インターネット字書きマンの落書き帳
暴力的な愛と許容の眉ガス(BL)
眉崎×山田ガスマスクの話しませんか?
しましょう!
という訳で、学生時代に付き合ってた眉ガスです。
当店では「暴力」「依存」をメインにおいているので、暴力暴力暴力!
やっぱり暴力は愛だな!
この勢いで全てをお出ししています。
皆さんも「暴力は愛だから仕方ないよね」のお気持ちで挑んで頂ければ幸いです。
しましょう!
という訳で、学生時代に付き合ってた眉ガスです。
当店では「暴力」「依存」をメインにおいているので、暴力暴力暴力!
やっぱり暴力は愛だな!
この勢いで全てをお出ししています。
皆さんも「暴力は愛だから仕方ないよね」のお気持ちで挑んで頂ければ幸いです。
『似て非なるもの』
眉崎はベッドで寝息をたてる山田の髪に触れ、顔を覗く。
瞼の上はすっかり腫れて青紫に染まり、治るにはまだ時間がかかりそうだ。
傷が残っているのは顔だけじゃない。
腕にも、胸にも、背中にも。散々殴打し、蹴り飛ばした痕跡はあちこちに残っている。
散々罵り、大声を張り上げ威嚇しながら、眉崎がつけた傷だ。
最近は苛立つことが多く、暴力が増えたのは自覚している。
山田がそれに対し、文句こそ言うものの、逃げる事も抵抗することもしないから、日に日に歯止めが利かなくなっていくのだ。
決して逃げず、拒まず、暴力ごと自分を受け入れる山田の態度に甘えているのは分かっていた。
この甘えが近い将来、破滅に至ることも理解している。
何でこうなっちまうんだろうな。
眉崎は内心舌打ちすると、キッチンへ向かう。
そして冷蔵庫に入れておいたペットボトルの炭酸水を開けた。
空気が抜ける音と微かな刺激が指先を冷やす。
殴り、罵倒することが正常な愛情ではないことは理解していた。
恋人同士であれば、好きだとか愛しているなんて言葉を囁いて喜びを得たり、一緒にいるだけで心地よさを覚えたりするのが普通だということも知識にはある。
それなのに、眉崎の胸にある思慕は肥大するほど焦り、苛立ちとなって表に出るのだ。
『心配しなくても、僕これで結構眉崎サンのこと好きだよ』
そう言えば、俺が安心するとでも思っているのか?
『眉崎サンが飽きるまで、一緒にいてあげるって』
そんなこと言って、俺の前から不意にいなくなるんじゃないのか?
『僕になら、何をしてもいいよ。僕は、眉崎サンなら何されてもいい』
そんなことを言って、俺が本当は怖いんじゃないのか?
心の底から山田の言葉を信用することができない。
いや、山田に限らず、眉崎は誰の言葉だって心から信頼することなどできないのだ。
信頼できるのは唯一、行動だけ。
殴っても、蹴っても、悪態をついても、決して逃げずに受け入れる山田のその行動だけは紛れもない事実だから、それだけを信じて生きてきた。
信頼したいから、殴っている。
それが眉崎の愛だった。
だが、こんな関係が果たして健全なのだろうか。
そんなわけがない。
暴力と恐怖で支配する関係がどれだけ脆く、どれだけの屈辱を産むのかは、よく分かっているはずだ。
それなのに、どうしても愛し方がわからない。
『愛してるわよ、潤』
母の語る愛は、いつも空虚だった。
ただ、自分に頼る男がいない時だけ、そういって眉崎の機嫌を取りつなぎ止めようとする浅はかな態度でしか、愛された記憶はない。
『おじさんのこと、好きになってくれるかな?』
コロコロと変わる母の恋人は、眉崎の機嫌をとるよう、猫なで声を出していた。
ギラギラと脂ぎった顔に、生ぬるい息。
母と情愛を深めるため、息子である眉崎を上手く転がそうという魂胆は、子供心でもはっきりわかる。
愛だの恋だのという言葉は、何て薄っぺらいのだろう。
それならば――。
恋に破れ、苛立ち、泣き喚きながら暴れてものを壊す母。
止めようとすれば平手打ちをされ、罵倒され、その時はひどく恐ろしい。
だが、ひとしきり暴れた後の母は、いつでも優しかった。
『ごめん、ごめんね、潤……』
泣きながら、怪我をした眉崎を治療して、優しく撫でて。
『ごめんね、こんなお母さんで……許して。ね、お願い……』
抱きしめて、寄りすがりキスをする。
大暴れした後、母はいつもキスを合図に全てを辞め、泣き出すのだ。
この時だけ、心の底から安寧を得る事ができた。
暴力の後の静寂。それが、眉崎の愛なのだ。
だからこそ、声をあげてしまう。
荒ぶる感情をそのままぶつけて、散々暴れて、子供のようにわめき散らして、山田の体をグチャグチャにする。
その後、謝罪し、泣きそうな顔をしながらキスをする。
山田はいつも困ったような顔をしながら、黙ってキスを受け入れる、その瞬間だけ、愛されているのを実感した。
『眉崎、いい加減にしろよ』
黒沢の苦い顔が浮かぶ。
『お前が山田と付き合ってるのは知ってるし、それについてとやかく言うつもりはない。だが、暴力は振るうな』
『わかってるだろ? 今の山田はファンだって付いてる、うちの商売道具なんだ』
『山田の顔に痣を作ったまま、動画に出す訳にはいかないだろ? 暴力が辞められないってんなら――』
わかっている。 自分の愛は、普通じゃない。
これで山田が異性だったら、きっと手までは挙げなかっただろう。
ホスト業で多くの異性と話しているし、異性の恋人は何人もいた。その時は、声を荒げる事はあれど、暴力に出た事は一度もない。
自分の力で異性を殴ったら、相手がどれだけ大怪我をするか、そのくらいはわかっていた。
だが、山田は違う。
同性だから多少の暴力にも耐えられるだろうという安易な考えもある。
それに、異性の恋人は強く怒鳴れば大概萎縮し、言い返しはしなかった。
山田はその点、しっかりと言い返してくるのだ。
あくまで自分とは対等の関係であり、恋人だからといって眉崎に所有されるつもりは毛頭ないとでもいうように。
だから焦るし、だから苛立つ。
どうして俺のものになろうとしないんだ。
どうしたら、俺のものになってくれるんだ。
まるで家畜を調教するかのように粗暴に振る舞うのは、従わす方法を他に知らないからだ。
そして山田は、そんな眉崎から眼を逸らす事なく、黙ってそれに耐えるのだ。
一番嫌っている母と、同じことをしている。
自分に、心底嫌気がさす。
愛される資格なんてない。
一刻も早く手放して、自由にしてやらなければ。
『わかってる……俺だってわかってるからよ。近いうちに、ちゃんとけじめつけるから』
黒沢には、そう告げた。
こんな関係、もう終わりにしなければ。
頭では理解しているが、心がそれを拒絶する。
あれは、俺の所有物(もの)だ。
俺のそばにいて、俺の言う事に反発して、生意気な口を叩くから、思いっ切り殴ればいい。
殴れば殴るだけ、俺の愛に応えてくれる、いまの俺に一番必要なものなのだ。
だから誰にも渡したくない。
手放したくない――。
気付いた時、ペットボトルはすでに空になっていた。
そろそろ眠らなければ、明日も大学がある。
空になったペットボトルをゴミ箱に捨て、ベッドに戻る。
山田はぐっすり眠っていた。
自分までベッドに入ったら、山田を蹴り飛ばしてベッドから落としてしまうかもしれない。
今日はソファーで寝るか。
そう思いながら、ベッドの横に立ち山田の傷を撫でる。
今日はこれ以上、そばにいかない。山田のことを傷つけるつもりもない。
だからせめて、その頬の温もりだけでも分けてほしい。
ガーゼの上から傷を撫でたからか、痛みで眼を覚ましたのだろう。
山田はうっすら眼を開けた。
「眉崎サン……」
そして優しく笑うと、眉崎の指先に口づけをする。
「……ね、お願い。僕は、本当にどうされてもいいし、どうなってもいい。だから……僕のこと、見捨てないで。ね?」
寝ぼけているのか、どこか夢見心地で囁く山田は、心底幸せそうで、溶ける程甘い声で……。
山田はいつもそうだ。
普段の平穏な日常より、眉崎が罵声をあびせ散々殴った後の方が幸せそうになる。
きっと、日常的に罵声と暴力を浴びて生きてきたのだろう。
だから、静かな日常に不安を感じるのだ。
優しく温かい居場所など、今までどこにも無かったのだから。
眉崎はその指先で、強く山田の喉を絞める。
「見捨てるなだって?」
ぎりぎりと強くなる腕を、山田は小さく引っ掻くがすぐに抵抗しなくなる。
窒息する苦しさすら享受しているのか。あるいは、本当に殺されてもいいと思っているのか。
どちらでもいいし、どうだっていい。
「当たり前だろ? お前はずぅっと、俺のモンなんだからよ」
ただ、こうして自分の全てを受け入れて、愛してくれるのなら、後はどうなってもいいし、心底どうでもいい。
締め上げる手のひらに伝わる鼓動の音が徐々に薄れ、呼吸もまた乏しくなる。
そんな中、二人は互いに笑顔で見つめ合う。
室内には時計の秒針と、ひゅぅひゅぅという呼吸音だけが微かに響いていた。
眉崎はベッドで寝息をたてる山田の髪に触れ、顔を覗く。
瞼の上はすっかり腫れて青紫に染まり、治るにはまだ時間がかかりそうだ。
傷が残っているのは顔だけじゃない。
腕にも、胸にも、背中にも。散々殴打し、蹴り飛ばした痕跡はあちこちに残っている。
散々罵り、大声を張り上げ威嚇しながら、眉崎がつけた傷だ。
最近は苛立つことが多く、暴力が増えたのは自覚している。
山田がそれに対し、文句こそ言うものの、逃げる事も抵抗することもしないから、日に日に歯止めが利かなくなっていくのだ。
決して逃げず、拒まず、暴力ごと自分を受け入れる山田の態度に甘えているのは分かっていた。
この甘えが近い将来、破滅に至ることも理解している。
何でこうなっちまうんだろうな。
眉崎は内心舌打ちすると、キッチンへ向かう。
そして冷蔵庫に入れておいたペットボトルの炭酸水を開けた。
空気が抜ける音と微かな刺激が指先を冷やす。
殴り、罵倒することが正常な愛情ではないことは理解していた。
恋人同士であれば、好きだとか愛しているなんて言葉を囁いて喜びを得たり、一緒にいるだけで心地よさを覚えたりするのが普通だということも知識にはある。
それなのに、眉崎の胸にある思慕は肥大するほど焦り、苛立ちとなって表に出るのだ。
『心配しなくても、僕これで結構眉崎サンのこと好きだよ』
そう言えば、俺が安心するとでも思っているのか?
『眉崎サンが飽きるまで、一緒にいてあげるって』
そんなこと言って、俺の前から不意にいなくなるんじゃないのか?
『僕になら、何をしてもいいよ。僕は、眉崎サンなら何されてもいい』
そんなことを言って、俺が本当は怖いんじゃないのか?
心の底から山田の言葉を信用することができない。
いや、山田に限らず、眉崎は誰の言葉だって心から信頼することなどできないのだ。
信頼できるのは唯一、行動だけ。
殴っても、蹴っても、悪態をついても、決して逃げずに受け入れる山田のその行動だけは紛れもない事実だから、それだけを信じて生きてきた。
信頼したいから、殴っている。
それが眉崎の愛だった。
だが、こんな関係が果たして健全なのだろうか。
そんなわけがない。
暴力と恐怖で支配する関係がどれだけ脆く、どれだけの屈辱を産むのかは、よく分かっているはずだ。
それなのに、どうしても愛し方がわからない。
『愛してるわよ、潤』
母の語る愛は、いつも空虚だった。
ただ、自分に頼る男がいない時だけ、そういって眉崎の機嫌を取りつなぎ止めようとする浅はかな態度でしか、愛された記憶はない。
『おじさんのこと、好きになってくれるかな?』
コロコロと変わる母の恋人は、眉崎の機嫌をとるよう、猫なで声を出していた。
ギラギラと脂ぎった顔に、生ぬるい息。
母と情愛を深めるため、息子である眉崎を上手く転がそうという魂胆は、子供心でもはっきりわかる。
愛だの恋だのという言葉は、何て薄っぺらいのだろう。
それならば――。
恋に破れ、苛立ち、泣き喚きながら暴れてものを壊す母。
止めようとすれば平手打ちをされ、罵倒され、その時はひどく恐ろしい。
だが、ひとしきり暴れた後の母は、いつでも優しかった。
『ごめん、ごめんね、潤……』
泣きながら、怪我をした眉崎を治療して、優しく撫でて。
『ごめんね、こんなお母さんで……許して。ね、お願い……』
抱きしめて、寄りすがりキスをする。
大暴れした後、母はいつもキスを合図に全てを辞め、泣き出すのだ。
この時だけ、心の底から安寧を得る事ができた。
暴力の後の静寂。それが、眉崎の愛なのだ。
だからこそ、声をあげてしまう。
荒ぶる感情をそのままぶつけて、散々暴れて、子供のようにわめき散らして、山田の体をグチャグチャにする。
その後、謝罪し、泣きそうな顔をしながらキスをする。
山田はいつも困ったような顔をしながら、黙ってキスを受け入れる、その瞬間だけ、愛されているのを実感した。
『眉崎、いい加減にしろよ』
黒沢の苦い顔が浮かぶ。
『お前が山田と付き合ってるのは知ってるし、それについてとやかく言うつもりはない。だが、暴力は振るうな』
『わかってるだろ? 今の山田はファンだって付いてる、うちの商売道具なんだ』
『山田の顔に痣を作ったまま、動画に出す訳にはいかないだろ? 暴力が辞められないってんなら――』
わかっている。 自分の愛は、普通じゃない。
これで山田が異性だったら、きっと手までは挙げなかっただろう。
ホスト業で多くの異性と話しているし、異性の恋人は何人もいた。その時は、声を荒げる事はあれど、暴力に出た事は一度もない。
自分の力で異性を殴ったら、相手がどれだけ大怪我をするか、そのくらいはわかっていた。
だが、山田は違う。
同性だから多少の暴力にも耐えられるだろうという安易な考えもある。
それに、異性の恋人は強く怒鳴れば大概萎縮し、言い返しはしなかった。
山田はその点、しっかりと言い返してくるのだ。
あくまで自分とは対等の関係であり、恋人だからといって眉崎に所有されるつもりは毛頭ないとでもいうように。
だから焦るし、だから苛立つ。
どうして俺のものになろうとしないんだ。
どうしたら、俺のものになってくれるんだ。
まるで家畜を調教するかのように粗暴に振る舞うのは、従わす方法を他に知らないからだ。
そして山田は、そんな眉崎から眼を逸らす事なく、黙ってそれに耐えるのだ。
一番嫌っている母と、同じことをしている。
自分に、心底嫌気がさす。
愛される資格なんてない。
一刻も早く手放して、自由にしてやらなければ。
『わかってる……俺だってわかってるからよ。近いうちに、ちゃんとけじめつけるから』
黒沢には、そう告げた。
こんな関係、もう終わりにしなければ。
頭では理解しているが、心がそれを拒絶する。
あれは、俺の所有物(もの)だ。
俺のそばにいて、俺の言う事に反発して、生意気な口を叩くから、思いっ切り殴ればいい。
殴れば殴るだけ、俺の愛に応えてくれる、いまの俺に一番必要なものなのだ。
だから誰にも渡したくない。
手放したくない――。
気付いた時、ペットボトルはすでに空になっていた。
そろそろ眠らなければ、明日も大学がある。
空になったペットボトルをゴミ箱に捨て、ベッドに戻る。
山田はぐっすり眠っていた。
自分までベッドに入ったら、山田を蹴り飛ばしてベッドから落としてしまうかもしれない。
今日はソファーで寝るか。
そう思いながら、ベッドの横に立ち山田の傷を撫でる。
今日はこれ以上、そばにいかない。山田のことを傷つけるつもりもない。
だからせめて、その頬の温もりだけでも分けてほしい。
ガーゼの上から傷を撫でたからか、痛みで眼を覚ましたのだろう。
山田はうっすら眼を開けた。
「眉崎サン……」
そして優しく笑うと、眉崎の指先に口づけをする。
「……ね、お願い。僕は、本当にどうされてもいいし、どうなってもいい。だから……僕のこと、見捨てないで。ね?」
寝ぼけているのか、どこか夢見心地で囁く山田は、心底幸せそうで、溶ける程甘い声で……。
山田はいつもそうだ。
普段の平穏な日常より、眉崎が罵声をあびせ散々殴った後の方が幸せそうになる。
きっと、日常的に罵声と暴力を浴びて生きてきたのだろう。
だから、静かな日常に不安を感じるのだ。
優しく温かい居場所など、今までどこにも無かったのだから。
眉崎はその指先で、強く山田の喉を絞める。
「見捨てるなだって?」
ぎりぎりと強くなる腕を、山田は小さく引っ掻くがすぐに抵抗しなくなる。
窒息する苦しさすら享受しているのか。あるいは、本当に殺されてもいいと思っているのか。
どちらでもいいし、どうだっていい。
「当たり前だろ? お前はずぅっと、俺のモンなんだからよ」
ただ、こうして自分の全てを受け入れて、愛してくれるのなら、後はどうなってもいいし、心底どうでもいい。
締め上げる手のひらに伝わる鼓動の音が徐々に薄れ、呼吸もまた乏しくなる。
そんな中、二人は互いに笑顔で見つめ合う。
室内には時計の秒針と、ひゅぅひゅぅという呼吸音だけが微かに響いていた。
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