インターネット字書きマンの落書き帳
同人誌「愛しているから殺されたい」の創作秘話ゆっくり解説(?)
スパコミ33で出した同人誌の話とか……します!
創作論のようなちょっとちがうような、創作設計図の話になったので、今回はわかりやすく……ゆっくり解説動画風に説明をします。
霊夢「なんで!?」
この作品のサンプルは こちら からどうぞ。(リンク先R-18注意)
頒布は こちら からしています。(R-18本注意)
それではみなさん、ゆっくりしていってね!
※内容はまったくゆっくりしてません。
創作論のようなちょっとちがうような、創作設計図の話になったので、今回はわかりやすく……ゆっくり解説動画風に説明をします。
霊夢「なんで!?」
この作品のサンプルは こちら からどうぞ。(リンク先R-18注意)
頒布は こちら からしています。(R-18本注意)
それではみなさん、ゆっくりしていってね!
※内容はまったくゆっくりしてません。
「ゆっくり霊夢よ」
「ゆっくり魔理沙だぜ! 今日は、同人誌『愛しているから殺されたい』の制作秘話を紹介するぜ」
「ゆっくり解説で同人誌の解説することってあるんだ!?」
「ちなみに、ジャンルは都市伝説解体センターのR-18・BL本だぜ」
「しかも東方じゃないジャンルを説明することあるんだ!?」
「ゆっくり解説の茶番なんて無法地帯だから、細かいことを気にするのは野暮ってもんだぜ」
「もっと気にした方がいいと思うけど……」
「それじゃ、今回のコンセプトについて説明するぜ。今回のコンセプトは、『クソデカ感情×クソデカ感情の男はメチャクチャ萌えるからそれを書こうぜ』だ」
「へぇ、わりと王道ね」
「という訳で、クソデカ感情の象徴として、『殺したい男』×『殺されたい男』のCPを作ったぜ」
「話の流れがかわってきたわね!」
「クソデカ感情とクソデカ感情がぶつかり合うと空間が歪むとアインシュタインも相対性理論で言っているからな」
「いってないわ。ノーベル物理学賞が助走を付けて殴りつけてくるレベルの誤謬よ!」
「ところで、アインシュタインは相対性理論でノーベル賞をとっている訳ではないんだぜ。当時の相対性理論はあまりに内容が突飛すぎて、これで賞を取らせるのはと二の足を踏まれたみたいだな」
「論点をずらさないで、意味のわからない感情相対性理論の話説明しなさいよ!」
「えー?」
「なんでわかんないの? って顔しないで。普通わからないんだから」
「仕方ないから説明していくぜ。まず、今回の攻めキャラの黒沢優弥だが、設定上警察官僚の息子となっているな」
「そうね」
「だから最初は、黒沢はお坊ちゃん育ちでやや世間知らずだったり、金に苦労したことがないからあまり頓着しないというやんごとなきイメージで話を作っていたんだ」
「典型的なお坊ちゃまキャラね」
「しかし、設定などを見ていていて気付いたんだ。黒沢は7年前の時点で23歳だが、大学在学中っぽい表現をされている。普通だったら卒業しているか、大学院生になっている年だよな」
「確かにそうね」
「あるいは浪人か、留年しているかもしれない。そう思った時、警察官僚の息子が世直し系の配信者をやっていて、浪人・留年をしているとしたら、どう思う」
「とんだどら息子よね」
「その通りだ。だが黒沢というキャラクターは、どら息子っぽさがかなり少ない。基本的に頭が切れて、支配的で、カリスマのあるクレバーさや帝王っぽさを醸し出しているキャラクターだ。決して七光りだけのボンボンではないはずなのに、設定上には若干の齟齬がある。この齟齬こそ、二次創作のトロの部分だよな」
「また勝手になにか言い出したわね……」
「ところで、警察官僚を含む官僚といえばどこの大学に行くのがスタンダードだと思う?」
「えっ? そうね、やっぱりT大?」
「あぁ、その通りだ。T大の法学部がメインルートの一つだよな。黒沢は出身大学がワン大という設定がある。これはT大をイメージしている大学ではなさそうだ。すなわち……黒沢は、官僚の息子でありながら官僚のメインルートから外れているというのがわかるよな」
「そ、そうなの!? 全然わからないんだけど!?」
「もし黒沢が、父に期待され名門進学校に通って、鉄○会にも行き、T大法学部を目指して勉強し、それなりのラインで判定も出ていたにもかかわらず一浪していたら……二浪は許されない状況で、T大の受験には失敗し、滑り止めのワン大に合格し、さすがに三浪はできないとワン大に進学することになったら……」
「やめてやめてやめて! 急に生っぽい話出てきちゃった!」
「黒沢の抱いている劣等感は、尋常じゃないと思わないか?」
「そ、それは……思うわね」
「そう考えた結果として、父に対しても周囲に対しても劣等感がある黒沢。だからこそ、父のしている警察という枠に囚われない世直し系配信で目立つことで、鬱屈した気持ちを晴らしている。父に対するコンプレックスや、努力しても認められなかった挫折が黒沢を突き動かしている、という前提がある……という設定を都合良く生やして、重い男を一人完成させたんだぜ!」
「サクッと言う内容じゃないけど!?」
「さらに黒沢は山羊座だからこういう劣等感キめたキャラクター性が似合うんだよな」
「まって、何が何で何?」
「えー?」
「えー、そこ説明が必要? って顔しないでよ、ちゃんと説明しないと、山羊座がこじらせたキャラだと思われちゃうでしょ!」
「仕方ないから説明するぜ! 12星座は4区分、3区分、2区分の特性をベースで性格を決定しているんだ。四区分は火・土・風・水。3区分は活動・不動・柔軟。2区分は男性、女性ってな」
「そこから説明してくれるんだ」
「火は活発、快活、カリスマ。土は努力家、忍耐、職人。風は社交性、知性、芸術性。水は神秘性、秘匿性……」
「まって、それ長くなる?」
「なるぜ! あと3区分と2区分の説明と、どうやってこれが星座に割り振られているか説明する必要があるからな」
「ごめんなさい、もっと簡潔におねがい。尺が足りないわ」
「しかたないな。山羊座だけの説明をするぜ! 山羊座こと磨羯宮は星座占いでいうと、土属性・活動宮・女性の星座なんだ。土属性は、努力家、忍耐、職人気質といった属性になり、活動宮は物事を始めたり、物事を引っ張ったりするのが特異な気質。女性はどちらかというと内助、サポート、身内を大切にする特性だな」
「ふむふむ、つまり?」
「黒沢は、星座の特性でいうと努力家で職人気質。コツコツと細かい仕事をし、積み上げた実績で勝負するほうが向いているってわけだな」
「なるほどだわねー」
「だが、黒沢は19歳までの受験でやってきた勉強や、目指していた価値観が一度そこで壊れている。基礎土台である部分が揺れてしまったから、その揺れを安定させるため、別の柱であったり、別の土台が必要だった。だが、真面目にコツコツやる勉強で失敗してしまった」
「まって、急に情報量が増えたわ!」
「それなら……運否天賦なギャンブル性のある配信者という、全く逆のベクトルに突っ走ってしまう可能性もあるだろ?」
「まってって、情報量が多いの!」
「しかも才能はあるからそこそこ成功してしまった。しかし当人にとってそれは、完全に納得したものではない。父への劣等感、自分の根底の否定という、マイナス要素の複数要因が積み重なって出来た砂上の楼閣だったわけだな」
「決めつけじゃない! でも、なんか説得力があるわね……」
「執着には、それなりの理由が必要だからな! それなりの理由付けとして、黒沢の人生20年分の劣等感を盛りに盛りまくったぜ! 学生さんには絶望をいっぱい食ってほしいからな」
「邪悪なボリューム店だわ」
「さて、黒沢が劣等感に苛まれながら成功しても、父の承認は受けられないという空虚さを抱いていたとしたら、どうなると思う?」
「わかんないわよ、そんな絶望味わったことないもの」
「もし、この空虚さをたとえ嘘で塗り固めた感情だとしても、埋めてくれる人間がいるのなら、それを求めてしまうのは必然……そう思わないか」
「だから思わないのよ普通は! マジで何いってんの?」
「という訳で、山田ガスマスクの背後設計は何をされても受け入れるという圧倒的許容と、許容の中にある判断力の欠如にしたぜ!」
「なんでそうなるのよ! だからそこがわからないの! ちゃんと説明しなさいよ!」
「えー?」
「なんでそこで『わっかんないかなぁ?』って顔するの? 普通はわからないのよ!」
「原作の山田ガスマスクは、黒沢と同じ配信チームの一人だが、チームのなかで唯一、明らかに本名じゃない名前を使っているよな」
「えぇ、そうね」
「また、設定上は猜疑心が強く神経質。自分に興味をもたれるのを嫌っている」
「へぇ、そうなのね」
「つまり、事件をおこした当事者であり、捕まるかもしれないという恐怖心をうっすら抱いている可能性があるというわけだ」
「なるほどだわ」
「そこを、圧倒的な罪悪感を抱いていると解釈した」
「また話が飛んだわ!」
「罪悪感とは、本来は罪を認識し、悔い改める第一歩なんだが、同時に傲慢さとも紙一重なんだ。自分はこんなことをする人間ではないはずだ。ただ間違えてしまっただけ。こんなはずではなかった。そういった、自分の罪と向き合いたくない姿勢も一定数もっているんだよな」
「いつも話のギアがいきなり上がるのよね。プ○ウスだってもうちょっと穏やかな加速をするわよ?」
「山田の罪悪感や猜疑心は、全部自分のために向いているというのが解釈としては面白いんだが……」
「まだ自分の世界に入ってるわ」
「そもそも、山田はわりと慎重に見えるんだよな。考えた挙げ句に、決断したことを最後までやり遂げるタイプのように見えるから、黒沢とともに配信者をやるというのが山田にとって大きな決断であり、その決断をしたきっかけの一つが黒沢だったとしたら、そこにあるのは敬意という言葉で足りると思うか?」
「まって、また情報量が多いわよ。何言ってんの?」
「山田は見た目が地味で、自分自身もそれほどいい男だと思ってなさそうなところもポイントだよな。そのへんを踏まえて考えると、山田は学生時代から深い人付き合いが苦手で、大学でも他の人間と距離を置いて過ごしていたとしたら? そんな中、配信に誘ってくれたのが黒沢だったとしたら? 今まで、日陰にいるのが当たり前だった山田を明るい世界に引っ張り出して、仲間と言える存在とともに過ごす時間と、居場所を与えられたのだとしたら……山田にとって、全てのトリガーである黒沢が特別になるのはあってしかるべき心理ではないか?」
「まって」
「これらの要因を慣性の法則に従ってどんどん加速させた結果、ここに5Gが生まれた訳だ」
「まってほんと何いってんの!?」
「地球の重力が1Gとすると5倍という意味だぜ」
「そこじゃない! そこじゃないのよツッこんでる場所は!」
「つまり、山田はこれまで居場所がなかったのに、居場所を与えられた喜び・感謝が愛情との境界も曖昧になり、黒沢に対して尊敬と愛情と性愛とが全て無くなってしまった感情を持て余すようになったというわけだな」
「わかった、わからないことがわかったわ」
「山田は、敬愛も羨望も全てが黒沢に注がれている、という前提になったとき……これが性愛も含めた愛情なのだろうと誤認していたとしようか」
「そうね、あなたの中ではそうなのね」
「そこまで湿度が高い感情をもって、全面的な信頼と献身でぶつかってくる子犬のように従順な人間がいたとき、劣等感を拗らせて空虚な心を抱えている黒沢が、山田は何をしても許してくれる。文句は言わないと何とはなく察してしまったら……山田の感情強度テストをしてみたいと思うだろ?」
「思わないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「こうして、自分の劣等感をごまかすため、自分へ全面的な信頼を与えてくれる供物を扱うというクソデカ感情男×全てを献身で受け入れるクソデカ感情男の関係が完成したというわけだ」
「発想が物騒なのよね」
「さて、相手の好意を試す時はどうするのが普通だと思う?」
「そうね、試し行為といえば嘘をついたり、私と仕事どっちが大切とか言ったりする奴よね?」
「そう、被虐だな!」
「一言も言ってないわよ! 何それ!?」
「縛ってじりじり痛めつけ、死の恐怖を与えても自分から逃げる事もなく、むしろさらなる苦痛を享受する相手なら、そこのある愛情や信頼を感じる事ができると思わないか?」
「思わないわよ!」
「という訳で、黒沢は率先して山田の体を拘束したり、痛めつけたりする描写を入れることにしたわけだ」
「承服いたしかねる意見ね」
「とはいえ、物語の最初から山田は『自分を大事にしない性格』であるのをアピールしたかったので、自ら殴られにいって痛めつけられ、開始直後ですでに体がボロボロという話をすでに書いてしまっていたんだよな」
「へぇ、そうなのね」
「傷だらけの男を痛めつけるのはかわいそうだろ」
「そんな良心残ってたんだ」
「それに、他の男がつけた傷が残っている体なんて、実質ジャンク品みたいなもんだろ?」
「また話の流れが変わってきたわね」
「だから、黒沢は一度、山田の体を完全に治療して……他の男の痕跡が消えた後に、真新しいキャンバスに自分の痣を作るという描写を入れた。怪我を治すまでの間に山田の心を徹底的に自分に向けて依存させ、その後に体を検品し、品質チェックを完了してから痛めつけることで自分だけの特別なオートクチュールにする、という描写を入れたわけだな」
「だからいきなりギアが上がってるのよ!」
「このへん、本編での黒沢は他人をコントロールするのが得意だし、そうするのが好きな人間だという設定があるんだが……原作ではすこし露骨すぎるくらいな描写だったので、こちらの作品ではその露骨すぎる描写を減らして、明らか様じゃないが確実に相手を支配し侵略する、という描写にしたかったからいれたのもあるぜ!」
「へ、へぇ……そうなのね……」
「さて、黒沢が山田を傷つける理由はわかったよな?」
「わかんないわよ」
「この関係性のアルティメットスタイルを考えた時に、行き着いたのが首締めだ」
「わかんないのに話が進んでいくパターンあるんだ!?」
「首締めは、いとも容易く行われるえげつない行為のなかでも常に死の境界線が揺らいでいる、恐怖と快楽が溶け合い混じり合う領域だと、古事記にもそう書いてあるんだぜ」
「書いてないわよ」
「そもそも首を絞めるのは、たとえばナイフで刺すとか毒を飲ませるより致死性は低いんだが、腕があればできるのでいつでもプレイ可能で手軽だし」
「なるほどだわねー」(棒)
「最も、厳密にいうと首を絞めた後、毛細血管が破裂するに至るため、顔に細かい痣が浮かんだり、目の充血があるなど微細な証拠は残るので万全な手段とはいえないんだが。そもそも、緊縛というのも必ず荒縄などの痕跡が残るため、完全な嗜虐というのは難しいな」
「急に医学的知見を入れて冷静になるの何なの?」
「ともあれ、死の境界線に至る部分に触れていく男を愛したのなら……その全てを受け入れる境地として、この人になら殺されてもいいという心境は必然だよな」
「またギアが上がったわ! 一体このギア何段あるの!?」
「だから山田は、漠然と生きていたくない。うっすらとした希死念慮を持て余しているが、自分から死に積極的ではない。しかし、愛している黒沢に殺されるのなら、それが一等にいい死に方だと信望している。そういう執着を持たせたというわけだ」
「だからわかってないのに話をすすめないで!」
「そういうわけで、愛しているのを確かめるため殺したい。空虚な自分の心を埋めたいという男×愛しているから殺されたいという男の話を作ろう、という構想が完成したというわけだぜ!」
「そ、そうだったんだ、なんかこう……」
「どうした?」
「……全てがわからないけど、わかったことにしておくわ!」
そんな勢いで完成した同人誌。
まだまだ頒布しています♥
ゆっくりしていってね!
「ゆっくり魔理沙だぜ! 今日は、同人誌『愛しているから殺されたい』の制作秘話を紹介するぜ」
「ゆっくり解説で同人誌の解説することってあるんだ!?」
「ちなみに、ジャンルは都市伝説解体センターのR-18・BL本だぜ」
「しかも東方じゃないジャンルを説明することあるんだ!?」
「ゆっくり解説の茶番なんて無法地帯だから、細かいことを気にするのは野暮ってもんだぜ」
「もっと気にした方がいいと思うけど……」
「それじゃ、今回のコンセプトについて説明するぜ。今回のコンセプトは、『クソデカ感情×クソデカ感情の男はメチャクチャ萌えるからそれを書こうぜ』だ」
「へぇ、わりと王道ね」
「という訳で、クソデカ感情の象徴として、『殺したい男』×『殺されたい男』のCPを作ったぜ」
「話の流れがかわってきたわね!」
「クソデカ感情とクソデカ感情がぶつかり合うと空間が歪むとアインシュタインも相対性理論で言っているからな」
「いってないわ。ノーベル物理学賞が助走を付けて殴りつけてくるレベルの誤謬よ!」
「ところで、アインシュタインは相対性理論でノーベル賞をとっている訳ではないんだぜ。当時の相対性理論はあまりに内容が突飛すぎて、これで賞を取らせるのはと二の足を踏まれたみたいだな」
「論点をずらさないで、意味のわからない感情相対性理論の話説明しなさいよ!」
「えー?」
「なんでわかんないの? って顔しないで。普通わからないんだから」
「仕方ないから説明していくぜ。まず、今回の攻めキャラの黒沢優弥だが、設定上警察官僚の息子となっているな」
「そうね」
「だから最初は、黒沢はお坊ちゃん育ちでやや世間知らずだったり、金に苦労したことがないからあまり頓着しないというやんごとなきイメージで話を作っていたんだ」
「典型的なお坊ちゃまキャラね」
「しかし、設定などを見ていていて気付いたんだ。黒沢は7年前の時点で23歳だが、大学在学中っぽい表現をされている。普通だったら卒業しているか、大学院生になっている年だよな」
「確かにそうね」
「あるいは浪人か、留年しているかもしれない。そう思った時、警察官僚の息子が世直し系の配信者をやっていて、浪人・留年をしているとしたら、どう思う」
「とんだどら息子よね」
「その通りだ。だが黒沢というキャラクターは、どら息子っぽさがかなり少ない。基本的に頭が切れて、支配的で、カリスマのあるクレバーさや帝王っぽさを醸し出しているキャラクターだ。決して七光りだけのボンボンではないはずなのに、設定上には若干の齟齬がある。この齟齬こそ、二次創作のトロの部分だよな」
「また勝手になにか言い出したわね……」
「ところで、警察官僚を含む官僚といえばどこの大学に行くのがスタンダードだと思う?」
「えっ? そうね、やっぱりT大?」
「あぁ、その通りだ。T大の法学部がメインルートの一つだよな。黒沢は出身大学がワン大という設定がある。これはT大をイメージしている大学ではなさそうだ。すなわち……黒沢は、官僚の息子でありながら官僚のメインルートから外れているというのがわかるよな」
「そ、そうなの!? 全然わからないんだけど!?」
「もし黒沢が、父に期待され名門進学校に通って、鉄○会にも行き、T大法学部を目指して勉強し、それなりのラインで判定も出ていたにもかかわらず一浪していたら……二浪は許されない状況で、T大の受験には失敗し、滑り止めのワン大に合格し、さすがに三浪はできないとワン大に進学することになったら……」
「やめてやめてやめて! 急に生っぽい話出てきちゃった!」
「黒沢の抱いている劣等感は、尋常じゃないと思わないか?」
「そ、それは……思うわね」
「そう考えた結果として、父に対しても周囲に対しても劣等感がある黒沢。だからこそ、父のしている警察という枠に囚われない世直し系配信で目立つことで、鬱屈した気持ちを晴らしている。父に対するコンプレックスや、努力しても認められなかった挫折が黒沢を突き動かしている、という前提がある……という設定を都合良く生やして、重い男を一人完成させたんだぜ!」
「サクッと言う内容じゃないけど!?」
「さらに黒沢は山羊座だからこういう劣等感キめたキャラクター性が似合うんだよな」
「まって、何が何で何?」
「えー?」
「えー、そこ説明が必要? って顔しないでよ、ちゃんと説明しないと、山羊座がこじらせたキャラだと思われちゃうでしょ!」
「仕方ないから説明するぜ! 12星座は4区分、3区分、2区分の特性をベースで性格を決定しているんだ。四区分は火・土・風・水。3区分は活動・不動・柔軟。2区分は男性、女性ってな」
「そこから説明してくれるんだ」
「火は活発、快活、カリスマ。土は努力家、忍耐、職人。風は社交性、知性、芸術性。水は神秘性、秘匿性……」
「まって、それ長くなる?」
「なるぜ! あと3区分と2区分の説明と、どうやってこれが星座に割り振られているか説明する必要があるからな」
「ごめんなさい、もっと簡潔におねがい。尺が足りないわ」
「しかたないな。山羊座だけの説明をするぜ! 山羊座こと磨羯宮は星座占いでいうと、土属性・活動宮・女性の星座なんだ。土属性は、努力家、忍耐、職人気質といった属性になり、活動宮は物事を始めたり、物事を引っ張ったりするのが特異な気質。女性はどちらかというと内助、サポート、身内を大切にする特性だな」
「ふむふむ、つまり?」
「黒沢は、星座の特性でいうと努力家で職人気質。コツコツと細かい仕事をし、積み上げた実績で勝負するほうが向いているってわけだな」
「なるほどだわねー」
「だが、黒沢は19歳までの受験でやってきた勉強や、目指していた価値観が一度そこで壊れている。基礎土台である部分が揺れてしまったから、その揺れを安定させるため、別の柱であったり、別の土台が必要だった。だが、真面目にコツコツやる勉強で失敗してしまった」
「まって、急に情報量が増えたわ!」
「それなら……運否天賦なギャンブル性のある配信者という、全く逆のベクトルに突っ走ってしまう可能性もあるだろ?」
「まってって、情報量が多いの!」
「しかも才能はあるからそこそこ成功してしまった。しかし当人にとってそれは、完全に納得したものではない。父への劣等感、自分の根底の否定という、マイナス要素の複数要因が積み重なって出来た砂上の楼閣だったわけだな」
「決めつけじゃない! でも、なんか説得力があるわね……」
「執着には、それなりの理由が必要だからな! それなりの理由付けとして、黒沢の人生20年分の劣等感を盛りに盛りまくったぜ! 学生さんには絶望をいっぱい食ってほしいからな」
「邪悪なボリューム店だわ」
「さて、黒沢が劣等感に苛まれながら成功しても、父の承認は受けられないという空虚さを抱いていたとしたら、どうなると思う?」
「わかんないわよ、そんな絶望味わったことないもの」
「もし、この空虚さをたとえ嘘で塗り固めた感情だとしても、埋めてくれる人間がいるのなら、それを求めてしまうのは必然……そう思わないか」
「だから思わないのよ普通は! マジで何いってんの?」
「という訳で、山田ガスマスクの背後設計は何をされても受け入れるという圧倒的許容と、許容の中にある判断力の欠如にしたぜ!」
「なんでそうなるのよ! だからそこがわからないの! ちゃんと説明しなさいよ!」
「えー?」
「なんでそこで『わっかんないかなぁ?』って顔するの? 普通はわからないのよ!」
「原作の山田ガスマスクは、黒沢と同じ配信チームの一人だが、チームのなかで唯一、明らかに本名じゃない名前を使っているよな」
「えぇ、そうね」
「また、設定上は猜疑心が強く神経質。自分に興味をもたれるのを嫌っている」
「へぇ、そうなのね」
「つまり、事件をおこした当事者であり、捕まるかもしれないという恐怖心をうっすら抱いている可能性があるというわけだ」
「なるほどだわ」
「そこを、圧倒的な罪悪感を抱いていると解釈した」
「また話が飛んだわ!」
「罪悪感とは、本来は罪を認識し、悔い改める第一歩なんだが、同時に傲慢さとも紙一重なんだ。自分はこんなことをする人間ではないはずだ。ただ間違えてしまっただけ。こんなはずではなかった。そういった、自分の罪と向き合いたくない姿勢も一定数もっているんだよな」
「いつも話のギアがいきなり上がるのよね。プ○ウスだってもうちょっと穏やかな加速をするわよ?」
「山田の罪悪感や猜疑心は、全部自分のために向いているというのが解釈としては面白いんだが……」
「まだ自分の世界に入ってるわ」
「そもそも、山田はわりと慎重に見えるんだよな。考えた挙げ句に、決断したことを最後までやり遂げるタイプのように見えるから、黒沢とともに配信者をやるというのが山田にとって大きな決断であり、その決断をしたきっかけの一つが黒沢だったとしたら、そこにあるのは敬意という言葉で足りると思うか?」
「まって、また情報量が多いわよ。何言ってんの?」
「山田は見た目が地味で、自分自身もそれほどいい男だと思ってなさそうなところもポイントだよな。そのへんを踏まえて考えると、山田は学生時代から深い人付き合いが苦手で、大学でも他の人間と距離を置いて過ごしていたとしたら? そんな中、配信に誘ってくれたのが黒沢だったとしたら? 今まで、日陰にいるのが当たり前だった山田を明るい世界に引っ張り出して、仲間と言える存在とともに過ごす時間と、居場所を与えられたのだとしたら……山田にとって、全てのトリガーである黒沢が特別になるのはあってしかるべき心理ではないか?」
「まって」
「これらの要因を慣性の法則に従ってどんどん加速させた結果、ここに5Gが生まれた訳だ」
「まってほんと何いってんの!?」
「地球の重力が1Gとすると5倍という意味だぜ」
「そこじゃない! そこじゃないのよツッこんでる場所は!」
「つまり、山田はこれまで居場所がなかったのに、居場所を与えられた喜び・感謝が愛情との境界も曖昧になり、黒沢に対して尊敬と愛情と性愛とが全て無くなってしまった感情を持て余すようになったというわけだな」
「わかった、わからないことがわかったわ」
「山田は、敬愛も羨望も全てが黒沢に注がれている、という前提になったとき……これが性愛も含めた愛情なのだろうと誤認していたとしようか」
「そうね、あなたの中ではそうなのね」
「そこまで湿度が高い感情をもって、全面的な信頼と献身でぶつかってくる子犬のように従順な人間がいたとき、劣等感を拗らせて空虚な心を抱えている黒沢が、山田は何をしても許してくれる。文句は言わないと何とはなく察してしまったら……山田の感情強度テストをしてみたいと思うだろ?」
「思わないわよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「こうして、自分の劣等感をごまかすため、自分へ全面的な信頼を与えてくれる供物を扱うというクソデカ感情男×全てを献身で受け入れるクソデカ感情男の関係が完成したというわけだ」
「発想が物騒なのよね」
「さて、相手の好意を試す時はどうするのが普通だと思う?」
「そうね、試し行為といえば嘘をついたり、私と仕事どっちが大切とか言ったりする奴よね?」
「そう、被虐だな!」
「一言も言ってないわよ! 何それ!?」
「縛ってじりじり痛めつけ、死の恐怖を与えても自分から逃げる事もなく、むしろさらなる苦痛を享受する相手なら、そこのある愛情や信頼を感じる事ができると思わないか?」
「思わないわよ!」
「という訳で、黒沢は率先して山田の体を拘束したり、痛めつけたりする描写を入れることにしたわけだ」
「承服いたしかねる意見ね」
「とはいえ、物語の最初から山田は『自分を大事にしない性格』であるのをアピールしたかったので、自ら殴られにいって痛めつけられ、開始直後ですでに体がボロボロという話をすでに書いてしまっていたんだよな」
「へぇ、そうなのね」
「傷だらけの男を痛めつけるのはかわいそうだろ」
「そんな良心残ってたんだ」
「それに、他の男がつけた傷が残っている体なんて、実質ジャンク品みたいなもんだろ?」
「また話の流れが変わってきたわね」
「だから、黒沢は一度、山田の体を完全に治療して……他の男の痕跡が消えた後に、真新しいキャンバスに自分の痣を作るという描写を入れた。怪我を治すまでの間に山田の心を徹底的に自分に向けて依存させ、その後に体を検品し、品質チェックを完了してから痛めつけることで自分だけの特別なオートクチュールにする、という描写を入れたわけだな」
「だからいきなりギアが上がってるのよ!」
「このへん、本編での黒沢は他人をコントロールするのが得意だし、そうするのが好きな人間だという設定があるんだが……原作ではすこし露骨すぎるくらいな描写だったので、こちらの作品ではその露骨すぎる描写を減らして、明らか様じゃないが確実に相手を支配し侵略する、という描写にしたかったからいれたのもあるぜ!」
「へ、へぇ……そうなのね……」
「さて、黒沢が山田を傷つける理由はわかったよな?」
「わかんないわよ」
「この関係性のアルティメットスタイルを考えた時に、行き着いたのが首締めだ」
「わかんないのに話が進んでいくパターンあるんだ!?」
「首締めは、いとも容易く行われるえげつない行為のなかでも常に死の境界線が揺らいでいる、恐怖と快楽が溶け合い混じり合う領域だと、古事記にもそう書いてあるんだぜ」
「書いてないわよ」
「そもそも首を絞めるのは、たとえばナイフで刺すとか毒を飲ませるより致死性は低いんだが、腕があればできるのでいつでもプレイ可能で手軽だし」
「なるほどだわねー」(棒)
「最も、厳密にいうと首を絞めた後、毛細血管が破裂するに至るため、顔に細かい痣が浮かんだり、目の充血があるなど微細な証拠は残るので万全な手段とはいえないんだが。そもそも、緊縛というのも必ず荒縄などの痕跡が残るため、完全な嗜虐というのは難しいな」
「急に医学的知見を入れて冷静になるの何なの?」
「ともあれ、死の境界線に至る部分に触れていく男を愛したのなら……その全てを受け入れる境地として、この人になら殺されてもいいという心境は必然だよな」
「またギアが上がったわ! 一体このギア何段あるの!?」
「だから山田は、漠然と生きていたくない。うっすらとした希死念慮を持て余しているが、自分から死に積極的ではない。しかし、愛している黒沢に殺されるのなら、それが一等にいい死に方だと信望している。そういう執着を持たせたというわけだ」
「だからわかってないのに話をすすめないで!」
「そういうわけで、愛しているのを確かめるため殺したい。空虚な自分の心を埋めたいという男×愛しているから殺されたいという男の話を作ろう、という構想が完成したというわけだぜ!」
「そ、そうだったんだ、なんかこう……」
「どうした?」
「……全てがわからないけど、わかったことにしておくわ!」
そんな勢いで完成した同人誌。
まだまだ頒布しています♥
ゆっくりしていってね!
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