インターネット字書きマンの落書き帳
キスケとユータがでる二次創作です
Xのフォロワーさんが
「ユータが、カガツ村にきて最初に作ったのはあの箱だよね、そういう話が読みたい」
といっていたので、書いてみました。
フォロワーさんから公開していいよ♥
と許可を頂いたので公開しますね♥
thank you フォロワー
Big Love……。
内容は、キスケのところに行って「あの箱」を作りたいと申し出るユータとそれを見守るキスケの話ですよ。
「ユータが、カガツ村にきて最初に作ったのはあの箱だよね、そういう話が読みたい」
といっていたので、書いてみました。
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Big Love……。
内容は、キスケのところに行って「あの箱」を作りたいと申し出るユータとそれを見守るキスケの話ですよ。
『いつかの、その箱』
そいつは、ただ黙々とノコギリを引いていた。
『先輩、お願いしたいことがあるんです』
カガツに引っ越したばかりで、荷ほどきすら終わってないというのに、ユータは俺の仕事場へやってきた。
作りたいものがある。
自分ではどうしたらいいのかわからない。
手伝ってほしい。
そのためなら何でもする。
震えた声と真剣な眼差しで、俺の方を見る。
やるなら、先払いの主義だ。
材木を準備するなら手数料だけでいい、なんていって体よく追い出そうとしたが、ユータは材木を買い付け、俺の店に運んできた。
長い都会暮らしで、山になんか入ったことなどないだろうに。
住人に受け入れられたからといって、引っ越してきたばかりの余所者であることは変わりない。
それでも必死に食い下がり、必要な材料を全て揃えてきた上、手間賃として十分すぎるほどの金も支払われたのだから、断るわけにもいかない。
『俺にも手伝わせてください。本当は、俺が一人で作らなきゃいけなかったんですけど、やり方がわからなくて……先輩を頼っちゃって、本当にすいません』
俺は自分の仕事に誇りがある。
ずぶの素人が隣でうろちょろしていれば、そのほうが気が散るってものだ。
だが、ダメだといって引き下がるほど素直な奴じゃないというのはわかっていた。
そもそもの話、人の忠告を素直に聞き入れたり、すぐに反省して切り替える事ができるような人間だったら、俺のことを先輩なんて呼び続けることもないだろうし、こんな場所にもいないだろう。
『黙って見ているなら、いてもいいぜ』
忠告したつもりだったが、当然、黙っていることなどなく、俺のまわりでちょろちょろすると、あれがどうした、これがどうだと口うるさいから、木を切らせる事にした。
陶芸に挑戦したい。
畑を作って自分で野菜を作りたいし、本格的なガーデニングにも取り組みたい。
カガツは清流が多いから釣りも楽しみだ。
ずっと都会で育ってきたから、虫取りなどもしてみたい。
やりたい事が山ほどあると笑いながら語るが、その笑顔はまだぎこちない。
頭で考えている理想と、内心の想いがかみ合っていないのが表情に残っていることに、きっと自分でも気付いていないのだろう。
大工道具なんて一度も触れた事がない。
その言葉通り、ユータの切った材木は歪んでいたり曲がっていたりで、マシな板がないひどい有様で、使えるように形をそろえる作業に手間取ったくらいだったが、それでも毎日、そればかりに時間を使っていたから、できあがるのは早かった。
木を切らせるだけのつもりだったが、ユータは釘打ちも、隅金のネジまで自分でやり遂げた。
素人でも失敗しないため俺がお膳立てしたのも勿論あるが、ユータ自身が作り上げたいという思いが強かったのもあっただろう。
迷いもある。憂いもある。だが今、「それ」を見たくも触れたくもないというのは本心なのだ。
『ありがとうございます、先輩』
屈託なく笑うユータの笑顔は、達成感より安堵の色が強くうかがえた。
よほど「それ」を見たくなかったのだろう。
今までのユータにとって全てであり、今は忘れたい全てでもある「それ」は、閉ざされた箱のなか、見ることも叶わない。
それでも捨てず、手元に置いておこうという気持ちの正体に、気付いているのだろうか。
『先輩のおかげで、なんとか作れました。きっと、先輩がいなかったら、こんな覚悟できなかったです』
いや、自分で選んだ道を歩み始めたばかりのユータを前に、内心の揺らぎを突くのは無粋というものだ。
鉄をもち、鎖で封じた箱を壊すのはユータ自身であり、俺の仕事じゃない。
それにしても、大きく、歪で、とても純朴な箱ができたもんだ。
まるで――。
『どうしましたか、先輩』
――いや、今は言う必要もないし、俺の言うべきことでもないだろう。
ユータ。
お前が今、俺のことを先輩として必要としているのなら、俺のやることは決まっている。
『チッ、やっぱ素人仕事だな。これじゃ、簡単に壊れちまうぜ』
『えぇっ、そうなんですか。頑張ったのになぁ……』
『だからよォ、どうしても、ってなら俺がもっと丈夫に作ってやれるぜ。全部俺に任せれば、絶対に開かないように仕上げてやらァ』
俺が、逃げ場を残しておく。
だから遠慮せず、いつだって逃げてこい。
願わくば、だが――。
『いいんですか? わかりました、その時は――もっとDIYを上達させて、先輩の足手まといにならないよう頑張りますよ』
――この箱を壊すのは、ユータ自身であってほしい。
そして、その時は、屈託なく笑うくせにどこかもの悲しさを漂わせた笑顔ではなく、ユータの本当の笑顔が見られればいい。
ガラでもねぇ。
神様なんてのは信じじゃいねぇし、信じようとも思わねぇが――。
そう、祈らずにはいられなかった。
そいつは、ただ黙々とノコギリを引いていた。
『先輩、お願いしたいことがあるんです』
カガツに引っ越したばかりで、荷ほどきすら終わってないというのに、ユータは俺の仕事場へやってきた。
作りたいものがある。
自分ではどうしたらいいのかわからない。
手伝ってほしい。
そのためなら何でもする。
震えた声と真剣な眼差しで、俺の方を見る。
やるなら、先払いの主義だ。
材木を準備するなら手数料だけでいい、なんていって体よく追い出そうとしたが、ユータは材木を買い付け、俺の店に運んできた。
長い都会暮らしで、山になんか入ったことなどないだろうに。
住人に受け入れられたからといって、引っ越してきたばかりの余所者であることは変わりない。
それでも必死に食い下がり、必要な材料を全て揃えてきた上、手間賃として十分すぎるほどの金も支払われたのだから、断るわけにもいかない。
『俺にも手伝わせてください。本当は、俺が一人で作らなきゃいけなかったんですけど、やり方がわからなくて……先輩を頼っちゃって、本当にすいません』
俺は自分の仕事に誇りがある。
ずぶの素人が隣でうろちょろしていれば、そのほうが気が散るってものだ。
だが、ダメだといって引き下がるほど素直な奴じゃないというのはわかっていた。
そもそもの話、人の忠告を素直に聞き入れたり、すぐに反省して切り替える事ができるような人間だったら、俺のことを先輩なんて呼び続けることもないだろうし、こんな場所にもいないだろう。
『黙って見ているなら、いてもいいぜ』
忠告したつもりだったが、当然、黙っていることなどなく、俺のまわりでちょろちょろすると、あれがどうした、これがどうだと口うるさいから、木を切らせる事にした。
陶芸に挑戦したい。
畑を作って自分で野菜を作りたいし、本格的なガーデニングにも取り組みたい。
カガツは清流が多いから釣りも楽しみだ。
ずっと都会で育ってきたから、虫取りなどもしてみたい。
やりたい事が山ほどあると笑いながら語るが、その笑顔はまだぎこちない。
頭で考えている理想と、内心の想いがかみ合っていないのが表情に残っていることに、きっと自分でも気付いていないのだろう。
大工道具なんて一度も触れた事がない。
その言葉通り、ユータの切った材木は歪んでいたり曲がっていたりで、マシな板がないひどい有様で、使えるように形をそろえる作業に手間取ったくらいだったが、それでも毎日、そればかりに時間を使っていたから、できあがるのは早かった。
木を切らせるだけのつもりだったが、ユータは釘打ちも、隅金のネジまで自分でやり遂げた。
素人でも失敗しないため俺がお膳立てしたのも勿論あるが、ユータ自身が作り上げたいという思いが強かったのもあっただろう。
迷いもある。憂いもある。だが今、「それ」を見たくも触れたくもないというのは本心なのだ。
『ありがとうございます、先輩』
屈託なく笑うユータの笑顔は、達成感より安堵の色が強くうかがえた。
よほど「それ」を見たくなかったのだろう。
今までのユータにとって全てであり、今は忘れたい全てでもある「それ」は、閉ざされた箱のなか、見ることも叶わない。
それでも捨てず、手元に置いておこうという気持ちの正体に、気付いているのだろうか。
『先輩のおかげで、なんとか作れました。きっと、先輩がいなかったら、こんな覚悟できなかったです』
いや、自分で選んだ道を歩み始めたばかりのユータを前に、内心の揺らぎを突くのは無粋というものだ。
鉄をもち、鎖で封じた箱を壊すのはユータ自身であり、俺の仕事じゃない。
それにしても、大きく、歪で、とても純朴な箱ができたもんだ。
まるで――。
『どうしましたか、先輩』
――いや、今は言う必要もないし、俺の言うべきことでもないだろう。
ユータ。
お前が今、俺のことを先輩として必要としているのなら、俺のやることは決まっている。
『チッ、やっぱ素人仕事だな。これじゃ、簡単に壊れちまうぜ』
『えぇっ、そうなんですか。頑張ったのになぁ……』
『だからよォ、どうしても、ってなら俺がもっと丈夫に作ってやれるぜ。全部俺に任せれば、絶対に開かないように仕上げてやらァ』
俺が、逃げ場を残しておく。
だから遠慮せず、いつだって逃げてこい。
願わくば、だが――。
『いいんですか? わかりました、その時は――もっとDIYを上達させて、先輩の足手まといにならないよう頑張りますよ』
――この箱を壊すのは、ユータ自身であってほしい。
そして、その時は、屈託なく笑うくせにどこかもの悲しさを漂わせた笑顔ではなく、ユータの本当の笑顔が見られればいい。
ガラでもねぇ。
神様なんてのは信じじゃいねぇし、信じようとも思わねぇが――。
そう、祈らずにはいられなかった。
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