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インターネット字書きマンの落書き帳

   
一緒に映画を見るときだいたい荒井の趣味な新堂×荒井(BL)
平和な世界線でつきあってる新堂×荒井の話です。

今回は、坂上が元木や倉田と一緒に映画を見に行くその相談に乗っている時。
ふと、自分は新堂のために映画を選んだ事なかったな……なんて感慨に浸る荒井みたいな話ですよ。

坂上くんは元木にも倉田にも、語り部全員にモテますがバグではなく仕様です。
二次創作、それはただ俺を、俺を救うための物語……。



『誰かと一緒に映画を見る』

 昼休み、映画雑誌を片手に坂上はおずおずと荒井へ話しかけてきた。

「すいません、荒井さん。こんな質問をされるのは嫌だと思うんですけど……」

 曰く、今度の休日に元木や倉田と映画を見に行きたいのだが、どんな映画を女子が好むのかわからないから力を借りたいのだそうだ。

「僕も女友達などいませんから、女性の好みはわからないですよ」
「そ、そうなんですか……すいません」
「ですが、定番の映画という話でよければ少しは……」

 映画は本来、一人でじっくり楽しむものだと考える荒井だが、友人たちと映画を見に行く事もある。そういう時は流行りの映画を見に行く事も少なくはない。
 それに、映画に出かけるためわざわざ専門の雑誌まで買ってくる生真面目な坂上には力を貸したいと思う。
 荒井は坂上から映画雑誌を受け取ると、上映中の映画を見ながら思案した。

「まず、女性が恋愛ロマンス系の映画を望んでいるようでしたら、こちらの監督作品が無難だと思います。お決まりの展開と言われてしまえばそれまでですが、安定して毎回、ハズレの少ないロマンス映画を作っていますから、元木さんなどは好きだと思いますよ」
「なるほど……確かに早苗ちゃ……元木さんは、最近韓流ドラマが好きで、恋愛ドラマにはまっているって言ってました」
「韓流スターが好きというのであれば、韓流映画も捨てがたいですね、向こうは日本の小説や漫画を原作にした作品も多く作っていますが、非常に原作へのリスペクトが感じられる作品が多いですよ。ドラマにも出る俳優も多いですから……」
「これはアクション要素も強そうですね、倉田さんは恋愛映画よりアクションとか、男の友情ものが好きだから元木さんと倉田さん、二人が好きな作品だとすると、こっちのほうがいいかな……」

  坂上は真剣な顔になり映画を吟味する。
 その様子を見て、荒井は自分が他人と一緒に見る映画を真剣に考えた事がない事に改めて気付かされた。
 普段から一人で映画を見るか、一緒に行く相手が時田のようにマニアの領域にいる映画好きばかりだったから、普段はあまり映画を見ない相手が見てくれそうな映画を選ぶなんて真似はとんとしたことがなかったのだ。
 だからつい、思ってしまう。
 もし新堂だったらどんな映画を好むのだろうかと。
 新堂と映画に行く時、彼は自分の好きな映画がわからないからと黙って荒井に付き合ってくれているが、彼にも好みの作品はあるだろう。今度、新堂の好きな作品をチョイスしてみようか。彼ならボクシングに関わる映画か、スポーツ系の映画をきっと好むだろう。難しい映画より単純明快で勧善懲悪の作品の方が好きに違いない。

「どうしたんです、荒井さん」

 一瞬呆ける荒井の様子が気になったのだろう。心配そうにこちらを見る坂上へ慌てて笑顔をむけた。

「いえ、僕も坂上くんに習って、たまには人の好みで映画を見るのも悪くないと。そう、思っただけですよ」

 そして静かに目を閉じる。
 自分のために見ない映画など退屈だと思っていたはずなのに、どうだろう。新堂なら、どんな映画を見て喜ぶのだろう。それを考えるだけで、くすぐったくも楽しい気持ちになる。
 自分の変化に戸惑いもあったが、きっとこれは心地よい変化なのだろう。


おまけ >

 映画館を出てすぐ、新堂は不思議そうな顔を荒井へとむけた。

「今日の映画はお前のチョイスにしちゃ随分と派手だったよな」

 それはそうですよ、あなたのために選んだ映画ですから。
 そう言うのは恥ずかしいので、荒井は俯きがちにこたえる。

「たまにはこういうのもいいかと思って。普段は比較的に地味な映画が多いですからね」
「ま、そうだな。でも俺は普段の映画も嫌いじゃ無いぜ」

 思わぬ言葉に、荒井は少々驚く。普段荒井が見に行く映画はお世辞にも目立って面白い映画ではないからだ。
 むしろ哲学的な内容も多い。暗い運命を引きずったまま終わるような後味の悪い作品が殆どだというのに、あの作品を新堂も楽しんでいるのだろうか。
 不思議に思う荒井にこたえるよう、新堂は笑っていた。

「お前が映画を真剣になって見てる表情、隣で眺めてるの結構好きなんだよな。時々ちょっと泣いたりして、あんな素直なお前、滅多に見られない訳だし」
「な、何言ってるんですか新堂さん。ぼ、僕じゃなくて映画を見てくださいよ」
「お前も見てるし映画も見てる、心配するなって」

 そう言いながら新堂は荒井へと手を差し出す。
 荒井はすこしの恥ずかしさと沢山の嬉しさを噛みしめながら、静かに彼の手を握りしめた。

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インターネット駄文書き
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