インターネット字書きマンの落書き帳
おいて、いかれる男(アルヤマ)
アルフレートくんを看取ってしまったヤマムラさんが未亡人の話します。
(これから幻覚を話しますよ、という前振り)
アルフレートくんを喪い、その死体を弔ったあと。
じわじわと悲しみが迫ってきて、狂いそうになっていくヤマムラさんという概念。
ヤマムラさんという優しい男の不幸が吸いたいんだよ!
そう思って、最近は「看取らせアルフレートくん」を書いてますが、ブームだと思って見守っていただければ幸いです。
嫌なブームだな! 俺もそう思うぜ!
今回は、アフルレ君を看取って思い出の場所で身体を持て余すヤマムラさんの話ですよ。
手軽に地獄接種していってね。
(これから幻覚を話しますよ、という前振り)
アルフレートくんを喪い、その死体を弔ったあと。
じわじわと悲しみが迫ってきて、狂いそうになっていくヤマムラさんという概念。
ヤマムラさんという優しい男の不幸が吸いたいんだよ!
そう思って、最近は「看取らせアルフレートくん」を書いてますが、ブームだと思って見守っていただければ幸いです。
嫌なブームだな! 俺もそう思うぜ!
今回は、アフルレ君を看取って思い出の場所で身体を持て余すヤマムラさんの話ですよ。
手軽に地獄接種していってね。
『おいていかれるということ』
ヤーナム市街からやや離れた廃屋に、ヤマムラは一人たたずんでいた。
最後に来てからまだ1年も経っていないはずだが、もう10年も20年もそこに立ち入っていなかったような気がする。
いくつかの石を削り積み重ねられたその廃屋は、かつて礼拝堂か何かだったのだろう。
以前は小さな集落があったと思しきその場所は荒れ果て木造の家は腐って崩れ落ち伸び放題の雑草に覆い尽くされていたが、石造りのその建物だけはかろうじて原型をとどめていた。
とはいえ、元の建物が何だったのかその面影はほとんどない。
ヤマムラが礼拝堂か何かだろうと考えたのも、集落の中では比較的大きな建物だったからであり、ヤーナム周辺で大きな建物といえば集会場代わりになる礼拝堂がほとんどだったという経験からの推測でしかなかった。
扉はとうに腐り落ち形だけになった入り口をくぐれば、相変わらその場所は殺風景なままだ。崩れた石は放置され、むき出しになった土のあちこちから雑草が伸びている。かつては広く人も多く集まっていただろうが、半分以上は土砂で埋もれており大人の男が2,3人入ればもう窮屈になる程度の隙間しかなかった。
「アルフレート……」
ヤマムラは懐に忍ばせた油紙を取り出すと中から一房の髪を取り出す。
輝く金糸を束ねたように美しい髪は、アルフレートの遺髪であった。
処刑隊としてその使命を全うするために旅立ったアルフレート。
彼が旅だった時、ヤマムラはすでにその「死」を覚悟し二度と会う事はないと覚悟していた。
そんなヤマムラがアルフレートの屍を見つけたのは幸運だったのか不幸だったのか……。
愛した男の死を見届け、自分だけが知る場所でヤーナムの冒涜的な埋葬ではない、故郷のやり方で埋葬し遺髪を手元に残すコトができた。
それはきっと幸運な事だったろう。
だが彼の死を目の当たりにしたヤマムラは、『アルフレートはどこかできっと生きている』『今日も世界のどこかで、血族を探しているに違いない』そんな夢想に逃れる術を失ったのだ。
彼の死を覚悟していなかったワケではないが、受け入れたいと思っていたワケでもない。
複雑な思いを抱いたまま、未だヤマムラはアルフレートの死を受け入れきれずにいた。
この廃屋へと足を運んだのもまた、断ち切れない思いからだろう。
誰も好んで立ち入ろうとはしない石造りの廃屋は、ヤマムラが初めてアルフレートに抱かれた場所でもあった。
千景は血族の武器である。
それをきっかけにヤマムラの周囲に現れたアルフレートは、最初こそヤマムラに疑いの眼差しを向けていたがすぐにそれは好意へと変わっていた。
どこに行くんですか。足手まといにはなりませんからついて行きます。
そこは危険ですからご一緒しますよ。ヤマムラさんはヤーナムにはまだ不慣れでしょう、案内させてください。
貴方のような優しい人、ヤーナムにはいませんでしたから。
私は、貴方の事が好きですよ。
アルフレートはただまっすぐにヤマムラを見つめてくれた。
その素直すぎるほな感情表現はくすぐったく、急に距離をつめてくる自分よりずっと年下の青年をどう扱っていいのか酷く戸惑ったものだが……。
『ヤマムラさん。私は……貴方が欲しいんです。誰にも渡したくない……』
この廃屋に逃れてきたのは、不意に激しい雨が降ってきたからだった。
ほとんどの家が潰れているか屋根などないといったこの場所で、まだかろうじて雨露をしのげる場所がここしかなかったのだ。
そうして二人、止む様子のない雨を眺め寄り添っている時、アルフレートは突然ささやきかけてきたのだ。
戸惑いながらも抱きしめる腕を突き放さなかったのは、すでにこの青年に絆されていたからだろう。
貪るような口づけも、慰めるように滑る舌も、汗ばむ肌も、貫かれほとばしる快楽も、全て遠い記憶に思える。
だがそれが夢や幻ではなく、事実であったコトを身体ははっきりと覚えていた。
「アルフレート……アルフレート、アルフレート……」
一房の遺髪を抱きその名を呼んで膝をつき、身体を慰める。
惨めである事は理解していた。他人に言えば未練がましいと。何時までも過去を引きずるくらいなら一緒に戦って死んでいればよかったとあざ笑う狩人もいただろう。
だが、アルフレートの旅は彼の旅であり自分が立ち入っていい領域ではないのだ。
行かせるしかなく、置いていかれるしかない。
わかっていた上で彼を愛したつもりではあったが、それでも死を受け入れるのはまだ時間が必要だった。
『この世界のどこかでまだ、彼が生きているかもしれない』なんて夢さえも見る事ができなくなったのだからなおさらだ。
愛しい男の面影を追いかけ、その体温が残る思い出の場所でヤマムラは一人うなだれる。
今自分が抱いている感情が、置いて行かれた無念さから来るものなのか。アルフレートを一人で旅立たせた後悔から来るもなのか。遅れてきた死の悲しみなのかヤマムラ自身にもわからhない。
ただ止めどなくあふれる涙を拭う事をさせない程に深く重い感情がヤマムラの身体を包み込hんでいた。
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