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インターネット字書きマンの落書き帳

   
愛に溺れるならそのまま泡になってもいい(みゆしば)
みゆしば定期的に書きたい!
甘い話書きたい!
年の差と身長差のあまりないいかにもボーイズがラブっている感じで書きたい!


そんな欲望があふれ出たら、書いてしまいませんか?
そう思ったので書きます。

今回は、熱心に話すしばじゅんちゃんを見てついムラムラしちゃうみゆみゆの話ですよ。
バカップルっぽいけどどちゃくそに愛の思い男……好きだぜ!

みんなも、今日から好きになってくれよな!
なお、今回のしばじゅんちゃんが説明しているゲームは零(zero)です。
この作品(みゆしば)は2002年時空で書かれていますので、このゲームは初代のクソムズ版の話をしております。



『溺れる魚』

 ソファーでくつろぐ手塚海之の隣で、芝浦淳は熱心に話しを続けていた。話題のほとんどは芝浦が遊んでいるゲームがどれだけ面白いかという話に手塚もやってみたらいいというお誘いが加わったものだった。

 手塚はほとんどゲームをやらない。
 芝浦が家に持ち込むまでテレビゲームはおろかボードゲームやカードゲームもほとんどやった事がないくらいだった。
 だがゲームパッドを握らせてみれば驚くほど飲み込みがよく上達が早く、どんなゲームでもそつなくこなしていった。
 練習なくとも充分に上手いのだから難易度の高いゲームでもストーリーが気に入ったり操作性が良ければもっとやりこみかなり上達するだろうと芝浦は思っていたのだが、当の手塚にその気はないようだった。元々あまり趣味らしい趣味はないようでゲームはいつも芝浦の付き合いでやる程度だったがストーリー重視のゲームは芝浦がいない時でも遊んでおり、難易度の高いゲームでもクリアしているのを見ると態度は不器用だが手先は器用なのだろう。
 とくにホラー・オカルト系のゲームを攻略するスピードは速く、曰く「ホラーは良かれ悪かれ結末まで見ておかないと気が済まない」といった性分のようである。 感情の起伏に乏しい上ホラー演出に驚いたり怖がったりするようなそぶりを見せないが、気に入ってるのは確かだろう。
 だから芝浦は手塚が気に入りそうなホラーのゲームをチョイスし、熱心にそのプレゼンをしていたのだ。

 芝浦は趣味でゲームを楽しんでおり、手塚はそれに干渉する事はない。
 変に「ゲームをやるな」と窘められるよりずっといいと思っていたし、逆に芝浦自身も手塚が趣味としてしている事に口だしをするような事はしなかった。
 だがもし自分が楽しいと思ったゲームを手塚がプレイしてくれたならうれしいし、同じゲームについていろいろ語れたら楽しいだろうと思ったのだ。

 「そんな訳で、このゲームさ。すっごく面白いんだー。だから海之もやってみなよ。これ、置いておくから」

 芝浦は一通りのおすすめポイントをしゃべり尽くすとテーブルにゲームを置き缶コーラの蓋を開け一口飲んだ。 ゾンビホラーが多いゲームのなかでも珍しい霊を題材にした和ホラーだ。難易度もかなり高いゲームだしストーリーも和ホラーらしい湿度の高い展開になっている。何よりストーリーのおぞましさと恐怖演出はピカイチという作品だ。気に入ってくれるといいのだが。
 あれこれと思案する芝浦の姿を、手塚はじっと見つめていた。

「ん、どうしたの海之。俺、今日なんかヘンなところあるかな?」

 あまりにじっと見つめられるのは照れくさいが、それだけ真剣に見ている理由は気になる。普段と変わらない格好をしているつもりだがヘンに気取ったところが出てしまったか。手塚のところへ来る時はなるべく年相応の大学生らしい格好をするように心がけているつもりだが気づかないところで変な服を着てたりしないか心配になる。
 気になって自分の体を見渡す芝浦に、手塚はふっと優しく笑う。そして彼の頬に振れ、呼吸をするように当たり前のような仕草で唇を重ねた。
 突然のキスに驚くがされて悪い気はしない。芝浦は手塚にすべてを委ねるよう彼の体を抱くとそのまま好きなだけキスに溺れることにした。
 そうしてどれだけキスを楽しんでいただろう。 気づいた時に芝浦はソファーに倒されやや熱っぽくなった体のまま手塚の姿を見つめていた。

 いつもに増して情熱的なキスをされ体はもう溶けそうなほどに熱い。手塚の家に来た時はするつもりは無かったが、体中を溶ける程に愛されたらもう後戻り出来ないだろう。

「……あのさぁ、海之。今日、最初から俺のことこうするつもりだった?」

 熱心に話を聞いている風に見えたが、いつから自分を「こう」しようと思っていたのだろう。
 もちろん手塚の事は好きだし彼になら何をされても良いとは思っているのだが話し始めた時から実はずっと上の空であったのならあれだけ熱心にした説明が無駄だったように思えてそれは少しだけさみしい気がする。
  密かにそう思い問いかければ、手塚は唇をなめてみせた。

「そういうつもりはなかった。いや、微塵もなかったといえば嘘になるが……」

 と、そこで手塚は芝浦の首筋を舐ると所有者の証をそこへと残す。薄着になる夏のこの時期には少し目立ちすぎるような場所だが悪い気はしなかった。 こんな真似をしなくとも誰のものにもなるつもりはないのだが、それでも所有している証を残そうとする。そのくらい自分を求め縛ろうとしてくれる重苦しいくらいの愛が芝浦には心地よかったのだ。

「……夢中になって話しているお前が、俺のために話しているとわかっていてもな。他の事にそれだけ熱心になっている事に、少し嫉妬した。だが好きなものを語るお前を見ているのも楽しくてな。どうしようか考えているうちに……おまえの唇が、目の前にあったから。つい、な……」

 その言葉は芝浦に様々な思いを注ぐ。
 自分のためにされる嫉妬は何てうれしいのだろう。きちんと手塚を思っていることが伝わっていたのもまた至上の喜びだ。そして、ただ話しているだけでは惜しいと思うほど自分を求めてくれたことはどんな愛の言葉にも勝る歓喜を与えてくれる。

「そっか……俺、海之とキスしやすいくらいの身長でよかった」

 くすぐったそうに笑う芝浦の唇を手塚が幾度目かもわからぬキスで塞ぐ。
 そのまま手塚の注ぐ愛に沈んでいくように、芝浦は目を閉じた。

 彼の腕に抱かれるのならこのまま何をされてもいい。
 そう、この手にだったら首を絞め殺されてもきっと幸福だろう。

 愛情の海に溺れて死ねるほど成功した人生はきっとどこにも存在しないのだろうから。

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