インターネット字書きマンの落書き帳
荒井フレンズのクリスマス
クリスマス・パーティをする荒井フレンズの話を書きました。
荒井・中村・時田・赤川・袖山・曽我……が出ます。
男子高校生がただワイワイするだけの話。
それだけッ! ですが、クリスマスぽい雰囲気が欲しかったので頑張りました。
クリスマスは過ぎている?
俺が書き終わるまでがクリスマスだぜ!
という訳で、荒井フレンズの楽しいクリスマスを皆さんも楽しんでください♥
荒井・中村・時田・赤川・袖山・曽我……が出ます。
男子高校生がただワイワイするだけの話。
それだけッ! ですが、クリスマスぽい雰囲気が欲しかったので頑張りました。
クリスマスは過ぎている?
俺が書き終わるまでがクリスマスだぜ!
という訳で、荒井フレンズの楽しいクリスマスを皆さんも楽しんでください♥
『喧騒のメリークリスマス』
人が賑わう場所や浮ついたイベントが苦手な荒井は当然のごとくクリスマス・シーズンに辟易していた。
街中に浮かれたクリスマスソングが流れ、本屋にはクリスマスに向けたイベントやファッションの雑誌が並び、ショーウィンドウもクリスマスカラーで溢れかえる。一昔前のテレビやネット記事はクリスマスに一人で過ごすのは異端者のように扱われ、家族や友人、恋人とフライドチキンやピザを頬張るのが国民的な振る舞いといったばかりに喧伝される所など、見ているだけで目眩がした。
そんな性格だから当然、クリスマスイベントには興味がない。
幼少期は両親につれられ教会に出向いた事もあったが、ケーキとプレゼント目当てで集まった近所の子供達と話が合う事もなく賑やかな集団を遠巻きに見ていた記憶には楽しさの欠片もなく、聖歌隊が歌う賛美歌の美しさだけが僅かな心の慰めとして残っていた。
鳴神学園はミッション系の学校ではあるので教会らしい行動もあるし、神父らしい人物が聖書を断片的に語ったりもするが、あくまで神学はスパイス程度のカリキュラムでしかなく、聖句も校舎に潜む怪異たちは容易に蹂躙していった。
それでも鳴神学園に入学してからは、気心知れる友人も増えている。
時田となら一晩中映画の話をしていられるし、赤川が仕入れた珍しいゲームを解説、実況しながら見るというのも乙なものだ。曽我が新たな造形を手がけるといえば全てをなげうっても出かけていたし、袖山は何もしなくても側にいるだけで幸せな気持ちになれる。
だが、彼らをクリスマス・パーティに誘うほど浮かれた気分にはなれなかった。
それは、幼い頃からあの浮ついた空気が苦手だったのもあるだろうし、自分からパーティを誘うという経験に乏しかったのもあるだろう。誘うならきちんと整えた場にしたいという、完璧主義すぎる性格も敷居を上げていたに違いない。
そんなこともあり、今年のクリスマスも荒井はとくに誰も誘わず、また誰の誘いに乗る事もなくクリスマスを過ごす予定だった。
とはいえ、今は仕事で海外に住んでいる両親は家に戻る予定もなく、特に代わり映えのない一日を一人で過ごすつもりだったのだが。
「メリークリスマス、荒井くん。やぁやぁ、誰か来ているのかな。お邪魔するよ」
クリスマス・イヴの朝、雑な飾り付けをしたクリスマスツリーを抱えた中村が上がり込んだ時、荒井は消火器でもぶちまけて追い返してやろうかと真剣に考えた。
「何しにきたんですか中村くん。きみを家に呼んだ覚えはないですけど」
「いやぁ、今日はクリスマス・イヴだろう? 荒井くんがクリスマス・パーティに誘ってくれなかったから。きっと恥ずかしくて僕に声をかけ忘れたんだろうと思って、わざわざツリーをもってきたんだよ。ま、気にしなくていいよ。さて、どこにかざろうかな。ここでいいかい?」
「やめてください、そんな不格好なツリーを適当に置かないでください。まったく、何ですかこの雑な飾り付けは……」
荒井はリビングに勝手に置かれたツリーの飾り付けを付け替え、丁寧に直している。
その間に中村は冷蔵庫を開けて、不服そうに唇を尖らせた。
「荒井くん、ケーキがないようだけど、これでクリスマスを過ごすつもりかい? クリスマスといえばケーキがないと始まらないだろう。僕はクリスマスだからってホールケーキに拘るほど子供っぽくはないけど、マジパンのサンタやチョコレートの家が乗ったような見るだけでご機嫌になれるケーキを準備しておくくらい、パーティの主催者の礼儀じゃないのかい?」
「別にパーティを主催したつもりもないですし、中村くんを呼ぶ予定は未来永劫ないんですよ。この不格好なツリーをもって帰ってくれませんか。見ているだけで不愉快になるバランスです。どうしたらこんな絶望的なオーナメントをとりつける事ができるんですか。そもそもどこで買ったんですか、このマッチョの人魚みたいなオーナメントは」
「洒落てるだろ? 僕の家族が海外から取り寄せたオーナメントなんだ。僕ほどの家になるとオーナメントも当然、欧米諸国で購入するからね。欧米諸国は最先端だからセンスが日本とは少しだけ違うんだよ。流行を先取りしているだろう」
「この流行はどれだけ時が巡っても来るとは思えませんね。いいから帰ってください。もう帰ってくれれば、ツリーは鳴神学園の焼却炉にでもぶちこみますから」
中村を必死で押しやり外に出そうとすると、玄関のドアが開き見知った顔が現れた。
「荒井くん、クリスマス・パーティをしよう。僕はフライドチキンを買ってきたよ」
そう言いながら入ってきたのは時田だ。バーレルに入った熱々のチキンを片方の手にしつつ、もう片方の肩にかけた鞄からはカメラのレンズがのぞいている。
常にカメラを回しているのは何か面白い映像がとれそうな時に出る時田の癖のようなものだが、部屋に入る前からカメラを回していたあたり、中村にクリスマスパーティなんて存在しないイベントを吹聴したのは時田ではないかと疑いたくなる。 最も、荒井としては時田が名作映画をとってくれるのなら、中村一人を送り込まれるのもギリギリ我慢できるラインのサプライズではあるのだが。
「僕はピザだ。出先で受け取ってきたからまだ熱々だよ。皆で遊べるタイプのゲームもいくつか見繕ってきたから、今日は徹夜で遊び倒そう!」
笑顔でそう告げるのは赤川だった。箱に入ったピザの他には、ゲーム機本体が入ったバッグが見るからに重そうだ。
「ご、ごめんね荒井くん。急に押しかけちゃって……ぼ、僕はジュースとケーキ、それとお菓子をもってきたよ。何か、急に荒井くんの家に行こう、みたいな話になってて……」
赤川の後ろから、袖山が申し訳なさそうに頭を下げる。
突然現れた友人たちの姿に、荒井は目を丸くした。そんな彼の目の前に、プレゼントの包み紙が差し出される。
「メリークリスマス、荒井くん。これは、ささやかなものだけど……今日のため、手作りした僕からのプレゼントだ。キミはこんな賑やかな空気は好きじゃないだろうけど、僕たちはキミと一緒に過ごしたいと思ったから……悪いけど、少しだけ付き合ってくれないかい?」
プレゼントを差し出したのは、曽我だった。
曽我の存在は荒井にとって神だ。その神が例え戯れでも作った造形物を自分のために準備してくれるのなら、どんな喧騒に身を投げたって構わない。
「曽我くん……? あ、ありがとうございます。大切にします……」
つい笑顔になる荒井を前に、中村が威勢良く手を上げた。
「よし、この殺風景な家をもっとクリスマスらしく彩って、僕たちらしいパーティにしようじゃないか!」
どうして一番帰って欲しい中村が場を仕切っているのだと思うが、曽我のプレゼントを前にしたら些末なことだ。 困惑しつつも友人たちを受け入れる荒井の耳に、袖山がそっと囁いた。
「本当に、急に来ちゃってごめんね。でも、ほら……僕も、時田くんも、赤川くんも曽我くんも……中村くんだって、たぶん、荒井くんがいなかったらお互い話もしてなかったと思うんだ。だから、僕たちを繋いでくれた荒井くんに、少しでも感謝したいな、って思っていて……うん、荒井くんはこういうの、迷惑だろうって思ったんだけど。でも……メリークリスマス」
「袖山くん……いいえ、気にしないでください。たまには……悪くないですよ。こういうのも……」
荒井は騒がしい室内に目を向けると、自然と笑顔になっていた。
人が賑わう場所や浮ついたイベントが苦手な荒井は当然のごとくクリスマス・シーズンに辟易していた。
街中に浮かれたクリスマスソングが流れ、本屋にはクリスマスに向けたイベントやファッションの雑誌が並び、ショーウィンドウもクリスマスカラーで溢れかえる。一昔前のテレビやネット記事はクリスマスに一人で過ごすのは異端者のように扱われ、家族や友人、恋人とフライドチキンやピザを頬張るのが国民的な振る舞いといったばかりに喧伝される所など、見ているだけで目眩がした。
そんな性格だから当然、クリスマスイベントには興味がない。
幼少期は両親につれられ教会に出向いた事もあったが、ケーキとプレゼント目当てで集まった近所の子供達と話が合う事もなく賑やかな集団を遠巻きに見ていた記憶には楽しさの欠片もなく、聖歌隊が歌う賛美歌の美しさだけが僅かな心の慰めとして残っていた。
鳴神学園はミッション系の学校ではあるので教会らしい行動もあるし、神父らしい人物が聖書を断片的に語ったりもするが、あくまで神学はスパイス程度のカリキュラムでしかなく、聖句も校舎に潜む怪異たちは容易に蹂躙していった。
それでも鳴神学園に入学してからは、気心知れる友人も増えている。
時田となら一晩中映画の話をしていられるし、赤川が仕入れた珍しいゲームを解説、実況しながら見るというのも乙なものだ。曽我が新たな造形を手がけるといえば全てをなげうっても出かけていたし、袖山は何もしなくても側にいるだけで幸せな気持ちになれる。
だが、彼らをクリスマス・パーティに誘うほど浮かれた気分にはなれなかった。
それは、幼い頃からあの浮ついた空気が苦手だったのもあるだろうし、自分からパーティを誘うという経験に乏しかったのもあるだろう。誘うならきちんと整えた場にしたいという、完璧主義すぎる性格も敷居を上げていたに違いない。
そんなこともあり、今年のクリスマスも荒井はとくに誰も誘わず、また誰の誘いに乗る事もなくクリスマスを過ごす予定だった。
とはいえ、今は仕事で海外に住んでいる両親は家に戻る予定もなく、特に代わり映えのない一日を一人で過ごすつもりだったのだが。
「メリークリスマス、荒井くん。やぁやぁ、誰か来ているのかな。お邪魔するよ」
クリスマス・イヴの朝、雑な飾り付けをしたクリスマスツリーを抱えた中村が上がり込んだ時、荒井は消火器でもぶちまけて追い返してやろうかと真剣に考えた。
「何しにきたんですか中村くん。きみを家に呼んだ覚えはないですけど」
「いやぁ、今日はクリスマス・イヴだろう? 荒井くんがクリスマス・パーティに誘ってくれなかったから。きっと恥ずかしくて僕に声をかけ忘れたんだろうと思って、わざわざツリーをもってきたんだよ。ま、気にしなくていいよ。さて、どこにかざろうかな。ここでいいかい?」
「やめてください、そんな不格好なツリーを適当に置かないでください。まったく、何ですかこの雑な飾り付けは……」
荒井はリビングに勝手に置かれたツリーの飾り付けを付け替え、丁寧に直している。
その間に中村は冷蔵庫を開けて、不服そうに唇を尖らせた。
「荒井くん、ケーキがないようだけど、これでクリスマスを過ごすつもりかい? クリスマスといえばケーキがないと始まらないだろう。僕はクリスマスだからってホールケーキに拘るほど子供っぽくはないけど、マジパンのサンタやチョコレートの家が乗ったような見るだけでご機嫌になれるケーキを準備しておくくらい、パーティの主催者の礼儀じゃないのかい?」
「別にパーティを主催したつもりもないですし、中村くんを呼ぶ予定は未来永劫ないんですよ。この不格好なツリーをもって帰ってくれませんか。見ているだけで不愉快になるバランスです。どうしたらこんな絶望的なオーナメントをとりつける事ができるんですか。そもそもどこで買ったんですか、このマッチョの人魚みたいなオーナメントは」
「洒落てるだろ? 僕の家族が海外から取り寄せたオーナメントなんだ。僕ほどの家になるとオーナメントも当然、欧米諸国で購入するからね。欧米諸国は最先端だからセンスが日本とは少しだけ違うんだよ。流行を先取りしているだろう」
「この流行はどれだけ時が巡っても来るとは思えませんね。いいから帰ってください。もう帰ってくれれば、ツリーは鳴神学園の焼却炉にでもぶちこみますから」
中村を必死で押しやり外に出そうとすると、玄関のドアが開き見知った顔が現れた。
「荒井くん、クリスマス・パーティをしよう。僕はフライドチキンを買ってきたよ」
そう言いながら入ってきたのは時田だ。バーレルに入った熱々のチキンを片方の手にしつつ、もう片方の肩にかけた鞄からはカメラのレンズがのぞいている。
常にカメラを回しているのは何か面白い映像がとれそうな時に出る時田の癖のようなものだが、部屋に入る前からカメラを回していたあたり、中村にクリスマスパーティなんて存在しないイベントを吹聴したのは時田ではないかと疑いたくなる。 最も、荒井としては時田が名作映画をとってくれるのなら、中村一人を送り込まれるのもギリギリ我慢できるラインのサプライズではあるのだが。
「僕はピザだ。出先で受け取ってきたからまだ熱々だよ。皆で遊べるタイプのゲームもいくつか見繕ってきたから、今日は徹夜で遊び倒そう!」
笑顔でそう告げるのは赤川だった。箱に入ったピザの他には、ゲーム機本体が入ったバッグが見るからに重そうだ。
「ご、ごめんね荒井くん。急に押しかけちゃって……ぼ、僕はジュースとケーキ、それとお菓子をもってきたよ。何か、急に荒井くんの家に行こう、みたいな話になってて……」
赤川の後ろから、袖山が申し訳なさそうに頭を下げる。
突然現れた友人たちの姿に、荒井は目を丸くした。そんな彼の目の前に、プレゼントの包み紙が差し出される。
「メリークリスマス、荒井くん。これは、ささやかなものだけど……今日のため、手作りした僕からのプレゼントだ。キミはこんな賑やかな空気は好きじゃないだろうけど、僕たちはキミと一緒に過ごしたいと思ったから……悪いけど、少しだけ付き合ってくれないかい?」
プレゼントを差し出したのは、曽我だった。
曽我の存在は荒井にとって神だ。その神が例え戯れでも作った造形物を自分のために準備してくれるのなら、どんな喧騒に身を投げたって構わない。
「曽我くん……? あ、ありがとうございます。大切にします……」
つい笑顔になる荒井を前に、中村が威勢良く手を上げた。
「よし、この殺風景な家をもっとクリスマスらしく彩って、僕たちらしいパーティにしようじゃないか!」
どうして一番帰って欲しい中村が場を仕切っているのだと思うが、曽我のプレゼントを前にしたら些末なことだ。 困惑しつつも友人たちを受け入れる荒井の耳に、袖山がそっと囁いた。
「本当に、急に来ちゃってごめんね。でも、ほら……僕も、時田くんも、赤川くんも曽我くんも……中村くんだって、たぶん、荒井くんがいなかったらお互い話もしてなかったと思うんだ。だから、僕たちを繋いでくれた荒井くんに、少しでも感謝したいな、って思っていて……うん、荒井くんはこういうの、迷惑だろうって思ったんだけど。でも……メリークリスマス」
「袖山くん……いいえ、気にしないでください。たまには……悪くないですよ。こういうのも……」
荒井は騒がしい室内に目を向けると、自然と笑顔になっていた。
PR
COMMENT