インターネット字書きマンの落書き帳
汚れた手はそのままにして。(松ガス・BL・ネタバレ要素あり)
プラトンが善のイデアで殴るレベル。(挨拶)
というわけで、サクサクやっていきましょうね。
今回のお話は、シャバに出た山ガスが後ろ指さされながら生きていて卑屈になっている中、ご近所に住んでいる松田が何となくそれを気にかけている、くらいの関係性です。
うっすらBL風味みたいな話だけど、俺としてはこのくらいのうっすら感が罪深くてうめぇかな。
と勝手に思ってます。
何でもおいしくよくかんで食べようね!
罪深い山ガスは好きかい?
今日から好きになろうぜ!
というわけで、サクサクやっていきましょうね。
今回のお話は、シャバに出た山ガスが後ろ指さされながら生きていて卑屈になっている中、ご近所に住んでいる松田が何となくそれを気にかけている、くらいの関係性です。
うっすらBL風味みたいな話だけど、俺としてはこのくらいのうっすら感が罪深くてうめぇかな。
と勝手に思ってます。
何でもおいしくよくかんで食べようね!
罪深い山ガスは好きかい?
今日から好きになろうぜ!
「フォルトナの汚れた手」
寒くもないのにフードをかぶり、自然と伏し目がちになる。
見られてる。笑われてる。
錯覚だとわかっていても、道行く人の談笑が耳に入るだけで、体温がすっと下がっていく。
――何を、恐れてるのさ。
当然じゃないか。
だって僕は、ひどいことをしたんだから。
枷を外され自由になった。
社会的な制裁は受けている。
それでも、罪までも消えた訳ではない。
清く、正しく生きている人たちからすれば、僕は汚物だ。ゴミだ。クズだ。
罵られ、眉をひそめ、冷笑されるのが当然だというのに――。
「……え、いまの。ひょっとして、あれじゃない。山田ガスマスク」
ふと、そんな声が聞こえる。
気づかれた――。
どうしよう。
逃げなきゃ。でも、今走り出したら不自然だ。
だけど、もたもたして、罵声を浴びるのはいやだ。
僕は、僕がゴミカスなのはわかってる。
悪いこともした、自覚もある。
それでも、詰られるのは嫌だし、からかわれるのは面倒だ。
何よりもう、幾度もそうされてきた。
これ以上、もう殴られたくはない。
サンドバッグのくせに、どうして一丁前に尊厳を主張してるんだ。
そう思われるのはわかっているけど――。
「おう、佐藤! 何しとんねん、はよ行くで」
不意に声が弾け、顔をあげれば松田が立っている。
いつからいたのだろう。
松田は山田に近寄ると、ぐい、と強引に肩を抱き寄せ歩き出した。
「山田ガスマスクじゃ、ないんだ」
他人のつぶやきとともに、背中に向けられた視線が離れていくのがわかった。
「……ありがと、松田さん。助かっちゃった」
うつむいたまま、ぼそぼそつぶやく山田を見ないまま、松田は人気のない道を選んで進む。
「別に気にすんなや。しゃーないけど見てもうたら、放っておけんからな」
言葉とは裏腹に、声は優しい。
抱きしめられた肩から、松田の体温が伝わる。
――そういうけど、助けてくれた松田の善意は本物だ。
口は悪い。態度もでかい。ついでに体もでかい。
顔立ちも強面で、服装もヤカラっぽい。
聖人君子にはほど遠いが、それでも決して悪人ではない。
少なくても、法に触れてはいないのだから。
――僕より、ずっとましだ。
松田から離れようと早く歩こうとするが、松田はぐっと肩を抱き離れようとしない。
道順からすると、山田の家まで送るつもりなのだろう。
「ねぇ、松田さんさ。送ってくれるの? いい人アピール? はは、ウザ。お節介すぎるし」
松田とは知り合いではあるし、今は近所に住んでいるのもありよく顔をあわせる。
だが、こんなに親切にされる理由なんて一つもない。
むしろ山田は、松田の人生を間接的にだが壊しているのだ。
突き放される方がよっぽど心地よいというのに、優しさが棘になる。
「あほ。いい人アピールちゃう。俺は、めっちゃ慈悲深いいい人なんや。わかったら、おまえもその天邪鬼な性格なんとかせぇ」
「べつに、僕は――」
「鏡見てみぃ。雨に濡れて捨てられた犬みたいなツラしとるで」
二人組の女性が、おしゃべりしながらすれ違う。
松田は山田の顔を隠すよう、自分の胸元へ引き寄せた。
――本当、嫌になっちゃう。
僕は松田さんに、ひどいことしたのに。
僕がヘマしなければ、松田さんはもっと普通に。面倒ごとに巻き込まれず生きていけたのに。
僕なんかに関わっちゃったから、いらない気を遣って、僕なんか気にかけて――。
ごめん。ごめんね。ごめんなさい。
でも――。
「べつに、そんな顔してないし。僕ね、元々こういう顔」
松田さんなら、強がっている僕に気づくのをわかっていて、こんなことを言ってしまう。
松田さんは優しいから、僕を突き放さないのを知っていて、甘えてしまう。
それが同情だってのは、僕にもわかっている。
松田さんにとって僕は、いてもいなくてもいい人間なのも、わかっている。
この優しさは、松田さんの本心ではない。僕を見捨てれば後味が悪い、そういう義務感を引きずっているだけ。それはわかっているんだけど。
「……でも、ありがと」
うつむいて、顔を見ずに、精一杯の言葉を紡ぐ。
たとえこの優しさが、本心からのものでなかったとしても、今はそのわずかな熱だけをそばにおいていたい。
本当の思いはきっと、まぶしいし熱すぎるから。
――僕には、これがちょうどいいんだ。
寒くもないのにフードをかぶり、自然と伏し目がちになる。
見られてる。笑われてる。
錯覚だとわかっていても、道行く人の談笑が耳に入るだけで、体温がすっと下がっていく。
――何を、恐れてるのさ。
当然じゃないか。
だって僕は、ひどいことをしたんだから。
枷を外され自由になった。
社会的な制裁は受けている。
それでも、罪までも消えた訳ではない。
清く、正しく生きている人たちからすれば、僕は汚物だ。ゴミだ。クズだ。
罵られ、眉をひそめ、冷笑されるのが当然だというのに――。
「……え、いまの。ひょっとして、あれじゃない。山田ガスマスク」
ふと、そんな声が聞こえる。
気づかれた――。
どうしよう。
逃げなきゃ。でも、今走り出したら不自然だ。
だけど、もたもたして、罵声を浴びるのはいやだ。
僕は、僕がゴミカスなのはわかってる。
悪いこともした、自覚もある。
それでも、詰られるのは嫌だし、からかわれるのは面倒だ。
何よりもう、幾度もそうされてきた。
これ以上、もう殴られたくはない。
サンドバッグのくせに、どうして一丁前に尊厳を主張してるんだ。
そう思われるのはわかっているけど――。
「おう、佐藤! 何しとんねん、はよ行くで」
不意に声が弾け、顔をあげれば松田が立っている。
いつからいたのだろう。
松田は山田に近寄ると、ぐい、と強引に肩を抱き寄せ歩き出した。
「山田ガスマスクじゃ、ないんだ」
他人のつぶやきとともに、背中に向けられた視線が離れていくのがわかった。
「……ありがと、松田さん。助かっちゃった」
うつむいたまま、ぼそぼそつぶやく山田を見ないまま、松田は人気のない道を選んで進む。
「別に気にすんなや。しゃーないけど見てもうたら、放っておけんからな」
言葉とは裏腹に、声は優しい。
抱きしめられた肩から、松田の体温が伝わる。
――そういうけど、助けてくれた松田の善意は本物だ。
口は悪い。態度もでかい。ついでに体もでかい。
顔立ちも強面で、服装もヤカラっぽい。
聖人君子にはほど遠いが、それでも決して悪人ではない。
少なくても、法に触れてはいないのだから。
――僕より、ずっとましだ。
松田から離れようと早く歩こうとするが、松田はぐっと肩を抱き離れようとしない。
道順からすると、山田の家まで送るつもりなのだろう。
「ねぇ、松田さんさ。送ってくれるの? いい人アピール? はは、ウザ。お節介すぎるし」
松田とは知り合いではあるし、今は近所に住んでいるのもありよく顔をあわせる。
だが、こんなに親切にされる理由なんて一つもない。
むしろ山田は、松田の人生を間接的にだが壊しているのだ。
突き放される方がよっぽど心地よいというのに、優しさが棘になる。
「あほ。いい人アピールちゃう。俺は、めっちゃ慈悲深いいい人なんや。わかったら、おまえもその天邪鬼な性格なんとかせぇ」
「べつに、僕は――」
「鏡見てみぃ。雨に濡れて捨てられた犬みたいなツラしとるで」
二人組の女性が、おしゃべりしながらすれ違う。
松田は山田の顔を隠すよう、自分の胸元へ引き寄せた。
――本当、嫌になっちゃう。
僕は松田さんに、ひどいことしたのに。
僕がヘマしなければ、松田さんはもっと普通に。面倒ごとに巻き込まれず生きていけたのに。
僕なんかに関わっちゃったから、いらない気を遣って、僕なんか気にかけて――。
ごめん。ごめんね。ごめんなさい。
でも――。
「べつに、そんな顔してないし。僕ね、元々こういう顔」
松田さんなら、強がっている僕に気づくのをわかっていて、こんなことを言ってしまう。
松田さんは優しいから、僕を突き放さないのを知っていて、甘えてしまう。
それが同情だってのは、僕にもわかっている。
松田さんにとって僕は、いてもいなくてもいい人間なのも、わかっている。
この優しさは、松田さんの本心ではない。僕を見捨てれば後味が悪い、そういう義務感を引きずっているだけ。それはわかっているんだけど。
「……でも、ありがと」
うつむいて、顔を見ずに、精一杯の言葉を紡ぐ。
たとえこの優しさが、本心からのものでなかったとしても、今はそのわずかな熱だけをそばにおいていたい。
本当の思いはきっと、まぶしいし熱すぎるから。
――僕には、これがちょうどいいんだ。
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