インターネット字書きマンの落書き帳
大学生山ガス概念の話(トシカイ二次創作・ネタバレあり)
ここ最近、ちょっと字を書くのをサボってましたね。
(最低の挨拶)
山田ガスマスクの過去を色々模造したいなッ!
そう思ったので、過去を模造します。
大学生の頃の山田ガスマスクの話してますから、トシカイを全部クリアしてから読んでね♥
ネタバレとかになっちゃうと思うからね♥
トシカイを全部クリアしてないと、山ガスのファン創作を読もうと思わないのでは?
それはそう!
大学時代、酔っ払いに絡んでボコボコに殴られるくせがある山ガスの話をします。
クソみたいな家族に育てられていて、メチャクチャ性格が歪んでしまった山田ガスマスクですよ。
ちょっといい人として眉崎も出ますよ。
よーろしーくねー。
(最低の挨拶)
山田ガスマスクの過去を色々模造したいなッ!
そう思ったので、過去を模造します。
大学生の頃の山田ガスマスクの話してますから、トシカイを全部クリアしてから読んでね♥
ネタバレとかになっちゃうと思うからね♥
トシカイを全部クリアしてないと、山ガスのファン創作を読もうと思わないのでは?
それはそう!
大学時代、酔っ払いに絡んでボコボコに殴られるくせがある山ガスの話をします。
クソみたいな家族に育てられていて、メチャクチャ性格が歪んでしまった山田ガスマスクですよ。
ちょっといい人として眉崎も出ますよ。
よーろしーくねー。
『循環器』
腫れた瞼と頬を抑えながら、山田は黒沢のマンションへと向かっていた。
ほとんど面識のない男から散々と殴る蹴るの暴力を受けた身体は歩くだけでもあちこちが痛んだし、顔を紫に腫らした男が電車に乗り込めば周囲の客も気まずいだろう。そう思い、自宅より近くにあるある黒沢のマンションで休むためだ。
黒沢は5Sの活動をしやすくするため、メンバー全員に合鍵を渡していた。
今から行くマンションも黒沢名義で借りてはいるが実際に黒沢が住んでいる訳ではなく、5Sのメンバーで作業や打ち合わせ、打ち上げなどに使われるのが主であり誰がいつ立ち入ってもいいようになっていたから、怪我をした山田が転がり混んでも大きな問題にはならないと思ったのもある。
時刻は夜の10時を回っていた。外から見た時に灯りもなかったから誰もいないのだろうと思いドアを開ければ、意外な事に室内には眉崎が一人でスマホを弄っていた。
「なんだ、山田かよ。ひっでぇ顔。また殴られて来たのか」
頬杖をつきながら、眉崎は茶化すように言う。だが、山田の顔が腫れ上がっている事には興味がないのか必用以上に突っ込んで聞いてきたりはしなかった。
山田は月に一度か二度は、こうやって顔を腫らしたり身体中に痣を作っては部屋に転がりこんでいたものだから、最初は心配していた他のメンバーたちも段々と気にならなくなってきたのだろう。今さら驚くのはいつでもリアクションが大げさすぎる谷原くらいで、心配して声をかけてくるのは黒沢くらいのものだった。
山田は眉崎に「どうも」と軽く会釈をしてから鏡を見る。
思ったより派手に殴られたからか、額は少し切れていた。
慣れた様子で顔を洗い傷口から泥を落とした後、綺麗にタオルで拭いてから冷蔵庫から保冷剤を撮りだして冷やす。
「本当に、懲りないなお前は。まーた、酔っ払い相手にクソみたいな言いがかりをつけて喧嘩にでもなったんだろ」
眉崎はスマホから目を離さず、呆れたように言う。山田は特に言い返すことはしなかった。
全くその通りだったからだ。
大衆居酒屋はやかましすぎるからと、学生の山田からすると少し高めのショットバーで飲んでいたら近くの席に座っていた客が、最近の風俗はどうこう、お気に入りの風俗嬢が何をしたなんて下世話な話を得意気な様子で始めたのが気に食わず、少しばかりの嫌味を大きな独り言として呟いたら、それが相手に聞こえ一悶着に発展したのだ。
「テメェ、なんだその反抗的な目は。まだガキのくせに生意気なんだよ!」
半ば強引に山田を引きずり店から出した男は、憤懣を露わにし大声で怒鳴りつける。
男の顔が怒りに歪めば歪むほどその姿は滑稽で、喉から自然と笑い声が出ていた。
「なはッ……面白ッ。おじさん、すっごい面白いね。人前で風俗嬢にチンポ褒められただけで有頂天になって自慢するってだけでも超恥ずかしいのに、まだ学生の若造を怒鳴りつけてイキっていい気になって、それで自分の正当性が主張できると本気で信じてるんだ。で、どーすんの? 僕のこと殴って、世の中の道理をわからせてやるつもり? あー、でもそんなことしたら、おじさん傷害罪ってやつ? 世間的には悪人になっちゃうねー。ほらほら、どうすんのさ。なんか言ってみてよ」
知らない男は顔を真っ赤にし、目を大きく見開く。
拳は血管が浮き出るほどに握られ、怒りから手が震えているのがはっきりわかる。
背は山田より頭一つ大きかっただろう。肩幅もあり腕も太いから、若い頃は何かしらスポーツをやっていたに違いない。
女を抱いた自慢をするようなヤツだ。当然、他人の感情に寄り添う優しさなど持ち得ておらず、自分の良さや凄さをどれだけ他人にアピールできるかが自分の全てみたいな生き方をしているのだろう。
大の男が自分の言葉で感情を荒げて怒り、悪事と呼ばれる行為へ転げ落ちていく。
その様子を見るのが山田は楽しくて仕方がなかったのだ。
「何笑ってんだよクソガキが!」
振りかぶった男の拳が、やけにスローに見える。
あぁ、殴られるんだな。
そう思ったその時、山田の脳裏には父親の姿が浮かんでいた。
山田より身体が大きく、他人に自分の機嫌を取って貰えなければすぐに暴れ出す性分で、酒にも女にもルーズ。仕事だって長続きしないくせに、山田が真面目に勉強していてもすぐに邪魔して笑いものにするどうしようもない父親だった。
大学に入学し家族との連絡を極力避けるようになってから顔もあわせていないが、怒りに満ちて血走った目で山田を見据えがなりたてる時の決まり文句は耳の奥底にこびりつくよう残っている。
『なんだその反抗的な目は』
アレは、いつでもそう言った。いつでもそう言って山田の顔や身体を強かに殴るのだ。
ごめんなさい、もうしませんと言った所で許すことがなく、山田の身体をサンドバッグにして落ち着いてからやっと許すような男だった。
散々殴られてボロボロになった身体を引きずるように部屋へ戻れば、同じようにボロ雑巾のようにされた母親が、山田の足に縋り付いてくるのだ。
『ごめんね、でも……お父さんを怒らせないで。怒らせたら、また殴られるじゃないの……』
結局あの夫婦は割れ鍋に綴じ蓋。
お互い似通ったもの同士だったから連むことができたのだろう。
あの時は、生活するために息をひそめるよう家族というパーツとしての振る舞いをしていた。
父親の機嫌をとり、母親の泣き言に付き合い、家ではなく学校や図書館で勉強をする。
かつては穴蔵に籠もり息をひそめ、鼠のような生活を強いられていたが今はもう誰も自分を縛る者はいない。
「何だその反抗的な目は」
生来の目つきをバカにされても、堂々と言い返すことができるのだ。
例えその後に怒りと暴力が待っていたとしても、子供の頃から言い返すことすら禁じられ鬱屈した思いを抱いたまま、賽の河原で石を積むように重ねてきた嫌悪と憤怒の塔を、今はいつだって自由に壊すことが出来る。
知らない相手を冷笑しわざと怒りを煽るような真似をするのも、長年の鬱積を開放するためかもしれない。それを示すかのように、山田は目つきを指摘する相手には思う存分の罵詈雑言を投げかけるようになっていた。
あるいは歪んだ姿であっても、何も言えずに殴られていたか弱く従順な子羊だった山田が憧れていた大人の姿が、今の形だったのかもしれない。
「ほらよ、あんまり痛むんなら湿布でも貼っとけ。俺はこれから店に行くけど、お前が朝までここにいるなら飯くらい買ってくるからよ。何かあったら連絡くれ。オゴリじゃねーけどな」
眉崎はそう言うと、タオルに包んだ保冷剤をあてソファーで横になる山田に湿布を投げつける。
そういえば、眉崎がホストとして働く店もこのマンションの近くだったか。
口は悪いし気にしない素振りをしているが、ことのほか山田のことを気にかけてくれていたようだ。
「ありがと、眉崎サン。眉崎サンってけっこー僕のこと好きだよね」
「好きじゃねぇよバーカ。しかし、お前ってほんと、何と戦ってればそんな怪我ばっかりするんだろうな。俺はわかんねーよ。顔に傷なんて絶対つけたくねーからな」
眉崎はそう言うと、手をひらひら振って部屋を出ていく。眉崎の背中を見送り、山田は大きくため息をついた。
「そうだね。僕は……何と戦ってるんだろうなぁ……」
過去に何も言えなかった自分と? 親の面影をもった醜い大人たちと? それとも……。
様々な考えが渦巻いては消えていく中、山田は静かに目を閉じる。
知らない間に結露で濡れたタオルからは大粒の雫が零れ、山田の頬を濡らしていた。
腫れた瞼と頬を抑えながら、山田は黒沢のマンションへと向かっていた。
ほとんど面識のない男から散々と殴る蹴るの暴力を受けた身体は歩くだけでもあちこちが痛んだし、顔を紫に腫らした男が電車に乗り込めば周囲の客も気まずいだろう。そう思い、自宅より近くにあるある黒沢のマンションで休むためだ。
黒沢は5Sの活動をしやすくするため、メンバー全員に合鍵を渡していた。
今から行くマンションも黒沢名義で借りてはいるが実際に黒沢が住んでいる訳ではなく、5Sのメンバーで作業や打ち合わせ、打ち上げなどに使われるのが主であり誰がいつ立ち入ってもいいようになっていたから、怪我をした山田が転がり混んでも大きな問題にはならないと思ったのもある。
時刻は夜の10時を回っていた。外から見た時に灯りもなかったから誰もいないのだろうと思いドアを開ければ、意外な事に室内には眉崎が一人でスマホを弄っていた。
「なんだ、山田かよ。ひっでぇ顔。また殴られて来たのか」
頬杖をつきながら、眉崎は茶化すように言う。だが、山田の顔が腫れ上がっている事には興味がないのか必用以上に突っ込んで聞いてきたりはしなかった。
山田は月に一度か二度は、こうやって顔を腫らしたり身体中に痣を作っては部屋に転がりこんでいたものだから、最初は心配していた他のメンバーたちも段々と気にならなくなってきたのだろう。今さら驚くのはいつでもリアクションが大げさすぎる谷原くらいで、心配して声をかけてくるのは黒沢くらいのものだった。
山田は眉崎に「どうも」と軽く会釈をしてから鏡を見る。
思ったより派手に殴られたからか、額は少し切れていた。
慣れた様子で顔を洗い傷口から泥を落とした後、綺麗にタオルで拭いてから冷蔵庫から保冷剤を撮りだして冷やす。
「本当に、懲りないなお前は。まーた、酔っ払い相手にクソみたいな言いがかりをつけて喧嘩にでもなったんだろ」
眉崎はスマホから目を離さず、呆れたように言う。山田は特に言い返すことはしなかった。
全くその通りだったからだ。
大衆居酒屋はやかましすぎるからと、学生の山田からすると少し高めのショットバーで飲んでいたら近くの席に座っていた客が、最近の風俗はどうこう、お気に入りの風俗嬢が何をしたなんて下世話な話を得意気な様子で始めたのが気に食わず、少しばかりの嫌味を大きな独り言として呟いたら、それが相手に聞こえ一悶着に発展したのだ。
「テメェ、なんだその反抗的な目は。まだガキのくせに生意気なんだよ!」
半ば強引に山田を引きずり店から出した男は、憤懣を露わにし大声で怒鳴りつける。
男の顔が怒りに歪めば歪むほどその姿は滑稽で、喉から自然と笑い声が出ていた。
「なはッ……面白ッ。おじさん、すっごい面白いね。人前で風俗嬢にチンポ褒められただけで有頂天になって自慢するってだけでも超恥ずかしいのに、まだ学生の若造を怒鳴りつけてイキっていい気になって、それで自分の正当性が主張できると本気で信じてるんだ。で、どーすんの? 僕のこと殴って、世の中の道理をわからせてやるつもり? あー、でもそんなことしたら、おじさん傷害罪ってやつ? 世間的には悪人になっちゃうねー。ほらほら、どうすんのさ。なんか言ってみてよ」
知らない男は顔を真っ赤にし、目を大きく見開く。
拳は血管が浮き出るほどに握られ、怒りから手が震えているのがはっきりわかる。
背は山田より頭一つ大きかっただろう。肩幅もあり腕も太いから、若い頃は何かしらスポーツをやっていたに違いない。
女を抱いた自慢をするようなヤツだ。当然、他人の感情に寄り添う優しさなど持ち得ておらず、自分の良さや凄さをどれだけ他人にアピールできるかが自分の全てみたいな生き方をしているのだろう。
大の男が自分の言葉で感情を荒げて怒り、悪事と呼ばれる行為へ転げ落ちていく。
その様子を見るのが山田は楽しくて仕方がなかったのだ。
「何笑ってんだよクソガキが!」
振りかぶった男の拳が、やけにスローに見える。
あぁ、殴られるんだな。
そう思ったその時、山田の脳裏には父親の姿が浮かんでいた。
山田より身体が大きく、他人に自分の機嫌を取って貰えなければすぐに暴れ出す性分で、酒にも女にもルーズ。仕事だって長続きしないくせに、山田が真面目に勉強していてもすぐに邪魔して笑いものにするどうしようもない父親だった。
大学に入学し家族との連絡を極力避けるようになってから顔もあわせていないが、怒りに満ちて血走った目で山田を見据えがなりたてる時の決まり文句は耳の奥底にこびりつくよう残っている。
『なんだその反抗的な目は』
アレは、いつでもそう言った。いつでもそう言って山田の顔や身体を強かに殴るのだ。
ごめんなさい、もうしませんと言った所で許すことがなく、山田の身体をサンドバッグにして落ち着いてからやっと許すような男だった。
散々殴られてボロボロになった身体を引きずるように部屋へ戻れば、同じようにボロ雑巾のようにされた母親が、山田の足に縋り付いてくるのだ。
『ごめんね、でも……お父さんを怒らせないで。怒らせたら、また殴られるじゃないの……』
結局あの夫婦は割れ鍋に綴じ蓋。
お互い似通ったもの同士だったから連むことができたのだろう。
あの時は、生活するために息をひそめるよう家族というパーツとしての振る舞いをしていた。
父親の機嫌をとり、母親の泣き言に付き合い、家ではなく学校や図書館で勉強をする。
かつては穴蔵に籠もり息をひそめ、鼠のような生活を強いられていたが今はもう誰も自分を縛る者はいない。
「何だその反抗的な目は」
生来の目つきをバカにされても、堂々と言い返すことができるのだ。
例えその後に怒りと暴力が待っていたとしても、子供の頃から言い返すことすら禁じられ鬱屈した思いを抱いたまま、賽の河原で石を積むように重ねてきた嫌悪と憤怒の塔を、今はいつだって自由に壊すことが出来る。
知らない相手を冷笑しわざと怒りを煽るような真似をするのも、長年の鬱積を開放するためかもしれない。それを示すかのように、山田は目つきを指摘する相手には思う存分の罵詈雑言を投げかけるようになっていた。
あるいは歪んだ姿であっても、何も言えずに殴られていたか弱く従順な子羊だった山田が憧れていた大人の姿が、今の形だったのかもしれない。
「ほらよ、あんまり痛むんなら湿布でも貼っとけ。俺はこれから店に行くけど、お前が朝までここにいるなら飯くらい買ってくるからよ。何かあったら連絡くれ。オゴリじゃねーけどな」
眉崎はそう言うと、タオルに包んだ保冷剤をあてソファーで横になる山田に湿布を投げつける。
そういえば、眉崎がホストとして働く店もこのマンションの近くだったか。
口は悪いし気にしない素振りをしているが、ことのほか山田のことを気にかけてくれていたようだ。
「ありがと、眉崎サン。眉崎サンってけっこー僕のこと好きだよね」
「好きじゃねぇよバーカ。しかし、お前ってほんと、何と戦ってればそんな怪我ばっかりするんだろうな。俺はわかんねーよ。顔に傷なんて絶対つけたくねーからな」
眉崎はそう言うと、手をひらひら振って部屋を出ていく。眉崎の背中を見送り、山田は大きくため息をついた。
「そうだね。僕は……何と戦ってるんだろうなぁ……」
過去に何も言えなかった自分と? 親の面影をもった醜い大人たちと? それとも……。
様々な考えが渦巻いては消えていく中、山田は静かに目を閉じる。
知らない間に結露で濡れたタオルからは大粒の雫が零れ、山田の頬を濡らしていた。
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