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インターネット字書きマンの落書き帳

   
新堂が荒井と付き合ってる事に何となく気付いた大倉のはなし(BL)
平和な世界線なら新堂と荒井は付き合うに違いない。
そう信じてやまない人がここにはいます。(挨拶)

今回は新堂×荒井前提の新堂←大倉みたいな話。
鳴神学園七不思議版の大倉が……あんまりにも顔がいいな!? おまえ顔がいいな!?
レベルの良いキャラ立ちをしていたので……どうして外伝作品でお顔出ししたんですか!?
どうして!?

良いキャラ立ちしすぎていたので新堂と大倉書いてみたくなったので書きました。
俺のイメージだと大倉の身長は170cmより低めの小柄な男子です。
だといいなッ!

何となく新堂とは1年の頃から連んで賭け事とかして遊んでいて一緒にいると楽しいと思っている……くらいの間柄ですよ。



『今日はカードの気分じゃない』

 昼休み、自分の前を歩く新堂の姿を見つけた大倉は笑みを浮かべながら彼の肩へ手を回した。

「やぁ新堂ちゃん久しぶりー。どうしたのかなー、最近ご無沙汰じゃない。久しぶりに遊ばなーい? 何なら特別に昼休み、一勝負オッケーだけど」

 大倉といえば今、鳴神学園の不良たちでその名を知らぬものはない学園の裏カジノを牛耳る胴元だ。
 もはやベテランの域に達したイカサマと当人の強運に加え、他の連中から巻き上げた金をトイチで貸し出し利益を貪るという悪徳業者顔負けの商売で学園の不良たちを牛耳っている。
 そんな彼がギャンブルに手を出し今のような商売を始めるに到ったのもきっかけは些細なことで、もともと1年の頃に新堂たちとトランプで昼飯をかけた勝負などが発端だった。
 当時はポーカーのルールすらおぼつかなかったというのに、随分と成り上がったとは自分でも思っているが大倉にとっては今でも新堂たちと遊ぶのが一番楽しい時間だったのだ。
 今日は久しぶりに新堂と勝負が出来るのではないか。そう思い、ポケットには古いトランプを突っ込んでいる。これは1年のころ新堂がくれたもので、何度もイカサマの練習に使った一番手に馴染むカードだった。

「何だよ、大倉か……」

 昔のようにポーカーで一勝負できればいい。新堂なら別に金を賭けなくてもいい。彼は腕っ節が強いし背丈もあるから荒事のボディーガードとして働いてくれれば幾分か借金はチャラにしてやれるのだ。
 そうしたらまた以前のように治安の悪い裏路地の探索や妙なものばかり売ってるジャンク屋を覗きに行ったり出来るのだから。
 そのつもりで話しかけたのだが、新堂はただ苦い顔をするばかりだった。

「悪ィが賭けならやらねぇぜ。今は借金もして無ぇからお前に付き合う義理も無ェよな」
「あらま、どしたの? 最近、ホント付き合い悪いよねー。ギャンブルは男の花道じゃぁなかったのかなぁ」

 男なら勝負事が好きで当然だろう。とは、新堂がまだ1年だった頃によく言ってた言葉だった。
 新堂は浅慮で賭けに強い方ではなく、確率より運を重視し無謀な方へ全額ぶち込むタイプだが大倉は彼の賭け方がとりわけ好きだった。だからこそギャンブルにのめり込んだし、新堂をからかい構うためにギャンブルを続けていたと言ってもいいだろう。
 しかし最近の新堂は裏カジノに近づかないどころか、時々に気が向いたら一勝負するだけでそれ以外大倉と話しもしなくなったのだ。
 大倉は大倉で他にもギャンブルに挑戦したいという不良連中はいるし、最近は10万ほど借金がかさんでいる1,2年の不良どもを僅かな小遣いで従えさせているから退屈はしてないのだが、やはり新堂が来なくなったのは張り合いがないと感じていた。

「そりゃぁそうだけどな、大会も近ェし練習しないとまずいだろ。それに、最近デカい賭けに全ツッパしてな……悪い賭けじゃなかったが、財布握られちまって遊ぶ金なんて無ェんだよ」
「えぇ、らしくないなぁ新堂ちゃん、そういうキャラだっけ? というか財布握られてるとか、ママにお小遣い取り上げられちゃった?」
「違ェよ。親のほうがまだマシだったぜ……」

 頭を掻いて大きくため息をつく新堂の後ろから、小柄な少年が袖を引く。
 三年の教室棟には珍しい、二年の生徒だ。綺麗な顔立ちだが少し物憂げな印象も受ける。少年が何か喋ろうとする前に新堂は「荒井、いいから」と遮ると大倉の方へと向き直った。

「とにかく、今日はもう先約がいるからお前とは遊んでらんねぇから。悪ィな」

 そして、荒井と呼んだ少年を抱き寄せる。
 一学年下の生徒だが新堂はよほど気に入ってるのか、やけに距離が近いと思えた。

「そっか、じゃ、また今度遊んでくれよな」
「おぉ、また今度な」

 新堂は片手をひらひらさせ大倉の前を去る。
 その背中を眺め、きっと新堂はあの少年の傍にいるほうが楽しいのだろうと。もう自分と連むようなことはないんだろうと何とはなしに感じる。それほど新堂の背中が遠くに見えた。
 新堂はデカい賭けと言ったが、きっと張ったのはあの荒井という男相手だろう。彼に賭けて財布を握られても悪い賭けじゃなかったと言うのなら、きっと幸せなのだ。
 少なくとも、自分と遊ぶ余地がないくらいには楽しく過ごしているに違いない。

「こんなことなら新堂のこともっと借金漬けにしてオレしか見られないようにしておけばよかったかなぁー」

 殆ど無意識に呟く自分の言葉に驚いたように大倉は首を振る。
 今さらいっても詮無きことだし、もともと新堂は自分などに金以外のものを賭けたりはしてくれないだろう。

「あーあ、風間ちゃんでもからかいに行こっかな。今日はコインの勝負にしておこうかね、カードはちょっとゲンが悪いや」

 大倉はポケットに手を突っ込む。
 新堂から渡された古びたカードは大勝負の時に愛用している一番お気に入りのカードだが、しばらく使う気持ちにはなれなかった。


<おまけ>

 荒井の肩を抱き寄せながら新堂は周囲の様子をうかがいながら囁く。

「おい荒井、三年の教室棟は危ねぇからあんまり来るんじゃ無ェよ、俺がそっちに迎えにいったほうが断然いいだろうが。鳴神の三年はマジでタチが悪い奴が多いんだぞ」
「大丈夫ですよ、新堂さんに会いに来たといえば大概の人が道を開けてくれますから。タチの悪い三年でも随分と有名なようで何よりです」
「俺の名前は通行手形かよ……」
「それより、今の人……大倉さんですよね。何を話していたんですか」

 大倉が学校内でカジノ、というより殆ど賭場のような場所を牛耳っているのは1年も鳴神学園にいれば大概の生徒が耳にする話だろう。 当然、大倉の事を知っている生徒も多い。
 当人は金髪にモノクルといった手品師のような出で立ちを好んでしているからなおさら目立つだろう。

「別に、何でもねぇよ。賭けに誘われたが断った、それだけだ……嘘じゃ無ェからな」
「……そうですか」
「疑うのか。本当にお前と付き合ってから賭け事はしてねぇし、借金も返してある。もう大倉に頭下げる必用は無ェよ」
「そこは心配してないですよ。ただ、大倉さん……結構、新堂さんのこと好いてますからね。その点は油断してないので……」
「はぁ? 大倉が?」

 新堂は目を白黒させ、それからさもあり得ないといった様子で笑う。

「無いだろそれは、あいつと1年の頃から連んでるし、そりゃ良くファミレス行ったり家に泊まりで遊びに行ったりはしてたけど、あいつそういう雰囲気全然ねぇもんな。ま、確かにあいつも賭け事と金が大好きだから女っ気はないけどなァ」
「新堂さんに自覚がなさすぎるんですよ。貴方は無意識に相手をたらし込んでる所がありますからね……大倉さん、大きな勝負をするときは貴方からもらったカードを使っているの気付いてました?」
「あぁ……そうだっけ? いや、ケチだからずっと使ってるだけじゃ無ェか、あいつ物持ちいいしなぁ……」

 この様子だと、大倉にカードを渡した事すら覚えていそうにない。
 新堂は女性を意識するとぶっきらぼうになったり粗雑になったりするのだが、男性に対しては気が緩むのだろう。やけに距離を近く接し、知らないうちに相手に好かれるような行動をとる事がしばしばあるのだ。

「本当に、無自覚の男たらしなんですね……罪な人ですよ」

 大きなため息をつく荒井に、新堂は閃いたといった顔を向ける。

「それなら、大倉の前でキスでもしてやろうか? そうすりゃ大倉も諦めるだろうし、お前だって変な勘ぐりしなくてもいいんじゃ無ェのか」
「却下です。どうして人前でそんな破廉恥なことをしなければいけないんですか……僕のキスは見世物じゃありませんよ……それに……」

 もし、自分が大倉と同じ立場だったらそんなことをされたら耐えられない。
 相手の命を奪ってでも新堂のことを取り戻したくなるだろうと思うし、大倉もきっとそう思うタイプだ。
 そうなったら大倉と自分では本当に命を賭けた争いになりかねない。こちらは負けるつもりはないが、大倉相手だと面倒な搦め手も使えるから面倒なことになるだろう。

「……無駄な争いは避けたいですから」

 荒井は目を細めると、独り言のように呟く。
 目の前には不思議そうに首を傾げる新堂が、いつものように屈託なく笑っていた。

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東吾
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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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