手触りが指先から伝わった。

「なぁ、オレの身体ってやっぱ、子供っぽいかなぁ?」

 大仰な机を椅子かわりに腰掛け、自らの胸元を触らせる。
 本人はただ自分の身体を確かめて欲しいだけ。 大人だと思って欲しいだけの行動なのだろう。だがその子供じみた行動が、御剣の理性を激しくかき乱した。

「そう、だな……」

 指先が胸の先端へと触れたとき、御剣の中にある理性の糸がぷっつりと切れる音がした。
 僅かに指先に力を込め、悪戯につま弾けば

「ふぁっ、なっ……何、するんだよッ……みつるぎ検事?」

 すぐに弓彦の口から甘美な吐息が漏れる。どうして自分の身体がこれ程までに切なく反応するのか、その理由さえもわからぬといった目を御剣に向けていた。

「何をする、か……さぁて、何をするのだろうな?」

 御剣は指先を弓彦の身体に沿わせると、肌の味を確かめるようその首筋に舌を走らせる。 不意に訪れた快楽にどう対処していいのか自身でも解らなかったのだろう。 身を捩らせ御剣から与えられる快楽より逃れようとする弓彦を留めるよう抱きしめると、御剣は一気にその唇を重ねた。
 僅かに漏れる吐息の隙間より舌をねじ込み、絡ませ、慰める。
 その舌に、辿々しくついてくるその仕草から弓彦のまだ少ない経験を察すると同時に彼を支配し所有できる喜びに心が満たされていた。

「……な、な、何するんだよぉ、みつるぎぃ……いきなり、キスとかっ……ズルいだろ!」

 唇を重ねた意味こそわかっているが、身体に訪れた快楽の意味はまだわかってないだろう。 だが、指先で舌で充分に快楽を得る事は出来たはずだ。 肌を晒したまま濡れた目で御剣を見る弓彦の身体はやり場のない情欲を持て余しているのは火を見るより明らかだった。

「そうだな……だが、大人になるというのは得てして、ズルいものだぞ。イチヤナギ君。それより、どうしたいのだキミは。キミの身体を急に変える事は出来ないが……大人のようにありたい、というのであれば……私がキミを後押ししよう」
「えっ……えぇと、それって……」

 御剣の目を見つめ、彼の言葉その意味をゆっくりと噛みしめる。
 戸惑いからの沈黙がしばし続いた後、弓彦は顔を真っ赤に染め、うつむきながら御剣の袖を握って見せた。

「あ! あのっ……オレ……身体もまだ、そのっ……ちゃんと、できてないけどさ。一番に、頑張るからっ。何でもするし、何だってするから……ちゃんと大人にしてください。 よろしく、おねがいします……」

 恥ずかしさで消え入りそうな声ではあったが、確かに御剣の耳には届く。

「あぁ……望む通りに、しよう」

 震える肌に指が滑り、指先が彼が普段より身につけている白手袋へと重なる。
 大人になりたくて、でもなれないままでいる。
 そうぼやく少年と唇で触れあい、自然と互いの肌が重なる。
 大人に至る為の儀式は、静かに執り行われていた。

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