インターネット字書きマンの落書き帳
やさしい男を好きになる(松ガス・BL)
元カレが黒沢という概念の山ガス好きか~い。
今日から好きになれよ!
と思いながら書きました。
元カレ・黒沢にめちゃくちゃ優しくされたので、優しくされるたび黒沢のことうっすら思い出しちゃう自分が嫌で、とりあえず松田のせいにするタイプの山ガスです。
話は松田中心だけど。
ま、いいよね。
好きなものを好きなだけ書け♥
今日から好きになれよ!
と思いながら書きました。
元カレ・黒沢にめちゃくちゃ優しくされたので、優しくされるたび黒沢のことうっすら思い出しちゃう自分が嫌で、とりあえず松田のせいにするタイプの山ガスです。
話は松田中心だけど。
ま、いいよね。
好きなものを好きなだけ書け♥
『上書き保存』
「松田さん、見た目完全にそのスジの人なんだから、もっとオラついたほうがいいよ」
山田はソファーにこしかけ、サブスクでヤクザものの映画を見ながら言った。
ヤクザらしい風体の男が相手の髪を掴み「ワシの言うことが聞けんのか、ワレ」と迫る姿を指さして
「ほら、こんな風にさ。俺の言う通りにしておけば絶対正義だから、黙って言うこと聞かんかーい! って奴とかさ」
そんなことを言いながら、ケラケラと笑っている。
全く、どこまで本気で言っているのやら。
「アホか。俺は別に道を極めようとしてる訳ちゃうわ」
松田は呆れながら手元の本に目を落とす。
すると山田はすっとその本を取り上げた。
「何すんねん、まだ読んでる途中……」
「ほんと、真面目だよね。家にいる時、本を読むか机にかじりついて論文書いてるかだし」
「当たり前やろ。こう見えても、結構いそがしいんやで。仕事中は細々とやるコト多いから自分の時間なんてようけ取れへんし……」
「あーあ、ちょっとがっかり。もーっと男らしい人かと思ってたのに」
山田は背をぐいっと伸ばしながら、呆れたように言う。
何のつもりだ。
普段の松田が女々しいとでもいうのか。
言い返そうかと思ったが、やめておくことにした。
山田がこちらを挑発し、その反応を見て楽しむような所があるのはいつものことだ。いちいち付き合っていたら限度がない。
「ふん、お前がそう思うならそういうコトなんやろな」
松田は山田から本を取り返すと、読書の続きをする。
そして、ページをめくりながら何とはなしに聞いてみた。
「しかし、スジモンみたいにしろ、なんてまたムチャクチャなコトいうなお前。ちょっと俺と話したら、そういうタイプとちゃうのわかるやろ」
「んー、そう、なんだけどね」
山田は指先を唇で噛む。
さっきまでかかっていた極道ものは、もう飽きたのか全く別の作品に変わっていた。
「ほら、松田さんってさ。オラオラの俺様っぽい、自己中で自分本位で声のでかそうなケツのでかいオッサン、って感じでしょ」
「お前、そんなこと思っとったんか」
「実際ケツでかいし」
否定できない。年々、腰回りばかりがどんどんふくよかになってきて、ズボンのサイズだけがよく会わなくなっているからだ。
同僚からは「野球体系」と揶揄されるが。
「だからさ、もっと乱暴な人だと思ってたんだよね。僕を見たら、『何だクソガキ』って小突き回したり、『今日は相手せぇ』って、首根っこつかまえてベッドまでズルズル引っ張っていったりさ。そういうこと、するんじゃないかって」
「するわけ無いやろ。別に俺かて、いっつも不機嫌まき散らしてるような人間ちゃうからな」
声が大きいというのは否定できない。
行列が出来ているラーメン屋などを見ると「えらい混んでるのぉ」と声をあげることはしょっちゅうだ。
だが別に、怒っているという訳ではない。
見たそのままを言っているだけで、並んでいる時間が長ければ休憩時間が終わってしまうから「どれくらいで店入れそうや」と、聞きにいくだけだ。
人によってはそれが、店主に詰めているスジモンに見えてしまうようだが……。
「しっかし、別にお前が困るようなことはしとらんやろ」
自分でも不躾だと思う。機嫌が悪くなるとそのまま態度に出てしまうのも、悪い癖だ。
それでも山田には、多少は気を遣っているつもりでもある。
自分より体は一回り小さい上、手足も折れそうなほど細いから、少し強く握っただけで壊れてしまいそうだと常々思っていたからだ。
だから、自分なりに大切にしていた。
壊れないように注意をし、痛い思いや辛い思いをさせないように何度も言葉を交わす。
山田はその都度、ひどく恥ずかしそうな目を向けて、それでも頷いたり、無理な時はそれを声で告げたりしていた。
誰よりも――大事に、していたはずだが。
「僕さ、松田さんならちょっとオラついて、僕のこと乱暴に扱うんじゃないかなーって。ちょっとそう思ってたんだよね」
ソファーの上で、山田は両膝をかかえる。
「あのさ。前に、好きだった人がいて――恋人だった時期もあって。すごく大切にされてたんだよね、僕。あの人、僕なんかにも、すごく優しくて。いつも僕のこと『かわいい』って言ってくれるし。ベッドまで抱っこして運んでくれてたし。キスとか、えっちする時も、『大丈夫か』とか。『済まない』なんて、何度も僕に言うし、何度だって僕に聞くんだよ。僕さ、そういうの忘れられるかな、と思って松田さん選んだ所あるんだけど……松田さんも、似たタイプだったんだよね。僕なんかにさ、『大丈夫か』『辛くないか』なんて、わざわざ聞いて、大事にしてくれて。僕なんか、そんな価値ないのにさ……」
ソファーのほつれた糸をぷちぷちむしりながらうじうじと語る姿で察する。
ようは、元カレを思い出してしまう。そんな自分に嫌気も差すし、罪悪感もあるのだろう。
――だからといって、言うことを聞いてやる必要はないが。
松田は山田の体を抱きかかえると
「えっ? なにするのさ! ちょ、あぶないって! 下ろして!」
そう言いながらじたばたする山田を抑え、そのままベッドに押し沈める。
「お前、ほんま可愛くない奴やけど、雑に扱うつもりも、手ひどくいじめるつもりも無いで。俺にそういう趣味も、無いしな」
でも、と言いかける山田の唇をキスで塞ぐ。
「……大事にしたる。優しくもしたる。かわいがったる。だから、な」
――いつか、思い出の中にいる男が小さくなり、優しい記憶の全てが、自分のものになるといい。
そう、思うのは卑怯だろうか。
「安心せいや。誰も――お前に、ひどいコトなんかせぇへんから」
自分のずるさを隠すように笑えば、山田もまたどこかぎこちなく笑う。
過去にも縛られてるし、優しさにもまだ慣れてはいないのだろう。
それでも――。
いつかこの笑顔の全てが、自分のものになればいい。
「松田さん、見た目完全にそのスジの人なんだから、もっとオラついたほうがいいよ」
山田はソファーにこしかけ、サブスクでヤクザものの映画を見ながら言った。
ヤクザらしい風体の男が相手の髪を掴み「ワシの言うことが聞けんのか、ワレ」と迫る姿を指さして
「ほら、こんな風にさ。俺の言う通りにしておけば絶対正義だから、黙って言うこと聞かんかーい! って奴とかさ」
そんなことを言いながら、ケラケラと笑っている。
全く、どこまで本気で言っているのやら。
「アホか。俺は別に道を極めようとしてる訳ちゃうわ」
松田は呆れながら手元の本に目を落とす。
すると山田はすっとその本を取り上げた。
「何すんねん、まだ読んでる途中……」
「ほんと、真面目だよね。家にいる時、本を読むか机にかじりついて論文書いてるかだし」
「当たり前やろ。こう見えても、結構いそがしいんやで。仕事中は細々とやるコト多いから自分の時間なんてようけ取れへんし……」
「あーあ、ちょっとがっかり。もーっと男らしい人かと思ってたのに」
山田は背をぐいっと伸ばしながら、呆れたように言う。
何のつもりだ。
普段の松田が女々しいとでもいうのか。
言い返そうかと思ったが、やめておくことにした。
山田がこちらを挑発し、その反応を見て楽しむような所があるのはいつものことだ。いちいち付き合っていたら限度がない。
「ふん、お前がそう思うならそういうコトなんやろな」
松田は山田から本を取り返すと、読書の続きをする。
そして、ページをめくりながら何とはなしに聞いてみた。
「しかし、スジモンみたいにしろ、なんてまたムチャクチャなコトいうなお前。ちょっと俺と話したら、そういうタイプとちゃうのわかるやろ」
「んー、そう、なんだけどね」
山田は指先を唇で噛む。
さっきまでかかっていた極道ものは、もう飽きたのか全く別の作品に変わっていた。
「ほら、松田さんってさ。オラオラの俺様っぽい、自己中で自分本位で声のでかそうなケツのでかいオッサン、って感じでしょ」
「お前、そんなこと思っとったんか」
「実際ケツでかいし」
否定できない。年々、腰回りばかりがどんどんふくよかになってきて、ズボンのサイズだけがよく会わなくなっているからだ。
同僚からは「野球体系」と揶揄されるが。
「だからさ、もっと乱暴な人だと思ってたんだよね。僕を見たら、『何だクソガキ』って小突き回したり、『今日は相手せぇ』って、首根っこつかまえてベッドまでズルズル引っ張っていったりさ。そういうこと、するんじゃないかって」
「するわけ無いやろ。別に俺かて、いっつも不機嫌まき散らしてるような人間ちゃうからな」
声が大きいというのは否定できない。
行列が出来ているラーメン屋などを見ると「えらい混んでるのぉ」と声をあげることはしょっちゅうだ。
だが別に、怒っているという訳ではない。
見たそのままを言っているだけで、並んでいる時間が長ければ休憩時間が終わってしまうから「どれくらいで店入れそうや」と、聞きにいくだけだ。
人によってはそれが、店主に詰めているスジモンに見えてしまうようだが……。
「しっかし、別にお前が困るようなことはしとらんやろ」
自分でも不躾だと思う。機嫌が悪くなるとそのまま態度に出てしまうのも、悪い癖だ。
それでも山田には、多少は気を遣っているつもりでもある。
自分より体は一回り小さい上、手足も折れそうなほど細いから、少し強く握っただけで壊れてしまいそうだと常々思っていたからだ。
だから、自分なりに大切にしていた。
壊れないように注意をし、痛い思いや辛い思いをさせないように何度も言葉を交わす。
山田はその都度、ひどく恥ずかしそうな目を向けて、それでも頷いたり、無理な時はそれを声で告げたりしていた。
誰よりも――大事に、していたはずだが。
「僕さ、松田さんならちょっとオラついて、僕のこと乱暴に扱うんじゃないかなーって。ちょっとそう思ってたんだよね」
ソファーの上で、山田は両膝をかかえる。
「あのさ。前に、好きだった人がいて――恋人だった時期もあって。すごく大切にされてたんだよね、僕。あの人、僕なんかにも、すごく優しくて。いつも僕のこと『かわいい』って言ってくれるし。ベッドまで抱っこして運んでくれてたし。キスとか、えっちする時も、『大丈夫か』とか。『済まない』なんて、何度も僕に言うし、何度だって僕に聞くんだよ。僕さ、そういうの忘れられるかな、と思って松田さん選んだ所あるんだけど……松田さんも、似たタイプだったんだよね。僕なんかにさ、『大丈夫か』『辛くないか』なんて、わざわざ聞いて、大事にしてくれて。僕なんか、そんな価値ないのにさ……」
ソファーのほつれた糸をぷちぷちむしりながらうじうじと語る姿で察する。
ようは、元カレを思い出してしまう。そんな自分に嫌気も差すし、罪悪感もあるのだろう。
――だからといって、言うことを聞いてやる必要はないが。
松田は山田の体を抱きかかえると
「えっ? なにするのさ! ちょ、あぶないって! 下ろして!」
そう言いながらじたばたする山田を抑え、そのままベッドに押し沈める。
「お前、ほんま可愛くない奴やけど、雑に扱うつもりも、手ひどくいじめるつもりも無いで。俺にそういう趣味も、無いしな」
でも、と言いかける山田の唇をキスで塞ぐ。
「……大事にしたる。優しくもしたる。かわいがったる。だから、な」
――いつか、思い出の中にいる男が小さくなり、優しい記憶の全てが、自分のものになるといい。
そう、思うのは卑怯だろうか。
「安心せいや。誰も――お前に、ひどいコトなんかせぇへんから」
自分のずるさを隠すように笑えば、山田もまたどこかぎこちなく笑う。
過去にも縛られてるし、優しさにもまだ慣れてはいないのだろう。
それでも――。
いつかこの笑顔の全てが、自分のものになればいい。
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