インターネット字書きマンの落書き帳
他愛もないが素晴らしい日々(みゆしば)
平和な世界線で手塚と芝浦が普通に付き合ってる話ですよ。
(挨拶と強めの幻覚の説明を一気に済ませる一行)
たまには何でもないような日が幸せだなぁ。
そんな二人をかきたかったので、何でもないような素晴らしい日々の話ですよ。
設定は2002年くらいなので、ビニール袋をブラ下げてるのも!
普通に飯食って喋ってるのも! バグじゃないです仕様ですよ!
(挨拶と強めの幻覚の説明を一気に済ませる一行)
たまには何でもないような日が幸せだなぁ。
そんな二人をかきたかったので、何でもないような素晴らしい日々の話ですよ。
設定は2002年くらいなので、ビニール袋をブラ下げてるのも!
普通に飯食って喋ってるのも! バグじゃないです仕様ですよ!
『繋いだ手は思いと同じ』
その日、夕食を外で済ませた芝浦は手塚と並んで帰路についていた。
夕食時より少し早めに店には入ったのだが、あれこれと他愛もない話をしているうち出る頃には辺りは薄暗くなっている。
五月に入り日が長くなってきたので闇夜という程暗くは無いが、青白く染まった空には月が朧に輝き、その下には月に従うように外灯がぼんやりと光っていた。
日中は初夏の日差しで暑いくらいだったが、日が落ちてからはやや冷える。薄着なのもあるのだろうが……。
(……手塚、手ぇつないでくれないかな)
店で散々と話したのもあり、今は二人特に話す事もなく並んで歩く。
手塚の片手はコンビニのビニールがぶら下がっているが、もう片方の手は空いていた。
急に手を繋いでも手塚なら拒みはしないだろうが、自分からそうするのは気恥ずかしい。
(何だろうなぁ……以前は別にそんな事思わなかったんだけど)
少し前の芝浦ならもっと気楽に手を繋いだり腕を絡めたりしていた気がするのだが、最近はどうにも恥ずかしさが勝ってしまう。 誰かに見られて茶化されたりからかわれたりするのが嫌だという気持ちもあるのだろうが……。
(前は本気……ってほどじゃなかったから茶化されてもハイハイで済ませてただろうけど、今は結構マジで怒っちゃうだろうから……うーん、やっぱり俺、それだけのめり込んでるって事かな……)
揺れるビニールを眺めながらそんな事を思えば、半歩先を歩いていた手塚はふと足を止めた。
何かあったのかと思い顔を上げれば彼は目を細めて芝浦を見ると、黙ってその手を握ると手を繋いだまま歩き出したのだ。
「えっ、手塚。ちょ……」
芝浦は驚いて声が出る。
手を繋いで欲しいと思ってはいたが、本当に繋いでくれるとは思っていなかったからだ。
「ん、どうした? ……あぁ、手を繋ぐのが恥ずかしかったか。悪かったな、それなら離すが」 「大丈夫。むしろ繋いでくれるの嬉しいけど……どうして分ったのさ?」
「何のことだ?」
「いや、さ……俺が手ぇ繋ぎたいなぁって思ってたこと……」
恥ずかしさからつい視線を反らす芝浦の手を引き寄せると、手塚は指を絡めより強くその手を握る。
「何だ、そんな事か。別に特別な事なんかじゃないさ。ただ、俺がお前の手を握りたいと思った……その時、たまたまお前が手を繋ぎたいと思っていた。それだけの事だろう」
手塚が当然のようにそう言うから、芝浦はやけにくすぐったい気持ちになる。
「……手塚って時々しれっとそういう事言うよね。それって、わりといつもそういう事思ってくれてるってこと?」
「さぁ、どうだろうな……そうだったら嬉しいか?」
「ちょっと、質問してるの俺なんだけど? ……まぁいいや。やっぱ答えなくても」
答えを聞いたらきっともっと嬉しくて、だけど少し恥ずかしい気持ちになるのだろうから。
その変わりに芝浦は、より強く手を握る。
「手ぇ繋いでくれて嬉しい。俺、今最高に幸せかも」
はにかんだ笑顔を浮かべ、そんな言葉を語る。
だが同時にもどかしくも思うのだ。
実際に心に抱いている思いはもっと大きく、喜びはもっと強いのだから。
「あぁ、俺も……幸せだ」
互いの指先が絡まり、冷えた指先が温かい。
この小さな温もりが今はどんな日だまりよりも暖かく、安らげるように思えた。
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