インターネット字書きマンの落書き帳
察する男と察してほしくない男(tmirさん夢男子)
富入さんの協力者という立場で何やかんや、世話をやいている一般成人男性の話です。
一般成人男性と富入さんは情愛・思慕・性愛は一切ありません。
安心してご利用ください。
という訳で、富入のことすごくわかってるタイプの、できる協力者を読みたい人向けコンテンツです。
キミも富入さんのためにできる男になってみたくないか!
今日からなってみたいと思おうぜ!
一般成人男性と富入さんは情愛・思慕・性愛は一切ありません。
安心してご利用ください。
という訳で、富入のことすごくわかってるタイプの、できる協力者を読みたい人向けコンテンツです。
キミも富入さんのためにできる男になってみたくないか!
今日からなってみたいと思おうぜ!
『秋風の色彩』
目覚ましアラームのかわりに、けたたましい呼び出し音に起こされる。
欠伸を噛み殺しながら電話に出れば、やけに上機嫌な富入の声がした。
「あら、まだ寝ていたの? もうお昼よ」
やや甲高いくらいの声。 やけにハイテンションだ。
「アフタヌーンティーを楽しみたいの。一人で行くのもいいけど、連れがいたほうが楽しいでしょう?」
早口でそうまくし立てる様子を聞いて、男は一つため息をつく。
「わかりました。今、家ですか? 迎えに行きますから、そこで待っていてください」
そして、そう伝えると電話を切り、髪を掻き上げる。
――まったく、ほんとうに世話がやける人だ。
心の中でつぶやき、すぐさま外に出る。
冷たい秋風が、ビルとビルの合間から強く吹き付けていた。
※※※
都心からそう遠くもない、だが閑静な街並みを進んで目的地に着く。
「いらっしゃい。遅かったわね」
インターフォンを鳴らすとすぐさま、見慣れた富入の笑顔があった。
脇にいくつかのパンフレットをかかえている。
「候補はもう絞っているの。予約なしでも大丈夫な店よ。ねぇ、あなた。ベイサイドエリアと、展望のいいホテル。どっちがお好み?」
嬉々として語る富入に、男は手にした袋を差し出した。
ウイスキーにロックアイス、それと簡単なつまみがたっぷり入っている。
それを見た富入は、ひどく困惑した様子だった。
「ちょっと、なにこれ。私の家で宅飲みでもする気?」
「はい。少しばかり無理して、いいウイスキーを仕入れてきましたよ。アナタは高い酒じゃないと悪酔いするって言ってましたからね」
「何よ、私は……」
何かいいかける富入を、鋭い視線で諫める。
男が存外に真剣な顔をしていることで、冗談ではないのに気付いたのだろう。
「……何か、あったんでしょう? 誰かに言うことはできないほど、大きな何かが」
男の言葉に、富入はぐっと息をのむ。
だがすぐに観念したよう両手を挙げると、ふっと小さくため息をついた。
「もう、何でわかったのかしら」
「付き合い、長いですからね」
「ちょっと、説明になってないわよ」
ぷっ、と頬を膨らます富入の胸元を、手の甲で叩く。
「あなたが饒舌な時ほど、目が据わってる顔のほうが思い浮かぶんですよ」
そして男は、富入に酒とつまみの入った袋を押し付けるとずかずか部屋に上がり込んだ。
「何か作りましょうか? 料理はさして上手くはありませんが……」
「ちょ、ちょっといいわよ……そんな……」
「私も小腹が空いてるんで。パスタなら作れそうですね……豆乳のクリームパスタ、食べられそうですか?」
止める間もなく冷蔵庫から材料を並べる姿を見て、富入も諦めたようにソファーへこしかける。
「わかったわよ、もう……好きになさい」
「はい、好きにさせてもらいます。だからあなたも、私には嘘をつかないでください」
「もう……本当に可愛くないわね。あなた」
「可愛がられたいとも思ってませんから」
男は鍋を火に掛けると、閉ざされた部屋の窓を開け放つ。
部屋に入る秋風は日の光の恩恵を受け、随分と温かくなっている。
柔らかな風を受け、ソファーに座る富入は目を閉じる。
その頬を、秋風は優しく撫でていった。
目覚ましアラームのかわりに、けたたましい呼び出し音に起こされる。
欠伸を噛み殺しながら電話に出れば、やけに上機嫌な富入の声がした。
「あら、まだ寝ていたの? もうお昼よ」
やや甲高いくらいの声。 やけにハイテンションだ。
「アフタヌーンティーを楽しみたいの。一人で行くのもいいけど、連れがいたほうが楽しいでしょう?」
早口でそうまくし立てる様子を聞いて、男は一つため息をつく。
「わかりました。今、家ですか? 迎えに行きますから、そこで待っていてください」
そして、そう伝えると電話を切り、髪を掻き上げる。
――まったく、ほんとうに世話がやける人だ。
心の中でつぶやき、すぐさま外に出る。
冷たい秋風が、ビルとビルの合間から強く吹き付けていた。
※※※
都心からそう遠くもない、だが閑静な街並みを進んで目的地に着く。
「いらっしゃい。遅かったわね」
インターフォンを鳴らすとすぐさま、見慣れた富入の笑顔があった。
脇にいくつかのパンフレットをかかえている。
「候補はもう絞っているの。予約なしでも大丈夫な店よ。ねぇ、あなた。ベイサイドエリアと、展望のいいホテル。どっちがお好み?」
嬉々として語る富入に、男は手にした袋を差し出した。
ウイスキーにロックアイス、それと簡単なつまみがたっぷり入っている。
それを見た富入は、ひどく困惑した様子だった。
「ちょっと、なにこれ。私の家で宅飲みでもする気?」
「はい。少しばかり無理して、いいウイスキーを仕入れてきましたよ。アナタは高い酒じゃないと悪酔いするって言ってましたからね」
「何よ、私は……」
何かいいかける富入を、鋭い視線で諫める。
男が存外に真剣な顔をしていることで、冗談ではないのに気付いたのだろう。
「……何か、あったんでしょう? 誰かに言うことはできないほど、大きな何かが」
男の言葉に、富入はぐっと息をのむ。
だがすぐに観念したよう両手を挙げると、ふっと小さくため息をついた。
「もう、何でわかったのかしら」
「付き合い、長いですからね」
「ちょっと、説明になってないわよ」
ぷっ、と頬を膨らます富入の胸元を、手の甲で叩く。
「あなたが饒舌な時ほど、目が据わってる顔のほうが思い浮かぶんですよ」
そして男は、富入に酒とつまみの入った袋を押し付けるとずかずか部屋に上がり込んだ。
「何か作りましょうか? 料理はさして上手くはありませんが……」
「ちょ、ちょっといいわよ……そんな……」
「私も小腹が空いてるんで。パスタなら作れそうですね……豆乳のクリームパスタ、食べられそうですか?」
止める間もなく冷蔵庫から材料を並べる姿を見て、富入も諦めたようにソファーへこしかける。
「わかったわよ、もう……好きになさい」
「はい、好きにさせてもらいます。だからあなたも、私には嘘をつかないでください」
「もう……本当に可愛くないわね。あなた」
「可愛がられたいとも思ってませんから」
男は鍋を火に掛けると、閉ざされた部屋の窓を開け放つ。
部屋に入る秋風は日の光の恩恵を受け、随分と温かくなっている。
柔らかな風を受け、ソファーに座る富入は目を閉じる。
その頬を、秋風は優しく撫でていった。
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