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インターネット字書きマンの落書き帳

   
ご主人様は奴隷の動向が気になるようです
新堂さんと日野さんが出る話です。
(挨拶を兼ねた登場人物の説明)

新堂さんが荒井くんと恋人関係、かつSMプレイ上では主従の関係を続けている中、荒井くんの以前のご主人様が実は日野さんだった事を知ってしまった新堂さんの話ですよ。
(隠す事ができなかった作者のフェチズム)

荒井の元カレ(?)が日野だったとかマジかよ。
どこまでしてんだよ、過去の男探るとかだせぇ事してるけど気になってアレコレ考えるより直接聞いた方が早ぇか!
そんな新堂さんが見たい人向けですよ。

つまり、俺向けってこと!
やった~! 俺向け最高です~!



『テメェに聞きたい事がある』

 よォ、日野。 悪ィが時間があったらツラ貸してくれねぇか。手間は取らせないからよ。
 はぁ?  体育館裏だぁ?
 っ、ばっか違ェよ俺の事を何だと思ってんだよ……別にお前にゃ恨みなんてねぇって……。

 だいたい俺よりもテメェの方がよっぽど恐ろしいヤツじゃ無ぇかよ。
 あの時の事もそうだが、あの後もよ……えげつねぇ事ばっかしやがって。つくづく思うぜ、優等生の皮ぁかぶったヤツの方が本当に怖ェんだってな。

 さて、バカな話ししてないでちょっと移動しようぜ。
 話したい事があるんだが、あんまり人に聞かせたく無ェ話なんだ。 どこか人の少ねぇ場所にでも……あぁ、そうだな、新聞部の部室ならちょうどいい。
 わざわざ外まで出なくてもいいし、休み時間の内に戻ってこられるだろうしな。
 何の用事かだァ?
 いいだろ、部屋についたら話すし別にテメェをどうこうしようって話じゃ無ぇよ。

 !?
 …………ッ。

 なんだ、テメェ、知ってたのか……。
 だがわかってるのなら早ェや。部室の鍵を開けてくれ。
 人に聞かれたくない理由はもう分かっただろ? 流石の俺もこんな話しを人前で言えるほど図太くねぇからな。

 ……ったく、相変わらずクソ暑いなこの部屋はよォ。
 まぁ、部室ってのはどこもさして過ごしやすい場所じゃ無ぇもんだが、文化部ってのは大概こんなにもクソ暑い部室をあてがわれるもんなのか?
 ボクシング部には一応空調もついてるぜ。ポンコツ空調だからとにかく冷やすか灼熱地獄にするか極端なボロだけどな。

 あぁ日野、飲み物買ってくるんだろう? ほら、財布。
 おごるぜ、お前の分も。俺が呼び出したんだしな。
 俺は水でいい。試合も近いし、減量中だからな。

 ……サンキュ、悪ィな。
 で、話しなんだが……何つーか……ホラ、あれだよアレ……。
 お前の、その……何つーんだ……。

 …………そう、そうだ。
 お前が……荒井の、前の「ご主人サマ」だった……ってのは本当なのか?

 そうか……やっぱり、そうなんだな……。

 いや、荒井から直接聞いた訳じゃ無ェよ。ただ、何となく……そう、なんとなくだ。
 あいつの話し方からして、そうじゃないかと思ってよ。疑いだしたら余計な事ばっかり考えちまうからよ……あー、こんなにウジウジ気にするくらいなら直接聞いた方がいいだろうと思ってよ。
 だからツラ貸してもらった、悪ィな面倒かけてよ。

 あぁ……そうだな。
 それ聞いてどうしたいんだって言われると俺にもよく分かんねェんだ。
 お前との関係が過去の話ってのも分かってるし、もうお前とも切れてんのも理解してんだよ。

 だが何つーんだろうなァ……。
 俺の知らない部分があると落ち着かないとでも言うのか……?
 ほら、テメェも荒井の事知ってるならわかるだろ? あいつはどうにも本気で言ってるのかわからない、ってのか……自分のことでもまるで第三者から見たような他人事みたいに話したりするだろ?
 だからどうにも、不安になるんだろうな。
 ちゃんと一人の「ご主人サマ」としてあいつを従える事が出来ているのか、ってのをよ。

 ……いや、違っ……違うっての。
 別にテメェに取られるんじゃ無ぇかとか、そういうのじゃ無ぇんだ。
 確かに今の荒井は俺のモンだ、横からかすめ取られたんならソイツを許さねぇし絶対に殺してやるけどな。
 ンでもあいつが簡単に誰かになびくようなタマじゃ無ぇのは俺がよく知ってんだ。
 そいつだけは絶対に許さねぇって、ちゃんと調教(おし)えてるしな……。

 ただそれでも、やっぱり元・ご主人サマってのは特別なのかもしれねぇと思ってよ。
 一応確認したんだ……本当にないよな?
 本当に一応聞いてみただけだ……気にするな。

 あぁ、わかってる。荒井が俺を裏切るつもりはない事くらい、俺が一番理解してるさ。
 さっきも言っただろ?
 俺を裏切るのは許さない、俺じゃないと絶対に満足できないような身体にしてやるって随分の身体に調教(おしえ)てきたんだ、今の荒井が自分から望んで離れていくような事は絶対に無いってな。

 あぁ、わかってる……それは全部わかってんだよ。
 こんな些細な事をいちいち気にするなんざらしく無ぇ。荒井の事も信頼してるしあいつが裏切らないってのも理解してんだよ。
 でもなァ、どうしても不安になっちまう。
 わかってんだよ、俺は自分の経験値が足りねぇから小せぇ事がいちいち気になるんだろ。
 荒井の事もまだよく分かってねぇし、今の自分がしている事も何処までがまともなのか分かったもんじゃねぇから不安になるんだろうな……。
 荒井は俺にしちゃぁ出来すぎた奴隷だしな。

 ん……いつからSM趣味に気付いたのか、か?
 ずっと前からじゃねぇよ……荒井に誘われて……いや、今考えるとあれは罠みたいなもんだったんだろうが……。
 とにかく荒井に言われるがままシてたらもう、後戻り出来ない所まで深入りしちまったんだよ。
 はぁ……まさかこんなのめり込むとはな。
 荒井に言われた時だって、最初は冗談くらいにしか考えてなかったんだぜ 。

 何だよ日野……はぁっ!? 俺にサディストの才能があるって?
 おいおい、バカ言うな、と言いたいところだが……その通りだったんだろうな、テメェで気付いてないだけでよ。
 今はもう思う存分殴って焦らしていじめ抜いてやらねぇと欲求が収まらねぇ……クソッ、自分でも嫌になるぜ。
 暴力で屈服させて、縛って身動きとれないような相手に散々罵倒して焦らした挙げ句に傷つけるなんて、卑怯モンのすることだろ?
 それを自分の手でするのも嫌な気分だが、何より嫌なのは、そんな自分がどうしようも無ぇクズだってわかってんのに楽しくて仕方ないって事だろうな……。

 そうだ、荒井に会うまで俺だって知らなかったぜ。
 俺自身がこんなに屈折した欲望を抱えて、行き場のないような暴力や虐待の衝動を胸の奥に秘めてたなんてな……。

 だが……そうだな。
 荒井もお前に会うまで、自分がとんだマゾヒストだって事に気付いてなかったのなら今の俺は、さしづめ過去のあいつの映し鏡……ってところなのかもな。

 はは、過去の自分を冷静に見るため俺を利用する、って発想は荒井らしいだろう。
 荒井が過去、自分があえて目を向けなかった被虐欲求に気付いた衝撃とそれを受け入れる課程をもう一度、こんどは俺が加虐欲求のあるサディストである事に気付かせる事で第三者の視点から俺を観測していた……なんて、あいつならやりかねねぇ。
 もしあいつの狙いがソレだったら、ぶん殴って川にでも突き落としてたんだがな。

 だがよォ、確かにサディストになる男を観測するのが目的なら、俺がサディストのご主人様になった時点であいつの目的は達成してるって事だよなァ。
 それならもう俺にこだわらなくてもいい……ってのに、あいつはまだ俺のそばから離れる様子も無ェ。

 何考えてんのかわかんねぇヤツだが……ホント、とことん読めねぇ。
 面倒くさいヤツだぜ。
 最もその面倒くせぇ所も今は結構愛着があるんだから、惚れた弱みってやつだろうな。

 ……あぁ、それはあるかもな。
 不慣れな俺を自分の理想にあるご主人様に育てたい……なんて荒井の考えそうなことだ。
 すっかり手慣れたご主人様の日野よりも俺の方が育て甲斐があると踏んで俺の前に現れたんなら妥当な判断だろうが……。
 チッ……それを考えるとどっちが「ご主人様」なのかって話だよな……。
 完全にあいつの手の内じゃ無ぇか。
 しゃくに障るが荒井に手玉にとられてる気がするのも事実だ。不満はそのままあいつの身体にぶつけてやるし、今は荒井の手引きに乗った方がいい気がするからな。
 もう少しマシなご主人様をやれるまでは、荒井に乗せられてやるのもま、そこまで不満じゃねぇかな。

 ……ってまて日野、今なんて言いやがった?
 荒井のこと……テメェ、やっぱりあいつの事抱いてたのか!?
 あいつはキスもセックスも俺が初めてだと…………言っ……。

 ……っ!?
 テメェ、日野……ハメやがったな……くそ、余計な事言っちまったな……。

 あぁ……抱いたよクソっ、仕方ねぇだろ流れで……そうなっちまったんだ。
 一度一線越えちまうと次のハードルって簡単にさがるもんだな。今はもうあいつしか抱いてねぇんだが……あいつだけは何度抱いても全然飽きやしねぇんだ。
 不思議なもんだよな、女が駄目になったとかそういうのじゃ無ぇんだが……。

 そのへんスジ通してぇからな。
 荒井と付き合ってる限りはあいつ意外と付き合うつもりは無ぇよ。
 いい女が来たからって乗り換えるのはスジじゃねぇだろ? それに荒井並に出来る奴隷なんてのはそうそう現れないとも思うしな。
 
 ……あぁ、悪かったよテメェの事茶化してよ……。
 おまえ、やけに同性愛者だって噂ばっかり流れてたからてっきりガチでそうだと思ってたぜ。
 でも、それにしたって茶化して笑う必用はなかったよなァ。
 今考えると、そういう自分が違うって部分を見ないでおく事で安心したかったんだろうな。

 今の自分が普通で、普通ではなくなる自分が存在するのが怖かったんだ。
 自分の信じてた価値観が崩れたりするのって、結構ショックがデカいからな。
 少なくとも俺は、荒井の身体を抱き潰した翌日は飯食えないくらいショックだったぜ?

 どうしてこうなったのか……とも思うが、別に荒井が迫ってきたって訳でもないんだよな。
 むしろ、あいつはすべて俺に任せて基本的には受け身でいたからよ。
 そういうふうに焦らされて求められるうちに、俺が欲しくなっちまったんだ。

 あいつの心も体も完全に俺のモノにしたいと思った時、愛だの恋だのといった言葉は便利な鎖になるんじゃないか……恋人という関係は口約束でも契約があるようなもんだろう。
 だからどうしても欲しくなっちまったんだよ、あいつの心を握って恋人の枠におさまれば、糖分は逃げられないだろうからな。

 狂わされた、といえばそうだよなァ。
 でも不思議とそこまで悪ィ気はしてねェんだ。

 だってそうだろう?
 俺に元々サディストの欲求があったんなら、遅かれ早かれ暴力と屈服のセックスにハマってただろうし、そうなった時は今より非道ェ事してるかもしれねぇ……。
 だとしたら荒井みたいに最初からわかっているヤツが相手をしてくれるのってむしろラッキーな方じゃねぇか?

 だからそうだな……。
 俺は荒井に狂わされたというよりも、元々狂ってた俺を荒井のヤツが受け入れてくれた……ってのがしっくりくるのかもな。

 あぁ、でも少しすっきりしたぜ。
 日野がSMやらサディストの理論やら、そういう話が出来るヤツだって分かったから多少は気が楽になった……ほら、わかるだろ、こんなアブノーマルな趣味抱えてればよ。

 一人で悶々としてたら、元々狂ってる歯車がぶっ壊れちまうって。
 荒井は上手くセーブしてくれてるとは思うけどよ……力だったら俺の方が強ェ。理性が飛んで本気出したらあいつの事殺しちまうかもしれないってのはいつも考えていたからな。
 そういうギリギリの所で耐えてる日々はボクシングの試合前みたいに妙にヒリついて嫌な汗をかく時もあったからよォ……。

 だから、吐き出せて楽になったぜ。
 ありがとな、日野。

 あぁ? 日野……おまえがサディストの基本を教えるっていうのか!?
 だ、誰がテメェの手ほどきなんざ受けるかよ!

 日野……テメェは俺より絶対にヤベェのに手ぇ出してんだろ?
 それにテメェ、やっぱりそういう趣味もあるんじゃ無ぇのか?
 おまえ、俺もストライクゾーンに入ってるとかそういうのは無ぇよな?

 まぁ、悪ィが今の俺は荒井昭二のご主人様なんだ。
 他の誰かの奴隷になるつもりも無ぇし、手ほどきも受けるつもりもねぇよ。

 荒井のヤツに上手く転がされているってのはしゃくに障るけどよ、あいつのためになるんならあいつの望む「ご主人サマ」とやらを極めてみるのも悪くねぇ。
 最近は結構、そう思ってんだ。

 クソみたいな愛情だろうし歪んで軋む欲望だってのはわかってんだよ。
 でもよォ、これで結構幸せなんだぜ。
 でも……べつに、変じゃ無ぇよな? いや、変だと言われても全然構わねぇんだけどよ。

 さて、長話に付き合わせて悪いな、日野。
 そろそろ行こうぜ……ってヤベェな、もう予鈴鳴ってんじゃ無ぇか。
 おい急ぐぞ! 次は黒木の授業なんだ下手したらマジで命がないからな!

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プロフィール
HN:
東吾
性別:
男性
職業:
インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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