インターネット字書きマンの落書き帳
褪せ人が流浪の商人を行く先々で喰うBL
ELDEN RINGを50時間プレイしているのに、未だ何も成し遂げてません。(挨拶)
いや~、でも何らストーリーが進んで無くても楽しいですね。
ELDEN RING。
こんなに殺意の高いオープンワールドRPGは初めて見たよ!
ほとんど、「広いマップで強い奴を探して見つけたら殺すゲーム」といっても過言ではない殺意の高さ。
移動をして殺されにいくようなゲーム!
サツバツ!
そのサツバツを埋めるため、調子に乗って褪せ人×流浪の商人の話を考えていました。
俺は! 行く先々の流浪の商人を喰う。
そんな褪せ人になりてぇよ……。
今回喰う流浪の商人は、褪せ人が常連で懇意にしている知り合い。
今まで経験をしてないという初心な年下みたいなイメージで書いてます。(趣味の話だ)
行く先々で商人を喰う褪せ人概念。
流行らせていこうな!
いや~、でも何らストーリーが進んで無くても楽しいですね。
ELDEN RING。
こんなに殺意の高いオープンワールドRPGは初めて見たよ!
ほとんど、「広いマップで強い奴を探して見つけたら殺すゲーム」といっても過言ではない殺意の高さ。
移動をして殺されにいくようなゲーム!
サツバツ!
そのサツバツを埋めるため、調子に乗って褪せ人×流浪の商人の話を考えていました。
俺は! 行く先々の流浪の商人を喰う。
そんな褪せ人になりてぇよ……。
今回喰う流浪の商人は、褪せ人が常連で懇意にしている知り合い。
今まで経験をしてないという初心な年下みたいなイメージで書いてます。(趣味の話だ)
行く先々で商人を喰う褪せ人概念。
流行らせていこうな!
『素顔を晒す意味というもの』
その夜、褪せ人は流浪の商人が焚く火の傍で横たわっていた。
一人で夜を明かすのは慣れている。感情も摩耗し寂しさや孤独に対しては以前よりずっと鈍感になっているがそれでも人が傍にいるのなら語らいたいと思うのは人間の性分なのだろう。
傍で寝ても良いかと問えば、商人もまた拒みはしなかった。
流浪の商人は各地を旅して各々が交わる事などほとんどなく、個性も様々だ。
愛想がないもの、褪せ人は強盗と同じだと思い怯えて恐れるものなどルーンを置いて行く事だけを望む者も少なくはない。
だがこのたき火の番人は人好きのする性格であり会話を好み交流も拒みはしなかった。あるいは彼もまた流浪の旅に疲れ、孤独を埋める言葉を求めていたのかもしれない。
互いに交わす言葉にもさしたる意味などはない。
天気が良い、悪い。霧の森にはやけに大きな熊が出る。イノシシに追いかけられその糞を踏み散々だった。
そんな事ばかりだ。くだらない話ばかりだろうが、それが褪せ人には心地よかった。
やれおまえはどこから来た。家族はいるのか。何のために旅をしている。王になれ、円卓の一員になれ、巫女無しは王になどなれない……。
普段、褪せ人と話す輩は断片的かつ暗示的な物言いを好み、その上で褪せ人に必要以上の期待をかける。
褪せ人には無理だ、褪せ人ごときが、所詮は褪せ人。
そのように見下した態度をとりつつ、己では何も成し遂げられない者たちはそれでも褪せ人に少なからず期待する。
誰でもいいから何とかして難局を打開してほしい。
出来れば自分は安全な場所でそれを見ていたい。
そんな都合の良い裏が見え見えの言葉より、褪せ人からはルーンしか求めようとしない流浪の民との会話は幾分か楽だった。
「ちぇ、火が弱くなってきたなぁ。もう少し薪をくべるか……こっちの薪は湿気ちまってるから、少し煙が出るかもな……」
流浪の民は舌打ちしながらそう独りごちると薪を一つ投げ込む。言葉通り、とたんに煙が立ち上り男はうっすら浮かぶ涙を拭いながら煙を払っていた。
その姿を眺めながら、相変わらず妙な服装だなどと褪せ人は思う。
流浪の商人はだいたい目立ちすぎるくらいに奇抜な格好をしているのが常だった。
派手な色だけを選んだような布で衣服をこしらえ、尖った帽子をかぶる姿は道化染みて見えるだろう。
今目の前にいる男は目元だけが出るよう口元だけを布で覆っているが、仮面を付けるものや顔を布ですっぽり覆って全く見えないようにしている者も少なくはない。
褪せ人は流浪の商人たちと交流し商売をするが彼らの掟には詳しくない。知っている事といえばせいぜい「彼らから奪うな」という絶対的な不文律くらいだ。
だが彼らは彼らの中で人知れずに決まり事をしているような素振りが見られる。仮面をつけ顔を隠すのも道化のような色合いの服を着るのもきっと彼らの掟なのだろう。
それでも、素顔を見せてはいけないという決まりはないはずだ。
褪せ人はしばらく前に流浪の商人から乞われて一夜をともにした事があるが、その時相手は褪せ人の前に素顔を晒していたからだ。
あの時の男はどこか人形を思わす綺麗な顔立ちをしていたのを覚えているが、目の前にいる男はどんな顔をしているのだろうか。
以前抱いた商人はほとんど出会ったばかりで関係を結んだ一夜限りの男である。あの男と比べれば、今となりにいる商人とのほうがよほど付き合いは長いだろう。
こちらの土地に来てから程なくして出会ったのが彼であり、その後も良い商売を続けてきた相手だ。
だが今まで一度もその下にある顔を見た事はなかった。
彼の顔は寝転んでいても手の届く位置にあったから、褪せ人は気まぐれに手を伸ばす。
目元を出しているその肌は白く、瞳はくすんだ青い色をしている。流浪の商人たちの中でも彼はまだ年若い方だろう。かすかに見える目元は自分と比べても皺などがなく肌に張りが残っていた。
果たしてどんな顔をしているのだろう。付き合いが長いというのに素顔を知らないというのは奇妙だし、今日は秘匿された素顔がやけに気になる。
男は褪せ人の手に気付いたのか、驚いたようにその手を払いのけ彼の姿を凝視した。
「な、何するんだ!? ダメだ、いくらお得意様でも素顔を見せる訳には行かないからな……」
予想していなかった抵抗に、褪せ人は驚き半分興味半分で寝転んでいた体を起こし流浪の民へ膝を向けた。
「どうしてだ? おまえの目が綺麗だから、どんな顔をしてるか気になっただけだが」
「あのなぁ……俺たちが伊達や酔狂でこんな仮面つけてると思うか? 掟の一つだよこれも……顔を見せちゃいけないんだ俺らは。商売相手に素顔を知られたら後々面倒ってのもあるし……だいたい、あんただって俺たちの素顔を見た事ないだろ」
「いや……」
褪せ人は目を伏せ、たき火を見る。
あの夜もやはり傍で火を焚いていた。裸になるには冷える夜だったから、より強くそして深く温もりを求め抱き続けたのは今でもはっきりと覚えている。
あれから同じ商人とは出会っていない。別の土地に行ったのか、あるいはもうこの世にはいないのかもしれない。 どちらにしても、褪せ人の前に今はおらずだが褪せ人は忘れていない。 この世界にある人との関係は、概ねそのような形でよいと褪せ人は思っていた。
「顔を見た事がある奴がいる。最もあいつは自分から見せてくれたんだが……」
近くにあった枝をたき火にくべながら、褪せ人は語る。
オレンジに輝く炎に照らされた肌はやけに白く思いのほか整った顔をしていたが故に、思い出す姿はどこか作り物めいた人形のようにも思える。 あれだけ綺麗な顔をしている男は稀だったろうが、いま目の前に居る男も目元を見る限りは決して醜男ではない。あるいは流浪の民というのは存外に美しい顔をしているから、己の身を守るために仮面をしているのかもしれない等と褪せ人は考えていた。
「……綺麗な顔だったんだよ。作り物かと思う程に」
「ちょっとまってくれよ、お得意様」
そこまで言いかけた褪せ人を強い言葉で留める。そして唇をかみしめ、再び褪せ人を凝視した。
「あんた、他の男の顔を見た事がある……っていうのか?」
「ん? あぁ、そうだな……最もそいつとはそれっきりでもう会ってないが……」
「どういう意味かわかっていってるのか? 俺たち流浪の民にとって、この顔を見られるのは裸を見られるのと一緒……つまり、素顔を知ってるってのは……そういう事だぜ」
そこまで言われて、褪せ人はようやく察する。流浪の民が素顔を晒すのは親しき者の間であり、その親しさは体の関係を結ぶ事も含まれるのだろう。
「あぁ、そうか。なるほどな……合点がいった。おまえはだから驚いていたのか。だが、そういう意味ではその通りだ。俺はそいつを抱いた……誤解するな、無理矢理にした訳じゃないから別に『奪うな』の掟には触れてないぞ。相手から頼まれたから抱いてやったんだからな」
とはいえ、それを黙っている理由もないだろう。
流浪の民から何かを奪うのは禁忌であるが、流浪の民を抱いてはいけないといった禁忌は聞いてない。 もしこれが禁忌であったとしても、目の前にいる男は懇意にしている間柄だ。一度ならたしなめて聞かなかったコトにする。それくらいの節度はある相手なのはわかっている。
「な、んだよ。同意の上って奴か……あんたは良かったのか? その……男だったんだろ? そいつ」
「別にこだわりはない。穴があれば何でもいいという程節度がないという訳ではないが……あの時は俺にも相手にも利があった。お互いの利害が一致しているのなら夜を共にするのはやぶさかではないさ」
たき火から飛び散った火花が褪せ人の肌に触れる。少しばかり火に近づきすぎたか。褪せ人はそう思い、座る位置を変える。
自然と流浪の男へと寄り添う形になったが、男は特に逃げるような素振りは見せなかった。
「へぇ、あんた男でもいけるのか。いや、まぁ……それは、別に。いいんだが……」
どうでもいいと言う割に、やけに歯切れの悪い物言いをする。
褪せ人は少し笑うと、男の顔を覆う布へ触れた。今し方強く手を払った男は、今度は特に抵抗する様子はない。
「どうした? ……俺に抱いて欲しいのか? おまえだったら、俺は別に構わないが」
「いや、ちょっ。じょ、冗談はよしてくれよお得意様。だいたい、さっきの今で急に、俺で勃ったりしないだろ……」
「褪せ人は元々は戦士だ。いつだって死の傍にある……だから、望めばいつだって準備は出来てるものだ。ほら、触ってみるか」
厚手の布で覆われた褪せ人の体に、男は恐る恐る触れ熱のある体を確かめるとその目を大きく見開く。
「あ、んた。すっごいんだな……褪せ人ってのは、みんなこんなにスゲぇもんをもってるのか?」
「どうだろうな。他の輩と比べる事なんて無いし、俺以外の褪せ人と会う機会なんてほとんどないからわからんが……どうする? 俺の体を試してみるか? おまえが気乗りしないなら奪おうとは思わないが……」
「いやいや、ちょっとまってくれよ。俺ぁ、今まで男とした事はないんだ……いや、正直いうと女を抱いた事だって無ぇ……今は男だろうが女だろうが、この地で人を見る事がないからな……」
「それなら無理には誘わないさ」
褪せ人がぼんやりとたき火を眺める隣で、男は拾った枝を折りそれを火へとくべる。
枝を拾って折り火にくべ、また拾って折り火にくべ。そんな行動を幾度繰り返したろう。ややあって男は、声を上ずらせ褪せ人を見た。
「なぁ、あんた……初めての相手でも抱いてくれるか? 面倒だと思ったりしないか? なぁ」
「別段、気にしない。何も知らない、何も出来ないなら身を預けてくれればいい。覚える気があるなら教えてやるのもかまわん。最も、俺のやり方でしか教えられないがな」
「そ、そっか……」
枝を折る音がやけに響く。気がつけばあたりにあった小枝はあらかた火にくべてしまったのだろう。男は手持ち無沙汰になり、落ち着きなく体を揺すっていた。
少なからずその気はあるが、どうやって言葉にすればいいのか考えあぐねているのだろう。それならば背中を押してやるのも務めか。褪せ人は隣に座る男の手を握り、不器用に笑って見せた。
「心配しなくともおまえの嫌がることをするつもりはない。おまえが恐ろしいと思う事もな。俺は褪せ人だが、褪せ人であり続ける限りおまえを忘れない。おまえの体を、においを、汗を、温もりを、全部覚えていてやる。俺が褪せ人ではなくなるその時までな」
男はしばらく困惑したようにうつむいていたが、すぐに顔をあげる。
そしてそれまで顔を隠していた布切れを外すと存外にまだあどけなさを残す素顔を晒した。
「……か、顔見たら萎えたとかいわないよな? 素顔見せたってのはそういう事だから」
頬を紅潮させ、男は言う。若いと思っていたがまだ青年と呼ばれる歳になってそれほど経っていないのだろう。
「綺麗な顔をしてるな。流浪の民というのは貴人の血が混じっているのか? 前の男も随分と綺麗な顔をしていたが……」
「おい、前の話とかするなよ。言っただろ? 俺は経験ないんだから……その、前の奴とかの話されると悔しいし。今は俺だけって事にしてくれないか? ……正直言うと、あんたの事は前からそう……嫌いでもなかったからさ」
そう告げると、男は震える手で褪せ人の頬に振れ触れるだけのキスをする。
ただ触れるだけ。ほんの挨拶のようなキスでも、彼にとっては初めて触れる人肌なのだろう。やけに熱っぽい指先と、どこか夢見心地の視線は無垢であるが故に艶やかだった。
「どうされたい?」
奇抜な色の帽子を外し、耳元でささやけばオレンジの炎に照らされた頬がかすかに緩む。
「好きにしていいけど……ワガママを許してくれるんなら、そうだな。お得意様。夜に人肌恋しい時は、真っ先に俺のところに来てくれないか? さっきも言ったが俺は初めてだから。一度だけじゃ、良くわからないまま終わると思うし」
褪せ人に「次」を求めるとはワガママというより楽天家だ。貪欲だ。
だが「次」があると思うなら明日に生きる理由が出来るのだから悪い事でもないだろう。
「わかった。おまえの体が俺に馴染むまで……とうぶん、おまえのお得意様は俺だ。いいな?」
「あぁ。それでいい……ふふ、明日が楽しみになるのは何年ぶりだろうな。もう、生きるのだけで精一杯だったから……」
体を抱き寄せれば長身のわりに体が細い。流浪の民はやけに背が高い男が多いが、そういう血なのだろうか。 それともたまたま出会った相手がそういう男だったのか。
いや、今は過去の相手を思い出すのは礼を欠くだろう。もっとこの体に没入し、この得物を自分のために馴染ませて行くべきだ。
久しぶりに誰の手にも渡っていない、真新しい得物に触れているのだから。
触れるだけで怯えたように震わせる体を抱きしめれば、血の通う一個の肉体から温もりが伝わる。 この世界にある不条理や苦痛全てを忘れる程に抱きしめて、忘れられない夜にしよう。
そして今夜を糧に、明日に。あるいは明後日に「また」思いを抱き留める時が来ることを願おう。
明日が必ずあるという保証がない褪せ人や流浪の民にとって、明日もまた楽しみがあるというのは何事にも代えがたい贅沢なのだから。
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