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インターネット字書きマンの落書き帳

   
ラブホテルに行きたがるえりおと巻き込まれるつつみおじさん
津詰と襟尾が出る話です。

もうすぐ風営法が変わるから世間から回転ベッドが消えるかもしれないよ!
その前にラブホテルに回転ベッドを見に行こうぜ!
みたいな勢いがある襟尾とそれに振り回される津詰おじさんの話ですよ。

Twitterに放流したネタを加筆修正して「何か書きました」って顔でお出ししています。

姉さん、僕はね。
いつでも「キョン! AVを撮るわよ!」の勢いが欲しいんだ……。



『ラブホテル・ラプソディ』

「ボス、ラブホテルに泊まった事ありますか」

 襟尾は津詰と顔をあわせると開口一番そう言った。
 どういった話の流れでそうなったのかは一切わからないが、おおかた他の連中に下らない話を吹き込まれたのだろう。育ちの良さもあるせいか、それとも今どきの若者は皆そのような傾向があるのか、襟尾はこの手の話題にも何ら頓着することなく不意に津詰へふる事があったのだ。

「はぁ、何言ってんだオマエは……」

 津詰は呆れながらも最近裏路地などで増えてきた派手なネオンを思い浮かべる。
 ラブホテルというものが存在する事も知っているし、この20年ほどで東京でもかなりの数を見るようになってきた。だが、津詰が結婚した時にはまだ堂々とラブホテルと銘打って営業しているような店はあまり多くもなく、未だ一度も利用したことはなかった。
 最も生真面目な津詰だ、結婚前に存在していても派手で浮かれた外見の扇情的なホテルなど気恥ずかしくて使う事などきっとなかった事だろう。

「泊まった事なんてある訳ねぇだろ。仕事で張り込んでた事は何度もあるけどな」

 頭を掻きながら椅子の上へと腰掛ければ、襟尾は「やっぱり」といった様子で幾度も頷いた。

「そうですか、実はオレも無いんですよね。あー、ここにラブホがあるんだーなんて思った事はありますけど、特に使う機会もなかったんで何となく行かないいまま今に至るという訳です」
「別にいらねぇよその情報、どうして俺がおまえのラブホテル利用状況なんて教えられなきゃいけねぇんだ、知りたくもねぇし必用もねぇ知識だっての、何でそんな話してんだよ……」

 自分の席に座り津詰は溜まった書類を端に避ける。
 襟尾が胡乱な事を言うのは今に始まったことでも無い。いちいち相手にしていたら仕事が溜まる一方だから程ほどに相手をしておこう。

「だったらオレと泊まってみませんか、後学のために。それに、回転ベッドっていうやつが禁止になるらしいですし、今泊まっておかないともう見られないかもしれませんよ、回転ベッド。ほら、オレと一緒にベッド回転させましょう!」

 そう思った津詰に、襟尾はさらに予想を超えた発言をかぶせてくるものだから思わずその場に突っ伏しそうになる。
 本当に何を言っているのだろう。何をどうすれば上司とラブホテル見学ツアーを提案する心持ちになれるというのだろうか。呆れて物も言えなくなる津詰に気付いたのか、同僚の一人がばつが悪そうに笑っているのが見えた。
 そういえば、近いうちに風営法が変わるという話は二課でも話題になっていた。細々と変わるのだが世間一般に認知されているのはラブホテルに設置された回転ベッドの事で、今後法律が変わればラブホテルには回転ベッドのようなモノを簡単に設置できなくなるという話が上がっていたはずだ。
 最も今ある回転ベッドを撤去しなければいけないという話ではないのだから、すぐに見られなくなるという訳ではない。それに、回転ベッドなんて品はどちらかと言えばイロモノだ、設置条件が厳しくならなくとも設置にも予算がかかり維持費も入り用なベッドなど自然と消えて無くなるだろう。
 そんな品を見るために部下とラブホテルに行こうなど、当然思えるはずもない。

「いやいやいや、行かねぇよ。何のために使う知識だよ、後学でそれが役に立つ場面がなんも思い浮かばねぇぞ……」

 呆れたようにため息をつくと津詰は椅子へ深く腰掛ける。目の前にやらなければいけない仕事は山積みだったが、一気に疲れが出たような心持ちになった。
 そんな津詰を前に、襟尾は「やっぱり」と呟き何やら思案顔をする。最初から断られると思っていたのだろう。津詰がお堅い性格だというのは分かっているから、冗談でもラブホテルのように「淫らな行為」目的の場所へ同性の部下と行くなど、絶対にしないと思っていたに違いない。

 「そうですよね……それだったら、他の奴誘ってみます。リヒタとか興味あるかなァ」

 襟尾は暫く考えた後、誰に聞かせるとなく呟く。その言葉を聞き、つい津詰は顔を上げた。

「いやいやちょっとまて、他の奴と行くくらいなら俺と行けばいいだろうが!」

 言った後、津詰は自分でも不思議な顔をする。
 何でそんな事を言うんだ。自分でもまさか、勢いでそんな事が口に出るなど思ってもいなかったからだ。
 一方の襟尾は津詰が何を考えていたのかなどつゆ知らず、ぱぁっと明るい笑顔になると嬉しそうにはしゃいで見せた。

「ホントですか、ボス。じゃぁこんどラブホテルお泊まり会ってことで。任せておいてください、ちゃんと回転ベッドがある所探しておきますから」

 そして鼻歌交じりで自分の席へと戻っていく。
 その背中を見送り、津詰はひどく混乱していた。
 どうして他の奴と行くくらいなら、等と思ってしまったのだろう。襟尾はただの興味と好奇心で行くだけだ、誰といっても何かがあるって訳でもないはずなのに、他の名前が出た時に津詰は確かに焦っていた。
 襟尾が誰かに取られるのではないか。そんな気がして落ち着かなかったのだ。

「まったく、本当に耄碌しちまったのかもなぁ」

 津詰はそう呟くと自分の頭を掻くと、そう独りごちるのだった。


 蛇足にはなるが、襟尾がはりきって探してきたラブホテルは男性二人での利用はお断りということで結局入れなかったということもせっかくだから伝えておこう。

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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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