インターネット字書きマンの落書き帳
その目を猫は知っている(ヤマアル)
やだ……この人もうすぐELDEN RINGが発売するのにブラッドボーンの話してる……。
ブラッドボーンのヤマアルの話ずっとしてる……。
すごい!(すごいでしょ!)(挨拶)
という訳で、今日も元気にブラボのヤマアルを書きます。
今回はヤマアル……というよりアルフレートくん→ヤマムラさんへの片思いネタ。
猫の日だから猫になった夢を見たアルフレートくんが、誰にでもきっと優しいであろうヤマムラさんの愛情を自分だけのものにしたいな……なんて願うような話です。
猫の日に間に合ってない?
俺が猫の日だと思った日が猫の日です。
アルフレートくん視点、ヤマムラさんとまだ出会ってあまり経ってないころの話想定ですね。
出会いや片思いネタなんてなんぼあってもいいですからね……。
ブラッドボーンのヤマアルの話ずっとしてる……。
すごい!(すごいでしょ!)(挨拶)
という訳で、今日も元気にブラボのヤマアルを書きます。
今回はヤマアル……というよりアルフレートくん→ヤマムラさんへの片思いネタ。
猫の日だから猫になった夢を見たアルフレートくんが、誰にでもきっと優しいであろうヤマムラさんの愛情を自分だけのものにしたいな……なんて願うような話です。
猫の日に間に合ってない?
俺が猫の日だと思った日が猫の日です。
アルフレートくん視点、ヤマムラさんとまだ出会ってあまり経ってないころの話想定ですね。
出会いや片思いネタなんてなんぼあってもいいですからね……。
『その目を猫は知っている』
私は猫になった夢を見た。
猫になった私は空腹と乾きに耐えかね雑踏の中ひとりぼっちだった。
か細く鳴いても誰も見向きはせず、時々誰かの視線が向いたと思っても汚い塵を見るかのように顔を歪めてすぐに視線をそらすのだ。
やがて空腹で力尽き、地面へと倒れ伏す。
きっとこのまま死んでしまうのだ。誰にも名を知られる事もなく、冒涜的なヤーナム風の葬儀でさえ送られることも無いままに。
諦めかけたその時、手を差し伸べてくれる人がいた。
「いやぁ、酷く汚れてるな。それに随分と体が冷えてる。急いで暖めないと……」
優しい声のその人は私を抱きしめると柔らかく暖かな布でくるみ、大事そうに抱えて何処かへと連れて行く。
もう余力がない私はされるがまま彼に抱かれ連れ去れれた先で、私はようやく食べ物にありつけた。
柔らかく潰された鶏肉が入った器に顔をつっこんで、私は必死になって食べ物を貪る。さっきまで死にそうだった体は食事を消化しきらないうちからエネルギーに満ちてきてまだ生きれるのだと。死に損なってしまったのだと知った。
「俺の土地だと猫といえば魚を食べるもんなんだが……ヤーナムは海辺に行く道がどういう訳か封鎖されているもんで、魚が手に入らないんだよな」
その人はそう独りごちながら私の頭を撫でてくれる。 食事を済ませ、水を飲み、ようやく腹が落ち着いてからその人の顔を見た。
黒髪で、痩躯で、日に焼けた肌をしている。
ヤーナムの街で暮らす人々とは明らかに違う風貌から異邦人なのは見てとれた。あまり見慣れない装束をまとっているが動きやすく改造されたその装束を見る限り彼はおそらく異邦の狩人だろう。
この街で異邦人が並みの暮らしをするには狩人をするしかない。他にまともな稼ぎになる仕事などないのだ。
あぁ、でも私はこの顔を知っている。この人を知っている。
彼の優しさを、その寛容さを、慈悲深さを愛している。
愛しい名前を呼ぼうとするが、口からはみぃみぃとか細い鳴き声ば漏れるばかりだ。
「どうした? いや、あんまりにも汚れているな。少しばかり洗ってやるか」
私の呼びかけに答えることもなく、その人はひょいと私をつまみ上げるとまた何処かへとつれて行った。 彼の腕に抱かれ心地よいようなくすぐったいような気持ちになりながら僅かにまどろんでいた私の体に、不意に暖かな。だがあまり心地が良いとはいえない感覚が訪れる。
驚いて顔をあげれば、私はバケツに入れられたぬるめの湯で洗われているようだった。
人間だった私は別に風呂が嫌いだという訳ではないのだが、猫である今はこの暖かな湯が酷く不快だ。 水で濡れた毛は体にまとわりつき、肌全体に虫が這うようなぞわぞわとした感覚が走る。
抗議のつもりで私は必死に声を出すが、やはりにゃぁにゃぁといった鳴き声ばかりが響くのだった。
「少しばかりガマンしておくれよ。汚れたままだと部屋に入れておく訳にはいかないんだ」
その人は困ったように笑いながら私を洗う。諸肌脱いだその体にははいくつもの傷があり、とりわけ最近出来たばかりと思われる背の傷はまだ生々しい痛みを思い起こさせた。
その傷には覚えがある。
あれは私と狩りに出た時、不意に現れた獣から私をかばって出来た傷だ。 深く抉られて酷い血が出た。傷の経過はあまりよくなく膿んで熱も出た。それほどの怪我をしたというのに、あの人は私の前で笑っていた
笑ってただ 「キミの綺麗な体が傷つかなくて良かった」 なんて言うのだ。
あの人は優しいから決して私を責めたりしないだろう。
そしてその優しさは誰にだって向けられるのだ。
私ではなくても、誰にでも。
ヤマムラさん。
私は必死になって彼の名を呼ぶ。口からはみぅみぅと小さな鳴き声が漏れた。
あなたはどうして、誰にでも優しいのですか。
行きずりの子猫に手を差し伸べるように、私に手を差し伸べたのですか。
私じゃなくても誰でも、寄る辺なき心を引きずる狩人たちに寄り添ってくれるのですか。
どうしたら私は貴方の特別になれますか。
たかだかいっとき。いずれ来る使命のため私がヤーナムに離れるまでのほんのひとときだけだとわかっていてこんなコトを望むのは烏滸がましいとわかっています。だけどそれでも私は貴方に、私だけを見ていてほしい。
貴方の人生が私だけに縛られてしまえばいいと思う。この先にもう誰とも貴方が寄り添わなければいい。そうとさえ思ってしまう。
貴方に傷を負わせていいのは、私だけにしてほしい。
そうしてくれたのなら私も、貴方の傷を背負うから……。
「ヤマムラさん……」
その背に触れたくて手を伸ばそうとした時、私はようやく夢から覚める。
伸ばした手は空をつかみ、戸惑いながら体を起こせばすぐにヤマムラさんが傍へとやってきた。
「起きたかい、アルフレート」
声をかけられ、私は彼の方を見る。体全体が熱っぽく酷く気怠い。
無理もないだろう。寒空の中にあるヤーナムで遅くまで血族の情報を得ようと這いずるように駆け回っていたせいで酷い風邪をもらってのだから。
朝から少しばかり体調が優れないと思ってはいた。食欲がなかったから飲食せず行動していたのもまずかったのだろう。己の軽率さから知らぬうちに倒れていた。
ヤマムラさんが見つけてくれなければどうなっていたのかわからなかったろう。
「あまり無理をしてはいけないよ。うん……まだ熱がありそうだ。薬を買ってきたからそれを飲むといい」
ヤマムラさんは水差しと薬とを私の傍までもってくる。
以前の私だったら倒れるほどの無茶などはしなかっただろう。 だが今の私は焦っている。一刻も早くカインハーストへの招待状を手に入れ、憎きなんて生やさしい言葉では到底言い表すことの出来ない血族の女王に引導を渡してやりたいと切に願っている。
それもこれも、ヤマムラさんと出会ってしまったからだ。
これ以上彼を愛さないうちに旅立ちたい。
仮に彼を愛したとして私の覚悟が鈍るとは思わないが、処刑隊としての輝きが唯一の救済でありもうこの地にそれがないのを知っている私はいずれ、彼と別の場所に旅立つのだ。
定められた別離があるのを知って、彼に愛されたいと願うのは高慢だ。それくらいは私だってわかっていた。
「まだ少し寝てるといい。一人で寝込んでいるよりも誰かが傍にいたほうがいいだろうからね」
そう、わかっている。だけど、それでも。
「まってください、ヤマムラさん……」
ヤマムラさんの裾を握りその足を留めると、私は彼の背中を抱く。
この背中には以前、私をかばって出来た傷があるはずだ。彼は見せないし気にするなというが、私の心を抉った傷だ。
「もうすこし、傍に。そばに、居てください。私は……」
私の心を抉った貴方の、その心を抉りたい。
あなたの人生に私を刻んで欲しい。
誰にでも優しくしないでほしい。ただ私だけにその優しさを向けて欲しい。
この願いがエゴであるのはわかっている。
彼を傷つけるための願いであるということも。それでも。
「今は、傍にいてほしいです。貴方に……私はそれだけでいい。その他には、何も望みませんから……」
貴方に愛して欲しいと思う。
身勝手なエゴイストでもいい。後で罵られてもいい。我が儘だと糾弾されてもいい。 だから、何処にも行かないでほしい。
どこかに行ってしまえばきっと貴方は他の誰かに私と同じよう優しくするのだろうから。
あなたはボロ雑巾のように転がる子猫にさえ情けをかける優しい人なのだから。
すがる私の姿をヤマムラさんはしばらく困惑したように見つめる。
だがすぐに優しく笑うと、私の頭を撫でてくれた。
「心配しなくても、そばにいるよ。そんなに悲しそうな顔をしないでくれ……」
そして穏やかな声でそう告げる。
その声はすぐ傍らにあるのに、永遠に届かない深淵から響いているような気がした。
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