インターネット字書きマンの落書き帳
平和な世界線で普通に付き合ってる松ガスの話(BL)
キミが松ガスがいいといったから。
5月7日はコナモンの日。
という訳で、フォロワーのフォロワーが山ガスに沼り、松ガスに萌えたというので松ガスを書きました。
完璧に存在しない世界線で付き合っている松田と山ガスの話をしているので、ネタバレとか関係なく見れる奴ではあるんですが……。
普通にスケベな話を書いているので、ネタバレとは別のところで注意してください。
直接描写はしてないけど確実にセックスしてる二人だし、この後交尾する話なので。
人間が交尾してる!
ほら、ここが都市伝説解体センターの沼だよ。
できるだけ暖かく快適に適時、おつまみとか準備するから立派な怪異になってね……。
5月7日はコナモンの日。
という訳で、フォロワーのフォロワーが山ガスに沼り、松ガスに萌えたというので松ガスを書きました。
完璧に存在しない世界線で付き合っている松田と山ガスの話をしているので、ネタバレとか関係なく見れる奴ではあるんですが……。
普通にスケベな話を書いているので、ネタバレとは別のところで注意してください。
直接描写はしてないけど確実にセックスしてる二人だし、この後交尾する話なので。
人間が交尾してる!
ほら、ここが都市伝説解体センターの沼だよ。
できるだけ暖かく快適に適時、おつまみとか準備するから立派な怪異になってね……。
『綻びほどけながら結ばれる』
遮光カーテンを閉め切った薄暗い部屋にパソコンのモニターだけが爛々と輝く。
「やっと、終わった……」
山田ガスマスクが力なく呟きながら期日の記事を書き上げた時、外はすでに明るくなっていた。
これでようやく眠れる、もう何があっても起きてやるもんか。
固い決意をもちスマホを遠くに投げ出すとそのままベッドに倒れ込む。
そうして意識が浮き沈みし、柔らかな微睡みに包まれて眠りに落ちようとした頃だったろう。
「おーい、山田おるか? 勝手に上がらせてもらうで」
ドアが開く音と同時にがなり声が部屋中に響く。勝手に鍵を開けて入ってくるということは合鍵を渡している相手であり、この独特な西のイントネーションで話す知り合いは松田くらいしかいない。
だが、よりにもよって今日来るのかと山田は内心舌打ちした。
「……いるよ松田サン。どうしたのさ。今さっき仕事が終わったばかりだから、これから寝ようって所だったんだけど」
時計を見ればベッドに横たわってから2時間も経っていない。これだけ疲れているからすぐに眠れると思っていたのだが、無事に原稿を終えた昂揚感が残っているせいで思ったより寝付きが悪かったのだ。
徹夜明けだから今はきっとひどい顔になっているだろう。なるべく顔を見られまいと思い布団をかぶるのだが、松田はお構いなしといった様子でベッドにこしかけると布団の端をめくりあげ中をのぞき込んできた。
「そうだったんか。いくらメッセージ送っても全然既読にならんから、倒れたんかと思って心配したんやで。おまえ、既読無視はしょっちゅうやけど既読つかん事は滅多にないからな」
そういえば、放り投げたスマホが幾度も震えていたがあれは松田からのメッセージだったのか。 確かに起きている時はすぐにスマホを確認するが、寝ている時は確認できないのは当然だ。それくらいわかるだろうと文句の一つも言いたかったが、今は頭が働かない。もう少し横になっていたいという思いから布団に潜り込もうとすると、松田は無造作に布団を剥ぎ取った。
「おーい、何寝ようとしてるん?」
「眠いからだけど? 言ったでしょ、仕事が終わったばかりでこれから寝るつもりだったって……」
「なんやお前。せっかく俺が来てやったっちゅーんに出迎えもせんで、眠いから寝るとかつまらん奴っちゃなぁ。久しぶりに会うたんやで? わざわざ会いに来てるんやで? 何かもうちょっと、こう……察せぇや」
松田がやけに回りくどい言い方をするのを見て、SNSでメッセージを送る事はあっても実際に顔をつきあわせるのは半月ぶりくらいである事を思い出す。
半月前にあった時は朝まで散々抱き潰されてほとんど記憶が曖昧のまま松田の身体に縋り付き何度も名前を呼んだ事もだ。
「あぁ……そ、溜まってんだ松田サン」
「たっ……溜まってるとかそないな言い方あるかい! ま……せやねんけど……」
松田は視線を逸らし歯切れの悪い態度を見せる。いかにも近寄りがたい威圧感のある雰囲気の松田だが、セックスを誘う時ダイレクトに口にするのを恥ずかしがるような初心なところがあるのだ。それが女性に対してもそうなのか、それとも山田が同性だから露骨に性欲を口にするのに躊躇いがあるのかはわからなかったが、一回りも年上の男なのにそういう所は可愛いと思う。
「んー……ま、いいよ。先にシャワー浴びてきてくれる? 僕は……色々と準備があるから、後で入るから」
「ほ、ほんまか? 悪いな、何かその……」
「いいって、僕松田さんの顔はちょっとなんだけど、身体は好きだから」
「余計なこと言うなオマエほんま……顔もちょっとはいい男だって言うとけや。あと性格ももっと評価しい。身体だけの関係って傷つくわ……」
でも僕たち、身体だけの関係だよね。
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
松田はきっとそのつもりはない。抱いてくれる時は何度だって愛していると囁いてくれるし、いつだって山田の身体を慈しむように触れてくれる。精一杯の愛情を身体いっぱいに注ぐよう肌に触れあい、心を乞う松田の態度は本気で山田という人間を受け入れようとしてくれるものだ。
本気で愛してくれているのだろう。
だが、自分は違う。
松田のことを愛していないという訳ではないが、元々ノンケだった松田が心底自分に惚れ込み一生添い遂げてくれるとまでは思っていないのだ。
そこまで自分の人生を松田に背負ってほしくないという思いもあるし、本気で好きになった後でお互いの心が離れてしまい別れる事になるのは辛い。
心底他人を信用できない性分である故に、山田は人を愛する事ができない人間だった。
だが、それは自分の性分であり松田に責任はない。妙なことを言って松田まで悪人に仕立て上げる必要はないだろう。
「おぅ、シャワー借りたで。お前も早う入りや」
程なくして松田が部屋に戻ってくる。どうせ脱ぐからと思ってか、今は下着だけだ。濡れた髪をタオルで拭きながらベッドにこしかける背中は、山田の身体より一回りは大きく見えた。
「ん。じゃ、シャワー浴びてくる」
爪を切っておいてね。そう頼もうとして、やめる。松田の指先を見た時、すでに爪は短く切られていたからだ。今日は最初から山田を抱くつもりで来たんだろう。
少し気恥ずかしくなり、少し熱めのシャワーで寝ぼけた頭をたたき起こす。
自分より年上だが圧倒的に体力がある松田に抱かれると最後の方は意識が朦朧としほとんど松田の身体にもたれかかって抱きついて喘ぎ声をあげるくらいしか出来なくなるのだが、それでも少しでも起きて少しでも長く松田から愛されているという実感を得たいと思う程度には、山田も松田のことを好いていた。
シャワーを浴びた後、自分の服のかわりに松田が脱ぎ捨てたシャツを羽織る。
山田も別に背が低いという訳ではないのだが松田より10cm以上は背が低く、おまけに身体全体が圧倒的に山田の方が細身だというのもあり羽織ったシャツは子供がする幽霊の仮装のようにダボダボになっていた。
「……思ったよりデカい。やっぱ松田サンってでっかいな。背だけじゃなく身体全体が大きいんだ。タッパがある、って奴?」
山田はそう独りごちると鏡に向かって髪を整える。
シャワーを浴びた後必ずする普段のルーティンだが、遅いと思ったのか松田が様子を見に来た。
「何やおまえ、髪なんか整えとったんか」
「うん、いつもやってるから。松田サンも、髪整えてる僕の方が見慣れてるでしょ」
「そうやけど、どうせ抱いてるうちにグチャグチャになってしまうやん。さっきみたいにボサボサのままでもえぇんやで」
「松田さんが良くても、僕が嫌なの」
「そないなもんか? ようわからんな……ってか、それ俺のシャツやん。何で勝手に着てるん?」
「んー、彼シャツってやつ。こういうの萌えたりそそったりしない?」
「別にどうせ脱がしてしまうんやから変わらんやろ」
「うーん、こうして気分上げていこうっていう僕の気遣い、わかんないかなぁ」
「んなもんわかるかい……別になんもせんと、お前はその、何や……充分可愛いから、何も心配せぇへんでもえぇんやで」
言った後で松田は顔を赤くし、
「とにかく、あんまり待たせたら承知せぇへんからな!」
捨て台詞のように告げ、ベッドへと戻って行く。
その姿を鏡ごしに見て、山田はつい笑うのだ。
「何それ。何を承知しないつもりなんだろ、ホント……松田さんの方がよっぽど可愛いって」
本当に、自分には勿体ないくらいだ。
実際に釣り合わないのだろう。
年齢も価値観もこれだけ違うのだから、いつかきっと松田も自分に飽きる。
だけどその時が来るまで、夢を見ていたいとも思う。
「……さて、と。あんまり待たせたら悪いし、眠くなっちゃう前にもう一仕事するかな」
山田は鏡を前に頬を叩くと、袖の長いシャツを着たままベッドへ向かう。
濡れた鏡からは、大粒の雫がいくつもこぼれ墜ちていた。
遮光カーテンを閉め切った薄暗い部屋にパソコンのモニターだけが爛々と輝く。
「やっと、終わった……」
山田ガスマスクが力なく呟きながら期日の記事を書き上げた時、外はすでに明るくなっていた。
これでようやく眠れる、もう何があっても起きてやるもんか。
固い決意をもちスマホを遠くに投げ出すとそのままベッドに倒れ込む。
そうして意識が浮き沈みし、柔らかな微睡みに包まれて眠りに落ちようとした頃だったろう。
「おーい、山田おるか? 勝手に上がらせてもらうで」
ドアが開く音と同時にがなり声が部屋中に響く。勝手に鍵を開けて入ってくるということは合鍵を渡している相手であり、この独特な西のイントネーションで話す知り合いは松田くらいしかいない。
だが、よりにもよって今日来るのかと山田は内心舌打ちした。
「……いるよ松田サン。どうしたのさ。今さっき仕事が終わったばかりだから、これから寝ようって所だったんだけど」
時計を見ればベッドに横たわってから2時間も経っていない。これだけ疲れているからすぐに眠れると思っていたのだが、無事に原稿を終えた昂揚感が残っているせいで思ったより寝付きが悪かったのだ。
徹夜明けだから今はきっとひどい顔になっているだろう。なるべく顔を見られまいと思い布団をかぶるのだが、松田はお構いなしといった様子でベッドにこしかけると布団の端をめくりあげ中をのぞき込んできた。
「そうだったんか。いくらメッセージ送っても全然既読にならんから、倒れたんかと思って心配したんやで。おまえ、既読無視はしょっちゅうやけど既読つかん事は滅多にないからな」
そういえば、放り投げたスマホが幾度も震えていたがあれは松田からのメッセージだったのか。 確かに起きている時はすぐにスマホを確認するが、寝ている時は確認できないのは当然だ。それくらいわかるだろうと文句の一つも言いたかったが、今は頭が働かない。もう少し横になっていたいという思いから布団に潜り込もうとすると、松田は無造作に布団を剥ぎ取った。
「おーい、何寝ようとしてるん?」
「眠いからだけど? 言ったでしょ、仕事が終わったばかりでこれから寝るつもりだったって……」
「なんやお前。せっかく俺が来てやったっちゅーんに出迎えもせんで、眠いから寝るとかつまらん奴っちゃなぁ。久しぶりに会うたんやで? わざわざ会いに来てるんやで? 何かもうちょっと、こう……察せぇや」
松田がやけに回りくどい言い方をするのを見て、SNSでメッセージを送る事はあっても実際に顔をつきあわせるのは半月ぶりくらいである事を思い出す。
半月前にあった時は朝まで散々抱き潰されてほとんど記憶が曖昧のまま松田の身体に縋り付き何度も名前を呼んだ事もだ。
「あぁ……そ、溜まってんだ松田サン」
「たっ……溜まってるとかそないな言い方あるかい! ま……せやねんけど……」
松田は視線を逸らし歯切れの悪い態度を見せる。いかにも近寄りがたい威圧感のある雰囲気の松田だが、セックスを誘う時ダイレクトに口にするのを恥ずかしがるような初心なところがあるのだ。それが女性に対してもそうなのか、それとも山田が同性だから露骨に性欲を口にするのに躊躇いがあるのかはわからなかったが、一回りも年上の男なのにそういう所は可愛いと思う。
「んー……ま、いいよ。先にシャワー浴びてきてくれる? 僕は……色々と準備があるから、後で入るから」
「ほ、ほんまか? 悪いな、何かその……」
「いいって、僕松田さんの顔はちょっとなんだけど、身体は好きだから」
「余計なこと言うなオマエほんま……顔もちょっとはいい男だって言うとけや。あと性格ももっと評価しい。身体だけの関係って傷つくわ……」
でも僕たち、身体だけの関係だよね。
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
松田はきっとそのつもりはない。抱いてくれる時は何度だって愛していると囁いてくれるし、いつだって山田の身体を慈しむように触れてくれる。精一杯の愛情を身体いっぱいに注ぐよう肌に触れあい、心を乞う松田の態度は本気で山田という人間を受け入れようとしてくれるものだ。
本気で愛してくれているのだろう。
だが、自分は違う。
松田のことを愛していないという訳ではないが、元々ノンケだった松田が心底自分に惚れ込み一生添い遂げてくれるとまでは思っていないのだ。
そこまで自分の人生を松田に背負ってほしくないという思いもあるし、本気で好きになった後でお互いの心が離れてしまい別れる事になるのは辛い。
心底他人を信用できない性分である故に、山田は人を愛する事ができない人間だった。
だが、それは自分の性分であり松田に責任はない。妙なことを言って松田まで悪人に仕立て上げる必要はないだろう。
「おぅ、シャワー借りたで。お前も早う入りや」
程なくして松田が部屋に戻ってくる。どうせ脱ぐからと思ってか、今は下着だけだ。濡れた髪をタオルで拭きながらベッドにこしかける背中は、山田の身体より一回りは大きく見えた。
「ん。じゃ、シャワー浴びてくる」
爪を切っておいてね。そう頼もうとして、やめる。松田の指先を見た時、すでに爪は短く切られていたからだ。今日は最初から山田を抱くつもりで来たんだろう。
少し気恥ずかしくなり、少し熱めのシャワーで寝ぼけた頭をたたき起こす。
自分より年上だが圧倒的に体力がある松田に抱かれると最後の方は意識が朦朧としほとんど松田の身体にもたれかかって抱きついて喘ぎ声をあげるくらいしか出来なくなるのだが、それでも少しでも起きて少しでも長く松田から愛されているという実感を得たいと思う程度には、山田も松田のことを好いていた。
シャワーを浴びた後、自分の服のかわりに松田が脱ぎ捨てたシャツを羽織る。
山田も別に背が低いという訳ではないのだが松田より10cm以上は背が低く、おまけに身体全体が圧倒的に山田の方が細身だというのもあり羽織ったシャツは子供がする幽霊の仮装のようにダボダボになっていた。
「……思ったよりデカい。やっぱ松田サンってでっかいな。背だけじゃなく身体全体が大きいんだ。タッパがある、って奴?」
山田はそう独りごちると鏡に向かって髪を整える。
シャワーを浴びた後必ずする普段のルーティンだが、遅いと思ったのか松田が様子を見に来た。
「何やおまえ、髪なんか整えとったんか」
「うん、いつもやってるから。松田サンも、髪整えてる僕の方が見慣れてるでしょ」
「そうやけど、どうせ抱いてるうちにグチャグチャになってしまうやん。さっきみたいにボサボサのままでもえぇんやで」
「松田さんが良くても、僕が嫌なの」
「そないなもんか? ようわからんな……ってか、それ俺のシャツやん。何で勝手に着てるん?」
「んー、彼シャツってやつ。こういうの萌えたりそそったりしない?」
「別にどうせ脱がしてしまうんやから変わらんやろ」
「うーん、こうして気分上げていこうっていう僕の気遣い、わかんないかなぁ」
「んなもんわかるかい……別になんもせんと、お前はその、何や……充分可愛いから、何も心配せぇへんでもえぇんやで」
言った後で松田は顔を赤くし、
「とにかく、あんまり待たせたら承知せぇへんからな!」
捨て台詞のように告げ、ベッドへと戻って行く。
その姿を鏡ごしに見て、山田はつい笑うのだ。
「何それ。何を承知しないつもりなんだろ、ホント……松田さんの方がよっぽど可愛いって」
本当に、自分には勿体ないくらいだ。
実際に釣り合わないのだろう。
年齢も価値観もこれだけ違うのだから、いつかきっと松田も自分に飽きる。
だけどその時が来るまで、夢を見ていたいとも思う。
「……さて、と。あんまり待たせたら悪いし、眠くなっちゃう前にもう一仕事するかな」
山田は鏡を前に頬を叩くと、袖の長いシャツを着たままベッドへ向かう。
濡れた鏡からは、大粒の雫がいくつもこぼれ墜ちていた。
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