インターネット字書きマンの落書き帳
逃げるように死に急ぐことを決して許さない(松ガス/BL)
己がカルマと向き合え!(挨拶)
以前、山田ガスマスクが脱法ドラッグでイカれる話を書いた気がするけど。
その話の松田側視点っぽい話を書きました。
最初はこっちを先に書いていたんだけどね。
結果的に山ガス脱法ドラッグの話が先にできたので、お蔵入りにしようかと思ったんだけど、7割書けていたから勿体ないので出しました♥
勿体ない精神で生きています♥
以前、山田ガスマスクが脱法ドラッグでイカれる話を書いた気がするけど。
その話の松田側視点っぽい話を書きました。
最初はこっちを先に書いていたんだけどね。
結果的に山ガス脱法ドラッグの話が先にできたので、お蔵入りにしようかと思ったんだけど、7割書けていたから勿体ないので出しました♥
勿体ない精神で生きています♥
『デュオニソスの拒絶』
山田に連絡しても返事がないのを奇妙に思った松田は、仕事帰りに彼の住むアパートに寄ることにした。
普段は松田の家に入り浸っている山田だが、Webライターの仕事が佳境になると自宅に戻り缶詰になることが年に数度ある。
そんな時はSNSの更新も減るし、メッセージを送っても既読がついて返事がないというのもしょっちゅうだ。
だが、連絡を見ないまま放置するのは珍しい。
最寄り駅に着き、電話をしてみるが出る様子はない。
スマホとパソコンは常に携帯するような奴だから、電話に出ないのは滅多にないはずだ。
風呂でも入っているのだろうか。
「根詰めすぎて飯食うのも忘れてなきゃええんやけどな」
松田は慣れた道を通り、山田のアパートへ向かう。
すでに夜は更けているというのに、山田の部屋に明かりはない。
出かけているのか。いや、そんなはずはない。
もし外に出ているのなら、既読くらいは付くはずだ。
胸騒ぎを覚えた松田の足は自然と早くなる。
「おい、山田。いるのか! いるなら返事しい!」
ドアを開けながら中へ声をかけるが、部屋には明かりがついておらず誰の返事もない。
かわりに、微かに喘ぐような声が途切れ途切れに聞こえてきた。
松田は耳をそばだて、声を頼りに奥へ進む。
声はリビングからするようだった。
山田の部屋にはあまり来ないため、どこに電気があるのかもわからず手探りで進むと、暗がりの中に青白い肌が浮かび上がる。
それはソファの上で寝転ぶ山田だった。
何だ、いるんじゃないか。寝ていたから気付かなかったのか。
いや、おかしい。普段の山田とは、何か違う。
「おい山田……大丈夫か? おい!」
違和感は焦りにかわり、松田は慌ててそばへ駆け寄る。
よく見ると山田の身体はビクビクと痙攣し、汗でぐっしょり濡れていた。明らかに異常だ。 山田が軽率なのはいつものことだが、これは相当にマズい。
直感的にそう思い、松田は辺りを見渡す。
テーブルには見たことのないチープなラベルの小瓶が転がっていた。
中には何か入っていたようだが、もう空になっている。
箱でもあれば正体がわかるのだが。
「あ……あ……」
周囲を覗う松田の気配に気付いたのか、山田は微かに呻きながら目を開けた。
「何や、山田。起きたんか? おまえ……」
一体どうした。何があったんだ。心配をかけるな。
様々な思いが頭を巡り何と言おうか迷う松田を見ると、山田はひどく悲しげに笑って見せた。
「あはぁ……松田さん……どうして……僕なんかに、構うの? ……もう、助けないでよ。僕は……もう、疲れちゃった」
そう言って手を伸ばしかけるが、すぐにだらりと脱力する。
本当にマズいのか。
だが、下手に救急車を呼べば大きな騒ぎになる気がする。
それだけじゃなくても、山田は何かと目立つ存在なのだ。警察沙汰になればそれでこそおしまいだ。
「……アホ抜かせ!」
松田は思いきり声を張ると、山田の頬に思い切り平手打ちをした。
何が「助けないで」だ。だったらどうして自分に近づいた。どうして自分から、野村の話を聞こうとした。自分の罪を少しでも理解したいと思っていたからじゃないのか。
それなのに、こんな形で逃げるなど、どうして許せるというのだ。
疲れた?
甘えたコトを言うな。お前に振り回されているコッチの気持ちを分かっているのか。
お前が命を奪った野村は、まだまだやりたいコトが山ほどあったのだ。
それなのに、お前が命を諦めるな。
「おまえ、ホンマ死んだら許さへんからな! お前の命で償えるほど、野村の命は軽ろないわ!」
さらに頬を打つと、山田は虚ろな目に涙が浮かぶ。
「そうだよ。そう、そう……わかってる、わかってるんだけどねぇ……」
山田は松田の胸に縋り付き幾度も幾度も「ごめんなさい」と呟いて泣き続けた後、急に糸が切れたようにその場に崩れ落ちる。
まさか、本当に死んだのか。
慌てて呼吸を確認するが、思いの外穏やかな様子に松田は安堵の息を吐く。
そして山田の身体を抱え上げると、寝室まで運んだ。
リビングと比べれば、こちらには妙な匂いが籠もってはいない。
ベッドに寝かせても、落ち着いたように眠っている。
ひとまず、異常は無さそうだ。
念のため窓を開け換気をし、部屋をぐるりと見渡してから松田は山田の髪を撫でた。
「いいか、お前……こんな風に逃がさへんからな。お前は、野村の人生を終わらせて、俺の人生だってメチャクチャにした……お前には、絶対にそれをわからせたる。だから……分かるまで、絶対に死なせてなんてやらん。絶対にや」
――だから、勝手にいなくならないでくれ。
その思いを飲み込み、松田は山田の頬を撫でる。
その指先は、冷たい涙で僅かに濡れていた。
山田に連絡しても返事がないのを奇妙に思った松田は、仕事帰りに彼の住むアパートに寄ることにした。
普段は松田の家に入り浸っている山田だが、Webライターの仕事が佳境になると自宅に戻り缶詰になることが年に数度ある。
そんな時はSNSの更新も減るし、メッセージを送っても既読がついて返事がないというのもしょっちゅうだ。
だが、連絡を見ないまま放置するのは珍しい。
最寄り駅に着き、電話をしてみるが出る様子はない。
スマホとパソコンは常に携帯するような奴だから、電話に出ないのは滅多にないはずだ。
風呂でも入っているのだろうか。
「根詰めすぎて飯食うのも忘れてなきゃええんやけどな」
松田は慣れた道を通り、山田のアパートへ向かう。
すでに夜は更けているというのに、山田の部屋に明かりはない。
出かけているのか。いや、そんなはずはない。
もし外に出ているのなら、既読くらいは付くはずだ。
胸騒ぎを覚えた松田の足は自然と早くなる。
「おい、山田。いるのか! いるなら返事しい!」
ドアを開けながら中へ声をかけるが、部屋には明かりがついておらず誰の返事もない。
かわりに、微かに喘ぐような声が途切れ途切れに聞こえてきた。
松田は耳をそばだて、声を頼りに奥へ進む。
声はリビングからするようだった。
山田の部屋にはあまり来ないため、どこに電気があるのかもわからず手探りで進むと、暗がりの中に青白い肌が浮かび上がる。
それはソファの上で寝転ぶ山田だった。
何だ、いるんじゃないか。寝ていたから気付かなかったのか。
いや、おかしい。普段の山田とは、何か違う。
「おい山田……大丈夫か? おい!」
違和感は焦りにかわり、松田は慌ててそばへ駆け寄る。
よく見ると山田の身体はビクビクと痙攣し、汗でぐっしょり濡れていた。明らかに異常だ。 山田が軽率なのはいつものことだが、これは相当にマズい。
直感的にそう思い、松田は辺りを見渡す。
テーブルには見たことのないチープなラベルの小瓶が転がっていた。
中には何か入っていたようだが、もう空になっている。
箱でもあれば正体がわかるのだが。
「あ……あ……」
周囲を覗う松田の気配に気付いたのか、山田は微かに呻きながら目を開けた。
「何や、山田。起きたんか? おまえ……」
一体どうした。何があったんだ。心配をかけるな。
様々な思いが頭を巡り何と言おうか迷う松田を見ると、山田はひどく悲しげに笑って見せた。
「あはぁ……松田さん……どうして……僕なんかに、構うの? ……もう、助けないでよ。僕は……もう、疲れちゃった」
そう言って手を伸ばしかけるが、すぐにだらりと脱力する。
本当にマズいのか。
だが、下手に救急車を呼べば大きな騒ぎになる気がする。
それだけじゃなくても、山田は何かと目立つ存在なのだ。警察沙汰になればそれでこそおしまいだ。
「……アホ抜かせ!」
松田は思いきり声を張ると、山田の頬に思い切り平手打ちをした。
何が「助けないで」だ。だったらどうして自分に近づいた。どうして自分から、野村の話を聞こうとした。自分の罪を少しでも理解したいと思っていたからじゃないのか。
それなのに、こんな形で逃げるなど、どうして許せるというのだ。
疲れた?
甘えたコトを言うな。お前に振り回されているコッチの気持ちを分かっているのか。
お前が命を奪った野村は、まだまだやりたいコトが山ほどあったのだ。
それなのに、お前が命を諦めるな。
「おまえ、ホンマ死んだら許さへんからな! お前の命で償えるほど、野村の命は軽ろないわ!」
さらに頬を打つと、山田は虚ろな目に涙が浮かぶ。
「そうだよ。そう、そう……わかってる、わかってるんだけどねぇ……」
山田は松田の胸に縋り付き幾度も幾度も「ごめんなさい」と呟いて泣き続けた後、急に糸が切れたようにその場に崩れ落ちる。
まさか、本当に死んだのか。
慌てて呼吸を確認するが、思いの外穏やかな様子に松田は安堵の息を吐く。
そして山田の身体を抱え上げると、寝室まで運んだ。
リビングと比べれば、こちらには妙な匂いが籠もってはいない。
ベッドに寝かせても、落ち着いたように眠っている。
ひとまず、異常は無さそうだ。
念のため窓を開け換気をし、部屋をぐるりと見渡してから松田は山田の髪を撫でた。
「いいか、お前……こんな風に逃がさへんからな。お前は、野村の人生を終わらせて、俺の人生だってメチャクチャにした……お前には、絶対にそれをわからせたる。だから……分かるまで、絶対に死なせてなんてやらん。絶対にや」
――だから、勝手にいなくならないでくれ。
その思いを飲み込み、松田は山田の頬を撫でる。
その指先は、冷たい涙で僅かに濡れていた。
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