インターネット字書きマンの落書き帳
セブンの二次創作です
映画・セブンの二次創作をしました。
……セブンの二次創作!?(自分で驚いている)
原作完成してるのに!?
というか、原作は1990年代の映画だよっ!
※原作:映画『セブン』(1995年/デヴィッド・フィンチャー監督)
と思ったけど、思いついちゃったんだもん!
やらせてください!
俺……やれますよ!
全体的に「すべてがおわった、そのあと」の存在しない後日談です。
……セブンの二次創作!?(自分で驚いている)
原作完成してるのに!?
というか、原作は1990年代の映画だよっ!
※原作:映画『セブン』(1995年/デヴィッド・フィンチャー監督)
と思ったけど、思いついちゃったんだもん!
やらせてください!
俺……やれますよ!
全体的に「すべてがおわった、そのあと」の存在しない後日談です。
『未完』
――この街にも、俺のことを知っている奴がいるなんてな。
と、彼は言った。
安酒の空瓶が脇に倒れ、カウンターの上を転がっている。
アルコールのにおいが、ツンと鼻についた。
氷のストックがなくなったから、仕方なしに冷蔵庫で固まりまとまった氷を乱暴につかむと、板状のままグラスにぶちんでからウイスキーを注ぐ。
男はそれを受け取ると、グラスからつきでた氷をポキリと折り、囓る。
おまえは、俺をどう思ってるんだ。
殺人犯を殺した殺人犯か?
妻を殺され怒りを抑えきれず、憤怒のまま引き金をひいて、何者でもないあの男の芸術を完成させた愚かな絵筆の一つか?
別にどうでもいいし、どうだっていい。
そう――思っているんだがな。
ガタンと椅子が揺れ、誰かがグラスを倒す。
薄暗いフロアに、琥珀色のウイスキーがこぼれ広がっていった。
それにしても、薄暗い部屋だ。
明かりが乏しいから、部屋の全てが灰色に見える。
したたる液体。目に染みるアルコール臭。灰色の部屋。閉ざされた風景。突っ伏す巨躯の男。チョークやペンキではない、赤い文字。
――この店は、飯もあるのか?
彼はふっと顔をあげると、片手をもぞもぞ動かす。
メニュー表を探しているのだろう。
スティック野菜。クラッカー。チーズの盛り合わせ。
それと、少し時間がかかるがスパゲッティなら。
――はっ、スパゲティがあるのか。もちろん、ボルトなんて入ってないだろうな。
何がおかしいのか、男は肩をふるわせて笑った。
笑うことしか、できなかったのだろう。
聞きたいなら、聞かせてやるよ。
おまえだって、聞きたいんだろう。
大概のやつが聞きたがるからな。
だけど、俺を見てニヤニヤ笑いながら「なぁ、奴さんどんな気分だった」って聞いてくる奴には話しやしないさ。
おまえだけには特別だ、耳を貸せといって、耳を噛みちぎってやる。
それだけだ。
見通しの悪い部屋だった。
退廃的な空気が流れていたが、あの街ではそれが循環している。だからきっと、どこの部屋でもそうだったろう。
――俺は、あいつに逃がされた。
命乞いをした訳ではない、が――俺は、あいつに見逃されたんだ。
殺そうと思えば、あの時俺を殺すなんて容易かったはずだ。
けれども、あいつはそれをしなかった――。
だらりと下げた片腕だけで十字を切ろうとしてみるが、酔いすぎているのか、腕は動かない。
――だから、選ばれたんだろうな。
いや、最初から選ばれていたのが正解かもしれないか。
あの街では、新人刑事とベテランが組むのはよくあることだ。
事件がおこるのも毎日で、いくつもある事件に、若い刑事と年寄りが組まされて捜査する。
それを知っていたら、そりゃ、若い方の刑事が何者なのか。何をしているのかを調べて、利用するに決まっている。
アーティストにとって、人間は絵筆か絵の具にすぎないんだ。そうだろ?
黄色みがかった大地。殉教者が磔刑を待つかのように並ぶ、十字架のような鉄塔あるいは電線たち。抜けるようなスカイブルーの前に、キャンバスは置かれていた。
真っ白なキャンバスは、ほどなくして宗教画となる。
憤怒の罪で、俺はあいつを殺した。
あいつの頭を銃で撃ち抜いた。
何度も、何度も。ありったけの弾丸をたたき込んで、それから――。
サイレンの音が鳴る。
街に戻った頃に、7日目の夜は終わっていただろうか。
――裁判で、どうなったかって?
聞いたことあるか? ないだろうな。
俺は、言ってやったのさ。
――俺は、憤怒に駆られた訳じゃない。
努めて冷静に。そして合理的に判断し、引き金をひいたんだ、ってな。
ははッ――。
全員、目をまん丸くしてこっちを見ている姿。今でもはっきり思い出すぜ。
ひでぇ馬鹿ヅラだったからな。
まっさらなカンバス。
ねじれた絵の具。
乾いた絵の具で開かなくなった絵の具入れ。
――あいつは、自分を作品にした。
絵の具の一つ。あるいは、絵筆の一つとして。
そうして全ての筆が入ったのなら、カンバスにはひとつの宗教画が残る。
はずだった――。
そう、そのはずだった。
俺が憤怒で、あいつが嫉妬。
完成した宗教画は、多くの模倣(フォロワー)を生み出して、だがどれも劣悪でつまらない、個人的な、そして陳腐なものにしかならなかった。
そうだろう?
当たり前だ。
あいつのアートは、完成なんてしてない。
俺は――。
クラクションの音が鳴る。
いらだち声をあげる男の隣で、そんなに声をあげないでほしいと眉を顰める女性がいた。
何となく、夫婦だろうと思う。
車内には一週間暮らしていくための食材と生活用品が積まれていた。
少し言い合いをしているが、それも日常の些事であり、幸福の延長なのだ。
トリガーはひんやりとしていた。
周りの空気は乾いていて、やけに埃っぽかった。
頭を垂れ沙汰を待つあの男は、恍惚の域にいた。
手には血でぬれた、ぬめりだけが残り、ぬくもりは失せていた。
あの時――俺は、冷静だったよ。
路地。逃がされた。
生かされたのだから、これからの人生には、ずっとあの男がいる。
あの男に生かされたから生き延びることができた人生というのが、陰のようについてまわる。
見た。触れた。
それは確かに死だった。
幸福への嫉妬。あるいは普通への嫉妬。
大罪になり得たのかはわからないが、当人がそうであると観測したのなら、それは否定できないだろう。
だけど、俺は否定できる。
俺は、憤怒じゃない。
冷静で、合理的だった。
引き金をひいたのは、合理的な判断だ。
だいたい、このまま撃たないでいたら、俺はどうなっていた?
妻を失い、あいつは犯人として法廷に引きずり出される。
だけどあいつは法廷で、きっとまともな証言なんてしないだろう。
あいつがまともに話すことは、どれもこれも狂気の産物だからな。
そのくせ、あいつは異常なほど弁が立つんだ。
法廷で何を語ったかが、自然と明るみになれば、あいつのフォロワーは加速度的に増えていただろう。
死んだ今でもそうなんだ、生きて語る奴がいれば、その男に準じるのを願う人間が現れるのは必然といってもいい。
こいつの模倣(フォロワー)は、絶たなければ。
俺は冴えてたよ。
それに、ここで妻の敵を討たないでどうする、とも思ったさ。
撃たなければ俺は、妻を殺され生き延びた刑事のレッテルがべったりと貼り付けられる。
殺した奴は生き延びて、俺は妻を喪うんだ。
最初はそう、悲劇のヒーローだと寄り添ってくれる奴もいるだろうよ。
だけど、アートが完成しなかったのだと誹りを受けたのなら、どうだ。
俺は最後の一筆を置く覚悟のない、弱気で繊細。あるいは逃げた男として詰られる。
殺すべき男がのうのうと生きた上で、妻を殺された俺が落伍者のように扱われる。
そんな未来は簡単に予測できていた、だから――。
――努めて冷静に。そして合理的に。引き金を引いたのさ。
おまえだって、そうするだろう。
だから、俺は憤怒じゃない。
俺は――冷静だ。
あいつの芸術に、憤怒のパーツも、色も、筆も、ない。
未完成なんだよ、あれは。
俺が、未完成にしてやったんだ。
それが、俺が。俺だけができた、あいつへの――。
――それで、どうなったって?
ははっ、もしどうにかなっていたのなら、今ごろ俺はこんなところで酒なんて飲んでいられないだろうさ。
男は、グラスの中に札をねじ込む。
何だったか――。
この世は素晴らしい。戦う価値がある――って言葉があるんだよな。
アーネスト・ヘミングウェイだったか?
俺は……。
この言葉の、全部。その半分に、賛成だ。
コップにねじ込まれた札は、飲み代に少し足りてはいなかった。
だが、未完成にはそれが似合いなのだろう。
――この街にも、俺のことを知っている奴がいるなんてな。
と、彼は言った。
安酒の空瓶が脇に倒れ、カウンターの上を転がっている。
アルコールのにおいが、ツンと鼻についた。
氷のストックがなくなったから、仕方なしに冷蔵庫で固まりまとまった氷を乱暴につかむと、板状のままグラスにぶちんでからウイスキーを注ぐ。
男はそれを受け取ると、グラスからつきでた氷をポキリと折り、囓る。
おまえは、俺をどう思ってるんだ。
殺人犯を殺した殺人犯か?
妻を殺され怒りを抑えきれず、憤怒のまま引き金をひいて、何者でもないあの男の芸術を完成させた愚かな絵筆の一つか?
別にどうでもいいし、どうだっていい。
そう――思っているんだがな。
ガタンと椅子が揺れ、誰かがグラスを倒す。
薄暗いフロアに、琥珀色のウイスキーがこぼれ広がっていった。
それにしても、薄暗い部屋だ。
明かりが乏しいから、部屋の全てが灰色に見える。
したたる液体。目に染みるアルコール臭。灰色の部屋。閉ざされた風景。突っ伏す巨躯の男。チョークやペンキではない、赤い文字。
――この店は、飯もあるのか?
彼はふっと顔をあげると、片手をもぞもぞ動かす。
メニュー表を探しているのだろう。
スティック野菜。クラッカー。チーズの盛り合わせ。
それと、少し時間がかかるがスパゲッティなら。
――はっ、スパゲティがあるのか。もちろん、ボルトなんて入ってないだろうな。
何がおかしいのか、男は肩をふるわせて笑った。
笑うことしか、できなかったのだろう。
聞きたいなら、聞かせてやるよ。
おまえだって、聞きたいんだろう。
大概のやつが聞きたがるからな。
だけど、俺を見てニヤニヤ笑いながら「なぁ、奴さんどんな気分だった」って聞いてくる奴には話しやしないさ。
おまえだけには特別だ、耳を貸せといって、耳を噛みちぎってやる。
それだけだ。
見通しの悪い部屋だった。
退廃的な空気が流れていたが、あの街ではそれが循環している。だからきっと、どこの部屋でもそうだったろう。
――俺は、あいつに逃がされた。
命乞いをした訳ではない、が――俺は、あいつに見逃されたんだ。
殺そうと思えば、あの時俺を殺すなんて容易かったはずだ。
けれども、あいつはそれをしなかった――。
だらりと下げた片腕だけで十字を切ろうとしてみるが、酔いすぎているのか、腕は動かない。
――だから、選ばれたんだろうな。
いや、最初から選ばれていたのが正解かもしれないか。
あの街では、新人刑事とベテランが組むのはよくあることだ。
事件がおこるのも毎日で、いくつもある事件に、若い刑事と年寄りが組まされて捜査する。
それを知っていたら、そりゃ、若い方の刑事が何者なのか。何をしているのかを調べて、利用するに決まっている。
アーティストにとって、人間は絵筆か絵の具にすぎないんだ。そうだろ?
黄色みがかった大地。殉教者が磔刑を待つかのように並ぶ、十字架のような鉄塔あるいは電線たち。抜けるようなスカイブルーの前に、キャンバスは置かれていた。
真っ白なキャンバスは、ほどなくして宗教画となる。
憤怒の罪で、俺はあいつを殺した。
あいつの頭を銃で撃ち抜いた。
何度も、何度も。ありったけの弾丸をたたき込んで、それから――。
サイレンの音が鳴る。
街に戻った頃に、7日目の夜は終わっていただろうか。
――裁判で、どうなったかって?
聞いたことあるか? ないだろうな。
俺は、言ってやったのさ。
――俺は、憤怒に駆られた訳じゃない。
努めて冷静に。そして合理的に判断し、引き金をひいたんだ、ってな。
ははッ――。
全員、目をまん丸くしてこっちを見ている姿。今でもはっきり思い出すぜ。
ひでぇ馬鹿ヅラだったからな。
まっさらなカンバス。
ねじれた絵の具。
乾いた絵の具で開かなくなった絵の具入れ。
――あいつは、自分を作品にした。
絵の具の一つ。あるいは、絵筆の一つとして。
そうして全ての筆が入ったのなら、カンバスにはひとつの宗教画が残る。
はずだった――。
そう、そのはずだった。
俺が憤怒で、あいつが嫉妬。
完成した宗教画は、多くの模倣(フォロワー)を生み出して、だがどれも劣悪でつまらない、個人的な、そして陳腐なものにしかならなかった。
そうだろう?
当たり前だ。
あいつのアートは、完成なんてしてない。
俺は――。
クラクションの音が鳴る。
いらだち声をあげる男の隣で、そんなに声をあげないでほしいと眉を顰める女性がいた。
何となく、夫婦だろうと思う。
車内には一週間暮らしていくための食材と生活用品が積まれていた。
少し言い合いをしているが、それも日常の些事であり、幸福の延長なのだ。
トリガーはひんやりとしていた。
周りの空気は乾いていて、やけに埃っぽかった。
頭を垂れ沙汰を待つあの男は、恍惚の域にいた。
手には血でぬれた、ぬめりだけが残り、ぬくもりは失せていた。
あの時――俺は、冷静だったよ。
路地。逃がされた。
生かされたのだから、これからの人生には、ずっとあの男がいる。
あの男に生かされたから生き延びることができた人生というのが、陰のようについてまわる。
見た。触れた。
それは確かに死だった。
幸福への嫉妬。あるいは普通への嫉妬。
大罪になり得たのかはわからないが、当人がそうであると観測したのなら、それは否定できないだろう。
だけど、俺は否定できる。
俺は、憤怒じゃない。
冷静で、合理的だった。
引き金をひいたのは、合理的な判断だ。
だいたい、このまま撃たないでいたら、俺はどうなっていた?
妻を失い、あいつは犯人として法廷に引きずり出される。
だけどあいつは法廷で、きっとまともな証言なんてしないだろう。
あいつがまともに話すことは、どれもこれも狂気の産物だからな。
そのくせ、あいつは異常なほど弁が立つんだ。
法廷で何を語ったかが、自然と明るみになれば、あいつのフォロワーは加速度的に増えていただろう。
死んだ今でもそうなんだ、生きて語る奴がいれば、その男に準じるのを願う人間が現れるのは必然といってもいい。
こいつの模倣(フォロワー)は、絶たなければ。
俺は冴えてたよ。
それに、ここで妻の敵を討たないでどうする、とも思ったさ。
撃たなければ俺は、妻を殺され生き延びた刑事のレッテルがべったりと貼り付けられる。
殺した奴は生き延びて、俺は妻を喪うんだ。
最初はそう、悲劇のヒーローだと寄り添ってくれる奴もいるだろうよ。
だけど、アートが完成しなかったのだと誹りを受けたのなら、どうだ。
俺は最後の一筆を置く覚悟のない、弱気で繊細。あるいは逃げた男として詰られる。
殺すべき男がのうのうと生きた上で、妻を殺された俺が落伍者のように扱われる。
そんな未来は簡単に予測できていた、だから――。
――努めて冷静に。そして合理的に。引き金を引いたのさ。
おまえだって、そうするだろう。
だから、俺は憤怒じゃない。
俺は――冷静だ。
あいつの芸術に、憤怒のパーツも、色も、筆も、ない。
未完成なんだよ、あれは。
俺が、未完成にしてやったんだ。
それが、俺が。俺だけができた、あいつへの――。
――それで、どうなったって?
ははっ、もしどうにかなっていたのなら、今ごろ俺はこんなところで酒なんて飲んでいられないだろうさ。
男は、グラスの中に札をねじ込む。
何だったか――。
この世は素晴らしい。戦う価値がある――って言葉があるんだよな。
アーネスト・ヘミングウェイだったか?
俺は……。
この言葉の、全部。その半分に、賛成だ。
コップにねじ込まれた札は、飲み代に少し足りてはいなかった。
だが、未完成にはそれが似合いなのだろう。
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