インターネット字書きマンの落書き帳
ギャルゲーに嫉妬するタイプの赤袖(BL)
赤川×袖山好きかい?
俺もーーーーーー!(挨拶)
というワケで、ギャルゲーを本名プレイしてる赤川くんの話を聞いて「そんな、僕だってまだ哲也って呼んだことないのにギャルゲーに先を越された!?」みたいな心情になり慌ててしまう袖山くん、みたいな話を書きました。
赤袖はわりと健全な男子高校生のカップルっぽくなって可愛いですよね。
可愛いんだよ。
わかったね、可愛いんだ。
いいね?
というワケで、可愛いと思って読んでくれたら嬉しいです♥
俺もーーーーーー!(挨拶)
というワケで、ギャルゲーを本名プレイしてる赤川くんの話を聞いて「そんな、僕だってまだ哲也って呼んだことないのにギャルゲーに先を越された!?」みたいな心情になり慌ててしまう袖山くん、みたいな話を書きました。
赤袖はわりと健全な男子高校生のカップルっぽくなって可愛いですよね。
可愛いんだよ。
わかったね、可愛いんだ。
いいね?
というワケで、可愛いと思って読んでくれたら嬉しいです♥
『知らない誰かが名前を呼んで』
「赤川くんって、ギャルゲーを本名でプレイしているタイプですよね」
昼休み、赤川は荒井から突如として暴言の洗礼を受けていた。
とはいえ、赤川は荒井という人間を心得ている。自分を一人のゲームオタクとして信頼しているからこそ、こんな軽口をたたけるのだろう。
「決めつけの言いがかりはやめてくれよ荒井くん。してるに決まっているだろ」
赤川はいつもログインしているスマホゲームをいじりながら、コンビニのおにぎりを頬張りそう答えた。
「だいたい、ギャルゲーは本名でプレイしたほうが没入感があるよね。最近は、ヒロインが僕の名前を呼んでくれるゲームもあるし。架空の存在でも声優さんの声で、哲也くん。なんて呼ばれるのは気恥ずかしいけど嬉しい。この体験も含めて、僕はギャルゲーだと思っているよ」
今遊んでいるスマホゲームはハンドルネームを使っているが、これはSNSの友人が自分を見つけてフレンド申請をしやすくする、というのが目的だ。
一人で遊ぶことを前提としたコンシューマゲームでは、今でも本名を入れてプレイすることが赤川は多かった。その方がよりゲームの世界観に集中できるというのも理由の一つだったが、ただ単純に名前を考えている時間が惜しいというのも理由だろう。
「デフォルトで主人公の名前が決まっているゲームだったら、キャラクターボイスが変わることもあるから名前をかえないでおくけど、特別な理由がないかぎり僕はゲームでも自分の名前を入れているよ。最近はネトゲをやることも増えてきたから、ハンドルネームを使うことも多いけどね」
おにぎりを3口で食べ、それをスポーツドリンクで流し込む赤川の昼食は、食事というより完全にエネルギーを摂取するための行程といった様子だ。
そんな赤川の隣で丁寧にお弁当を食べる袖山は不思議そうに首を傾げた。
「ねぇ、荒井くん、赤川くん。変な事聞いてたらごめんね。ぎゃるげー……って、なに?」
「あぁ、袖山くんはギャルゲーなんて知らないですよね。そもそも、ギャルゲーが流行したのは1990年代の終わり頃から、2000年代くらいですから」
「そうだね、今はギャルゲーみたいに恋愛特化したゲームってあんまりないから。一応、RPGやSLGには恋愛要素があって、結婚イベントがあるゲームもあるけど、それがメインのゲームって少なくなってきたよね」
互いうなずきながら語り合う荒井と赤川を、袖山は不思議そうに見つめる。
その視線に気付いた荒井は、申し訳なさそうに笑った。
「ごめんね、袖山くん。ギャルゲーを知らないんだから、その反応になるよね。ギャルゲーっていうのは、ようするに、主人公が周囲にいる女の子たちと生活して、告白されて彼女をつくるような、恋愛ゲームのことだよ」
「恋愛ゲーム? ゲーム内で恋愛するってこと?」
「そうだね、決められた期間で女の子たちとデートしたりプレゼントしたりで、告白とか結婚して終わり、みたいな感じだよ」
荒井の簡潔な説明に、赤川はうなずき肯定する。
それを見た袖山は、食事をする手を止めて急に狼狽えだした。
「え、それって赤川くんがゲームの女の子にすっごくモテちゃって、それで、ゲームの女の子とデートしたり、付き合ったりするってことかな」
「そうだね、そうなるかな……」
「だったら、ゲームでは赤川くんは、女の子に名前で呼ばれたりしてるってこと? その、下の名前で……」
「名前を呼んでくれるゲームはそんなにないと思うけど、そういうことだね」
「う、なにそれ……やだ。僕だって赤川くんのこと、名前で呼んだりしてないのに……」
袖山は少し寂しそうにうつむく。
だが赤川は袖山に目を向けず、相変わらずスマホを見つめたままパンをかじっていたからだろう。袖山がどこか落ち着かなくなっていることなど一切気付かないまま、せわしなく指を動かしていた。
「どうしたのさ袖山くん。まさか、僕に嫉妬してる? 僕はこれでも、ゲームの中じゃ女の子にモテモテだよ。どんな相手でも目隠ししたって攻略できちゃうくらいだから」
「そ、それは……その……そ、そんなのあたりまえだよ!」
軽く茶化したつもりだったのに、思わぬ強い言葉が返ってきたため赤川は驚いて袖山を見る。
袖山は頬を膨らませ、普段より厳しい視線を向けていた。
「僕だってゲームの中の女の子が赤川くんに何かするとは思っていないよ。だけど、僕の知らないところで女の子に親しげに呼ばれている赤川くんがいるのは、ちょっと嫌だ」
「な、何言ってるんだよ袖山くん。ゲームだから、別に本当にモテているワケじゃないし、僕はそういうゲームは好きだけど、あくまで攻略できるゲームとして好きなだけで、キャラクターに萌えたりグッズを収集するほど熱心ではないから心配しなくてもいいよ」
「それはわかってるけど、いやだって気持ちに嘘がつけないんだよ。赤川くんは、同じことを僕がしていたら、いやだって思わないの?」
それを言われ、赤川は少し考える。
もし、袖山が自分の名前でギャルゲーをプレイしたとしても「全然クリアできない」と泣き付いて来る姿しか想像できない。
だから少し視点をかえ、自分が本名ではなく、袖山勝という名前を主人公につけてプレイした時のことを考えてみた。
可愛い幼馴染みに親しげに「勝くん」と呼ばれるシーン。色っぽい年上の先輩に「どうしたの、袖山くん」と腕を絡まれるシーン。どのシーンのイベントCGを想像しても、嫉妬心が芽生える。
どうして自分だってまだ、袖山の名前を呼んだりしてないのにゲームの知らない女の子が袖山と親しくしているんだと腹が立ってくるのだ。
「それは……いやだなぁ」
赤川のこたえに、袖山は少しほっとしたように頬を緩めた。
「そ、そうだよね。僕もちょっといやだから……そういうゲームをやらないで、とはいわないけど……名前は、もっと別の名前にしてくれないかな……ごめんね、変なこといって。こんな、つまらない嫉妬だってわかってるんだけど、やっぱりいやなんだ」
顔を真っ赤にしながら必死に提案する袖山を前に、赤川はつい笑顔になる。
「心配しなくても、今はギャルゲーみたいなのはプレイしてないよ。最近はそこまで遊んでみたいと思うほどシステム面に魅力を感じる、女の子が中心のゲームって沢山はないし……それに、今は袖山くんと一緒にゲームしているほうが楽しいからね」
「え、えっ。本当? う、嬉しい……ありがとう。僕、下手だけどもっと色々なゲームを教えてくれる?」
「あぁ、もちろんさ。でも心配だろうから、これからはそういうゲームをやるとき、別の名前をつけるよ。そうだな……荒井昭二だったら大丈夫かな。ねぇ、いいだろう荒井くん?」
赤川の言葉に、荒井は冷たい目を向けた。
「いいですよ、使用料を頂きますけどね」
「何だよ、別にいいだろ。この荒井くんは実在の荒井くんと関係ありません、ってテロップを出しておくからさ」
「必要ありませんよ。そもそも、どうして赤川くんの惚気に僕まで付き合わないといけないんですか」
荒井と赤川のやりとりを聞き、袖山は申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうに顔を赤くし何かを言おうとする。だが袖山が何か言うまえに、荒井は優しく微笑んだ。
「でも、別にいいですよ。僕は、袖山くんが幸せにしていてくれるのなら、多少ダシにされても……大目に見てあげますから」
荒井の言葉を聞いて、袖山はますます赤くなる。
赤川はそんな袖山の横顔を眺め、温かな幸せに浸っていた。
「赤川くんって、ギャルゲーを本名でプレイしているタイプですよね」
昼休み、赤川は荒井から突如として暴言の洗礼を受けていた。
とはいえ、赤川は荒井という人間を心得ている。自分を一人のゲームオタクとして信頼しているからこそ、こんな軽口をたたけるのだろう。
「決めつけの言いがかりはやめてくれよ荒井くん。してるに決まっているだろ」
赤川はいつもログインしているスマホゲームをいじりながら、コンビニのおにぎりを頬張りそう答えた。
「だいたい、ギャルゲーは本名でプレイしたほうが没入感があるよね。最近は、ヒロインが僕の名前を呼んでくれるゲームもあるし。架空の存在でも声優さんの声で、哲也くん。なんて呼ばれるのは気恥ずかしいけど嬉しい。この体験も含めて、僕はギャルゲーだと思っているよ」
今遊んでいるスマホゲームはハンドルネームを使っているが、これはSNSの友人が自分を見つけてフレンド申請をしやすくする、というのが目的だ。
一人で遊ぶことを前提としたコンシューマゲームでは、今でも本名を入れてプレイすることが赤川は多かった。その方がよりゲームの世界観に集中できるというのも理由の一つだったが、ただ単純に名前を考えている時間が惜しいというのも理由だろう。
「デフォルトで主人公の名前が決まっているゲームだったら、キャラクターボイスが変わることもあるから名前をかえないでおくけど、特別な理由がないかぎり僕はゲームでも自分の名前を入れているよ。最近はネトゲをやることも増えてきたから、ハンドルネームを使うことも多いけどね」
おにぎりを3口で食べ、それをスポーツドリンクで流し込む赤川の昼食は、食事というより完全にエネルギーを摂取するための行程といった様子だ。
そんな赤川の隣で丁寧にお弁当を食べる袖山は不思議そうに首を傾げた。
「ねぇ、荒井くん、赤川くん。変な事聞いてたらごめんね。ぎゃるげー……って、なに?」
「あぁ、袖山くんはギャルゲーなんて知らないですよね。そもそも、ギャルゲーが流行したのは1990年代の終わり頃から、2000年代くらいですから」
「そうだね、今はギャルゲーみたいに恋愛特化したゲームってあんまりないから。一応、RPGやSLGには恋愛要素があって、結婚イベントがあるゲームもあるけど、それがメインのゲームって少なくなってきたよね」
互いうなずきながら語り合う荒井と赤川を、袖山は不思議そうに見つめる。
その視線に気付いた荒井は、申し訳なさそうに笑った。
「ごめんね、袖山くん。ギャルゲーを知らないんだから、その反応になるよね。ギャルゲーっていうのは、ようするに、主人公が周囲にいる女の子たちと生活して、告白されて彼女をつくるような、恋愛ゲームのことだよ」
「恋愛ゲーム? ゲーム内で恋愛するってこと?」
「そうだね、決められた期間で女の子たちとデートしたりプレゼントしたりで、告白とか結婚して終わり、みたいな感じだよ」
荒井の簡潔な説明に、赤川はうなずき肯定する。
それを見た袖山は、食事をする手を止めて急に狼狽えだした。
「え、それって赤川くんがゲームの女の子にすっごくモテちゃって、それで、ゲームの女の子とデートしたり、付き合ったりするってことかな」
「そうだね、そうなるかな……」
「だったら、ゲームでは赤川くんは、女の子に名前で呼ばれたりしてるってこと? その、下の名前で……」
「名前を呼んでくれるゲームはそんなにないと思うけど、そういうことだね」
「う、なにそれ……やだ。僕だって赤川くんのこと、名前で呼んだりしてないのに……」
袖山は少し寂しそうにうつむく。
だが赤川は袖山に目を向けず、相変わらずスマホを見つめたままパンをかじっていたからだろう。袖山がどこか落ち着かなくなっていることなど一切気付かないまま、せわしなく指を動かしていた。
「どうしたのさ袖山くん。まさか、僕に嫉妬してる? 僕はこれでも、ゲームの中じゃ女の子にモテモテだよ。どんな相手でも目隠ししたって攻略できちゃうくらいだから」
「そ、それは……その……そ、そんなのあたりまえだよ!」
軽く茶化したつもりだったのに、思わぬ強い言葉が返ってきたため赤川は驚いて袖山を見る。
袖山は頬を膨らませ、普段より厳しい視線を向けていた。
「僕だってゲームの中の女の子が赤川くんに何かするとは思っていないよ。だけど、僕の知らないところで女の子に親しげに呼ばれている赤川くんがいるのは、ちょっと嫌だ」
「な、何言ってるんだよ袖山くん。ゲームだから、別に本当にモテているワケじゃないし、僕はそういうゲームは好きだけど、あくまで攻略できるゲームとして好きなだけで、キャラクターに萌えたりグッズを収集するほど熱心ではないから心配しなくてもいいよ」
「それはわかってるけど、いやだって気持ちに嘘がつけないんだよ。赤川くんは、同じことを僕がしていたら、いやだって思わないの?」
それを言われ、赤川は少し考える。
もし、袖山が自分の名前でギャルゲーをプレイしたとしても「全然クリアできない」と泣き付いて来る姿しか想像できない。
だから少し視点をかえ、自分が本名ではなく、袖山勝という名前を主人公につけてプレイした時のことを考えてみた。
可愛い幼馴染みに親しげに「勝くん」と呼ばれるシーン。色っぽい年上の先輩に「どうしたの、袖山くん」と腕を絡まれるシーン。どのシーンのイベントCGを想像しても、嫉妬心が芽生える。
どうして自分だってまだ、袖山の名前を呼んだりしてないのにゲームの知らない女の子が袖山と親しくしているんだと腹が立ってくるのだ。
「それは……いやだなぁ」
赤川のこたえに、袖山は少しほっとしたように頬を緩めた。
「そ、そうだよね。僕もちょっといやだから……そういうゲームをやらないで、とはいわないけど……名前は、もっと別の名前にしてくれないかな……ごめんね、変なこといって。こんな、つまらない嫉妬だってわかってるんだけど、やっぱりいやなんだ」
顔を真っ赤にしながら必死に提案する袖山を前に、赤川はつい笑顔になる。
「心配しなくても、今はギャルゲーみたいなのはプレイしてないよ。最近はそこまで遊んでみたいと思うほどシステム面に魅力を感じる、女の子が中心のゲームって沢山はないし……それに、今は袖山くんと一緒にゲームしているほうが楽しいからね」
「え、えっ。本当? う、嬉しい……ありがとう。僕、下手だけどもっと色々なゲームを教えてくれる?」
「あぁ、もちろんさ。でも心配だろうから、これからはそういうゲームをやるとき、別の名前をつけるよ。そうだな……荒井昭二だったら大丈夫かな。ねぇ、いいだろう荒井くん?」
赤川の言葉に、荒井は冷たい目を向けた。
「いいですよ、使用料を頂きますけどね」
「何だよ、別にいいだろ。この荒井くんは実在の荒井くんと関係ありません、ってテロップを出しておくからさ」
「必要ありませんよ。そもそも、どうして赤川くんの惚気に僕まで付き合わないといけないんですか」
荒井と赤川のやりとりを聞き、袖山は申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうに顔を赤くし何かを言おうとする。だが袖山が何か言うまえに、荒井は優しく微笑んだ。
「でも、別にいいですよ。僕は、袖山くんが幸せにしていてくれるのなら、多少ダシにされても……大目に見てあげますから」
荒井の言葉を聞いて、袖山はますます赤くなる。
赤川はそんな袖山の横顔を眺め、温かな幸せに浸っていた。
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