インターネット字書きマンの落書き帳
別にまだ付き合ってない松ガス/BL
びっくりする声が大きい人は喘ぎ声も大きいらしいよ!
ふーん。
そういう話を松ガスで見たいよね。
そう思ったから書きました。
デッカい声でびっくりするタイプの松田と、それを茶化してからかいながらお誘いするタイプの山ガスです。
まだ付き合ってない。
えっちなこともしていない。
健全ですよ!(当人比)
ふーん。
そういう話を松ガスで見たいよね。
そう思ったから書きました。
デッカい声でびっくりするタイプの松田と、それを茶化してからかいながらお誘いするタイプの山ガスです。
まだ付き合ってない。
えっちなこともしていない。
健全ですよ!(当人比)
『いずれ重なる夜の声』
終電間際の電車から自宅の最寄り駅についた時、当然の如く周囲は真っ暗になっていた。
駅前こそ24時間営業のチェーン店やコンビニの灯りが見えるが、少し歩けば閑静な住宅街に入り街灯の明かりも僅かになる。
まだ7月に入ったばかりだというのに生ぬるい風が吹き付け、歩いているだけで汗が噴き出てきた。
とても夜の暑さとは思えない道のりを、松田は汗を拭いながら歩く。
まったく、この道のどこが駅から徒歩5分だ。
内心で悪態をつき、長い坂道を越えたところようやく自宅マンションにたどり着いた。
流石にこの時間に帰ったら何も作る気になれない。
コンビニで簡単に食べられるものをいくつか買ったからまずはシャワーを浴び、夕食を食べながら今日もらった資料にだけは目を通しておくか。
そんな事を考えながら自室に入る。当然の如く灯りはついておらず、真っ暗の中を松田は歩き出した。
廊下からリビングまでの道くらいは覚えているからわざわざ灯りをつけるのも億劫だ。リビングに入ってから電気をつければいいだろう。
そんな事を考えながら部屋に入った時、真っ暗な室内に人影が蠢くのを見た松田は思わず声をあげた。
「ひぃっ! 何やワレ!」
驚きながら手探りで電気のスイッチを探す松田を前に、黒い人影はどこか寝ぼけたような声をあげた。
「なぁっ……なーに松田サン、デカい声なんか出しちゃってさぁ……僕だよ。僕」
松田が電気をつけるのと、その声が聞こえたのはほとんど同時だったろう。ライトの下、薄手の綿毛布に身を包んだ山田が欠伸を噛み殺しながらこちらを見ていた。
「何やお前、自分の家に帰って無かったんか?」
「んー、帰るつもりだったんだけどね。仕事、終わって安心したら眠くなっちゃって。ちょっと仮眠するつもりが、ずーっと寝てたみたい……」
そこで山田はふわ、と欠伸をする。
そういえば、家に入った時から部屋は随分涼しくなっていた。山田がエアコンをつけっぱなしにして寝ていたからだろう。
安堵の息を吐く松田の横顔を、山田はニヤニヤ笑いながら眺めていた。
「それにしても、松田サンすっごい大きな声でびっくりしてたよねぇ。ははッ、そういえばSNSで言ってたよ。びっくりする時の声がデカい人は、アレの時の喘ぎ声も大きいんだって。松田サン、そういう時ってすっごいうるさいタイプなんだねー」
上目遣いで嫌らしく笑う山田の背を軽く叩くと、松田は呆れながら頭を掻く。
「それなら、お前は声をガマンするタイプって事やな」
「なぁっ……なに言っちゃってんの松田サン?」
「だってお前、ホラー映画なんか見てる時にいっつも下唇噛みしめて、声上げないようガマンしてるやんな。ははッ……それならお前は、イきそうになっても声出さないよう必死でガマンするタイプなん?」
松田の言葉に、山田は耳まで真っ赤にしている。
そういう話をフってくる癖に、逆に返されるとひどく狼狽える。性に奔放なのか潔癖なのかよくわからない所が山田にはあった。
恥ずかしがるくらいなら、言わなければいいのに。
呆れる松田の腕に自分の手を絡めながら、山田は顔を真っ赤にしたまま告げた。
「僕とシてる時の声、知りたいんだったらさ……今日、確かめてみる? 僕、松田サンみたいな人嫌いじゃないし……男相手のえっちも慣れてるから。確かめさせてあげてもいいけど」
茶化して、冗談めかした素振りをしているが、手も声も震えているのがわかる。
絡めた腕から山田の鼓動が早鐘のように鳴っているのも伝わる。
こんなに緊張している癖に、なぜ軽く茶化すように振る舞うのだろう。
本心を誤魔化したいのだろうが、嘘や偽りで塗り固めた薄っぺらい愛情を与えられて、それで満足なのだろうか。
それとも、そんな風に消費される性しか経験してないのか。
幾つも湧き上がる疑問を飲み込み、かわりに山田の額を指先で弾く。
「いでっ! ……何するのさ、松田サン。ひどーい、松田サンにキズモノにされたんだけど」
「アホか。そないな態度で俺を誘ってるいうんなら、甘っちょろいわ」
「なにさ。別に松田サンのこと本気じゃないし。ちょーっと遊んであげようと思ったのに、お堅いんだから。つまーんなーい」
口ではおどけて見せるが、態度から不安や焦りが透けて見えるようだ。
軽く遊んでいるような態度を見せているが、本質的に潔癖で身持ちが堅いのはきっと山田の方だろう。それでも、本心から誰かに愛される事に臆病に見えるのは、山田が語らない過去の出来事のせいだろうか。
いや、何であっても別に構わない。
「……心配しなくとも、ホンマに必要な時にはちゃーんと俺から言うたるわ」
「んー、松田サン、今なんか言った?」
「別に、何も言うとらんわ。それよりお前、飯も食わずに寝とったんやろ。コンビニで買ったもんでよければほれ、食うとけ。お前細っこいから、しっかり食べなアカンで」
「何だよそれ。子供じゃないんだけど」
頬を膨らませながら山田は松田のエコバッグをのぞき込む。
松田は頬を緩めながらネクタイをほどき、そんな彼を見つめていた。
終電間際の電車から自宅の最寄り駅についた時、当然の如く周囲は真っ暗になっていた。
駅前こそ24時間営業のチェーン店やコンビニの灯りが見えるが、少し歩けば閑静な住宅街に入り街灯の明かりも僅かになる。
まだ7月に入ったばかりだというのに生ぬるい風が吹き付け、歩いているだけで汗が噴き出てきた。
とても夜の暑さとは思えない道のりを、松田は汗を拭いながら歩く。
まったく、この道のどこが駅から徒歩5分だ。
内心で悪態をつき、長い坂道を越えたところようやく自宅マンションにたどり着いた。
流石にこの時間に帰ったら何も作る気になれない。
コンビニで簡単に食べられるものをいくつか買ったからまずはシャワーを浴び、夕食を食べながら今日もらった資料にだけは目を通しておくか。
そんな事を考えながら自室に入る。当然の如く灯りはついておらず、真っ暗の中を松田は歩き出した。
廊下からリビングまでの道くらいは覚えているからわざわざ灯りをつけるのも億劫だ。リビングに入ってから電気をつければいいだろう。
そんな事を考えながら部屋に入った時、真っ暗な室内に人影が蠢くのを見た松田は思わず声をあげた。
「ひぃっ! 何やワレ!」
驚きながら手探りで電気のスイッチを探す松田を前に、黒い人影はどこか寝ぼけたような声をあげた。
「なぁっ……なーに松田サン、デカい声なんか出しちゃってさぁ……僕だよ。僕」
松田が電気をつけるのと、その声が聞こえたのはほとんど同時だったろう。ライトの下、薄手の綿毛布に身を包んだ山田が欠伸を噛み殺しながらこちらを見ていた。
「何やお前、自分の家に帰って無かったんか?」
「んー、帰るつもりだったんだけどね。仕事、終わって安心したら眠くなっちゃって。ちょっと仮眠するつもりが、ずーっと寝てたみたい……」
そこで山田はふわ、と欠伸をする。
そういえば、家に入った時から部屋は随分涼しくなっていた。山田がエアコンをつけっぱなしにして寝ていたからだろう。
安堵の息を吐く松田の横顔を、山田はニヤニヤ笑いながら眺めていた。
「それにしても、松田サンすっごい大きな声でびっくりしてたよねぇ。ははッ、そういえばSNSで言ってたよ。びっくりする時の声がデカい人は、アレの時の喘ぎ声も大きいんだって。松田サン、そういう時ってすっごいうるさいタイプなんだねー」
上目遣いで嫌らしく笑う山田の背を軽く叩くと、松田は呆れながら頭を掻く。
「それなら、お前は声をガマンするタイプって事やな」
「なぁっ……なに言っちゃってんの松田サン?」
「だってお前、ホラー映画なんか見てる時にいっつも下唇噛みしめて、声上げないようガマンしてるやんな。ははッ……それならお前は、イきそうになっても声出さないよう必死でガマンするタイプなん?」
松田の言葉に、山田は耳まで真っ赤にしている。
そういう話をフってくる癖に、逆に返されるとひどく狼狽える。性に奔放なのか潔癖なのかよくわからない所が山田にはあった。
恥ずかしがるくらいなら、言わなければいいのに。
呆れる松田の腕に自分の手を絡めながら、山田は顔を真っ赤にしたまま告げた。
「僕とシてる時の声、知りたいんだったらさ……今日、確かめてみる? 僕、松田サンみたいな人嫌いじゃないし……男相手のえっちも慣れてるから。確かめさせてあげてもいいけど」
茶化して、冗談めかした素振りをしているが、手も声も震えているのがわかる。
絡めた腕から山田の鼓動が早鐘のように鳴っているのも伝わる。
こんなに緊張している癖に、なぜ軽く茶化すように振る舞うのだろう。
本心を誤魔化したいのだろうが、嘘や偽りで塗り固めた薄っぺらい愛情を与えられて、それで満足なのだろうか。
それとも、そんな風に消費される性しか経験してないのか。
幾つも湧き上がる疑問を飲み込み、かわりに山田の額を指先で弾く。
「いでっ! ……何するのさ、松田サン。ひどーい、松田サンにキズモノにされたんだけど」
「アホか。そないな態度で俺を誘ってるいうんなら、甘っちょろいわ」
「なにさ。別に松田サンのこと本気じゃないし。ちょーっと遊んであげようと思ったのに、お堅いんだから。つまーんなーい」
口ではおどけて見せるが、態度から不安や焦りが透けて見えるようだ。
軽く遊んでいるような態度を見せているが、本質的に潔癖で身持ちが堅いのはきっと山田の方だろう。それでも、本心から誰かに愛される事に臆病に見えるのは、山田が語らない過去の出来事のせいだろうか。
いや、何であっても別に構わない。
「……心配しなくとも、ホンマに必要な時にはちゃーんと俺から言うたるわ」
「んー、松田サン、今なんか言った?」
「別に、何も言うとらんわ。それよりお前、飯も食わずに寝とったんやろ。コンビニで買ったもんでよければほれ、食うとけ。お前細っこいから、しっかり食べなアカンで」
「何だよそれ。子供じゃないんだけど」
頬を膨らませながら山田は松田のエコバッグをのぞき込む。
松田は頬を緩めながらネクタイをほどき、そんな彼を見つめていた。
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