インターネット字書きマンの落書き帳
赤いピンヒールとヌン蔵と一般成人男性(トシカイ二次創作・ネタバレあり)
都市伝説解体センターの富入さんがピンヒールを履く話を書きました。(挨拶)
富入さんの正体が明かされているので、クリアしてから見てくれよな♥
これは気持ちばかりのネタバレ配慮文章です。
なぜピンヒールなのか!
ハイヒールではないのか!
それは、俺が「ピンヒールのほうが攻撃力高そうと思っているから」です。
部下(ジャスミン先輩)から赤いピンヒールをプレゼントされて、それをどうしよう!
困ったわぁ~!
って、自分の協力者である一般成人男性に見せるような話ですよ。
モブ男として一般成人男性が出ます。
一般成人男性だけど何となく背景のある一般成人男性ですが、もう「一般成人男性の夢小説なんだな」と思って割り切ってください。
ピンヒール好きかい?
今日から好きなれよ!
富入さんの正体が明かされているので、クリアしてから見てくれよな♥
これは気持ちばかりのネタバレ配慮文章です。
なぜピンヒールなのか!
ハイヒールではないのか!
それは、俺が「ピンヒールのほうが攻撃力高そうと思っているから」です。
部下(ジャスミン先輩)から赤いピンヒールをプレゼントされて、それをどうしよう!
困ったわぁ~!
って、自分の協力者である一般成人男性に見せるような話ですよ。
モブ男として一般成人男性が出ます。
一般成人男性だけど何となく背景のある一般成人男性ですが、もう「一般成人男性の夢小説なんだな」と思って割り切ってください。
ピンヒール好きかい?
今日から好きなれよ!
『深紅と琥珀の蠱惑』
「ねぇ、見てくれないこれ。部下が私にってプレゼントしてくれたのよ」
富入がそういいながらおずおずと深紅のピンヒールを見せた時、男は緊張の糸が緩みその場に座り込みそうな気分になっていた。
「何なんですか、富入さん。ひょっとして、それ見せたくて私を呼んだんですか」
「えぇ、そうだけど何か不都合でもあった? だってアナタ、今日はヒマって聞いたらヒマだからすぐに行きますって連絡くれたじゃないの」
「確かにそう連絡しましたし、別に不都合はないんですけどね……」
男は言葉を失い、かわりに深いため息をつく。
彼は普段オカルト系の雑誌や書籍を中止としたフリーの編集者をしている身の上だが、実は他にもう一つの顔がある。それが、いま隣に座っている富入という男の協力者としての顔だ。
富入は公安警察であり、主な仕事は公共の秩序を守る事。いわゆるテロ行為、ゲリラ行為というような蛮行や暴力を未然に防ぐため水面下で活動している身だ。
治安維持という名目で活動する公安警察は、必要な情報を得るために正規の捜査だけでは不可能な事もあり、その正規の活動から逸脱した捜査を支援するため、警察という組織の範疇ではできない捜査をする民間の協力者を使うことも多い。
彼はそういった違法すれすれの、あるいは違法そのものの行為に手を染め証拠を集めるタイプの協力者だった。
彼がどうして富入に協力しているのかは割愛するが、普段富入からくる連絡は違法すれすれの調査の依頼が主だ。今日連絡が来た時も、どこぞの組織や集団の内情を探ってほしいなんて依頼なのだろうと気を張って出かけたところ、赤いピンヒールを見せられれば調子も狂うというものだ。
「それ、私を呼んでまでして見せるものなんですかね……」
男はウイスキーの水割りを一気に飲み干すと、隣の富入はさも面白いものを見たという顔でクスクスと笑っていた。
「あら、アナタそんなにふてくされた顔することってあるのね。ふふ、いいじゃないたまには、ちょっと息抜きで飲みたいと思っていたところなの。それにアナタ、仕事以外ではほとんど家に籠もりっきりなんでしょう?」
「別にそんなことは……いえ、そうではあるんですけど。そういうの見せるなら友達とかにしてくれません? 私、別に富入さんの友達ではないですから」
「付き合い長いのに随分と寂しいこと言うのね。私はアナタのこと、とっても大事に思っているわよ」
「私も大事には思ってますよ。でも、友達ではないです」
男はバーのマスターに改めてウイスキーを今度はロックで注文する。
そして箱に入れられた深紅のピンヒールに再度目をやった。
「しかし、富入さんの部下も思いきった事しますね。こんな真っ赤なピンヒール、しかも富入さんの足に入るサイズなんて特注しないと無かったでしょうに」
「そうなのよ。実はね、私そのコが普段からあんまりお洒落しないから、たまにはお洒落して美味しいものでも食べてきなさーい、なんて言っちゃったことがあるのよね」
「あぁ、そういうの最近セクハラ扱いされる奴ですよ。今の子は嫌う奴です」
「えぇ、私も失言だったと思っているんだけどね。そしたらその子が、『そんなにお洒落したいなら、自分ですればいいんですよ。ほら、ハイヒールで歩くのがどれだけ辛いか、身を以て知ってください』なんて言って、プレゼントしてくれたのがコレなの」
「あー……それは、まだ怒ってますね」
「やっぱりアナタもそう思う? でも謝るタイミングを逸しちゃった気がして……」
男は自分の前に置かれた新たなグラスを手に取ると、琥珀色の液体ととけた氷とが混ぜるようグラスを揺らし少し思案した。
つまり富入は、自分では上手く謝る方法が思いつかないから男を呼んだのだろう。
乙女のような口調で話す姿はおちゃらけて見えるが、根は真面目でカタブツだ。考えれば考えるほど深みにはまってしまい、良い考えが浮かばない悪循環に陥っているのだろう。
カラカラとグラスを揺らし氷の鳴る音を響かせ、男はふと顔を上げる。
「そうだ、ピンヒールをはいた写真を送ってみたらいいんじゃないですか」
「えっ?」
「履きました、大変でした、ごめんなさい、二度と言いません。って写真付きで送れば許してくれると思いますよ。だって相手は、身を以て知れって言ったンですよね。言葉通り、身を以て知っておきましょう」
「えぇっ、それはちょっと……うーん、どうかしら? 確かにこのサイズなら私でも入るんだけど……」
「そうしたらいい。それで笑って許してくれるならラッキーじゃないですか。はい、履いてください。私、写真撮りますから」
「ま、待ちなさいアナタ、ちょっと、本気で……」
富入がまごついているのを見て焦れったくなった男は、彼の前に跪き
「靴、出してください。私が履かせますから」
そう告げ富入からピンヒールを取り上げると、上等の革靴を脱がせ、靴下を脱がせて素足にピンヒールを履かせる。
背丈の割りに細く形のいい足首を白い肌に真っ赤なピンヒールはまるで吸い寄せられるようにフィットし、最初からその足に存在していたかのように輝いて見えた。
「……ピッタリじゃないですか。アナタの部下、けっこうアナタのこと好きですよね。ちゃーんと足のサイズまで把握してくれてるんですから」
「なに言ってるのもう……恥ずかしいから早く脱がしてくれない?」
「写真をとったら脱がせますよ。あー、あんまり恥ずかしがっているとかえってダサいんで、ここは不貞不貞しく『このピンヒールなら私が履きこなしてやりましたが、何か?』って顔してください。富入さんはそういう方が似合いますから」
「ちょっと、アナタって私に対してどういうイメージ抱いてるのよもう……」
そういいつつも富入は足を組むとわざとらしくつま先をピンと伸ばし、いかにも履き慣れているといった様子で笑って見せる。
公安警察は偽の名前を使い二重生活のようなことをする時も多いというが、演技はお手の物なのだろう。男はそう思いながら数枚の写真を撮った。
「はい、どうぞ。恐ろしいくらい写真映えしてますよ」
「もう、やめてよ……あら、ホントにセクシーね。アナタ、写真撮るの上手じゃない」
「仕事柄、ちょっと慣れてるんですよ。そういう煽りみたいな形で写真撮るの。私の場合、普段は心霊スポットの写真ばかりですから……富入さんもどちらかといえば心霊スポット側なんで、うまくいったと思いますよ」
「アナタって本当に失礼ね……私にそういう口聞くの、アナタくらいなものよ」
「当然です。私は富入さんの部下じゃないですから、富入さんにおべっかを使う必要もなければご機嫌うかがいする必要もないんで」
「あー、本当に嫌な奴ねアナタ。でも嫌いじゃないわよそういう所」
富入は男から受け取った写真を添え、部下にメッセージを送る。
男のアドバイス通り、ピンヒールを履いてみたけど大変だったことやあの時は悪かったことを素直に謝罪しているようだ。
メッセージは送ってすぐ、相手から返事が届く。
返事の内容を見て、富入は安堵の笑みを浮かべた。
「よかった、彼女許してくれたみたい。ヒールの写真見たら、すごい面白かったって。あと、よく撮れてたから部下の前でも履いてみてくれないか、って」
「本当に、ヒールが足を求めているみたいに似合ってましたからね。いいじゃないですか、部下の前でも履いてあげれば」
「えぇ……でも、こんなヒールで本当に歩けるのかしら? ねぇアナタ、ちょっと歩く練習付き合ってくれない?」
富入の提案に、男は露骨に嫌な顔を向ける。
「何言ってるんですか、富入さん私より全然デカいんで、私じゃ支えられませんって。それにそんな事をしたらバーにも迷惑かかりますから。ねぇマスター」
当然断るだろうと思ってバーのマスターに水を向けると、バーのマスターは平然と
「いえ、別に迷惑じゃないっすよ。どーぞご自由に。今、他の客もいないんで」
了承のポーズをとったので、男は仕方なく立ち上がると富入に手を差し出した。
「……はい、お手をどうぞプリンセス」
「ふふ、ありがとうダーリン。じゃ、エスコートしてもらっちゃおうかしら」
富入は口元を指先で押さえて笑ってから、男の手をとり立ち上がる。
その足取りはおおよそプリンセスと言い難い、まるで生まれたての子鹿のように頼りないものだったが、ウイスキーにより琥珀色に幻惑された最中に見る光景としては思いの外美しかった。
「ねぇ、見てくれないこれ。部下が私にってプレゼントしてくれたのよ」
富入がそういいながらおずおずと深紅のピンヒールを見せた時、男は緊張の糸が緩みその場に座り込みそうな気分になっていた。
「何なんですか、富入さん。ひょっとして、それ見せたくて私を呼んだんですか」
「えぇ、そうだけど何か不都合でもあった? だってアナタ、今日はヒマって聞いたらヒマだからすぐに行きますって連絡くれたじゃないの」
「確かにそう連絡しましたし、別に不都合はないんですけどね……」
男は言葉を失い、かわりに深いため息をつく。
彼は普段オカルト系の雑誌や書籍を中止としたフリーの編集者をしている身の上だが、実は他にもう一つの顔がある。それが、いま隣に座っている富入という男の協力者としての顔だ。
富入は公安警察であり、主な仕事は公共の秩序を守る事。いわゆるテロ行為、ゲリラ行為というような蛮行や暴力を未然に防ぐため水面下で活動している身だ。
治安維持という名目で活動する公安警察は、必要な情報を得るために正規の捜査だけでは不可能な事もあり、その正規の活動から逸脱した捜査を支援するため、警察という組織の範疇ではできない捜査をする民間の協力者を使うことも多い。
彼はそういった違法すれすれの、あるいは違法そのものの行為に手を染め証拠を集めるタイプの協力者だった。
彼がどうして富入に協力しているのかは割愛するが、普段富入からくる連絡は違法すれすれの調査の依頼が主だ。今日連絡が来た時も、どこぞの組織や集団の内情を探ってほしいなんて依頼なのだろうと気を張って出かけたところ、赤いピンヒールを見せられれば調子も狂うというものだ。
「それ、私を呼んでまでして見せるものなんですかね……」
男はウイスキーの水割りを一気に飲み干すと、隣の富入はさも面白いものを見たという顔でクスクスと笑っていた。
「あら、アナタそんなにふてくされた顔することってあるのね。ふふ、いいじゃないたまには、ちょっと息抜きで飲みたいと思っていたところなの。それにアナタ、仕事以外ではほとんど家に籠もりっきりなんでしょう?」
「別にそんなことは……いえ、そうではあるんですけど。そういうの見せるなら友達とかにしてくれません? 私、別に富入さんの友達ではないですから」
「付き合い長いのに随分と寂しいこと言うのね。私はアナタのこと、とっても大事に思っているわよ」
「私も大事には思ってますよ。でも、友達ではないです」
男はバーのマスターに改めてウイスキーを今度はロックで注文する。
そして箱に入れられた深紅のピンヒールに再度目をやった。
「しかし、富入さんの部下も思いきった事しますね。こんな真っ赤なピンヒール、しかも富入さんの足に入るサイズなんて特注しないと無かったでしょうに」
「そうなのよ。実はね、私そのコが普段からあんまりお洒落しないから、たまにはお洒落して美味しいものでも食べてきなさーい、なんて言っちゃったことがあるのよね」
「あぁ、そういうの最近セクハラ扱いされる奴ですよ。今の子は嫌う奴です」
「えぇ、私も失言だったと思っているんだけどね。そしたらその子が、『そんなにお洒落したいなら、自分ですればいいんですよ。ほら、ハイヒールで歩くのがどれだけ辛いか、身を以て知ってください』なんて言って、プレゼントしてくれたのがコレなの」
「あー……それは、まだ怒ってますね」
「やっぱりアナタもそう思う? でも謝るタイミングを逸しちゃった気がして……」
男は自分の前に置かれた新たなグラスを手に取ると、琥珀色の液体ととけた氷とが混ぜるようグラスを揺らし少し思案した。
つまり富入は、自分では上手く謝る方法が思いつかないから男を呼んだのだろう。
乙女のような口調で話す姿はおちゃらけて見えるが、根は真面目でカタブツだ。考えれば考えるほど深みにはまってしまい、良い考えが浮かばない悪循環に陥っているのだろう。
カラカラとグラスを揺らし氷の鳴る音を響かせ、男はふと顔を上げる。
「そうだ、ピンヒールをはいた写真を送ってみたらいいんじゃないですか」
「えっ?」
「履きました、大変でした、ごめんなさい、二度と言いません。って写真付きで送れば許してくれると思いますよ。だって相手は、身を以て知れって言ったンですよね。言葉通り、身を以て知っておきましょう」
「えぇっ、それはちょっと……うーん、どうかしら? 確かにこのサイズなら私でも入るんだけど……」
「そうしたらいい。それで笑って許してくれるならラッキーじゃないですか。はい、履いてください。私、写真撮りますから」
「ま、待ちなさいアナタ、ちょっと、本気で……」
富入がまごついているのを見て焦れったくなった男は、彼の前に跪き
「靴、出してください。私が履かせますから」
そう告げ富入からピンヒールを取り上げると、上等の革靴を脱がせ、靴下を脱がせて素足にピンヒールを履かせる。
背丈の割りに細く形のいい足首を白い肌に真っ赤なピンヒールはまるで吸い寄せられるようにフィットし、最初からその足に存在していたかのように輝いて見えた。
「……ピッタリじゃないですか。アナタの部下、けっこうアナタのこと好きですよね。ちゃーんと足のサイズまで把握してくれてるんですから」
「なに言ってるのもう……恥ずかしいから早く脱がしてくれない?」
「写真をとったら脱がせますよ。あー、あんまり恥ずかしがっているとかえってダサいんで、ここは不貞不貞しく『このピンヒールなら私が履きこなしてやりましたが、何か?』って顔してください。富入さんはそういう方が似合いますから」
「ちょっと、アナタって私に対してどういうイメージ抱いてるのよもう……」
そういいつつも富入は足を組むとわざとらしくつま先をピンと伸ばし、いかにも履き慣れているといった様子で笑って見せる。
公安警察は偽の名前を使い二重生活のようなことをする時も多いというが、演技はお手の物なのだろう。男はそう思いながら数枚の写真を撮った。
「はい、どうぞ。恐ろしいくらい写真映えしてますよ」
「もう、やめてよ……あら、ホントにセクシーね。アナタ、写真撮るの上手じゃない」
「仕事柄、ちょっと慣れてるんですよ。そういう煽りみたいな形で写真撮るの。私の場合、普段は心霊スポットの写真ばかりですから……富入さんもどちらかといえば心霊スポット側なんで、うまくいったと思いますよ」
「アナタって本当に失礼ね……私にそういう口聞くの、アナタくらいなものよ」
「当然です。私は富入さんの部下じゃないですから、富入さんにおべっかを使う必要もなければご機嫌うかがいする必要もないんで」
「あー、本当に嫌な奴ねアナタ。でも嫌いじゃないわよそういう所」
富入は男から受け取った写真を添え、部下にメッセージを送る。
男のアドバイス通り、ピンヒールを履いてみたけど大変だったことやあの時は悪かったことを素直に謝罪しているようだ。
メッセージは送ってすぐ、相手から返事が届く。
返事の内容を見て、富入は安堵の笑みを浮かべた。
「よかった、彼女許してくれたみたい。ヒールの写真見たら、すごい面白かったって。あと、よく撮れてたから部下の前でも履いてみてくれないか、って」
「本当に、ヒールが足を求めているみたいに似合ってましたからね。いいじゃないですか、部下の前でも履いてあげれば」
「えぇ……でも、こんなヒールで本当に歩けるのかしら? ねぇアナタ、ちょっと歩く練習付き合ってくれない?」
富入の提案に、男は露骨に嫌な顔を向ける。
「何言ってるんですか、富入さん私より全然デカいんで、私じゃ支えられませんって。それにそんな事をしたらバーにも迷惑かかりますから。ねぇマスター」
当然断るだろうと思ってバーのマスターに水を向けると、バーのマスターは平然と
「いえ、別に迷惑じゃないっすよ。どーぞご自由に。今、他の客もいないんで」
了承のポーズをとったので、男は仕方なく立ち上がると富入に手を差し出した。
「……はい、お手をどうぞプリンセス」
「ふふ、ありがとうダーリン。じゃ、エスコートしてもらっちゃおうかしら」
富入は口元を指先で押さえて笑ってから、男の手をとり立ち上がる。
その足取りはおおよそプリンセスと言い難い、まるで生まれたての子鹿のように頼りないものだったが、ウイスキーにより琥珀色に幻惑された最中に見る光景としては思いの外美しかった。
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