インターネット字書きマンの落書き帳
ミンサガのジャン、過去模造の二次創作です
ロマサガ(ミンサガ)小説久しぶりだにゃぁ~。
ぺけったーで、ジャンは任務に対しての意識が高そう~。
価値観が冒険者より、もっとドライそう~。
ある種のサイコパスっぽさありそう~。
みたいな話を見たので!
「そういう精神状態になってしまう過去」があったらいいなッ……。
と思って書きました。
お納めくだせぇ~。
ぺけったーで、ジャンは任務に対しての意識が高そう~。
価値観が冒険者より、もっとドライそう~。
ある種のサイコパスっぽさありそう~。
みたいな話を見たので!
「そういう精神状態になってしまう過去」があったらいいなッ……。
と思って書きました。
お納めくだせぇ~。
『自由の対価』
結局のところ、俺は自由が息苦しかったんだろうな。
頬杖をつきながら、ジャンは今の仲間たちを見る。
親衛隊としての任務を受けた。
失敗したが生き延びることが出来た。
ほとぼりを冷ます必要が生じた。
行き場がなくなり行方をくらますしかないかと考えていたジャンに、冒険者になるよう勧めたのはかつての同僚であるグレイだった。
自分よりはるかに口下手で愛想のない奴が、冒険者のように人付き合いと人脈、情報がものをいう社会に馴染めるものなのだろうか。
隊を退いた時は漠然とそんな心配をしていたが、全て杞憂だったのは今ともに過ごす仲間たちを見ればわかる。
グレイは確かに寡黙で世辞などを言うタイプではないが、軍にいた頃から剣の腕は頭一つ抜けていた。
確かな実力と実直な仕事を重ねていれば、評判は自然と高まり、仕事が向こうからやってくるというわけだ。
金だけもらって消息を絶つような連中が当たり前のようにいる冒険者稼業ならなおさら、ただ依頼の途中経過を定期的に連絡するというだけのグレイの所作も十分すぎるほど手厚い伝達になり得る。
それに、最近は魔物がひどく活発だ。
いにしえに封印された邪神・サルーインの復活も間もないと噂される中、ただ強く、無事に戻ってくるというだけでも貴重なのだろう。
――そういえば、あの時戻って来たのは結局、自分とグレイだけだったな。
記憶の片隅にしまい込んで、血と錆のにおいが蘇る。
隊に所属したとき、ジャンは自分が自由を求めているのだと思っていた。
クソッタレの世の中に燻り、面倒なルールの世界に縛られているのだとも。
もし、時代が乱世であれば、チャンスをうかがい武力で勝ち上がることがきっとできていたはずだ。
身分や立場が決まった今の時代で、自分のように平民と同等の家名しかない人間が名を上げるには、兵士として身を立てるしかない。
軍に所属したのは、そんな理由だったが、そこは最も嫌悪する規律にがんじがらめにされた世界であった。
息苦しさから、隊の規律を破っての喧嘩もしばしばした。
そのせいで訓練という名のしごきを受けることもあった。
拷問まがいの体罰も当たり前のように行われていた。
そんな中でもジャンが腐らずにいれた理由の一つは、自分の実力が認められ、それなりに好待遇を受けていたということ。
そして、「あの男」がいたということだ。
彼は――高潔な人間だった。
周囲の人間から雑に扱われるような事がなかったのは、正当な身分をもち、いずれ大軍を率いる将軍となる未来が約束されていただろう。
ジャンにとって、生まれも育ちも違う鼻持ちならない立場の人間であるはずだったが、彼は誰にも分け隔て無く接していた。
身分の差など一切気にせず、自分より強き者には敬意をはらい、弱き者は必死で守ろうとする。
気品ある所作は荒くれ者の中でも輝いており、同じ時期に隊にいた人間は、誰もがこう思っていた。
――このような人間は、将兵では惜しい。
王になるべきだ、と。
新兵としての訓練が終わり、実戦に出ることが増えはじめた頃。
土砂降りの最中、やむなく足を止め隠れ潜んでいたところを、魔物に襲撃された。
とっさに前に出たのが、ジャンとグレイ。
それから遅れて数人が魔物の前に立つ。
しんがりは、自分たちが務める。
だから、どうか撤退してくれ。
俺は。俺たちは、あなたを死なせるわけにはいかない。
思いは一緒だった。
その時、隊には「あの男」がいた。
まだ未熟ではあるが、生きる価値のある人間だと、そう思った。
それに比べて自分は、ただの石ころだ。
思い上がり、志もなく、自分本位で、ただ損得ばかりを見て生きてきた、そんな自分こそ捨て石にふさわしい。
あの人が生き延びるのなら、この命を使っても構わない。
心底、そう思った。
こういう命の使い方も悪くないと、そう思い――。
自分も戦おうと前に出る「あの男」は、他の隊士に引きずられるように撤退した。
そうだ、逃げてくれ。
生きてくれ。
そして、輝いてくれ。
俺のように世界に唾をかけてしか生きることのできない愚かな人間を、導く存在となってくれ。
――託した思いとは裏腹に、ジャンは生き延びた。
血と泥を浴び、全身ドロドロになって倒れた後、何とか助けられたらしい。
同じように生き残ったのはグレイだけだったが、巨躯の魔物を打ち倒すという使命は果たしていた。
おかげで、近くにある村が守られたと多くの住人に喜ばれた。
その居心地の悪さは、ぼんやりと覚えている。
グレイは強く機転も利くから生き残っただろうが、自分は運が良かった。
そんなことを思いながら何とか隊に戻った時、「あの男」が死んだのだと知らされた。
撤退した先にいた別の魔物に不意を打たれ、あっけなく首を飛ばされたらしい。
――あんなにも、守りたいと思ったのに。
死ぬ気で立ち向かった自分が生きて、死んでも守りたかった相手が勝手に死んだ。
ただそれだけのことだったが――。
グレイは、程なくして隊を退いた。
あの件が嫌になったとかではなく、元々遠からず辞めるつもりだったのは何となくわかる。
グレイは、ただ強いものに打ち勝てるだけの強さを求め、そのための剣を求めている、ある種の求道者だ。
学べるものがなくなった軍隊という場所に、いる意味などなかったのだろう。
ジャンは、残ることにした。
グレイのように、己の剣を高めるためのストイックさなど無いということに気付いた。
運命というのは、自分の思い通りに動いてくれないということも知った。
その上で――。
――クソッタレの掃きだめである規律としがらみばかりのこの場所でしか、命の使い方を選べない。
自分は、そういう人間なのだということを思い知らされた。
あの時、「あの男」のために命を差し出そうとした時、自分は確かに高潔だった。
親衛隊として諜報任務を与えられている今も、国のためという大義名分で自分が正しい道にいられる気がする。
正しさを行使するためなら、どんな汚い手段を取っても別にいいとも。
汚れた手の裏に、誰かの高潔さがあるのならそれでいいとも。
つまるところ――ジャンにとって、自由は指針の定まらぬ不安でしかなかったのだ。
若かった頃、世界をクソだとあざ笑っていたとき、自分は正しい場所にいたい。正しさを保証されたいという傲慢さと、正しさがわからない無知さがあった。
今は、正しさも汚らしさも、善し悪しにかかわらず存在するのを理解している。
理解しているからこそ、選べないのだ。
自分にとって、誰かが選んでくれる正義を行使するのが、一番楽な生き方なのだ。
どうしようもない話だとは思うが、しかたない。
自分が命を賭して守ろうと思ったものは、自分の選択で指からこぼれ落ちてしまった。
決断する。その覚悟を背負う事がどれだけ困難で、選んだ先にある悲劇がどれだけ大きいのか、わかってしまったから――。
――ならば、正義という綺麗事に殉じよう。
クソッタレの世界で、自分で選ぶのが恐ろしくなった人間が身を置くには、今の場所がふさわしい。
「はぁい、ジャン。ちゃんと飲んでるー? ほらほら、今日は祝勝会なんだから、ぱーっと飲まなきゃね」
グラスを傾け、ミリアムが近づいてくる。
冒険者となったグレイとは腐れ縁を自称しており、よく共に仕事をするのだという。
――それに、ミリアムのような冒険者が自由に生きるための世界を支えているのだと思えば、悪くない。
自分には、できなかったが――。
「飲んでますよ。自由と、冒険者に乾杯。ってね」
だからこそ、グレイやミリアム。そして多くの冒険者たちには、選び続けてほしい。
自由とは、覚悟を背負える人間だけが得られる輝きなのだから。
結局のところ、俺は自由が息苦しかったんだろうな。
頬杖をつきながら、ジャンは今の仲間たちを見る。
親衛隊としての任務を受けた。
失敗したが生き延びることが出来た。
ほとぼりを冷ます必要が生じた。
行き場がなくなり行方をくらますしかないかと考えていたジャンに、冒険者になるよう勧めたのはかつての同僚であるグレイだった。
自分よりはるかに口下手で愛想のない奴が、冒険者のように人付き合いと人脈、情報がものをいう社会に馴染めるものなのだろうか。
隊を退いた時は漠然とそんな心配をしていたが、全て杞憂だったのは今ともに過ごす仲間たちを見ればわかる。
グレイは確かに寡黙で世辞などを言うタイプではないが、軍にいた頃から剣の腕は頭一つ抜けていた。
確かな実力と実直な仕事を重ねていれば、評判は自然と高まり、仕事が向こうからやってくるというわけだ。
金だけもらって消息を絶つような連中が当たり前のようにいる冒険者稼業ならなおさら、ただ依頼の途中経過を定期的に連絡するというだけのグレイの所作も十分すぎるほど手厚い伝達になり得る。
それに、最近は魔物がひどく活発だ。
いにしえに封印された邪神・サルーインの復活も間もないと噂される中、ただ強く、無事に戻ってくるというだけでも貴重なのだろう。
――そういえば、あの時戻って来たのは結局、自分とグレイだけだったな。
記憶の片隅にしまい込んで、血と錆のにおいが蘇る。
隊に所属したとき、ジャンは自分が自由を求めているのだと思っていた。
クソッタレの世の中に燻り、面倒なルールの世界に縛られているのだとも。
もし、時代が乱世であれば、チャンスをうかがい武力で勝ち上がることがきっとできていたはずだ。
身分や立場が決まった今の時代で、自分のように平民と同等の家名しかない人間が名を上げるには、兵士として身を立てるしかない。
軍に所属したのは、そんな理由だったが、そこは最も嫌悪する規律にがんじがらめにされた世界であった。
息苦しさから、隊の規律を破っての喧嘩もしばしばした。
そのせいで訓練という名のしごきを受けることもあった。
拷問まがいの体罰も当たり前のように行われていた。
そんな中でもジャンが腐らずにいれた理由の一つは、自分の実力が認められ、それなりに好待遇を受けていたということ。
そして、「あの男」がいたということだ。
彼は――高潔な人間だった。
周囲の人間から雑に扱われるような事がなかったのは、正当な身分をもち、いずれ大軍を率いる将軍となる未来が約束されていただろう。
ジャンにとって、生まれも育ちも違う鼻持ちならない立場の人間であるはずだったが、彼は誰にも分け隔て無く接していた。
身分の差など一切気にせず、自分より強き者には敬意をはらい、弱き者は必死で守ろうとする。
気品ある所作は荒くれ者の中でも輝いており、同じ時期に隊にいた人間は、誰もがこう思っていた。
――このような人間は、将兵では惜しい。
王になるべきだ、と。
新兵としての訓練が終わり、実戦に出ることが増えはじめた頃。
土砂降りの最中、やむなく足を止め隠れ潜んでいたところを、魔物に襲撃された。
とっさに前に出たのが、ジャンとグレイ。
それから遅れて数人が魔物の前に立つ。
しんがりは、自分たちが務める。
だから、どうか撤退してくれ。
俺は。俺たちは、あなたを死なせるわけにはいかない。
思いは一緒だった。
その時、隊には「あの男」がいた。
まだ未熟ではあるが、生きる価値のある人間だと、そう思った。
それに比べて自分は、ただの石ころだ。
思い上がり、志もなく、自分本位で、ただ損得ばかりを見て生きてきた、そんな自分こそ捨て石にふさわしい。
あの人が生き延びるのなら、この命を使っても構わない。
心底、そう思った。
こういう命の使い方も悪くないと、そう思い――。
自分も戦おうと前に出る「あの男」は、他の隊士に引きずられるように撤退した。
そうだ、逃げてくれ。
生きてくれ。
そして、輝いてくれ。
俺のように世界に唾をかけてしか生きることのできない愚かな人間を、導く存在となってくれ。
――託した思いとは裏腹に、ジャンは生き延びた。
血と泥を浴び、全身ドロドロになって倒れた後、何とか助けられたらしい。
同じように生き残ったのはグレイだけだったが、巨躯の魔物を打ち倒すという使命は果たしていた。
おかげで、近くにある村が守られたと多くの住人に喜ばれた。
その居心地の悪さは、ぼんやりと覚えている。
グレイは強く機転も利くから生き残っただろうが、自分は運が良かった。
そんなことを思いながら何とか隊に戻った時、「あの男」が死んだのだと知らされた。
撤退した先にいた別の魔物に不意を打たれ、あっけなく首を飛ばされたらしい。
――あんなにも、守りたいと思ったのに。
死ぬ気で立ち向かった自分が生きて、死んでも守りたかった相手が勝手に死んだ。
ただそれだけのことだったが――。
グレイは、程なくして隊を退いた。
あの件が嫌になったとかではなく、元々遠からず辞めるつもりだったのは何となくわかる。
グレイは、ただ強いものに打ち勝てるだけの強さを求め、そのための剣を求めている、ある種の求道者だ。
学べるものがなくなった軍隊という場所に、いる意味などなかったのだろう。
ジャンは、残ることにした。
グレイのように、己の剣を高めるためのストイックさなど無いということに気付いた。
運命というのは、自分の思い通りに動いてくれないということも知った。
その上で――。
――クソッタレの掃きだめである規律としがらみばかりのこの場所でしか、命の使い方を選べない。
自分は、そういう人間なのだということを思い知らされた。
あの時、「あの男」のために命を差し出そうとした時、自分は確かに高潔だった。
親衛隊として諜報任務を与えられている今も、国のためという大義名分で自分が正しい道にいられる気がする。
正しさを行使するためなら、どんな汚い手段を取っても別にいいとも。
汚れた手の裏に、誰かの高潔さがあるのならそれでいいとも。
つまるところ――ジャンにとって、自由は指針の定まらぬ不安でしかなかったのだ。
若かった頃、世界をクソだとあざ笑っていたとき、自分は正しい場所にいたい。正しさを保証されたいという傲慢さと、正しさがわからない無知さがあった。
今は、正しさも汚らしさも、善し悪しにかかわらず存在するのを理解している。
理解しているからこそ、選べないのだ。
自分にとって、誰かが選んでくれる正義を行使するのが、一番楽な生き方なのだ。
どうしようもない話だとは思うが、しかたない。
自分が命を賭して守ろうと思ったものは、自分の選択で指からこぼれ落ちてしまった。
決断する。その覚悟を背負う事がどれだけ困難で、選んだ先にある悲劇がどれだけ大きいのか、わかってしまったから――。
――ならば、正義という綺麗事に殉じよう。
クソッタレの世界で、自分で選ぶのが恐ろしくなった人間が身を置くには、今の場所がふさわしい。
「はぁい、ジャン。ちゃんと飲んでるー? ほらほら、今日は祝勝会なんだから、ぱーっと飲まなきゃね」
グラスを傾け、ミリアムが近づいてくる。
冒険者となったグレイとは腐れ縁を自称しており、よく共に仕事をするのだという。
――それに、ミリアムのような冒険者が自由に生きるための世界を支えているのだと思えば、悪くない。
自分には、できなかったが――。
「飲んでますよ。自由と、冒険者に乾杯。ってね」
だからこそ、グレイやミリアム。そして多くの冒険者たちには、選び続けてほしい。
自由とは、覚悟を背負える人間だけが得られる輝きなのだから。
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