インターネット字書きマンの落書き帳
疲れたヌン蔵を癒やす謎の夢おじさん
フォロワーが元気ないので元気になるといいな♥
そう思って、ヌン蔵の夢小説を書きました。
何の何の何だ?
一人で働いていて疲れちゃっている富入さんを、さりげなく気づかう夢男が現れます。
オリキャラ夢側の作品なので 俺×富入さんみたいな烏滸がましい事ではなく、オリキャラの夢男は富入さんにいかがわしい感情はありません。
富入さんにいかがわしい感情を抱くのは俺の! 俺たちの任務だぜ!
富入さんの協力者が富入さんを癒やすだけのはなしをお楽しみください。
そう思って、ヌン蔵の夢小説を書きました。
何の何の何だ?
一人で働いていて疲れちゃっている富入さんを、さりげなく気づかう夢男が現れます。
オリキャラ夢側の作品なので 俺×富入さんみたいな烏滸がましい事ではなく、オリキャラの夢男は富入さんにいかがわしい感情はありません。
富入さんにいかがわしい感情を抱くのは俺の! 俺たちの任務だぜ!
富入さんの協力者が富入さんを癒やすだけのはなしをお楽しみください。
『夏の匂い』
初夏の風が吹き付ける公園の東屋に備え付けられたベンチに腰掛け、富入は目を閉じていた。
梢がこすれる音とともに心地よい風が疲れた身体を慰めるよう頬を撫でていく。
そういえば、休みらしい休みなど随分とっていない。
休みがない仕事だというのは覚悟していたし、公安という立場になってから余計に背負うものを減らしたい一心で仕事だけに情熱を注ぎ、仕事の付き合い以外の人間関係は極力とらないようにしてきた。
あまり器用な性格ではない自分にはそのほうがいいと思ったし、実際それで良かったのだろう。
仕事をしている時は楽しいと思えたし、自分の仕事に誇りもある。
それでも、疲れないわけではない。
振り返る暇もなく走り続けている最中、不意にできた何もしない僅かな時間が富入のたどってきた道を思い返さずにはいられなかった。
あの時、別の方法があったのではないか。
若さ故に正義を振りかざして無茶をしたが、そのせいで不幸に追いやってしまった人間が、家族が少なからずいたのではないか。
もっと上手く立ち回れば、救える命だったのではないか。
あと少し早く気付いていれば、そばに寄り添い話を聞いてあげていれば、失わなくて済んでいたのではないか……。
無くした存在(もの)の後悔ばかり押し寄せるのは、失ったものが多すぎたからだろうか。それとも、今日は疲れているからこんな事ばかり考えてしまうのだろうか。
余計なことは考えまいと思えば思う程、過去の断片が渦巻いて消えていく。
中には楽しい思い出もいくつかあったが、その大半は涙を堪え無理矢理前を向き、歩まなければいけない過去だった。
その時、コトリと小さな音がする。
目を開ければ東屋に備え付けられた小さなテーブルに、甘ったるい缶コーヒーが置かれていた。
「寝ていましたか、富入さん」
笑顔でこちらをのぞき込むのは、富入の協力者だ。
公安は立場上、違法すれすれの捜査を、あるいは違法そのものの捜査が必要になることがあり、そんな捜査を行うのが目の前にいる彼のような一般人の協力者だった。
富入がここに来たのも、協力者である彼からあまり褒められた方法ではない手段で得た情報を受け取るのが目的だ。
「寝てないわよ。少し目を閉じていただけ」
富入は目を開けると、テーブルに置かれた缶コーヒーを手に取る。
黒革の手袋ごしにも、缶の冷たさが伝わった。
この冷たさが心地よく思えるのだから、いよいよ夏も差し迫っているのだろう。
「そうですか、では目を開けて少しこの街並みを見てはいかがです? この東屋はキツい坂道を上るだけあって、この周辺が一望できるんです」
男に言われ振り返れば、心地よい風の下、抜けるような青空の下無数の家々がモザイクのように折り重なり、街並みは眩しいほどの色合いに満ちている。
あぁ、綺麗だなと思った時。
「……貴方の守っているものですよ」
男は隣でそう言うと、どこか誇らしげな顔で目を細めて街を見た。
証拠を渡す場所を彼に指定させると、郊外であったり予約必須のカフェであったり何かと面倒な場所が多いのだが、休む間もない富入を気づかってちょっとした休日気分を味わわせてくれているのだろう。
今は、その優しさが心地よい。
「いい景色ですよね」
「えぇ、本当……いい景色ね……」
その時、どっと吹き付けた風が富入の髪を揺らす。
青空の下、光に満たされた街並みから吹く風はかすかに夏の匂いがした。
初夏の風が吹き付ける公園の東屋に備え付けられたベンチに腰掛け、富入は目を閉じていた。
梢がこすれる音とともに心地よい風が疲れた身体を慰めるよう頬を撫でていく。
そういえば、休みらしい休みなど随分とっていない。
休みがない仕事だというのは覚悟していたし、公安という立場になってから余計に背負うものを減らしたい一心で仕事だけに情熱を注ぎ、仕事の付き合い以外の人間関係は極力とらないようにしてきた。
あまり器用な性格ではない自分にはそのほうがいいと思ったし、実際それで良かったのだろう。
仕事をしている時は楽しいと思えたし、自分の仕事に誇りもある。
それでも、疲れないわけではない。
振り返る暇もなく走り続けている最中、不意にできた何もしない僅かな時間が富入のたどってきた道を思い返さずにはいられなかった。
あの時、別の方法があったのではないか。
若さ故に正義を振りかざして無茶をしたが、そのせいで不幸に追いやってしまった人間が、家族が少なからずいたのではないか。
もっと上手く立ち回れば、救える命だったのではないか。
あと少し早く気付いていれば、そばに寄り添い話を聞いてあげていれば、失わなくて済んでいたのではないか……。
無くした存在(もの)の後悔ばかり押し寄せるのは、失ったものが多すぎたからだろうか。それとも、今日は疲れているからこんな事ばかり考えてしまうのだろうか。
余計なことは考えまいと思えば思う程、過去の断片が渦巻いて消えていく。
中には楽しい思い出もいくつかあったが、その大半は涙を堪え無理矢理前を向き、歩まなければいけない過去だった。
その時、コトリと小さな音がする。
目を開ければ東屋に備え付けられた小さなテーブルに、甘ったるい缶コーヒーが置かれていた。
「寝ていましたか、富入さん」
笑顔でこちらをのぞき込むのは、富入の協力者だ。
公安は立場上、違法すれすれの捜査を、あるいは違法そのものの捜査が必要になることがあり、そんな捜査を行うのが目の前にいる彼のような一般人の協力者だった。
富入がここに来たのも、協力者である彼からあまり褒められた方法ではない手段で得た情報を受け取るのが目的だ。
「寝てないわよ。少し目を閉じていただけ」
富入は目を開けると、テーブルに置かれた缶コーヒーを手に取る。
黒革の手袋ごしにも、缶の冷たさが伝わった。
この冷たさが心地よく思えるのだから、いよいよ夏も差し迫っているのだろう。
「そうですか、では目を開けて少しこの街並みを見てはいかがです? この東屋はキツい坂道を上るだけあって、この周辺が一望できるんです」
男に言われ振り返れば、心地よい風の下、抜けるような青空の下無数の家々がモザイクのように折り重なり、街並みは眩しいほどの色合いに満ちている。
あぁ、綺麗だなと思った時。
「……貴方の守っているものですよ」
男は隣でそう言うと、どこか誇らしげな顔で目を細めて街を見た。
証拠を渡す場所を彼に指定させると、郊外であったり予約必須のカフェであったり何かと面倒な場所が多いのだが、休む間もない富入を気づかってちょっとした休日気分を味わわせてくれているのだろう。
今は、その優しさが心地よい。
「いい景色ですよね」
「えぇ、本当……いい景色ね……」
その時、どっと吹き付けた風が富入の髪を揺らす。
青空の下、光に満たされた街並みから吹く風はかすかに夏の匂いがした。
PR
COMMENT