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インターネット字書きマンの落書き帳

   
自分の言った事をメチャクチャ後悔する荒井の話(新堂×荒井/BL)
新堂×荒井を書き続ける人でーす。(挨拶)

今回は 昨日のネタの続き なんですけどね。
何やかんやで抱いちゃったから付き合わないと! と思っていた新堂に対し「一回抱かれたくらいで彼氏ヅラしませんから」なんて言う荒井を前に「何でだよぉ!」って苛立つ新堂。

だけど実は荒井もメチャクチャその発言に後悔していて「新堂さんにひどいこといった」「謝りたい、出来れば恋人になりたい」って日野に泣きつくような話ですよ。

日野は新堂×荒井を応援するkenzenなお兄さんです♥
新堂×荒井のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!



『いえない、いいたい』

 昼休み、新聞部の部室では荒井昭二が無言のまま机に突っ伏していた。
 会議をするためにいくつか並べた学習机の向かいには日野貞夫が冷たいおしるこドリンクで喉を潤している。

『誰にも聞かれたくない相談があります、どこか良い場所はないでしょうか』

 朝一番で荒井からそんなメッセージが入った時、で荒井一人では解決できないような面倒ごとか人に相談するのは憚られる事情があるのだろうと察し、日野が鍵を管理している新聞部の部室で話を聴くことにした。
 〆切直前であれば休み時間でも部に詰めて記事を書く生徒も多いが新聞に関わって無い時は昼休みにわざわざ遠い部活棟まで様子を見に来る生徒はいない。仮に来たところで鍵をもっているのは部長の朝比奈と副部長である日野くらいなものなのだ。ここなら邪魔せずゆっくり話せると思ったのだが、肝心の荒井はただ俯き時々苦々しげな表情を浮かべるだけで何も語ろうとはしなかった。
 どうやら、こちらから水を向けてやらなければ駄目らしい。日野はやれやれとため息をつくと机に置かれたままのおしるこドリンクを荒井へ向けた。

「いつまでも黙ってないで何か言ったらどうだ? 相談があるといっても、話してくれなきゃ答えようが無いぜ。ま、ジュースでも飲めよ」
「……おしるこドリンクじゃないですか。甘いものの気分じゃないですよ」
「それなら、新堂にくれてやれ。どうせまたお前の家に泊まりに来るんだろ。あいつ、コレのことイロモノだとか散々笑うくせに結構好きみたいだからな」

 新堂の名前を出したとたん、荒井の動きがピタリととまる。何も言わないと思っていたが、やはり新堂関係か。日野はおしるこドリンクの残りを飲み干すと、しばし思案した。
 荒井が新堂に対して恋慕の情を抱いているのは以前から知っていた。明らか様な好意を抱いているというのに気持ちを秘めたまま新堂の卒業を見守るつもりだった荒井を応援するため、という名目で集会で出会わせたのも日野である。
 集会の後は「騙し討ちですか」「出会わないつもりだったのに」と散々文句を垂れていた荒井であったが、鳴神学園の徒歩圏内に住んでいることを理由に、部活で疲れて帰るのも億劫になった新堂が足り前のように荒井の家に泊まるようになった話を嬉しそうにしていたから、上手くやっているのだと思ったが何かトラブルがあったのだろうか。

「やっぱり新堂と何かあったんだな。新堂も少し浮ついてたもんなぁ」

 新堂が浮ついていた、という部分はまったくのブラフだ。日野と新堂はクラスが離れているし朝練のあるボクシング部とは登校時間も会わないから偶然顔を合わす事はまずない。だが、荒井は日野の言葉を疑う様子も見せずただ、泣きそうな顔を向けた。

「僕は新堂さんに……馬鹿なことを言って、取り返しのつかない事をしてしまいました……」

 やっと話す気になったのか、荒井はおしるこドリンクを握りながら訥々と語り始めた。
 何がきっかけだか覚えていないが、新堂に押し倒されて身体を重ねてしまったこと。こんな機会は二度とこないだろうからと、無我夢中で身体を貪りすっかり疲れ果てて泥のように眠ってしまったこと。目を覚ました時、隣に新堂がいて、全てが夢ではなく実際におこった事なのだと認識したとき、新堂の口から「これっきりだ」とか「気の迷いだった」なんて言われるのが怖くて、つい「一回抱かれたくらいで恋人になるつもりはない」なんて、心にもない強がりを言ってしまったこと……。

「もう、ダメですよね僕は。肝心な時に思ってもない言葉が出てしまう。ひねくれ者で困りますよ。新堂さんも呆れてもう相手にしてくれませんよね……」

 荒井は俯き、完全にいじけている。泣いてはいないようだが、自分の不甲斐なさと性格の悪さにも、未練が断ちきれない思いにも、何もかもに絶望しているのだろう。
 日野は半ば呆れながら、スマホを弄り始めた。

「それで、おまえ……本当はどうしたいんだよ」
「どう……って、そんな事言われましても……」
「何をしたいか決めないとこっちも出来る事が変わってくるだろう。ただ愚痴を聞いて欲しいだけか?」
「いえ、違います……僕は、せめて新堂さんに言ってしまったことを謝りたい……新堂さんは軽率な人ですけど、真面目な人でもありますから……僕が変な事を言ってしまって、あの人の思いを踏みにじってしまったのだとしたら、僕はそれを……謝りたいです」
「それなら早い方がいいな。こういうのは後々になるとかえってこじれる……他には何かあるか?」
「後は……そう、ですね……許してもらえるのなら、また、以前のように遊びに来てほしいと……思ってます」
「本当にそれだけか?」
「よ、欲を言えば抱いて欲しいとは思いますよ。で、ですが多分、あれは本当にアクシデントだったと思うので……でも、少しでも可能性があるのなら……セフレでもいいので、付き合いを続けてもらえれば……」
「待てよ、荒井。おまえ、俺がそんなに無責任な男だと思ってたのか?」

 そこまで話した時、不意に声があがる。見れば新聞部の出入り口に新堂が立っていた。
 走ってここまで来たのか、肩で呼吸を整えているのがわかる。
 どうしてここに。不思議に思う荒井を前に、日野はスマホを彼へと向けた。

「お前にしては迂闊だったな荒井。新堂の場合、本人に直接聞かせた方がいいとおもって、連絡しておいたんだ。さっきの会話は新堂も聞いてたって訳だな」
「なっ、何するんですか日野さん、勝手に……」
「勝手なのはお前だろうが」

 荒井の言葉を遮るよう声をあげると、新堂は彼の隣へ立つ。そして、荒井の肩を掴むと真っ直ぐ見据えてこう告げた。

「お前が、一回抱いただけで恋人ヅラするつもりはない、なんて言ったから、コッチだってずぅっと考えてたんだぜ。家に誰か来るたび、誰かに抱かれてんのかとか、俺以外でも簡単に寝るのかとかよォ。その上で、そんなの許せねぇ、俺だけを見て俺だけに抱かれてろ、ってな。だから、俺はハッキリ伝えておくぞ。色々順番すっ飛ばしちまったが、俺と付き合ってくれ。意味わかるよな? 俺以外とキスするな、俺以外に抱かれるな、俺以外を好きになるな。出来ンのか」
「突然出てきて、随分な注文だな新堂。お前ってけっこう嫉妬深いんだな」

 日野は頬杖をついて見守っている。もう部外者気分でいるようだ。

「うるせぇ、俺は嫉妬深いし独占欲も強ェんだよ。で、どうなんだ荒井。付き合ってくれるのかよ」

 あまりに突然のことで、流石の荒井も頭がうまく回らなくなる。
 秘密の会話のつもりだったのに新堂へ聞かせていたのはズルいだろうと思うが、最初に嘘をついたのはこちらだからあまり強気には出られない。それに、新堂の申し出は決して悪いものではない。

「……僕も、独占欲が強くて嫉妬深いですよ。新堂さん。新堂さんも、僕だけを抱いてくれますか? 僕以外とキスしないでいられますか? 僕以外を好きにならないでくれますか? 僕は……貴方が他の誰かに取られると思ったら、それだけでもう耐えられない」

 荒井が全てを言い終わるより先に、新堂は彼の身体を抱きしめていた。勢い良く抱きしめたものだから椅子は転がり、荒井は半ば無理矢理立たされたような形になる。

「よし、それじゃ……お前は俺の恋人だ。これでいいんだな?」

 抱きしめられた腕は力強く、一度離れてしまったからかえって温もりを感じる。

「はい……すいません、遠回りを、させてしまって……」
「まったくだぜ。ま……こっちも色々順番間違えちまったから、これからちゃんと最初から、無理なくやっていくからよ……それで、いいよな」
「は、はい……よろしくおねがいします」

 すっかり顔を紅くして俯きそうになる荒井の顎をあげると、新堂は当然のように唇を重ねる。
 ちゃんと最初から無理なくやっていく。そう言ったが、このキスも恋人として最初からやり直したいという新堂なりの希望であり、ケジメなのだろう。
 やっぱり新堂は根が真面目で純情だ。妙なごまかしをするより真っ直ぐ話した方がいい。くすぐったい思いを抱きながら心地よいキスに身を委ねる最中。

「はーぁ、さっそくイチャイチャして、全然上手くいってないって感じじゃないよな。さ、そろそろ部室のドア閉めるから二人とも出ろ。これ以上は目の毒だぜ」

 日野はそんな二人を、呆れながらも祝福するのだった。

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インターネット駄文書き
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紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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