インターネット字書きマンの落書き帳
台風コロッケする山ガス概念(松ガス/BL)
台風が来てしまったので、台風コロッケする山田ガスマスクを書きました。
台風で山田をしまえ!
絶対にしまえ!
たまには「ほのぼの日常回」ってのをやってみようとおもーいまーす。
ここしばらく「おおよそほのぼのではない世界線の未来」を書いていたから……ねッ。
だがこの世界線のゴールはまだ確定されてない未来なのだ。
コロッケェ~!
台風で山田をしまえ!
絶対にしまえ!
たまには「ほのぼの日常回」ってのをやってみようとおもーいまーす。
ここしばらく「おおよそほのぼのではない世界線の未来」を書いていたから……ねッ。
だがこの世界線のゴールはまだ確定されてない未来なのだ。
コロッケェ~!
『台風コロッケ』
地図上にポッと突然現れた台風は、ろくに準備をする間も与えず速度を保ったまま首都圏へ直撃する。
幸いあまり強い台風ではないようだが、朝から激しい雨と落雷が続き、外に出るのは危険だろう。
松田の勤める博物館も大事を取って今日は一日閉館を決めた。
普段から松田の家に入り浸っている山田は、〆切が近いからと自宅に帰っている。
松田の住んでいるマンションは比較的高いところにあるから、水害は心配ないだろう。せっかくだから積んでいた本の山を崩すか、少し掃除もしておかなければ。
しっかりと雨戸を閉め、部屋の掃除を終えてからソファーで本を読んでいると、誰かがインターフォンを鳴らした。
一体誰だ。
BGMの変わりにテレビの台風情報を流していたが、バケツをひっくり返したような豪雨のせいであちこち電車は止まっている。
外で中継をするレポーターは全身を濡らし、立っているのもやっとの有り様だ。
こんな日に来客なんて、普通だったらあり得ない。
だが、山田だったら――。
松田は嫌な予感を抱きながら、インターフォンには出ずまっすぐドアに向かいすぐに開ける。
ドアの向こうには、濡れ鼠となった山田が立っていた。
「やっほー、松田サン。来ちゃった。はい、これお土産」
山田はへらへら笑いながら、横殴りの雨ですっかり濡れたエコバッグを差し出す。
中を見れば、コンビニで買ったコロッケがぎっしりと入っていた。
「何やねんこれ!」
「んー、コロッケ。ほら、台風といえばコロッケでしょ?」
「知らんがな。というか、お前なんでここにおるんや。家で〆切の仕事するんじゃなかったんか?」
「あ、それね。今朝終わったから……で、ほら、台風でしょ? 僕の家、木造のボロアパートだから台風来ると風とか音とかすっごいの。だから、松田サンのところに避難しようと思って」
「避難って、お前なぁ。今日、この状態で外にブラブラ出る奴がおるか! 怪我でもしたらどうするつもりや!」
「なははー、心配してくれてんの? 大丈夫、僕こういう系のスリル好きだから。それに、僕しぶといから、松田サンが来るなっていっても、多分来てたよー」
お前が大丈夫でも、俺が心配やねん。
そう思ったが、ここはぐっと言葉を堪える。ヘンに山田を心配すると、逆により危ない橋を渡ろうとするのが山田という男だった。
こういうのが、今時の若い者がする逆張りというのか。それとも、松田の好意を試しているのだろうか。
「ねー、それより中にいれてくんない? 僕、寒くなってきたんだけど」
そういってる合間にも、山田の周囲は雨水が滴り水たまりができはじめている。
松田は半ば諦めて、山田を部屋に入れた。
「わかったわ、さっさと入りや。せやけど、すぐ風呂に行くんやで。そんなびしょ濡れのまま、部屋の中ウロウロされたらかなわんわ」
「わー、松田さんの部屋久しぶり。あ、ソファーの上に本? それ読み始めたんだ」
「だからウロチョロすな! 風呂行けや!」
山田の首根っこを捕まえて引きずると、バスルームに押し込む。
「ぎゃー! 人さらいにさらわれちゃうー!」
「アホ言うな!」
「なはははー……そうやって僕のこと心配してくれるのって、松田サンくらいだよ」
山田は軽くウインクしてから、バスルームに消える。
「何や、えらくしおらしいやないか……だから台風が来たんやろなぁ」
松田はそう独りごちると、ひとまずコロッケをキッチンに置き、山田の着替えを見繕い、濡れた部屋の掃除をして、またキッチンに戻る。
「せっかく買うてきてくれたんやし、せっかくだから喰うたるか。って、ごっつい量があるから、皿にそのまま出してもええやろ」
松田はコロッケを豪快に積み上げると、別の皿にはたっぷりキャベツを刻む。
丁寧な暮らしとはかけ離れた、大雑把な食事だが腹は膨らむだろう。
ちょうど食事時だから二つの大皿をリビングにもっていけば、シャワーを浴びて着替えてきた山田は目を丸くした。
「ぎゃははは! 何それ松田サン。コロッケタワー! コロッケタワーとキャベツの壁だ!」
「うっさいわ! お前が買うてきたんやないか!」
山田は積み上げられたコロッケタワーを大事そうに受け取り、テーブルに並べる。
「……ホントは、あの家で一人なの嫌だったから。こうやって、二人で一緒にご飯食べられるの、すっごいうれしい。やっぱ松田サンと食べるごはんが一番おいしいから」
「ん? 今なんか言うたか?」
「んー、なんでもなーい。ささ、ご飯にしよ! 僕、カップとかもってくるね」
そういって起き上がり、山田はパタパタと歩き出す。
コロッケはまだ温かく、食欲をそそる香りが室内を包んでいた。
地図上にポッと突然現れた台風は、ろくに準備をする間も与えず速度を保ったまま首都圏へ直撃する。
幸いあまり強い台風ではないようだが、朝から激しい雨と落雷が続き、外に出るのは危険だろう。
松田の勤める博物館も大事を取って今日は一日閉館を決めた。
普段から松田の家に入り浸っている山田は、〆切が近いからと自宅に帰っている。
松田の住んでいるマンションは比較的高いところにあるから、水害は心配ないだろう。せっかくだから積んでいた本の山を崩すか、少し掃除もしておかなければ。
しっかりと雨戸を閉め、部屋の掃除を終えてからソファーで本を読んでいると、誰かがインターフォンを鳴らした。
一体誰だ。
BGMの変わりにテレビの台風情報を流していたが、バケツをひっくり返したような豪雨のせいであちこち電車は止まっている。
外で中継をするレポーターは全身を濡らし、立っているのもやっとの有り様だ。
こんな日に来客なんて、普通だったらあり得ない。
だが、山田だったら――。
松田は嫌な予感を抱きながら、インターフォンには出ずまっすぐドアに向かいすぐに開ける。
ドアの向こうには、濡れ鼠となった山田が立っていた。
「やっほー、松田サン。来ちゃった。はい、これお土産」
山田はへらへら笑いながら、横殴りの雨ですっかり濡れたエコバッグを差し出す。
中を見れば、コンビニで買ったコロッケがぎっしりと入っていた。
「何やねんこれ!」
「んー、コロッケ。ほら、台風といえばコロッケでしょ?」
「知らんがな。というか、お前なんでここにおるんや。家で〆切の仕事するんじゃなかったんか?」
「あ、それね。今朝終わったから……で、ほら、台風でしょ? 僕の家、木造のボロアパートだから台風来ると風とか音とかすっごいの。だから、松田サンのところに避難しようと思って」
「避難って、お前なぁ。今日、この状態で外にブラブラ出る奴がおるか! 怪我でもしたらどうするつもりや!」
「なははー、心配してくれてんの? 大丈夫、僕こういう系のスリル好きだから。それに、僕しぶといから、松田サンが来るなっていっても、多分来てたよー」
お前が大丈夫でも、俺が心配やねん。
そう思ったが、ここはぐっと言葉を堪える。ヘンに山田を心配すると、逆により危ない橋を渡ろうとするのが山田という男だった。
こういうのが、今時の若い者がする逆張りというのか。それとも、松田の好意を試しているのだろうか。
「ねー、それより中にいれてくんない? 僕、寒くなってきたんだけど」
そういってる合間にも、山田の周囲は雨水が滴り水たまりができはじめている。
松田は半ば諦めて、山田を部屋に入れた。
「わかったわ、さっさと入りや。せやけど、すぐ風呂に行くんやで。そんなびしょ濡れのまま、部屋の中ウロウロされたらかなわんわ」
「わー、松田さんの部屋久しぶり。あ、ソファーの上に本? それ読み始めたんだ」
「だからウロチョロすな! 風呂行けや!」
山田の首根っこを捕まえて引きずると、バスルームに押し込む。
「ぎゃー! 人さらいにさらわれちゃうー!」
「アホ言うな!」
「なはははー……そうやって僕のこと心配してくれるのって、松田サンくらいだよ」
山田は軽くウインクしてから、バスルームに消える。
「何や、えらくしおらしいやないか……だから台風が来たんやろなぁ」
松田はそう独りごちると、ひとまずコロッケをキッチンに置き、山田の着替えを見繕い、濡れた部屋の掃除をして、またキッチンに戻る。
「せっかく買うてきてくれたんやし、せっかくだから喰うたるか。って、ごっつい量があるから、皿にそのまま出してもええやろ」
松田はコロッケを豪快に積み上げると、別の皿にはたっぷりキャベツを刻む。
丁寧な暮らしとはかけ離れた、大雑把な食事だが腹は膨らむだろう。
ちょうど食事時だから二つの大皿をリビングにもっていけば、シャワーを浴びて着替えてきた山田は目を丸くした。
「ぎゃははは! 何それ松田サン。コロッケタワー! コロッケタワーとキャベツの壁だ!」
「うっさいわ! お前が買うてきたんやないか!」
山田は積み上げられたコロッケタワーを大事そうに受け取り、テーブルに並べる。
「……ホントは、あの家で一人なの嫌だったから。こうやって、二人で一緒にご飯食べられるの、すっごいうれしい。やっぱ松田サンと食べるごはんが一番おいしいから」
「ん? 今なんか言うたか?」
「んー、なんでもなーい。ささ、ご飯にしよ! 僕、カップとかもってくるね」
そういって起き上がり、山田はパタパタと歩き出す。
コロッケはまだ温かく、食欲をそそる香りが室内を包んでいた。
PR
COMMENT