インターネット字書きマンの落書き帳
二度目のプレゼントは二人だけで(ルーチェス)
令和にウィザーズハーモニーの話書いていいですか!?
ルーファス×チェスターのBLネタなんですけど!
いいよ!
やったー!
という訳で、俺の中で許可がとれたので書きます。
話としてはチェスターのお誕生日ネタなのでタイミング逸しているんですけど、心の目をなんとか開眼させて誕生日だと思ってください。
ルーチェスの話ですがチェスターと一緒に旅に出るエンドの話ではなく、翌年も街で普通に過ごしているルーファスとチェスターの話です。
ルーファスは宮廷魔術師として就職し多忙な日々。一方のチェスターはアカデミー二年目のセンパイ……みたいな方が俺が楽しいので。
俺が楽しい俺のための俺の二次創作、見てください。
ルーファス×チェスターのBLネタなんですけど!
いいよ!
やったー!
という訳で、俺の中で許可がとれたので書きます。
話としてはチェスターのお誕生日ネタなのでタイミング逸しているんですけど、心の目をなんとか開眼させて誕生日だと思ってください。
ルーチェスの話ですがチェスターと一緒に旅に出るエンドの話ではなく、翌年も街で普通に過ごしているルーファスとチェスターの話です。
ルーファスは宮廷魔術師として就職し多忙な日々。一方のチェスターはアカデミー二年目のセンパイ……みたいな方が俺が楽しいので。
俺が楽しい俺のための俺の二次創作、見てください。
『二度目のプレゼント』
「はい、チェスター。これ誕生日プレゼント」
笑顔を浮かべながらルーファスはプレゼントを差し出した。
丁重にラッピングされた箱は少し軽く中身が何だかわからない。甘い匂いはしないからお菓子ではないのだろうとは思うが箱を振ってもすかしてみても中身の想像は出来なかった。大きさから筋トレの道具などではないようだが。
「あぁ、ありがとな……」
チェスターは小さく頭を下げると誰にも見られないうちカバンへ押し込む。ルーファスの卒業パーティでチェスターは自分から思いの丈を告白し、ルーファスはそれを受け入れてくれた。今は恋人として付き合っているのだが周囲にそれを告げていないのはチェスターが恥ずかしがったからだろう。
ルーファスもチェスターが恥ずかしいのなら無理に言う必要はないと、そう言ってくれたから今でも周囲に黙っている。だからこうしてプレゼントを受け取る姿を誰かに見られるのも恥ずかしく後ろめたい気がしてすぐに隠してしまうのだ。
「あ、ルーファス先輩だ!」
「センパイ、魔法教えてくださいよー」
アカデミーの生徒がルーファスを見つけ、すぐにそう声をかける。
「あぁ、いいよ……チェスター、また後でね」
ルーファスは人の良い笑顔を浮かべると、すぐに生徒たちの方へと駆けていった。
卒業後、ルーファスは宮廷魔術師として仕官し多忙な日々を過ごしていたがそれでも休日など暇を見つけてはアカデミーのOBとして顔を出していた。あの若さで王宮に使える程の魔術師なのだから無理をしていないか心配になるが、 そこまでしてウィザーズアカデミーに顔を出しているのは先々代のマスターが振りまいた悪評を心配してのことだろう。
チェスターが入部した時、ウィザーズアカデミーは存続の危機にあった。だがルーファスの努力もあり今や『宮廷魔術師を生んだアカデミー』として注目されており今年の入部希望者は昨年度の倍以上だった。
だからもうルーファスがわざわざ顔を見せなくてもウィザーズアカデミーは安泰だろうし、もし今から部員が減ったとしてもそれはルーファスの責任でもないと思うのだがそれでも顔を出すのはそれだけアカデミーに対する思い入れが深いからだろう。
チェスターと同じ年にアカデミーへ加入したシンシアとは幼なじみだというし、ラシェルに誘われ祭に出向いたり知識が先行し技術がおぼつかないメリッサには丁重な説明をするのも面倒がらずにやっている。
つまるところ、ルーファスは「いい奴」なのだ。
いい奴だから傾きかけたウィザーズアカデミーを見捨てる事などできなかった。
いい奴だから来てくれた部員たちを大切にした。
いい奴だから宮廷魔術師となった今でもアカデミーに顔を出して後輩たちに色々と教えてくれている……。
だから誕生日にプレゼントをくれるのも特別なことじゃない。
ルーファスはいい奴で後輩たちの誕生日を忘れていなかったからチェスターにプレゼントをしてくれた、それだけのことだ。何も特別なことじゃないのだ。 冷静になろうとし自分にそう言い聞かせるチェスターだったが、これが特別なことではなくルーファスにとって自然な事だと思えば思うほど苛立ちが募っていった。
そして後輩たちに笑顔で魔法の手ほどきをするルーファスに対し腹が立って仕方なくなってくるのだ。
どうして自分がいるというのにこっちを見てくれないのだろうと。どうして他人を前にそんな笑顔でいられるのだろうと。その笑顔でもっと自分を見て欲しいのだと。
「俺は、もう帰るぜ。邪魔したな」
ここにいては苛立ちが募るばかりだ。チェスターが立ち上がった時、ルーファスは新しくアカデミーに入部した後輩たちに囲まれ一つ一つの質問にこたえるので手一杯といった様子になっていた。 何も言わずにこのまま出ていってもチェスターが帰ったことに付かないまま皆に魔術の手ほどきをしているのかもしれない。だがそれも何だかしゃくに障るので、チェスターはわざとルーファスの尻を蹴飛ばした。
「なぁっ! 何するんだよチェスター……まったく、相変わらず荒っぽいなおまえは……」
不意に蹴飛ばされ少し飛び退くルーファスを横に、チェスターは呆れたようなため息をついて見せた。
「うるせぇな、別にいいだろ? 後輩たちに優しくするのはいいが、あんま無茶してんじゃねぇぞ。ばーか」
そして苛立ったままポケットに手を突っ込んで部室から去って行った。呼び止めるルーファスの声に振り向こうともしないまま。
部室を出た後も、チェスターはぶらぶらと構内を歩いていた。寮に帰ってもやる事はないし、かといって本を読んだりする気分でもない。マックスやジョルジュに声をかければ身体を動かす付き合いをしてくれるだろうが、今は手合わせをしても心が落ち着くような状態に思えなかった。頭に浮かぶのは部室で皆に囲まれるルーファスの姿ばかりで、胸が詰まりそうになる。
「あぁ、俺やっぱ……ダメだよな」
チェスターは頭を掻くと、大きくため息をつき独りごちる。
やっぱりルーファスの事が好きだ。自分だけのものであってほしいし、独り占めにしたい。その願望は日に日に強くなっている自分には気付いていた。
ルーファスが卒業する日、二人でどこか遠くに行けたのならと思った。だがルーファスはすでに宮廷魔術師になる事が決まっていたし、チェスターが学業を遅らすのを良しとはしなかった。きちんと勉強をしながらこの街で二人一緒に過ごすのも旅するのと変わりのないくらい楽しいに違いないから。ルーファスにそう言われこの街でお互いの家と寮とを行き来して過ごしている今は確かに楽しいがそれでも時々不安になるのだ。
ルーファスが自分と一緒にいるのはチェスターを傷つけないためではないかと。
ルーファスのことを好きだと思っている自分の感情は一方通行なままで、ルーファスは自分のことをルーファスを慕う後輩の一人くらいにしか思っていないのではないか、と。
そんな事を一人で悶々と考えているのなら素直にルーファスへ聞いてみればいいのだろうが、その答えを聞くのが怖かった。そもそもチェスターは達者にしゃべれる方ではなかったし、真面目な話しをする時どんな顔をしたらいいのかわからない程不器用なのだ。
第一、面と向かってルーファスに真意を告げられるなど恐ろしくてできるはずもない。
だから苛立ちを彼にぶつけてしまうのだが、突然そんな事をされ理由も言わないのだったらいくらルーファスが温厚でも流石に困るだろうし嫌な思いもするだろう。
それがわかっていてもチェスターはルーファスの前でまだ素直になれないでいた。
困らせることがわかっているのにそうする事しかできない自分のもどかしさにも腹が立つ。こんな時ルーファスにもっと優しい言葉をかける事だってできたはずなのに、彼を前にするとどうしても素直な言葉が言えないのだ。
だからバカだとか思ってもいない言葉が口から出てしまい、いつもそれを後悔する。ルーファスの事を好きだと気付いた時から何も進歩してない自分に本当に腹が立った。
「わかってるのに、上手くできないのは誰にだってあるさ」
そんな自分にただ苛立ちを募らせるチェスターに、聞き慣れた声がする。驚いて振り返ればそこにはルーファスが立っていた。
「な、何だよルーファス。いたのか? というか、おまえ……アカデミーは?」
「適当に切り上げたよ。今はメリッサもシンシアもいるし、彼女たちでも充分教えられるだろう。OBが邪魔ばっかりしちゃいけないからね」
「なんでだよ、みんなルーファスに会いたくて来てたんだろ……」
「何でって、そりゃ……なぁ」
ルーファスは困ったように頭を掻き顔を上げると意を決したようにチェスターへと向き直した。
「せっかくの誕生日にチェスターがいなくなっちゃったからさ。会いに来た相手がいなくなったら、追いかけるに決まってるだろう?」
その瞳はただチェスターの姿だけをまっすぐに捉えている。ルーファスは嘘をつけるタイプではないし嘘もひどく下手なほうだ。何かごまかそうとしてもすぐ顔に出てしまうからこの言葉には偽りはないのだろう。
だが、だからこそ心配になる。 全て本当だとしても信じていいものなのか。受け入れていいものなのか。チェスターは自分が思っている以上に臆病で繊細な心を隠していたからだ。
「それって、お……俺に会いにきて、俺を追いかけてきたってのでいいのか?」
「そうだよ」
「ぷ、プレゼントくれたのも。その……お、俺だけなのか? 他のアカデミーの奴らは……ほら、去年はみんなにあげてただろ?」
「去年は皆が入部したばかりの後輩で俺がマスターだったからだけど……今年はもうOBだし全員のぶんまで準備してないよ。今年は、チェスターだけだ」
自分だけ。その言葉に幾度の安心と優越感を抱きながら、チェスターはカバンに押し込んだプレゼントを取り出す。 そしてその包みで口元を隠しながらルーファスとは視線を合わさずに言った。
「俺だけって、信じていいよな? あんたからの二度目のプレゼントを受け取るのは俺だけ、って……」
言い終わるより先に恥ずかしくなりうつむいてしまうチェスターを前に、ルーファスは自分のつけているネックレスを見せる。 落ち着いたデザインの青い宝石が輝いていた。
「……その中にさ。コレと色違いのネックレスが入ってるんだよ。俺は青で、チェスターは赤。おそろいのものが何か欲しいなと思って無断で選んだんだけど、やっぱそういうの、ダメかな」
それはチェスターの質問に対するこたえだとしたら随分と見当外れだったろう。だが意味する言葉は明確だ。 今年、ルーファスは他の誰かにプレゼントを渡す予定なんてない。そして今年のプレゼントはまちがいなく、自分だけのためのものだ。
「ルーファス……」
これ以上言葉にするのは恥ずかしかったし自分の気持ちをうまく伝える言葉がなかったから、チェスターはルーファスの身体を抱きしめる。この場において好きだという一言すら伝えられない自チェスターの後ろめたさも全て包み込むよう、ルーファスは優しく抱き返し彼の長い髪をゆっくりと撫でてやった。
言葉にするのも行動も全てにおいて素直になれず上手くいかない自分も全て受け入れ包み込んでくれる。ただそれが嬉しくて、ルーファスの身体をより強く抱きしめる。
この優しい恋人を絶対に手放したくない、そんな願いを込めながら。
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