インターネット字書きマンの落書き帳
セックスしないと出られない部屋だ!(きのこさんと山ガス/ネタバレあり)
谷原きのこと山田ガスマスクが出る話です。
二人で閉じ込められた!
つまりこれは……ってこと!
みたいな発想をしてしまうバカの空間ですよ。
やんわりとゲームのネタバレ要素があるので、ゲームをクリアしてから読んでね。
BLっぽい雰囲気ですが、谷原は山田に手を出しません。
良い子でも安心ですね♥
安心のレベルが柴田亜美なんだよ。
二人で閉じ込められた!
つまりこれは……ってこと!
みたいな発想をしてしまうバカの空間ですよ。
やんわりとゲームのネタバレ要素があるので、ゲームをクリアしてから読んでね。
BLっぽい雰囲気ですが、谷原は山田に手を出しません。
良い子でも安心ですね♥
安心のレベルが柴田亜美なんだよ。
『つまり、どういうことだってばよ!?』
谷原きのこは思案していた。
気付いた時にいた、この部屋についてだ。
ブラッディ・メアリーを呼び出すため動画配信をし、結果としてヤラセが発覚し散々叩かれた。
その火消しをしなければならないというのに、鞄にはスマホはもちろんネットに繋げそうな媒体の一切が無くなっていたのだ。
室内には冷蔵庫があり、電子レンジがあり、ちょっとした調理の出来るようなシンクとコンロもある。
冷蔵庫の中身は充分すぎるくらいの冷凍食品が入っており、食うに困るということはなさそうだ。
当然のように風呂やトイレもあり、暇つぶしに読めるような娯楽小説の類いもある。
だが、たった一つのドアだけはどうしても開かなかった。
外からよほど頑丈な鍵がかかっているのか力任せで開けようとしてもビクともしない。
窓は天井近くにあり、谷原の背では到底届かなかった。
周囲に人がいない場所なのか、大声で助けを呼んでも帰ってくる言葉はない。
そして、谷原の姿を監視しているらしいカメラがじっとこちらを向いていた。
高い天井を見れば、曇りガラスの天窓から日光が差し込むのがわかる。
打ちっぱなしのコンクリートできた壁に包まれている状況から、まるで井戸の奥底に突き落とされたような気分だ。
テレビもゲームもなく、外への通信手段や外部の情報が一切遮断されているということを除けば、酷い扱いではないだろう。
炎上の火消しができないままスマホを取り上げられたので、今頃自分の風評がどれだけ酷い事になっているのかは気にかかるが、こうなっては仕方ない。
自分を閉じ込めた相手が何を目的にし、何をしたくてこんな真似をしているのかはわからないが、少なくとも今すぐ殺して海に沈めるようなことはなさそうだ。
最初は警戒し、水すら口にするのも躊躇っていた谷原だったが喉の渇きや空腹に勝てることもなく水を飲み、食事をするうち毒が入ってないのはわかった。
一日、二日と日が経つにつれ緊張感も薄らぎ、無理に脱出するよりここで助けを待つか、自分を誘拐・監禁した相手が現れるまで待つのも悪くないと考えるようになった。
不安が消えたワケではないので、日に一度は脱出を試みてやはりどこにも隙が無く諦める時間が必ずあったのだが、それでも思いの外平穏に、監禁生活は続いていた。
だが、その日、谷原の監禁生活についに異変が起こったのだ。
普段より深い眠りについて目覚めた時、隣のベッドに別の男が寝かされていた。
しかも、よく見ればそれはかつて自分と動画配信をしていた男だったのだ。
今は山田ガスマスク名義でWEBライターをしていたはずだが……。
「山田! 山田どうしたのさ、おーい!」
隣のベッドでぐったりしている山田を揺さぶって起こそうとするが、よほど眠りが深いのか起きそうにもない。
谷原はすぐに山田の荷物を確認した。
ひょっとしたら山田が何かしら、この部屋を脱出する手がかりをもっているのではないかと思ったからだ。
だが生憎、荷物に入っていたのはタオルや雑誌、タンブラーなど山田が普段持ち歩いているものだけのようだ。
ソロキャンパーの山田だったら十徳ナイフやらロープやら脱出するための道具になるもの一つくらいは持っていそうだと思ったが、役に立ちそうなものは何もない。
ひょっとしたら、ここに連れてこられる前に危ないものや脱出に役立つようなものは取り上げられてしまったのかもしれない。
「でもどうして山田がここに? 何か会うの1年ぶりくらいな気がするなぁ……まさか、こんな所で顔見知りに会うなんて思わなかったよ」
谷原は自分のベッドに座るとそう独りごちる。
今までは一人で孤独だったし、話相手もいなくて寂しく退屈な思いをしていたからだ。
それに、山田は自分と比べて細かい所にも気がつくタイプの性格だ。自分一人では気付かなかったこの部屋について、山田はまた別の視点から意見をくれるかもしれない。
その前に、改めて今の状況を整理してみよう。
部屋は外側から鍵がかかっていて、室内はコンクリート製の壁に包まれている。
窓はあるが天井近くの天窓だけで、谷原の背丈では届きそうにもない。山田を肩車しても、きっと届かないだろう。
唯一の出入り口である鉄製のドアはビクともせず、室内全体を見渡せるような配置になっている。
「!? これって、ひょっとして……」
全てを俯瞰して見た時、谷原は天啓のように閃いた。
「うう……ん……え? ここ……どこ?」
程なくして、山田が頭を抑えながら起きて周囲を見渡す。
はじめてこの部屋に来た時の谷原と同様に、見知らぬ景色に困惑しているようだ。
谷原はそんな山田に近寄ると、彼の両肩を掴んで大声で叫んだ。
「大変だよ山田! 僕たち……セックスしないと出られない部屋に入れられたのかもしれない!」
コンクリートの壁に、谷原の声が反響する。
山田は真顔になると。
「え? 谷原サン……何? 何の、何の、何?」
訝しげな顔で聞いた。
「だから、セックスしないと出られない部屋! きのこさんたち、セックスしないと出られない部屋に閉じ込められたんだよ!」
山田は口元に手を当て小首を傾げた後、無言で谷原をひっぱたいた。
「なぁ! 何で殴るの!? 何で殴るの!? きのこさん渾身の推理だったのに」
「逆に聞くけど、何で殴られないと思ったの? 何その、セックスしないと出られない部屋って。谷原さん、久しぶりに会った相手の第一声がそれだったら普通殴るよ?」
「でも、そうとしか思えないんだって! いいか、よく聞いてくれよ」
谷原は、すでにこの部屋に閉じ込められて数日経つことや、部屋の状況などを逐一説明する。
そして。
「つまり、結論からしてこの部屋はセックスしないと出られない部屋なんだよ!」
と、ドヤ顔で言い放ったので、山田は当然のように谷原の横っ面をひっぱたいた。
「い、痛い! また殴ったな! 親父にも殴られたことないのに!」
「いや、流石に殴るって。きのこさん、もういい大人なんだから卒業したほうがいいよ。エロ同人とか」
ひどく正論を言われた気がした谷原は、その場に正座し下唇を噛みしめる。
一方の山田はベッドに寝転ぶと、谷原をからかうように笑った。
「だいたい、セックスって簡単に言うけど、それって僕が谷原サンに勃つか、谷原サンが僕に勃つかしないと成立しないでしょ? 僕、谷原サンには勃たないから無理無理の無理だよねー。谷原サンだってそうでしょ?」
山田の言葉に、谷原は目を閉じて深く己と向き合う。
そして大きく息を吐くと。
「できる……! 他の誰かは無理かもしれないけど、山田にだったら勃つ!」
腹の底から大声で、力強くそう断言した。
その瞳に一切の濁りも迷いもなく、自然と天に突き上げた拳は雄大なまでの覚悟に満ちていたという。
「……え? いや、僕が無理だから! 落ち着こう谷原サン。ここ、シャワーしかないでしょ? 一応、そういう時はしかるべき道具とか必要だから」
「大丈夫、自然由来のサラダ油とかあるの確認してるから。滑れば大丈夫なんだよねぇ!?」
「余計な知識もってるぅ! さすがエロ同人育ち。って、嫌だって、だってゴムとかないでしょ? それとも僕と生でする気!?」
「大丈夫だよ。いざって時のために谷原さんは、ちゃーんとゴム持ち歩いてるから」
「うわ、何だろうこの紳士的なのにすっごく気持ち悪い告白聞いたみたいなやつ」
「もちろん、山田がゴム無しOKだったら谷原さんのムスコもやぶさかではないけどね」
「僕がやぶさかでもあるんだけど。というか、冗談だよね……谷原サン? 冗談……」
眼鏡を抑え喉を鳴らすように笑う谷原の股間を見て、山田は「本気」であることを悟る。
「いや、ちょ……まって!? 僕、本当に谷原サン無理だから! 僕にも選ぶ権利とかあるでしょ? 僕の権利を勝手に蹂躙しないでって、お願いだから話をきいて谷原サン!」
「山田ァー! ケダモノとなった谷原さんのトリリオン・マグナムを前にキャンキャン鳴く可愛い所を見せてくれー! お前のその薄い身体とやけに白い肌、前髪下ろすと美少女になりうる顔、全部可能性の塊だよ山田ァー!」
「ぎゃー! 誰か、誰か男の人呼んで止めてー!」
……この後、「流石にマズイな」と思った監視していた人たちが谷原を取り抑え、いい感じにすぐ寝る薬を首筋に「トスッ」と注射して事無きを得た。
この時、山田は誘拐犯相手にわりと本気で「ありがとうございます、助かりました」とお礼を言ってしまったのだという。
谷原きのこは思案していた。
気付いた時にいた、この部屋についてだ。
ブラッディ・メアリーを呼び出すため動画配信をし、結果としてヤラセが発覚し散々叩かれた。
その火消しをしなければならないというのに、鞄にはスマホはもちろんネットに繋げそうな媒体の一切が無くなっていたのだ。
室内には冷蔵庫があり、電子レンジがあり、ちょっとした調理の出来るようなシンクとコンロもある。
冷蔵庫の中身は充分すぎるくらいの冷凍食品が入っており、食うに困るということはなさそうだ。
当然のように風呂やトイレもあり、暇つぶしに読めるような娯楽小説の類いもある。
だが、たった一つのドアだけはどうしても開かなかった。
外からよほど頑丈な鍵がかかっているのか力任せで開けようとしてもビクともしない。
窓は天井近くにあり、谷原の背では到底届かなかった。
周囲に人がいない場所なのか、大声で助けを呼んでも帰ってくる言葉はない。
そして、谷原の姿を監視しているらしいカメラがじっとこちらを向いていた。
高い天井を見れば、曇りガラスの天窓から日光が差し込むのがわかる。
打ちっぱなしのコンクリートできた壁に包まれている状況から、まるで井戸の奥底に突き落とされたような気分だ。
テレビもゲームもなく、外への通信手段や外部の情報が一切遮断されているということを除けば、酷い扱いではないだろう。
炎上の火消しができないままスマホを取り上げられたので、今頃自分の風評がどれだけ酷い事になっているのかは気にかかるが、こうなっては仕方ない。
自分を閉じ込めた相手が何を目的にし、何をしたくてこんな真似をしているのかはわからないが、少なくとも今すぐ殺して海に沈めるようなことはなさそうだ。
最初は警戒し、水すら口にするのも躊躇っていた谷原だったが喉の渇きや空腹に勝てることもなく水を飲み、食事をするうち毒が入ってないのはわかった。
一日、二日と日が経つにつれ緊張感も薄らぎ、無理に脱出するよりここで助けを待つか、自分を誘拐・監禁した相手が現れるまで待つのも悪くないと考えるようになった。
不安が消えたワケではないので、日に一度は脱出を試みてやはりどこにも隙が無く諦める時間が必ずあったのだが、それでも思いの外平穏に、監禁生活は続いていた。
だが、その日、谷原の監禁生活についに異変が起こったのだ。
普段より深い眠りについて目覚めた時、隣のベッドに別の男が寝かされていた。
しかも、よく見ればそれはかつて自分と動画配信をしていた男だったのだ。
今は山田ガスマスク名義でWEBライターをしていたはずだが……。
「山田! 山田どうしたのさ、おーい!」
隣のベッドでぐったりしている山田を揺さぶって起こそうとするが、よほど眠りが深いのか起きそうにもない。
谷原はすぐに山田の荷物を確認した。
ひょっとしたら山田が何かしら、この部屋を脱出する手がかりをもっているのではないかと思ったからだ。
だが生憎、荷物に入っていたのはタオルや雑誌、タンブラーなど山田が普段持ち歩いているものだけのようだ。
ソロキャンパーの山田だったら十徳ナイフやらロープやら脱出するための道具になるもの一つくらいは持っていそうだと思ったが、役に立ちそうなものは何もない。
ひょっとしたら、ここに連れてこられる前に危ないものや脱出に役立つようなものは取り上げられてしまったのかもしれない。
「でもどうして山田がここに? 何か会うの1年ぶりくらいな気がするなぁ……まさか、こんな所で顔見知りに会うなんて思わなかったよ」
谷原は自分のベッドに座るとそう独りごちる。
今までは一人で孤独だったし、話相手もいなくて寂しく退屈な思いをしていたからだ。
それに、山田は自分と比べて細かい所にも気がつくタイプの性格だ。自分一人では気付かなかったこの部屋について、山田はまた別の視点から意見をくれるかもしれない。
その前に、改めて今の状況を整理してみよう。
部屋は外側から鍵がかかっていて、室内はコンクリート製の壁に包まれている。
窓はあるが天井近くの天窓だけで、谷原の背丈では届きそうにもない。山田を肩車しても、きっと届かないだろう。
唯一の出入り口である鉄製のドアはビクともせず、室内全体を見渡せるような配置になっている。
「!? これって、ひょっとして……」
全てを俯瞰して見た時、谷原は天啓のように閃いた。
「うう……ん……え? ここ……どこ?」
程なくして、山田が頭を抑えながら起きて周囲を見渡す。
はじめてこの部屋に来た時の谷原と同様に、見知らぬ景色に困惑しているようだ。
谷原はそんな山田に近寄ると、彼の両肩を掴んで大声で叫んだ。
「大変だよ山田! 僕たち……セックスしないと出られない部屋に入れられたのかもしれない!」
コンクリートの壁に、谷原の声が反響する。
山田は真顔になると。
「え? 谷原サン……何? 何の、何の、何?」
訝しげな顔で聞いた。
「だから、セックスしないと出られない部屋! きのこさんたち、セックスしないと出られない部屋に閉じ込められたんだよ!」
山田は口元に手を当て小首を傾げた後、無言で谷原をひっぱたいた。
「なぁ! 何で殴るの!? 何で殴るの!? きのこさん渾身の推理だったのに」
「逆に聞くけど、何で殴られないと思ったの? 何その、セックスしないと出られない部屋って。谷原さん、久しぶりに会った相手の第一声がそれだったら普通殴るよ?」
「でも、そうとしか思えないんだって! いいか、よく聞いてくれよ」
谷原は、すでにこの部屋に閉じ込められて数日経つことや、部屋の状況などを逐一説明する。
そして。
「つまり、結論からしてこの部屋はセックスしないと出られない部屋なんだよ!」
と、ドヤ顔で言い放ったので、山田は当然のように谷原の横っ面をひっぱたいた。
「い、痛い! また殴ったな! 親父にも殴られたことないのに!」
「いや、流石に殴るって。きのこさん、もういい大人なんだから卒業したほうがいいよ。エロ同人とか」
ひどく正論を言われた気がした谷原は、その場に正座し下唇を噛みしめる。
一方の山田はベッドに寝転ぶと、谷原をからかうように笑った。
「だいたい、セックスって簡単に言うけど、それって僕が谷原サンに勃つか、谷原サンが僕に勃つかしないと成立しないでしょ? 僕、谷原サンには勃たないから無理無理の無理だよねー。谷原サンだってそうでしょ?」
山田の言葉に、谷原は目を閉じて深く己と向き合う。
そして大きく息を吐くと。
「できる……! 他の誰かは無理かもしれないけど、山田にだったら勃つ!」
腹の底から大声で、力強くそう断言した。
その瞳に一切の濁りも迷いもなく、自然と天に突き上げた拳は雄大なまでの覚悟に満ちていたという。
「……え? いや、僕が無理だから! 落ち着こう谷原サン。ここ、シャワーしかないでしょ? 一応、そういう時はしかるべき道具とか必要だから」
「大丈夫、自然由来のサラダ油とかあるの確認してるから。滑れば大丈夫なんだよねぇ!?」
「余計な知識もってるぅ! さすがエロ同人育ち。って、嫌だって、だってゴムとかないでしょ? それとも僕と生でする気!?」
「大丈夫だよ。いざって時のために谷原さんは、ちゃーんとゴム持ち歩いてるから」
「うわ、何だろうこの紳士的なのにすっごく気持ち悪い告白聞いたみたいなやつ」
「もちろん、山田がゴム無しOKだったら谷原さんのムスコもやぶさかではないけどね」
「僕がやぶさかでもあるんだけど。というか、冗談だよね……谷原サン? 冗談……」
眼鏡を抑え喉を鳴らすように笑う谷原の股間を見て、山田は「本気」であることを悟る。
「いや、ちょ……まって!? 僕、本当に谷原サン無理だから! 僕にも選ぶ権利とかあるでしょ? 僕の権利を勝手に蹂躙しないでって、お願いだから話をきいて谷原サン!」
「山田ァー! ケダモノとなった谷原さんのトリリオン・マグナムを前にキャンキャン鳴く可愛い所を見せてくれー! お前のその薄い身体とやけに白い肌、前髪下ろすと美少女になりうる顔、全部可能性の塊だよ山田ァー!」
「ぎゃー! 誰か、誰か男の人呼んで止めてー!」
……この後、「流石にマズイな」と思った監視していた人たちが谷原を取り抑え、いい感じにすぐ寝る薬を首筋に「トスッ」と注射して事無きを得た。
この時、山田は誘拐犯相手にわりと本気で「ありがとうございます、助かりました」とお礼を言ってしまったのだという。
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