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インターネット字書きマンの落書き帳

   
大学時代にバニーボーイになってる山田見て狼狽える黒沢の話(黒ガス/BL)
8月はバニーの日が二つある。
という俳句もあるので(※ありまえせん)バニーの日を祝いましょう!

やだやだ!
バニーを着ている男を書きたいんだ!
やだやだ!

というわけで書きました。
家に帰ったらなぜだか山ガスがバニーボーイになっていたから「えぇ……」(困惑)って顔をする黒沢の話を……かいたよ!

Happy バニー
Happy ボーイしようず♥



『山田バニーボーイ』

 黒沢が部屋に戻った時、山田はタオルケットを被ったままソファーの上で小さく丸まって眠っていた。
 こんな所で眠らなくても、ベッドで寝ればいいものを。
 呆れながらも放っておけないと思い、山田の身体をタオルケットごと抱きかかえた時、ふわりとした慣れない感触が指先に残る。
 いや、指先だけではない。抱きかかえた時の重さこそ普段の山田と一緒だが、着ている服の質感がおおよそ普段のものとは思えぬ質感だった。ビニールっぽいような、エナメル質の感触はパーカーやジーンズなどで過ごす山田は滅多に着ない素材だ。いや、エナメル質の服なんて、山田でなくても滅多に着ないだろう。

 一体何だと思いベッドに転がしタオルケットをはぎとれば、そこにはバニースーツに身を包んだ山田の姿があった。指先にふわりと触れたのは、ウサギの尻尾を模したフェイクファーだったらしい。
 ウエストを締め上げ胸元をたわわに見せるようなビスチェの下は、さすがにレオタードではなかったが、それでもかなり短いズボンをはいている上、網目状のタイツまではいている。手首まわりにはカフスが。首元の付け襟は蝶ネクタイで飾られている。

 誰がどうみても「バニーガール」姿だ。いや、山田は男だからバニーボーイといったところか。

 一体誰が、どうしてこんな姿を……。
 黒沢は頭を抱えるが、山田はずっと男子校で、今の学部も男子の比率が高い。
 男子校の姫ポジションという程ではないが、客寄せ役で女装のようなことをする機会も多く、ある程度の露出がある格好にもそこまで抵抗がないと以前言っていたのをうっすらと思い出した。

「いや、それにしても……駄目だろうこれは。けしからん……どこの誰が何をいって山田にこんなことさせたんだ? ……処すか?」

 無防備なままベッドで仰向けになる山田の姿を見て、黒沢は真剣な顔で呟く。
 その声に気付いたのか、山田は目をこすりながらゆっくりと起き上がった。

「んー……優弥サン? 帰ってたんだ……ふふ、おかえりー」
「あ、あぁ、まぁな……それより山田。おまえ何だその格好は……」

 黒沢に言われ、山田は自分の服を見る。そして、自分がバニースタイルなのを思い出し、はにかんだ笑顔を見せると頬を赤く染めながら両手を開いた。

「これね、大学の連中が。何か企画展? みたいなのやるから、そのマスコットやってくれないかーって。それで着させられたんだ。着たらすぐに『学校の風紀を乱すな!』って怒られ発生して追い出されちゃったんだけどね。せっかくだから、優弥サンに見せてあげたいなーと思って。どう? 僕、可愛いでしょ? 優弥さん、可愛い僕のこと大好きだもんねー。はい、ぎゅーってさせてあげる。特別だよ?」

 あまりに甘えた声を出すから一応、抱きしめれば誰かに付けられたのか甘ったるい香水のにおいがする。
 確かに今の山田は可愛いが、どうにも馴染めない。
 知らない誰かに飾られ、ショーケースの中にパッケージされてしまったような気分だ。

 一体誰が、俺の山田を勝手に見世物にしてくれたんだ。
 そんな怒りすらわいてくる。

「わかったから、もう着替えてこい」
「えー? せっかく可愛くなってきたのにー?」
「いいからさっさと着替えてこい。着替えがないなら、俺の服で好きなのを着てもいいからな」

 山田はしぶしぶ部屋の奥に引っ込む。
 しばらく後、山田は黒沢のシャツを羽織って戻って来た。

「じゃじゃーん、いつもの僕。いま、愛用のパーカーを洗濯しちゃったから、優弥サンの上着借りちゃった。へへー、見て。袖こんなにぶっかぶか。僕と黒沢サン、そんなに背ぇかわらないのにねー」

 山田はクスクス笑いながら、あまった袖を見せつける。
 やはり、この姿の方が安心する。知らない誰かが見立てた服で飾られるより、黒沢の服を着て、黒沢の匂いに包まれて笑う山田を見ている方がずっとずっと心地よい。

 そうだ、山田は俺のものだ。
 誰かの色に染めさせてなるものか。

 内なる嫉妬を抑えるよう、黒沢は山田の腕を引くと唇を重ねる。僅かに開いた唇から舌をねじ込みたっぷりと自分の匂いを注ぎ込む。
 しばらく情熱的なキスを続けると、やがて山田は夢見心地のような視線を黒沢へと向けた。

「ン……優弥サン、今日のキス、すっごくえっち……どうしたの?」

 どうしたも何もない。お前が軽率に他人の視線を集めようとするからだろう。
 だがその思いをおくびにも出さず、黒沢は曖昧に笑うと山田と額を重ねる。

「さぁ、どうしたんだろうな? ……当ててみるといい」

 悪戯っぽく笑う黒沢の肌は、山田の熱が伝わりいつもよりやや温かかった。

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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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