インターネット字書きマンの落書き帳
元カレが黒沢という山ガスの松ガス概念(BL)
松田の家に転がり混んで特に何もしない山田ガスマスクの話しますね~。
山田の元カレが黒沢という概念が好きなので……。
寝ている山田がうっかり黒沢の名前を呟いたからバチ切れする松田みたいな話ですよ。
お客さん……うちの馴染みの味だよ。
食っていきな。
砂糖と醤油で何でも煮た味になるやつだ……。
山田の元カレが黒沢という概念が好きなので……。
寝ている山田がうっかり黒沢の名前を呟いたからバチ切れする松田みたいな話ですよ。
お客さん……うちの馴染みの味だよ。
食っていきな。
砂糖と醤油で何でも煮た味になるやつだ……。
『それを人は嫉妬と呼ぶんだぜ』
自宅マンションに戻った松田の目に入ったのは、ソファーの上で丸くなって寝ている山田の姿だった。
ひょんな事から松田の家に転がり混んできた山田だが、松田はおおかた天誅事件の容疑者の一人として松田に接触したのだと思っていた。
というのも、今までマスコミ関係の人間が接触する時は、ほとんどが天誅事件についての事や殺された同僚の野村についての話をしてきたからだ。
山田もWebライターをしているというのだから、広義ではマスコミの一員だろう。
だから必ず天誅事件の事や、被害者の野村の事など聞いてくるものだろうと身構えていたのだが、山田は特に松田に対してあれこれ質問することもなく、ただ部屋にいてパソコンを立ち上げ仕事をしたり、普段はどうしているのかとか、趣味は何なのかといったどうでもいい話ばかりしていた。
中々家を出ていかないから、「飯くらい作っておけ」と言ったら、飯が焦げひどく不格好なオムライスが置いてあり、卵の殻が入った焦げ付きオムライスの二つのじゃりじゃり食感を食わされる羽目になったので、あれから一度も飯を作れとは言っていない。
何の用もないのなら出ていけ。
そう言おうと思った事も一度や二度ではないのだが、もし山田を部屋から追い出せば二度と姿を見せなくなりそうな、このまま影を引きずってどこかに消えてしまうような気がして、邪険に扱う事も出来ず今に至っていた。
まったく、俺はコイツをどうしたいんだ?
ずっとこんな生活をしている訳にはいかないだろう。
自分にはやらなければいけない仕事が山ほどあるというのに、コイツが来てから仕事なんてほとんど進んでいない。
掃除や洗濯など率先してする訳ではないし、何なら食事は松田が作る事が多い。その癖、作ったものに「味が濃い」とか「タマネギが生焼け」だなんて文句を垂れるクソガキだ。
山田が転がりこんでから勝手にベッドに潜り込むことも多いので、きちんとした睡眠もとれてないから疲れはたまるし、ストレスがかかるばかりだというのに、強く追い出そうとも思えないのは一体なぜなのだろう。
松田は胸に湧き上がる様々な感情をすべて吐き出すよう深いため息をつく。
スマホを見ていて眠くなったのか、ソファーから垂れ下がる山田の指先にはスマホが転がっていた。
「まったく、こないなところで寝てしょうもないガキやな……」
悪態をつきながら毛布をかけると、山田はもぞもぞ動き毛布を自分に引き寄せる。
「ん……ありがと、優弥サン……大好き」
山田は唇を動かし、確かにそう言った。
寝言だったのかもしれないし、無意識だったのは間違いないだろうが確かにそう言ったのだ。
松田の名前ではない、松田の知らない男の名前を。
「……はぁ? お前、いい加減にしいや!」
松田は感情の趣くまま、山田を毛布に包み込むと身動きとれないようにしっかり捕まえベッドへ転がす。
「ふぁっ! な、何するのさ……松田サン? ど、どうしたの。僕、松田サンの怒るようなこと……した?」
突然ベッドに投げ出された山田は、寝ぼけ眼のまま驚きの顔を松田に向ける。
怒るような事なら、散々してきただろう。
勝手に家に転がりこんだ癖に何もせず、食事も洗濯も全部松田が世話をしている。家で仕事はしているようだがその金を松田に渡している訳ではないし、休日ともなれば「松田サン、松田サン」と子犬のようにまとわりついてきて必死に構ってもらおうとする。
突然現れたくせに、松田の生活を散々引っかき回しているのだ。
だが、それは別に構わなかった。
歳の離れた弟が出来たような気持ちにもなったし、長らく信頼できる友人関係がなかった松田にとって他愛もない話で日常を埋めてくれる存在は貴重だったからだ。
山田がいる生活が当たり前になり、このまま何となく家に山田がいる生活がずっと続くような淡い期待を抱いていたというのに、山田の中にいるのは誰か別の面影で、自分ではないのだ。
この男はきっと、ずっとその面影を追いかけて、誰かに重ねて生きているのだろう。
今回はたまたま、松田の輪郭がその男に重なっていただけ。だから、そばにいるだけなのだ。
「しゃらくさいガキの分際で、俺のこと随分と舐めとるよな、お前」
「ち、ちが……僕、そんなこと……」
「黙れ! ……お前、自分がどういう立場なんか少し分からせたるわ」
松田は山田の身体を力いっぱいベッドに押し沈める。
山田の細い身体から悲鳴のように骨が軋む音が響く中。
あぁ、俺はこいつのこと好きになってたんだな。
ゆっくりと脳髄に、その事実が浸透していく。
眼前には怯えの中に僅かな期待を孕ませうっすらと涙を浮かべながら、道化師のように笑う山田の姿は愛おしく、そして憎らしかった。
自宅マンションに戻った松田の目に入ったのは、ソファーの上で丸くなって寝ている山田の姿だった。
ひょんな事から松田の家に転がり混んできた山田だが、松田はおおかた天誅事件の容疑者の一人として松田に接触したのだと思っていた。
というのも、今までマスコミ関係の人間が接触する時は、ほとんどが天誅事件についての事や殺された同僚の野村についての話をしてきたからだ。
山田もWebライターをしているというのだから、広義ではマスコミの一員だろう。
だから必ず天誅事件の事や、被害者の野村の事など聞いてくるものだろうと身構えていたのだが、山田は特に松田に対してあれこれ質問することもなく、ただ部屋にいてパソコンを立ち上げ仕事をしたり、普段はどうしているのかとか、趣味は何なのかといったどうでもいい話ばかりしていた。
中々家を出ていかないから、「飯くらい作っておけ」と言ったら、飯が焦げひどく不格好なオムライスが置いてあり、卵の殻が入った焦げ付きオムライスの二つのじゃりじゃり食感を食わされる羽目になったので、あれから一度も飯を作れとは言っていない。
何の用もないのなら出ていけ。
そう言おうと思った事も一度や二度ではないのだが、もし山田を部屋から追い出せば二度と姿を見せなくなりそうな、このまま影を引きずってどこかに消えてしまうような気がして、邪険に扱う事も出来ず今に至っていた。
まったく、俺はコイツをどうしたいんだ?
ずっとこんな生活をしている訳にはいかないだろう。
自分にはやらなければいけない仕事が山ほどあるというのに、コイツが来てから仕事なんてほとんど進んでいない。
掃除や洗濯など率先してする訳ではないし、何なら食事は松田が作る事が多い。その癖、作ったものに「味が濃い」とか「タマネギが生焼け」だなんて文句を垂れるクソガキだ。
山田が転がりこんでから勝手にベッドに潜り込むことも多いので、きちんとした睡眠もとれてないから疲れはたまるし、ストレスがかかるばかりだというのに、強く追い出そうとも思えないのは一体なぜなのだろう。
松田は胸に湧き上がる様々な感情をすべて吐き出すよう深いため息をつく。
スマホを見ていて眠くなったのか、ソファーから垂れ下がる山田の指先にはスマホが転がっていた。
「まったく、こないなところで寝てしょうもないガキやな……」
悪態をつきながら毛布をかけると、山田はもぞもぞ動き毛布を自分に引き寄せる。
「ん……ありがと、優弥サン……大好き」
山田は唇を動かし、確かにそう言った。
寝言だったのかもしれないし、無意識だったのは間違いないだろうが確かにそう言ったのだ。
松田の名前ではない、松田の知らない男の名前を。
「……はぁ? お前、いい加減にしいや!」
松田は感情の趣くまま、山田を毛布に包み込むと身動きとれないようにしっかり捕まえベッドへ転がす。
「ふぁっ! な、何するのさ……松田サン? ど、どうしたの。僕、松田サンの怒るようなこと……した?」
突然ベッドに投げ出された山田は、寝ぼけ眼のまま驚きの顔を松田に向ける。
怒るような事なら、散々してきただろう。
勝手に家に転がりこんだ癖に何もせず、食事も洗濯も全部松田が世話をしている。家で仕事はしているようだがその金を松田に渡している訳ではないし、休日ともなれば「松田サン、松田サン」と子犬のようにまとわりついてきて必死に構ってもらおうとする。
突然現れたくせに、松田の生活を散々引っかき回しているのだ。
だが、それは別に構わなかった。
歳の離れた弟が出来たような気持ちにもなったし、長らく信頼できる友人関係がなかった松田にとって他愛もない話で日常を埋めてくれる存在は貴重だったからだ。
山田がいる生活が当たり前になり、このまま何となく家に山田がいる生活がずっと続くような淡い期待を抱いていたというのに、山田の中にいるのは誰か別の面影で、自分ではないのだ。
この男はきっと、ずっとその面影を追いかけて、誰かに重ねて生きているのだろう。
今回はたまたま、松田の輪郭がその男に重なっていただけ。だから、そばにいるだけなのだ。
「しゃらくさいガキの分際で、俺のこと随分と舐めとるよな、お前」
「ち、ちが……僕、そんなこと……」
「黙れ! ……お前、自分がどういう立場なんか少し分からせたるわ」
松田は山田の身体を力いっぱいベッドに押し沈める。
山田の細い身体から悲鳴のように骨が軋む音が響く中。
あぁ、俺はこいつのこと好きになってたんだな。
ゆっくりと脳髄に、その事実が浸透していく。
眼前には怯えの中に僅かな期待を孕ませうっすらと涙を浮かべながら、道化師のように笑う山田の姿は愛おしく、そして憎らしかった。
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