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インターネット字書きマンの落書き帳

   
春ゆきてレトロチカの二次創作です
春ゆきてレトロチカを無事にクリアしました。
ムービーがメインなムービーゲーと言えばその通りですが、ムービー主体のADVとしてはメチャクチャ面白かったですね。

実写なので時々すごいシュールな映像が出たり、サプライズ出演者なんかでビックリさせられたりと色々面白い事もおこるゲームですが、最後までプレイして良かった……と素直に思える良い作品でした。

と、多く語るより二次創作をお出しするほうが得意なので、クリアした記念に二次創作をしておきたいと思います。

ネタバレはしてないと思います。
原作をクリアしてなければ「何を言っているんだ」くらいのモノローグになので、原作をクリアしていたら意味がわかるように……なっていると思います。

おもう。
なっていたらいいな!

春ゆきてレトロチカ、オススメですよ。


『赤い軛』

 花を手向けよう。
 生きていた時どんな事をしていても、死ぬまで苦しんで欲しくはなから。

 赤を手向けよう。
 白は少し清らかすぎるし、蒼は涼しすぎるから。

 椿を手向けよう。
 冬の寒さをこえ、桜が散り初夏の風が心地よく肌を撫でる頃、新しく芽吹く命を祝福するよう咲き誇る花だから。

 同じ花を手向けよう。
 ここに花を手向けた人間がいるのを、誰かに知ってほしいから。

 腥く鉄錆の死臭渦巻く柩に、赤い花ひとつ。散らした数と同じだけ、花を手向け命を送る。
 これは幾つ目の手向けだろう。数えることすら億劫なのは、手向けた花の多さからだろうか。手折った椿の花弁らが弔う命の重さを告げる。

 いつになったら終えるのだろう。
 運命を手繰り寄せても、糸はぷつりと途切れていて、こたえは延々闇の中。赤い椿を標にし、歩む旅路は袋小路。分かっていても決めた道、故にすでには戻れずに、赤い花弁をむしり取り周囲に散らし染めていく。

 いつになったら終わるのだろう。
 ドミノのように連鎖して倒れ傾く音だけが、鈍色の空に響いている。始めた手は自分のものなのに、動き始めた歯車はすでに自分のものではなく、求められるよう指先は命を奪い花を折る。

 どれだけ花を手向けても道は照らされず、示されず、自らの運命は川に浮かぶ花弁のように揺られ揺られ、どこにたどり着くこともない。

 どうか誰か早くこの花を、川底に沈めてくれ。
 そうすればもう、誰にも花を手向けなくても良いのだから。

 早くこの花につけられた名前に、誰か気付いてくれ。
 それだけがきっと私の、生きた証なのだから。

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