インターネット字書きマンの落書き帳
思ったよりずっとモテる不良の彼氏(シンドー×アライ/BL)
はーい、平和な世界線で新堂×荒井のはなしをするものでーす! ここまで挨拶!
バレンタイン、バレンタインね~!
書けなかったよぉ、バレンタイン!
というワケで……バレンタイン14日目を始める!
何としても幸せな新堂×荒井を書きたいので……今日をバレンタイン14日目としてバレンタインのネタを書く事とする!
いつだって!
俺が書きたい時がバレンタイン!
その心もて……生きていこうなッ!
バレンタイン、バレンタインね~!
書けなかったよぉ、バレンタイン!
というワケで……バレンタイン14日目を始める!
何としても幸せな新堂×荒井を書きたいので……今日をバレンタイン14日目としてバレンタインのネタを書く事とする!
いつだって!
俺が書きたい時がバレンタイン!
その心もて……生きていこうなッ!
『わかっていたこと、わからないこと』
鳴神学園も3年生は年明けから受験一色になる。
就職するにしても進学するにしても2月に学校へ来る生徒は稀だった。
それでも新堂誠がその日に登校してきたのは、バレンタインデーだったからだろう。
夏の大会でそれなりの成績を残した新堂はスポーツ推薦枠で早々に進学を決め、2月になっても身軽な立場だった。
本人は今まで世話になった教師や仲の良い後輩たちに挨拶をするためといっていたが、チョコレートを受け取るという目的もあるのだろう。
本人が自覚しているかはわからないが、新堂はモテる男だ。
後輩たち、とくに同性はいかにも不良っぽく悪ぶった新堂の態度に憧れ、何となく慕ったり頼りにする生徒も多い。
また新堂は親しくなった相手には親身に尽くすタイプであり、目の前で困っている人間を放っておけるほど冷淡な性格でもないため、あれこれ手を貸しているうちに淡い好意を抱いて接する生徒も少なくないのだ。
それは恋愛や思慕というより、アイドルに憧れるファンのような薄い好意だろう。
それでも、バレンタインという特別な日にチョコレートを渡すだけの理由には充分になる。
放課後、荒井が新堂と会った時、新堂の紙袋はチョコレートでいっぱいになっていた。
「新堂さん、もらえたんですね。チョコレート」
新堂は慕われているのだから、チョコレートがもらえるのも当然だ。
頭では理解しているのだが、認めたくない気持ちからつい辛辣な言葉が出る。
どうして僕以外の人から、そんなものを貰うんですか。
同じだけの量を僕があげますから、全部捨てて僕のチョコレートだけ食べてください。
そんな本心をぐっと飲み込む。
重すぎる感情を、新堂にはあまり悟られたくなかった。
「おぉ。なんか思ったよりいっぱいもらえたんだよな。ボクシング部の後輩とか、助っ人に入った運動部の後輩とか……ははっ、星野や坂上もくれたぜ。友チョコってやつ? あいつらに気を遣わせたみたいで悪ぃな、とは思うが……甘いモンは嬉しいよな」
嫉妬渦巻く荒井の視線に気付かず、新堂は歯を見せて笑う。本心から喜んでいるのだろうし、新堂に差し出されたチョコのほとんどは憧憬や友情なのだろう。
だがひょっとして、一つでも。一欠片でも新堂への愛を求めているチョコレートがあるのではないか。そう思うだけで、今すぐチョコレートを取り上げて焼却炉にでも放り込んでやりたい気持ちだった。
目の前にいる新堂が、嬉しそうに笑っているから尚更だ。
「そういうお前も、結構貰ってるな。俺より全然多いんじゃねぇの」
新堂はニヤリと笑うと、荒井のバッグをのぞく。
新堂の言う通り、荒井もそこそこのチョコレートをもっていた。ほとんどが下駄箱や机に入れられていたもので直接もらったものは一つもないが、荒井宛であるのは間違いない。
だが、この一つたりとも荒井の心を満たすものはなかった。
顔の知らない誰かのチョコレートなんか、どうでもいい。それよりも、新堂のもつチョコレートのほうがよっぽど気になった。
手作りの品もあるのだろうか。新堂は全部が義理か、友情だと思っているだろう。だがその中には友情で渡すには手のかかりすぎている品や、高級すぎる品が紛れているのではないだろうか。
苛立ちから自然と、つい爪を噛む。
そんな荒井の態度に、新堂はどこまでも鈍感な振る舞いをしていた。
「ところで、おまえはくれないのか?」
二人で並んで歩き出しすぐ、新堂は当然のように問いかける。
荒井が新堂と付き合うようになったのは去年の夏頃だ。文化祭のように二人で過ごせるイベントは一緒にいたし、クリスマスから年末も二人きりですごした。互いの唇も、肌の温もりだって知っているのだ。バレンタインにチョコレートを期待するのも当然だろう。
実際のところ、新堂がバレンタインにわざわざ学校に来てくれたのも、荒井のためだというのはわかっていた。恋人らしいイベントの時は二人きりで過ごしたい。実に学生らしい理想だろう。
「あげるわけないでしょう。僕は、こういったイベントは嫌いですから」
本当は、チョコレートを準備してある。
新堂が抱えている紙袋に入った有象無象とは違う、様々な情報を吟味して購入した特別なチョコレートだ。甘党の新堂ならきっと気に入ってくれるだろう。その確信もある。
だが、今は渡せば新堂のもつ紙袋に粗雑に入れられ、あの有象無象と同じように扱われるのではないだろうか。そう思い、差し出す気にはなれなかったのだ。
「なーんだよ。お前からのチョコ、一番期待してたのにな」
新堂は唇をとがらせながら、心底残念そうな顔をする。
そんなに期待してくれたのかと嬉しく思う反面、それならどうして他の誰かからチョコレートなどもらったのかと嫉妬が頭をもたげてきた。
仕方ない、これも性分だ。だが、家に来たのならチョコレートを渡そう。
その時はきちんと、新堂のために準備しておいたことを告げよう。
内心そう呟く荒井の前に、チョコレートの箱が差し出される。
「ほらよ」
新堂はそう言うと、牙のような歯を見せ笑った。
「な、なんですか、これ……」
「何って、チョコレートだよ。有り難く受け取れよ。俺は今日、これだけチョコレートをもらったけどよ……くれるのは、お前にだけだからな」
差し出されたチョコレートを、少しの間呆然と見つめる。
あぁ、いつもそうだ。
新堂がモテるのなんてわかっていたし、彼はチョコレートを沢山もらうのもわかっていた。誰かがプレゼントしてくれればそれを断ったりしない性格だから、全部もらってくるのも、全部わかっていたはずだ。
こんなにもわかっているつもりだったのに、まさか自分にチョコレートをくれるとは思ってもいなかったのだから面白い。
「……ありがとうございます」
荒井は嬉しさでつい笑顔になると、チョコレートを胸に抱く。
そして、自然と新堂と手を繋いでいた。
早く家に帰ろう。
家に帰ったらすぐ、準備しておいたチョコレートを渡そう。
荒井だって今日、チョコレートを渡すのは新堂だけなのだから。
鳴神学園も3年生は年明けから受験一色になる。
就職するにしても進学するにしても2月に学校へ来る生徒は稀だった。
それでも新堂誠がその日に登校してきたのは、バレンタインデーだったからだろう。
夏の大会でそれなりの成績を残した新堂はスポーツ推薦枠で早々に進学を決め、2月になっても身軽な立場だった。
本人は今まで世話になった教師や仲の良い後輩たちに挨拶をするためといっていたが、チョコレートを受け取るという目的もあるのだろう。
本人が自覚しているかはわからないが、新堂はモテる男だ。
後輩たち、とくに同性はいかにも不良っぽく悪ぶった新堂の態度に憧れ、何となく慕ったり頼りにする生徒も多い。
また新堂は親しくなった相手には親身に尽くすタイプであり、目の前で困っている人間を放っておけるほど冷淡な性格でもないため、あれこれ手を貸しているうちに淡い好意を抱いて接する生徒も少なくないのだ。
それは恋愛や思慕というより、アイドルに憧れるファンのような薄い好意だろう。
それでも、バレンタインという特別な日にチョコレートを渡すだけの理由には充分になる。
放課後、荒井が新堂と会った時、新堂の紙袋はチョコレートでいっぱいになっていた。
「新堂さん、もらえたんですね。チョコレート」
新堂は慕われているのだから、チョコレートがもらえるのも当然だ。
頭では理解しているのだが、認めたくない気持ちからつい辛辣な言葉が出る。
どうして僕以外の人から、そんなものを貰うんですか。
同じだけの量を僕があげますから、全部捨てて僕のチョコレートだけ食べてください。
そんな本心をぐっと飲み込む。
重すぎる感情を、新堂にはあまり悟られたくなかった。
「おぉ。なんか思ったよりいっぱいもらえたんだよな。ボクシング部の後輩とか、助っ人に入った運動部の後輩とか……ははっ、星野や坂上もくれたぜ。友チョコってやつ? あいつらに気を遣わせたみたいで悪ぃな、とは思うが……甘いモンは嬉しいよな」
嫉妬渦巻く荒井の視線に気付かず、新堂は歯を見せて笑う。本心から喜んでいるのだろうし、新堂に差し出されたチョコのほとんどは憧憬や友情なのだろう。
だがひょっとして、一つでも。一欠片でも新堂への愛を求めているチョコレートがあるのではないか。そう思うだけで、今すぐチョコレートを取り上げて焼却炉にでも放り込んでやりたい気持ちだった。
目の前にいる新堂が、嬉しそうに笑っているから尚更だ。
「そういうお前も、結構貰ってるな。俺より全然多いんじゃねぇの」
新堂はニヤリと笑うと、荒井のバッグをのぞく。
新堂の言う通り、荒井もそこそこのチョコレートをもっていた。ほとんどが下駄箱や机に入れられていたもので直接もらったものは一つもないが、荒井宛であるのは間違いない。
だが、この一つたりとも荒井の心を満たすものはなかった。
顔の知らない誰かのチョコレートなんか、どうでもいい。それよりも、新堂のもつチョコレートのほうがよっぽど気になった。
手作りの品もあるのだろうか。新堂は全部が義理か、友情だと思っているだろう。だがその中には友情で渡すには手のかかりすぎている品や、高級すぎる品が紛れているのではないだろうか。
苛立ちから自然と、つい爪を噛む。
そんな荒井の態度に、新堂はどこまでも鈍感な振る舞いをしていた。
「ところで、おまえはくれないのか?」
二人で並んで歩き出しすぐ、新堂は当然のように問いかける。
荒井が新堂と付き合うようになったのは去年の夏頃だ。文化祭のように二人で過ごせるイベントは一緒にいたし、クリスマスから年末も二人きりですごした。互いの唇も、肌の温もりだって知っているのだ。バレンタインにチョコレートを期待するのも当然だろう。
実際のところ、新堂がバレンタインにわざわざ学校に来てくれたのも、荒井のためだというのはわかっていた。恋人らしいイベントの時は二人きりで過ごしたい。実に学生らしい理想だろう。
「あげるわけないでしょう。僕は、こういったイベントは嫌いですから」
本当は、チョコレートを準備してある。
新堂が抱えている紙袋に入った有象無象とは違う、様々な情報を吟味して購入した特別なチョコレートだ。甘党の新堂ならきっと気に入ってくれるだろう。その確信もある。
だが、今は渡せば新堂のもつ紙袋に粗雑に入れられ、あの有象無象と同じように扱われるのではないだろうか。そう思い、差し出す気にはなれなかったのだ。
「なーんだよ。お前からのチョコ、一番期待してたのにな」
新堂は唇をとがらせながら、心底残念そうな顔をする。
そんなに期待してくれたのかと嬉しく思う反面、それならどうして他の誰かからチョコレートなどもらったのかと嫉妬が頭をもたげてきた。
仕方ない、これも性分だ。だが、家に来たのならチョコレートを渡そう。
その時はきちんと、新堂のために準備しておいたことを告げよう。
内心そう呟く荒井の前に、チョコレートの箱が差し出される。
「ほらよ」
新堂はそう言うと、牙のような歯を見せ笑った。
「な、なんですか、これ……」
「何って、チョコレートだよ。有り難く受け取れよ。俺は今日、これだけチョコレートをもらったけどよ……くれるのは、お前にだけだからな」
差し出されたチョコレートを、少しの間呆然と見つめる。
あぁ、いつもそうだ。
新堂がモテるのなんてわかっていたし、彼はチョコレートを沢山もらうのもわかっていた。誰かがプレゼントしてくれればそれを断ったりしない性格だから、全部もらってくるのも、全部わかっていたはずだ。
こんなにもわかっているつもりだったのに、まさか自分にチョコレートをくれるとは思ってもいなかったのだから面白い。
「……ありがとうございます」
荒井は嬉しさでつい笑顔になると、チョコレートを胸に抱く。
そして、自然と新堂と手を繋いでいた。
早く家に帰ろう。
家に帰ったらすぐ、準備しておいたチョコレートを渡そう。
荒井だって今日、チョコレートを渡すのは新堂だけなのだから。
PR
COMMENT