インターネット字書きマンの落書き帳
ベランダで煙草を吸う(松ガス・BL)
ベランダ喫煙者の松田概念と、なぜか松田の家に居座っている山ガスの話します。
スルっと言ってるがBLだよBL!
おまえらボーイじゃないじゃん! においてもボーイズ・ラブだよ。
煙草を吸う話、結構書いているんですが、俺自身は煙草を全く吸わないので雰囲気で書いてます。
俺は、ありとあらゆる事象を雰囲気で書く!
スルっと言ってるがBLだよBL!
おまえらボーイじゃないじゃん! においてもボーイズ・ラブだよ。
煙草を吸う話、結構書いているんですが、俺自身は煙草を全く吸わないので雰囲気で書いてます。
俺は、ありとあらゆる事象を雰囲気で書く!
煙草とライターを手に取ると、松田はベランダに出る。
月の見えない曇り空に、火をともした煙草の煙は溶けるように消えていく。
煙草の先が燃えるチリチリというかすかな音が聞こえるほど、静かな夜だった。
深く息を吸いこみ、肺いっぱいに煙をためて一気に吐き出せば、緞帳のような雲にタールの重い煙が重なる。
「ねーねー、松田さん。何でわざわざベランダで吸うのさ。寒くない?」
リビングのソファーで寝転び、スマホをいじりながら山田はいう。
6月も末となり普段なら初夏らしい蒸し暑さがあるはずだが、梅雨時特有の長雨も相まって長袖のシャツでも少し肌寒いくらいなのは確かだった。
「寒いっちゃ寒いけど、我慢できんほどでもないわ」
また深く煙を吸い込み、ぷかぁと一気に吐き出す。
立ちこめた紫煙は、夜風がすぐにさらっていった。
「部屋で吸ってもいいんじゃない? 換気扇の下だったら煙とか吸うよね。あっ、それとも、僕が煙草吸わないから気ぃ使ってくれてる?」
山田はニヤニヤ笑いながら、ベランダの松田を見る。
明らかにからかっている顔だ。まともに相手をしてはいけない。
「アホか。部屋で煙草吸ったら、あちこちヤニ臭くなってたまらんわ。大事な本に煙草の臭いもつけたくないしな……」
煙草を吸うからといって、煙草のにおいが好きという訳ではない。
一度吸ってから、吸わないと落ち着かなくなってしまったという理由が主で、カーテンや服などに煙草のにおいがつくのはゴメンだった。
それに、貴重な本に臭いを付けたくないというのも本当だ。絶版本やめったに手に入らない専門書なども蔵書にはあるし、借りた本もあるのだから自分の勝手で煙草の臭いを残したくはない。
松田という男は、学問に関しては極めて真摯なところがあるのだ。
「そっかー、残念。僕は煙草吸わないからさー。部屋ですってくれたら、僕も煙草のにおいするでしょ? そしたら松田さんとおそろいだよね。ね、同じ匂いがするってのも、けっこういいんじゃないかなー」
ソファーに深く沈んでいるため、山田がどんな顔をしてくだらない与太話を口にしているのか、その真意はわからない。
「アホくさ……煙草のにおいなんて、ただ臭いだけや」
ベランダ用の灰皿で煙草をもみ消すと、松田は部屋に戻りソファーをのぞき込む。
いったいどんな顔で、同じ匂いをさせたいなんて青臭い台詞を吐いたのか見てやりたかったからだ。
だが山田は、別段変わった様子もなく、色水を入れ替えるゲームなどをしている。
涼しい顔をしているが、いつもこんな調子なのだろうか。
一回り年が離れているから、恥ずかしげもなく言えるのかと思い、しばし考える。
いや、自分が山田と同じ年の頃はこんなこと言わなかった。
案外ロマンチックか、子供っぽいのか。
どちらでもいいし、もうどうだっていい。
松田は大きな手のひらで山田のスマホ画面を隠す。
「ちょっと、何するのさ。ゲームしてるの、見てわかるでしょ? 全然見えないんですけどー」
口をへの字にしてこちらを向く。
その口を待っていた。そういわんばかりに唇を重ねれば、煙草を吸い終わったばかりのざらついた味がまだ鼻孔をくすぐる。自分でもわかる味とにおいだ。きっと山田も気づくだろう。
唇をはなせば、
「何やってんの松田さん。ばっかじゃない。ばーか。ばーか。もう、ほんとばか」
そういいながら、山田は口を拭う。
「何や、おそろいの匂いがほしい、って言い出したのはおまえやで。お裾分け、ってやつやな。どうや、煙草の味は」
「知らない! もう、僕より年上のくせに、子供からかうみたいなことやめてよね。そういうの、大人げないっていうんだよ」
山田は松田に背を向け、クッションで顔を隠す。
だがしばらく後、松田にだけ聞こえるように
「……悪くはなかったけどさ」
そうつぶやいた唇は、かすかだが笑っているように見えた。
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