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インターネット字書きマンの落書き帳

   
特に理由のない誘拐が推しを襲う!(模造リュータ)
最近、キンダイチ・ボーイの事件簿を読んでます。(報告)
令和ドラマが始まったら「リュータ可愛すぎない?」って思っちゃったのでね!
令和ドラマのリュータはだいぶ可愛いね!

しかし、原作のリュータは可愛いより、もそっと不気味というか落ち着いたセクシー感があるかな……。(二号のほうがわりとキュートな後輩っぽい書かれ方されてるかな……)
もっと、ネットリした湿度の高いリュータ浴びたいな……。

そうだ、自分で書こう!
というくるんちゅ思考で「突然、誘拐されてパイセンと電話で僅かな会話をするリュータの概念」を書きました。

概念はなんぼあってもいいですからね……。




『唯一の名探偵』

 金田一一に関わると事件に巻きこまれる等とはよく噂されていたが、それでも佐木竜太が彼を「センパイ」と呼び付き慕っていたのは金田一一の才能を間近で見た経験からだろう。
 一見すると普通か少し野暮ったいくらいの男が事件を前にしたとたん表情を変え、まっすぐに事件解決のため邁進する後ろ姿は頼もしく自分がいくら追いかけてもおおよそ届くような場所にいると思えなかったが、それでも「見つめていたい」という思いを留める事はできず竜太は敬愛するセンパイの傍にいる事を求めた。
 だが金田一は事件に関して巻きこまれ体質であり、解決した事件の多さなどもありやっかみの対象にもなっている。彼に近づく事は竜太自身も事件に巻きこまれる可能性が存在するという事であり、とうとうその時が訪れたのだ。

 普段通りにミステリー研究会の活動をし、いつも通り通学路を一人歩いていた竜太のそばを見慣れぬ車がゆっくりと近づいた事に気付かなかったのは手元のカメラを気にしていたからだろう。不意に止まった車を不審に思った時、開いたドアから現れた男たちに引きずられるようにして車へと放り込まれていた。
 人通りの少ない路地で一瞬のことだった。悲鳴をあげる暇もなく押し込められた車内では抵抗もままならず、鼻先にナイフを突きつけ「騒いだら殺すぞ」なんて定番の脅し文句を言われたら殺人事件で幾度か死体を目の当たりにした竜太でも叫ぶことすらできなくとも仕方ないだろう。
 車の中で目隠しをされ、きつく猿ぐつわを噛まされて隠されるようにシートへ転がされる最中、ただ佐木は「何故自分が」「どうして狙われたのか」「何処にいくつもりなのか」といった様々な思考が渦巻いていた。
 荷物は奪われているから愛用のカメラも相手に奪われている。きつく縛られた腕に痛みはあるが幾分か冷静さを取り戻した竜太の頭に浮かんだのは信頼する「金田一センパイ」の姿だった。

(……センパイだったらきっと助けてくれる。センパイを信じて、今は何かセンパイのヒントになりそうなことを見つけないと)

 男たちは覆面こそしてなかったが見覚えのない男だ。竜太も背が低い方ではないが自分と同じくらいかもう少し背丈があったろうし何よりかなり屈強な身体をしていたいかにも荒事になれた連中だ。
 人数は二人、いや三人は最低いる。
 車は思ったより曲がった回数は少なく、竜太は漠然と「高速道路に乗ったのではないか」と感じていた。一般道ならもっと幾度も曲がっているだろうし信号などで止まっているだろうと思ったからだ。
 車の時速はわからないしどれだけの時間乗っていたかは体感でしか判断できないが一時間以上は揺られていただろう。ようやく止まり車から外に出た時も目隠しをされ男に両手を抱えられるように引っ張られて歩いたが、周囲の梢がひどく揺られていることや土の匂いが強いことから海ではなく山か森の近い場所なのだろうと思った。人の声なども聞こえない。人里離れた所だろう。
 階段のような段差を歩かされた後、思いのほか快適なソファーの上に転がされた。室内は冷えているが隙間風などはない。何となく、別荘地にあるコテージか何かの一室に連れてこられたのだろうと感じた。
 室内の様子を見られたくないのか相変わらず目も口も閉ざされたまま。手も動かせず窮屈だが男の一人が。

「もう9時か。酒か飯かあるか?」
「コンビニで調達してくる」

 そんな会話の後、出かけた人間は10分程度で帰ってきただろうか。
 コンビニまで車で往復10分程度なら思ったよりは人家から離れていないのだろうが車で10分の距離は歩いていけるような距離ではなさそうだ。もしここが山中だったら道を外せば迷ってしまう可能性も高い。
 地の利が無い場所では静かに従うしかない、というのが竜太の判断だった。

 しかし、一体いつまでこのままなのだろう。
 普段から宵っ張りなので別段眠くはないし目が閉ざされているから他の感覚が鋭敏になっているような気がする。
 男たちが食事をする音が聞こえる。誰かが缶ビールでも開けたのかやけに陽気に話している。窓の外から電車が通るような音が二度ほど聞こえた。あまり頻繁に電車が通るような場所ではないがそう遠くないところに線路があるらしい。
 もちろん、そんな程度の事ではここが何処だかわからないし、どうして自分が狙われたのかも見当はつかない。だが少しでも必要な情報を集めなければという意識が向いていたのは、伝えるべきことを少しでも多く伝えることさえできれば「金田一センパイ」なら必ず自分を見つけてくれるという確信があったからだ。
 男たちはしばらく話し込んだ後、電話をしはじめた。
 何を喋っているかはわからないが、密やかに交渉をしている風なのを見ると誘拐なのだろうと漠然と思う。 誘拐ならば身代金が目的か、何かほかの目的があったとしても少しは時間がある。
 少なくとも今すぐなぶり殺されたり、尊厳を踏みにじられるような行為の後に埋められたりされる事はないのだろうという点で竜太は幾分か安心したのだった。
 と、その時電話がこちらに向けられる。

「何か喋れ」

 くぐもった声で男はいい、久しぶりにかまされた猿ぐつわを外された。久しぶりに口で呼吸すれば新鮮な空気が肺に満たされていく。 まだ、今すぐには殺されない。だけどいつ殺されるかはわからない。不安で押しつぶされそうな竜太の耳に。

「佐木、佐木か!? 声を聞かせてくれ、無事なんだな?」

 聞き慣れた男の声がした。
 それはこんな時に最も頼れ、そして尊敬できる「センパイ」の声だ。 緊張と不安とでいっぱいになっていた心の重荷が一気に流れ落ちるような気がした。

「……センパイ? どうしてセンパイが」
「佐木……俺だ、わかるな。無事なんだな」

 誘拐されている、という事態はもう金田一の耳に入っているのだろう。
 それなら、こちらはなるべく男たちに気取られぬよう今の状況を伝えるだけだ。竜太は努めて冷静に、そして明るく振る舞った。

「はは、心配してくれてるんですかセンパイ♡」
「冗談言ってる場合じゃないだろ、おまえ状況がわかってるのか!?」

 珍しく金田一が焦っているような声を出す。
 いつも自分のことを「勝手についてくる後輩」くらいに扱っていたからさして気にとめてはいないと思っていたが、憧れのセンパイがちゃんと竜太のことを見ており彼を気遣ってくれることが今は嬉しかった。
 だが時間があまりないのは事実だ。誘拐する限りは逆探知を警戒している。長くは話をさせてくれないだろう。またへたな事を言うとすぐに電話も切られるはずだ。

「わかってますよ~。ほんと、扱いが酷いんですから。下校途中であと少しで家だって車で押し込められてずっとトイレにも行けてないんですよ。酷いですよね~ボク、都会っ子だからたまにしか電車が来ないような所じゃ寂しくて寝られないかも……」
「佐木っ、何暢気な事言ってるんだよ……」

 金田一はそう言いつつ、佐木が自宅の近くでさらわれた事から今の時間までを推し量ってくれるのを期待した。

「車はほとんど止まらなくて快適だったんですけど……ここ、コンビニも歩いてはいけないでしょうし森の中か虫がいるみたいで……へんな虫に刺されたらセンパイのせいですからね。あ、でも別荘みたいに柔らかいソファーで寝てますから快適ですよ♡」

 海ではない、山だ。倉庫のような場所ではなく、ロッジや山荘、コテージといった建物の中だ。別荘地だろうというのを察してくれるに違いない。

「このガキ、あんまり喋るな」

 竜太の意図に気付いたのか、それとも彼の軽口に腹を立てたのか男の拳は強かに竜太の腹を打ち据えた。暴力には不慣れな竜太は軽く呻き、身体を折り曲げる。

「さ、佐木!? ……心配するな、必ず俺が……」
「……待ってますよ、センパイ♡」

 金田一の言葉は最後まで紡がれる事なく電話は切られた。だが確かに「必ず俺が助ける」と言おうとしてくれていた。
 だからきっと見つけてくれる。竜太の「センパイ」は特別なのだから。

「無駄口叩くなよ……次はもう無いからな」

 男は竜太にそう釘を刺しまた酒をあおりはじめる。思い切り腹を殴られた時は一瞬殺されるのだろうと思ったが、まだ生かされているのなら大丈夫だ。
 きっと「センパイ」は自分を助けてくれる。

「ボクだって、もう何か言う必要はないですよ。だって……センパイは必ずボクを見つけてくれますからね」

 男たちに聞こえないよう、竜太はそう独りごちる。
 そして目を閉じると、ゆるゆるまどろみに落ちていった。

 大丈夫、目覚める頃にはきっと助けがくる。
 センパイがそういったのだから。

 竜太の「センパイ」は竜太自身がいちばんに信頼しそして憧れる「名探偵」なのだから。

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東吾
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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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