インターネット字書きマンの落書き帳
クリスマスのお裾分け(新堂×荒井/BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂×荒井の話をします♥
クリスマスの時はね!
書けなかったからね!
リベンジで、クリスマスの話を……します!
クリスマス・イヴの夜、パーティのお裾分けにくる新堂さんの話ですよ。
Happy Christmas!
いつまでクリスマス気分でいるんだろうね!?
Jesusも俺に祝われて嬉しかろうて!
クリスマスの時はね!
書けなかったからね!
リベンジで、クリスマスの話を……します!
クリスマス・イヴの夜、パーティのお裾分けにくる新堂さんの話ですよ。
Happy Christmas!
いつまでクリスマス気分でいるんだろうね!?
Jesusも俺に祝われて嬉しかろうて!
『賑わいの伝播』
クリスマス・イヴが終わる夜はいつも、透き通る程の静寂に包まれる。
浮かれ騒ぎ疲れて皆が半ば微睡みから出られぬよう、夢うつつのまま過ごす夜の時間は荒井もそこまで嫌いではなかった。
部屋で一人、本を読んでいれば夜の帳が下りる音すらきこえてくるような気がする。窓を開けて外を見れば、まだ灯りがついている家も多い。窓明かりの数だけ幸せな家庭があるのだろう。 荒井はカーテンを閉じると、本の続きを読む。
そうして、しばらく本の世界に没頭していただろう。唸るようなバイクのエンジン音が聞こえてきたかと思えば、荒井の家のすぐ近くで止まる。 あの音は聞き間違いではなければ新堂の乗っているバイクと同型のものだろう。新堂は確か今日は仲の良い3年の友人たちを集めてクリスマス・パーティをすると聞いていたのだが、まさか自分の家まで来たのだろうか。
いや、聞き間違いか同じ車種のバイクだろう。クリスマスの夜にわざわざ新堂が自分を訪ねてくる理由など思い浮かばない。
浮ついた気持ちを諫めるよう自分に言い聞かせながら本を手にした時と、荒井家のチャイムが鳴らされたのはほとんど同時だったろう。
こんな夜分に一体誰だろう。
インターフォンについたドアカメラで外を確認すると、どこかソワソワした様子の新堂が立っていた。
「新堂さん!? 一体どうして……」
口に出しながらドアを開けると、
「よぉ、荒井。急に来ちまって悪かったな」
新堂は片手を上げながら、はにかんだ笑顔で挨拶をする。
白い息が弾むのを見ると、荒井も何だか気恥ずかしい気持ちになり自然と目を伏せていた。
「い、いいえ。大丈夫です……どうしたんですか、こんな遅くに。確か、今日は家でクリスマスパーティをしていたんですよね」
「あぁ、そうなんだけどな。ほら、高校三年生って受験生だろ。俺はスポーツ推薦で早めに進路決まってるけど、他の連中はこれから追い込みだからな。夕方までにはお開きにしたんだよ。で、これ……昼のクリスマスで出た余り物のお裾分けだ。別に大したもんじゃねぇんだけどな」
新堂はそう言いながら、紙袋を差し出す。
中身はケーキにまだ蓋の開いてないお菓子やジュース、余って冷めてしまったチキンやローストビーフなどで、とても急いで渡しに来るようなものには思えなかった。
その視線に気付いたのか、新堂は少し苦笑いをする。
「わかってるって、そんな食いカスの寄せ集めなんてもらっても仕方ないよなァ。でも、何というか……お前に渡したかったんだよ。ほら、お前はクリスマス・パーティはやらないし、家には家族もいないって言ってたから。何つーの? 賑やかのお裾分けみたいな奴だよ」
新堂の言葉に、荒井は少し吹き出してしまう。
ようするに、今日という一日の賑わいが楽しかったから荒井にもそれを知ってほしかったということなのだろう。
ちょうど、外に出て遊んだのが楽しかった子供がどんぐりを拾って持ち帰り、それを親に自慢げに見せるように。あるいは、雪の降った日に作った雪だるまを見せに来るように。
相変わらず、子供っぽい人だと思う。
そのために夜、バイクを走らせここまで来たのだと思うと何と単純な人なのだろうとも。
だけど、それでも。
「本当のこと言うと……お前の顔、見たかったんだよな。クリスマスに、パーティが終わってみんな帰っていくのを見送ったら、無性に会いたくなったんだよ」
率直な言葉は、心に響く。
荒井は差し出された紙袋をしっかり抱きしめると、穏やかに笑った。
「それで……どうします、新堂さん。もう帰る……なんて言わないですよね」
「えっ。あ……いいのか、家に上がっても」
「大丈夫ですよ、両親はいないのを知っているでしょう。それに……」
あなたを帰したくないから。
胸に秘めた言葉を飲み込むと、荒井はドアをより大きく開ける。
「それに、外は寒かったでしょう。今、暖かいココアを入れますからね」
雪のない静かな夜。
口から出る息は白く、新堂の赤くなった頬を見つめる荒井は、しみじみと幸せを噛みしめる。
できることなら、来年もその次の年も、同じように隣に新堂がいてくれればいい。
そんなことを、願っていた。
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クリスマス・イヴが終わる夜はいつも、透き通る程の静寂に包まれる。
浮かれ騒ぎ疲れて皆が半ば微睡みから出られぬよう、夢うつつのまま過ごす夜の時間は荒井もそこまで嫌いではなかった。
部屋で一人、本を読んでいれば夜の帳が下りる音すらきこえてくるような気がする。窓を開けて外を見れば、まだ灯りがついている家も多い。窓明かりの数だけ幸せな家庭があるのだろう。 荒井はカーテンを閉じると、本の続きを読む。
そうして、しばらく本の世界に没頭していただろう。唸るようなバイクのエンジン音が聞こえてきたかと思えば、荒井の家のすぐ近くで止まる。 あの音は聞き間違いではなければ新堂の乗っているバイクと同型のものだろう。新堂は確か今日は仲の良い3年の友人たちを集めてクリスマス・パーティをすると聞いていたのだが、まさか自分の家まで来たのだろうか。
いや、聞き間違いか同じ車種のバイクだろう。クリスマスの夜にわざわざ新堂が自分を訪ねてくる理由など思い浮かばない。
浮ついた気持ちを諫めるよう自分に言い聞かせながら本を手にした時と、荒井家のチャイムが鳴らされたのはほとんど同時だったろう。
こんな夜分に一体誰だろう。
インターフォンについたドアカメラで外を確認すると、どこかソワソワした様子の新堂が立っていた。
「新堂さん!? 一体どうして……」
口に出しながらドアを開けると、
「よぉ、荒井。急に来ちまって悪かったな」
新堂は片手を上げながら、はにかんだ笑顔で挨拶をする。
白い息が弾むのを見ると、荒井も何だか気恥ずかしい気持ちになり自然と目を伏せていた。
「い、いいえ。大丈夫です……どうしたんですか、こんな遅くに。確か、今日は家でクリスマスパーティをしていたんですよね」
「あぁ、そうなんだけどな。ほら、高校三年生って受験生だろ。俺はスポーツ推薦で早めに進路決まってるけど、他の連中はこれから追い込みだからな。夕方までにはお開きにしたんだよ。で、これ……昼のクリスマスで出た余り物のお裾分けだ。別に大したもんじゃねぇんだけどな」
新堂はそう言いながら、紙袋を差し出す。
中身はケーキにまだ蓋の開いてないお菓子やジュース、余って冷めてしまったチキンやローストビーフなどで、とても急いで渡しに来るようなものには思えなかった。
その視線に気付いたのか、新堂は少し苦笑いをする。
「わかってるって、そんな食いカスの寄せ集めなんてもらっても仕方ないよなァ。でも、何というか……お前に渡したかったんだよ。ほら、お前はクリスマス・パーティはやらないし、家には家族もいないって言ってたから。何つーの? 賑やかのお裾分けみたいな奴だよ」
新堂の言葉に、荒井は少し吹き出してしまう。
ようするに、今日という一日の賑わいが楽しかったから荒井にもそれを知ってほしかったということなのだろう。
ちょうど、外に出て遊んだのが楽しかった子供がどんぐりを拾って持ち帰り、それを親に自慢げに見せるように。あるいは、雪の降った日に作った雪だるまを見せに来るように。
相変わらず、子供っぽい人だと思う。
そのために夜、バイクを走らせここまで来たのだと思うと何と単純な人なのだろうとも。
だけど、それでも。
「本当のこと言うと……お前の顔、見たかったんだよな。クリスマスに、パーティが終わってみんな帰っていくのを見送ったら、無性に会いたくなったんだよ」
率直な言葉は、心に響く。
荒井は差し出された紙袋をしっかり抱きしめると、穏やかに笑った。
「それで……どうします、新堂さん。もう帰る……なんて言わないですよね」
「えっ。あ……いいのか、家に上がっても」
「大丈夫ですよ、両親はいないのを知っているでしょう。それに……」
あなたを帰したくないから。
胸に秘めた言葉を飲み込むと、荒井はドアをより大きく開ける。
「それに、外は寒かったでしょう。今、暖かいココアを入れますからね」
雪のない静かな夜。
口から出る息は白く、新堂の赤くなった頬を見つめる荒井は、しみじみと幸せを噛みしめる。
できることなら、来年もその次の年も、同じように隣に新堂がいてくれればいい。
そんなことを、願っていた。
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