インターネット字書きマンの落書き帳
水族館デートを楽しむ占い師さんと大学生と(みゆしば)
平和な世界線で普通に付き合っている手塚お兄さんと芝浦くんの話です。
(当たり前のように語っていますが、全て幻覚です)
今日はお休みなので二人でデートしようと、水族館に出かける話ですよ。
デートデート! と勇んで出かけてみたもののデートなんてした事ないから「これでいいの?」って思いっきり考えてしまうしばじゅんちゃんの話です。
キスくらいしてますよ、だって……させたかったからね!
キスくらいしてるけど、物陰でイチャイチャしているカップルの皆さん!
全て気付かれている、見られてると思って下さいね!(カップル警察)
(当たり前のように語っていますが、全て幻覚です)
今日はお休みなので二人でデートしようと、水族館に出かける話ですよ。
デートデート! と勇んで出かけてみたもののデートなんてした事ないから「これでいいの?」って思いっきり考えてしまうしばじゅんちゃんの話です。
キスくらいしてますよ、だって……させたかったからね!
キスくらいしてるけど、物陰でイチャイチャしているカップルの皆さん!
全て気付かれている、見られてると思って下さいね!(カップル警察)
『ただしいデートの楽しみ方』
休日。
どこか行きたい所があるかと聞かれ、手塚の行きたい所に行ってみたいと答えたところ連れてこられたのは都内でも大きな水族館だった。
青白いライトに彩られた館内は薄暗く、水槽の魚影がはっきりと見える。
休日なのもありカップルや家族連れが多く見られる中、男二人で連れ立って歩いているのは自分たちくらいなのは少し気恥ずかしかったがそれでも手塚と一緒に水族館を回れるという楽しみが勝っていた。
(休日に、二人で水族館とかさ……これってデートって奴だよね!? ……俺こんなにちゃんとしたデート初めてだからどうしたらいいかよく分らないんだけどっ……どうしよ……)
手塚は手を繋いできたり肩を抱き寄せたりといった、いかにも恋人同士がするような行動はしてこなかった。
だが時々立ち止まって芝浦がちゃんと着いてきているか探したり、水槽の前に立って魚の生態やその美しさについて話したりするのを傍で聞いていられるだけで楽しい気分になる。
両手を広げても届かないような巨大水槽を優雅に回遊する魚たちは、小さいものは無数の群れで。大きなものは一匹だけで悠々と泳いでいた。
個々に置かれた水槽にはあまり見ないカエルやサンショウウオのような生物が展示されている。
「このピンクっぽい色のやつは見た事がある……ウーパールーパーだ!」
「メキシコサンショウウオ……アホロートルと呼ばれる場合もあるな……」
水族館に誘うだけあり、手塚は水辺の生き物について詳しかった。
「やっぱ、海之って名前だからそういうの好きなの?」
「いや、別にそういうワケではないが……」
元々あまり賑やかな所は好きではなく、一人で思慮にふけりながら散歩をするほうが性に合っている手塚にとって展示物を眺めながら自分のペースで歩ける水族館や博物館、美術館といった場所の方が楽しめるのだという。
(そっか……手塚、自分の好きな場所に連れて来てくれたんだ……)
そう思うと嬉しいが、同時に不安になる。
普段、手塚はこういった場所に一人で来るのだろう。一人で来て静かに過し、水に浮ぶ生き物たちを眺める事で癒されているに違いない。
自分がいても、手塚はいつも通り楽しめているだろうか。
「こっちはクラゲのエリアみたいだな……少し暗いから足下気をつけろよ」
段差を気にしながら振り返る手塚にそっと近づくと、暗がりに隠れるようにして芝浦は先に進む。そして柱の陰に隠れながら遠目でライトアップされた水槽に浮ぶクラゲたちを眺めつつ、心配そうに耳打ちした。
「あの、あのさっ手塚……俺、ちゃんとしたデートっての? そういうのした事ないからさこういう時どうしていいか良くわかってないんだけど……手塚、俺といて楽しい? 俺、ちゃんとデートっぽい事出来てる?」
思わぬ質問に、手塚は目を丸くする。だがすぐに表情が緩むと、その頬を優しく撫でた。
「……充分すぎるくらいだから、あんまり可愛い事は言わないでくれ。人前でも……お前が欲しくなる」
「えっ、ちょっと待ってって……そんな事言われたらさ……」
芝浦は周囲の様子を伺うと、誰もこちらを見てないのを確認して軽く口づけを交わす。
「……俺だって欲しくなっちゃうから、ガマンできないじゃん」
普段から手塚が外で。特に人目のある場所で恋人同士のように振る舞うのを嫌っているのは気付いていた。あまり外で求めるのはどうにも恋人である芝浦を軽んじているような気がしてならないという手塚なりの優しさなのも知っていた。
だがそれでも、傍で可愛いなんて言われたら嬉しくてつい求めてしまう。こんな芝浦を軽率だと思って呆れるだろうか。恥ずかしいと思って見下すだろうか。
(……うっ、ガマンできなくてついしちゃったけど、やっぱ怒ってる? 怒ってるよね)
やってしまってから後悔をし手塚の顔をのぞき込めば、間髪入れずに手塚も唇を重ねてくる。
「て、手塚っ……」
「……黙ってろ、今なら誰も気付いてない」
そう言いながら身体を抱き寄せると、口づけを繰り返す。
(ちゃんと、デート出来てるのかわかんない、けど……)
やっぱり、こういう事をされるのは嬉しい。
芝浦は漠然とそう思いながら、愛しい男の手を握るのだった。
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