インターネット字書きマンの落書き帳
良家の坊やは恋に恋する。(みゆしば)
平和な世界線で普通に付き合っている手塚と芝浦です。
(挨拶を兼ねた強めの幻覚の紹介)
特に何だってワケじゃない日常の話で、幸せな空気出して行きたいよねッ!?
そう思って、何でもない日常の風景で幸せに思える感じ書きました。
TVドラマの恋愛に憧れるしばじゅんちゃんを見て、「絶対に幸せにしてやる」と思うみゆみゆの話ですよ。
糖度! 糖度!
糖度を上げてCPのカロリーを高めていこうなッ!
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『恋した恋を実らせて』
手塚が夕食の片付けを終えた時、芝浦はソファーにこしかけクッションを抱きしめながらテレビドラマを眺めていた。
特にすることがなく手持ち無沙汰だったから何とはなしに見ていたのだろう。よくある恋愛ドラマには、最近売り出し中のアイドルが拙いが初々しい演技を見せていた。
「珍しいな、テレビドラマを見てるなんて……こういうのは趣味じゃないと思ってた」
普段の芝浦は映画なら見るのだがテレビドラマを見るなら断然ゲームをやっている時間の方が長いタイプだなので流行りのドラマなどには興味がないと思っていたのだが、熱心に見入っているようだ。
「ん、んー……正直言うとテレビドラマってあんま見ないんだよね。ほら、だいたいラブコメとか、青春恋愛ドラマとか多いでしょ? 定番の作りって感じで同じような作風に見えちゃってそれほど好きじゃないんだけどさー……俺だって一応大学生じゃん? ケッコー学生って、こういうドラマ見てる奴多くてさ。話題作りにちょっと見てみようと思っただけなんだけど……」
芝浦は膝に抱いたクッションをさらに強く抱きしめる。
「このアイドルさぁ、演技ぜんぜん下手クソなんだけど。それが逆に初々しくて役にあってるっていうか……なんか青春時代の初恋っての? そういう甘酸っぱい感情を思い出しちゃうんだよね」
「ふぅん……青春時代の初恋ねぇ……」
手塚が知る限り、芝浦はおおよそ学生らしい初々しい恋愛というものを経験はしていない。
むしろどこか自棄になったような自分の身を贄にして快楽を得る、そんな爛れた生活をしていたのを自嘲気味に語る姿が印象深かったから、青春時代に思いを馳せる印象がなかったのだ。(そもそもの話からすると、芝浦の年齢で学生なのだから今もまだ青春時代でもいいのだろうとも思っている)
「あ、手塚いま『お前に甘酸っぱい青春時代なんかあったっけ?』って顔した?」
「どんな顔だそれは……最も、お前が青春に思いを馳せるのは不思議な気がするがな。まだ若いだろ?」
「ま、そう言われるとそうなんだけどさ……俺甘酸っぱい思い出っての全然ないから、そういう系のドラマ見てると自分に無かった感情刺激されて新鮮な気がするんだよね」
芝浦はそう言いながらドラマへと視線を向ける。
早熟だった芝浦にとって疼くような初恋のくすぐったい感覚は創作の世界にしか存在しない、遠い憧憬のようなものなのだろう。
(……自分で思っているよりは、よっぽど純粋な奴に思えるんだがな)
その横顔を見ながら、手塚は思う。
恋愛ドラマを見て感情移入し、自分の過去を噛みしめ清い交際に憧れるなど、恋に恋する姿は純粋な感性を持つ青年そのものだろう。
だが本人がそれに気付いていないのは何とも言えず歯がゆい気がした。
あるいは芝浦自身が自分のような過去をもつ人間はそちら側に行ってはいけないと、そう思っているような気がしたからだ。
(俺がいくら幸せにしてやりたくてもお前自身がそれを拒んでしまうのなら……)
そんなに悲しい事はない。
愛しい人にはただ幸せに笑っていてほしいかったし、それをただの憧れで終らせて欲しくはなかったから、テレビを見入る芝浦の肩を何も言わずに抱き寄せる。
「んー……どうしたの、手塚っ……」
口を開く芝浦のその言葉を留めるように唇を重ねれば、彼は一瞬驚いたように目を見開くがすぐに手塚の身体をしっかりと抱きしめる。暫くキスを繰り返した後唇を離せば、名残惜しそうに唾液が糸を引く。
「どうしたのさ、急にっ……ビックリするじゃん」
顔を赤くしながら唾液を拭う芝浦の頬を撫で、手塚は問う。
「……ドキドキしただろう?」
「えっ!? う、うん……まぁ……。手塚とするキスは……いつも、ドキドキするから……」
「お前は愛だの恋だのといった感情を時々遠いもののように見る事があるが……ちゃんと、お前の中にもある。俺とお前の間には、そういう思いがある。だから、そんなに心配するな……お前はいま、恋をしてるんだからな」
芝浦の赤かった顔はさらに赤くなり、照れたように視線を背ける。
「急に何言ってんのさ……わかってる、わかってるけどっ……」
「分ってるなら、他人事のように話すな。俺はお前のそういう態度が時々不安になる……自分が幸せになったらいけないなんて思ってるんじゃないかと思ってな」
指先に触れれば、自然とその指先を握りしめる。
「……あー……そっか、俺、いまが『初恋』なんだなーって改めて実感してる」
「そうか……」
「でもさ……初恋って実らないって言うんだろ? ……俺、それ絶対嫌だから。ちゃんと、責任とってくれるよね? ……俺に恋を教えた責任」
芝浦は微かに笑うと手塚と唇を重ねる。
言葉の代わりに手塚もまた強くその身体を抱きしめ、より深く熱い口づけを交わした。
恋に恋する男を、恋で幸せにするために。
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