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インターネット字書きマンの落書き帳

   
ホットケーキを焼く新堂パイセンと荒井くん(新堂×荒井/BL)
平和な世界線でつきあってる新堂×荒井の話を虚無への供物とするものです。
(仰々しい挨拶)

前回(昨日)から「朝起きたら荒井が小さくなっていた! 推定年齢5歳! だが知性は16歳のままです」状態にしているので、本日も身体は子供! 頭脳は荒井の話をお送りしたいと思いますよ。

そう、まさかの「続いたのかその設定!」ってやつです。

今回は、身体が子供になったまま翌朝を迎えて「ちったいな……どうしよう」と絶望する荒井くんにホットケーキをふるまう新堂さんの話しですよ。
何故ホットケーキなのか! それは「今日ホットケーキの日だよ」という情報を目にしたから書きたくなっちゃったからです。



『おめざは甘いホットケーキで』

 朝日を頬に浴びて荒井昭二は目を覚ますとすぐに自分の身体を確認した。
 昨日起きた時には身体が10歳ほど若返り小さくなっていたのだが、それは全て夢だったのではないか。あるいは起きた時に普通の大きさに戻っているのではないかと、そう期待したからだ。
 だがそう都合よく行くはずもなく、期待とは裏腹に荒井の身体は小さいまま。やはり放っておいても治るようなものではないようだ。
 このまま5歳から年齢をやり直すしかないのだろうか。それとも、もう成長などせずずっと5歳の姿でいなければいけないのだろうか。じわじわ広がる不安を胸に周囲を見渡せば、隣で寝ていたはずの新堂誠が消えていた。
 元々朝が早い新堂だから先に起きているのだろう。そう思い、他に着替えも無かったので新堂の家で借りていたパジャマ姿のまま一階へ降りていけばキッチンから甘い香りが漂ってきた。
 何だと思いキッチンを覗けば、新堂が鼻歌交じりで調理をする姿が見える。脇に避けてある袋や材料、何より甘いバニラの香りからホットケーキを焼いているのは容易に見てとれた。すでに焼けた分もあるようで、小ぶりなホットケーキが三段重ねになっている。

「お、荒井もう起きたのか?」

 荒井が様子を窺っているのに気付いたのだろう、新堂は振り返って笑うとまだ暖かいホットケーキをテーブルの上に置いた。

「起きたなら食えよ。ほら、ホットケーキ、好きだろ」
「えっと……別に好きでも嫌いでもないですけど、どうしてホットケーキを?」
「いやぁ、朝起きた時甘いホットケーキが出ると嬉しかっただろ? 俺がガキの頃、お袋が時々焼いてくれたのを思い出してな」

 新堂はそう言うと、ホットケーキを前にメープルシロップやアイスクリーム、チョコレートソースなどを並べる。さほどホットケーキに対する執着のない荒井でも、これだけの品を準備されれば否が応でも気持ちが上向きになっていった。

「荒井、ホットケーキに何のせる? アイスでもシロップでも何でもいいぜ」
「え、えっと……そうですね……」

 アイスはバニラの他、チョコレートにストロベリーもある。生クリームやチョコスプレーまで準備されているあたり、普段の新堂家は日常的に甘いものを置いているのだろう。
 身体は子供になっても別段知性まで子供に戻った訳ではないから当然味覚も子供になった訳ではないから、あまり食べすぎてはいけないと思って 「メープルシロップとバターでお願いします」 と言ったのに、新堂は構わずストロベリーとバニラアイスの二段重ねに生クリームとチョコレートソースをかけ、たっぷりのチョコスプレーで彩っていた。

「何でこんなゴテゴテに盛ってるんですか!? 僕まだ何も言ってないですよね?」
「いやー、俺が小さい頃好きだったトッピングをお前にも食べてほしくてな。多分美味いと思うぜ」

 そうして、アイスの溶け始めたホットケーキを差し出す。
 荒井は呆れながら一口食べれば、口いっぱいに甘い味が広がっていった。

「おいしい……美味しいです」

 さらに二口、三口と食べ続ける。考えてみればホットケーキを食べるなんて何年ぶりだろうか。小さい頃は母親が焼いてくれた気がするが、その時でさえこんな豪勢に色々とトッピングを出していなかった気がする。ホットケーキを食べなくなったのは小学校の高学年か、中学生に入ってからだろう。わざわざ自分で焼かなければいけないお菓子なんて非合理的だと考えるようになったからだ。
 だが今日はその非合理的な無駄の多い食べ物が、何と美味しいのだろう。こんなに美味しく思えるのは、身体が子供になっているから甘みがよりいっそう深く感じられるのかもしれない。
 つい夢中になって食べる荒井を前にこしかけると、新堂は笑っていた。

「ほら、今日はガッコーに行ってお前の身体を治す方法見つけねーといけねぇだろ。気合い入れて食っていけば何とかなる気がするからな」

 そして彼は自分のホットケーキを頬張る。
 しっかりとした食事を摂る事はスポーツマンの新堂なりの気づかいなのだろうが、その甘い気づかいがどうしようもない状況に追い込まれ不安を抱いている荒井には嬉しかった。

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