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インターネット字書きマンの落書き帳

   
キスと嫉妬のはなし(しんあら・BL)
平和な世界線で付き合っている新堂さんと荒井くんの話です。
(挨拶を兼ね備えた幻覚の説明)

新堂さんと荒井くんは付き合ってるし性に目覚めたDKらしくキスもえっちもしていれば校内で人目のつかない機会を狙ってしょっちゅうえっちをしている関係でありSMによる調教プレイを主にしている主従の関係です。
(おおよそDKの恋愛ごとを書いているとは思えない表現)
(登場人物は18歳以上です案件)

今回は福沢さんから手作りクッキーなどをもらっているのを知って嫉妬しちゃう荒井くんの話ですよ。
こんな一文で終わるほのぼの案件がどうしてドロドロ陰鬱案件になってしまうのか。
それは、俺がそういう話が好きだからです!

今日から皆さんも好きになればいいと思います!




『甘みに隠れた妬みと苦み』

 そろそろボクシング部の練習も終わる頃だろう。そう思った荒井昭二が新堂誠のいるはずのボクシング部の練習場へと向かっていた。
 ちょうど練習が終わり帰路につく生徒たちとすれ違う。新堂はキャプテンとして部室の鍵を任されているから帰るのはいつも一番最後のはずだ。 室内に人の気配がほとんどないのを確かめてから荒井は僅かにドアを開け中の様子をうかがった。

「新堂さん、いますか……?」

 声をかければ部屋の奥から「おう、荒井か」と返事が聞こえてくる。
 ボクシング部の練習場は近くにシャワー室も併設されており新堂は練習が終わった後よくシャワーで汗を流していた。 シャワーを浴びているのならきっとすぐにこちらへと来るだろうと思い長椅子に置かれたままになっていた新堂のカバン近くへと腰掛ける。
 と、そこで荒井はカバンの中にやけにファンシーな包みを見つけた。
 何だろうと思い無断だと解っていながら包みを取り出せばそれは手作りクッキーのようだ。

「よぅ、待たせたな」

 程なくして新堂は首にタオルを引っかけて洗われる。
 下着の他は何も身につけていないといっただらしのない姿に荒井は僅かに目を背けた。

「何て格好してるんですか……シャツくらい着てきてくださいよ」
「あぁ? まぁいいだろ、お前しかいないんだし」

 濡れた髪をタオルで拭きながら新堂は荒井が手にするクッキーに気付く。

「それな、福沢からもらったんだ」
「福沢さんから?」
「ダチと手作りクッキーを作ったからおすそわけだとよ。あいつとは普段からよく連んでるからな」

 荒井と付き合うより以前から新堂と福沢がよく一緒にいるというのには気付いていた。
 新堂は強面で実際に喧嘩も強い。女子生徒が一人で買い物に行けば妙な男に絡まれたりもするだろうし威圧的な態度で接する人間も多いだろう。
 その点、新堂がいれば心強い。後ろでただ睨みをきかせているだけで安全な買い物は保証されるだろうし力も充分な程にあるから荷物持ちにも最適だ。 もし妙な輩に絡まれても新堂の腕っ節なら大概の相手は退けてみせるだろう。
 しかもこれで甘党なのだから最後にカフェなどで甘い物まで付き合ってくれるのだと思えば荷物持ち兼ボディーガードとしては最適の人材だろう。

 二人がよく出かけているのを知った時は仲の良い女友達の一人だろうと思っていたし、実際に福沢と出かける時は大体が福沢の友人たちも一緒だったからあまり深く考えた事はなかった。

 だがこの手作りクッキーを見ると違うのかもしれないといった疑惑を抱く。
 福沢は新堂のことが好きだったのではないだろうか。
 そもそもあまり興味のない相手を買い物に誘ったりはしないだろうし会う頻度も多い方だ。

 元々福沢は先輩だからといって遠慮や物怖じをする性格ではない。必用とあらばズカズカと他人の領域にも入っていき距離をつめてくるタイプの人間で享楽的な素養も見える。
 新堂もまた一時の楽しみや気まぐれで他人を傷つけるのも厭わないような残酷さを持ち合わせている、その点でいえば新堂と福沢はよく似た気質と言えただろう。
 以前の荒井だったら似たもの同士で話しがあうのだろうと思いそれで済ませていたが、今は違う。

 今の荒井にとって新堂は「特別」な存在だ。
 自分だけにとて特別な新堂が他の誰かにとってもそのように扱われるのは許せなかった。

「本当にそうでしょうか? ……福沢さんとは仲が良いですよね。僕に内緒で会っているのでは無いですか」

 冷静に問い詰めるつもりだったが自然と感情が高ぶり強い語調となる。 そんな荒井の言葉を新堂は笑って否定した。

「ははっ、何だ荒井。俺が福沢になびくと思って心配してんのか? ……大丈夫だって、アイツにとって俺なんざいーい荷物持ちだろうさ。俺にとっても福沢はお前とは違う……妹分って奴だろうな。話してて気を遣わなくていい仲間の一人だよ」

 新堂の言葉に嘘の色はない。
 友人といえば男ばかりの荒井とは違い似たタイプの女友達もいる新堂は男女の間でも友人をつくる事に違和感がないタイプなのだろう。

「大体、福沢と付き合うのはなァ……あいつ自分勝手で奔放な奴だろ? フラフラしてふっと目を離したら『新しい彼が出来たんで新堂さん別れてくださーい』なんて平気に言いそうじゃ無ぇか」

 福沢を真似て言う新堂を見て、荒井は思わず苦笑する。 確かに福沢なら「もっと条件がいい」とか「憧れの人が出来た」などと言い出して突然他の誰かと付き合う事もありそうだと思ってしまったからだ。

「以前の俺だったらなァ……まぁそういうのもあるかって諦めもついただろうし。そもそもそこまで深入りもしてなかったと思うけどよ。今はお前がいるからなァ……手間暇かけて身体を調教(そだ)てること、俺好みに調教(おし)えること……そういうカンケイをぶち壊してまで他人に走るようなもったいねぇことしたくねぇ。今はそう、思うんだよな」

 新堂は荒井の隣に腰掛けると濡れた髪をそのままに荒井のシャツに手を伸ばした。

「……お前の身体はまだ俺が育ててる途中だ。お前を誰かに取られたくもねぇし、せっかく育てたお前を他の誰かに試させるような真似もしたくねぇからな」

 濡れた指先がボタンを外すその感覚を確かめながら、荒井はぼんやりと考える。
 荒井もまた新堂から離れたくないと思っていたし自分以外の誰かに新堂が調教を施すと思うと耐えられない程の嫉妬に駆られる。 そういう意味で新堂も荒井もお互いを思うというのは変わりないだろう。
 だがこの感情は愛といえるのだろうか。ただの執着か、嫉妬か。独占欲か。
 わからないが、強く新堂を思っていることだけは確かだった。

「僕だって、あなたが他の誰かに施しを与えるなど許せません……あなたの眼差しも、体温も……あなたの与える痛みも全て、この僕のものです……」

 ボタンは外され露わとなった胸元を新堂の指先が触れる。僅かに触れただけでも痺れるほど心地よいのは新堂の調教(おしえ)が良かったからだろうか。それとも今この場所が学び舎の中であるという背徳感がいっそう身体を昂ぶらせるのだろうか。
 今はそんな事を考えず、この雰囲気に流されたまま抱かれるのもいいだろう。
 新堂の手はじれったい程に優しく荒井の身体をまさぐり確かめるように反応を見る。以前はもっと性急に貪るよう求めたが最近はこうして焦らして欲求を募らせ荒井から求めるように仕向けるようなことをよくするようになっていた。
 今日も荒井の口から欲しいと求めるまでは散々と身体を弄ぶのだろう。それから口にするのも恥ずかしいような言葉を浴びる程に語らせるのだ。 最も荒井自身がそうされる事を望んでいるからこそ新堂もそのように導いてくれているのだが。
 と、その時「福沢からもらった」というクッキーの包みが見える。

 新堂は福沢のことを妹分くらいに思っていると言っていた。付き合ったとしても福沢の性格だからすぐに飽きて他の相手を見つけるだろうとも。
 だが福沢自身はどう思っているのだろうか。気まぐれでつかみ所のない性格をしている彼女の本心はわからない。
 だが荒井は少なからず彼女の思いを怖れているのは確かだった。
 もし本気で福沢に迫られたら新堂も心が揺れるのではないか。その可能性はゼロではないと思っていたからだ。
 人間とは心変わりをするイキモノなのだから。
 荒井は包みを手にするとその中から一枚クッキーを取りだしそれを口にくわえて新堂へと差し出した。

「何だよ……」

 突然の事に新堂は困惑したような顔を見せる。
 普段から事を始めた時はほとんど新堂に身を委ねているから荒井から何かすることが珍しいのだろう。
 これが福沢に対しての嫉妬からの行動だというのを説明しても新堂は理解しないだろうしただ笑い飛ばすだけだから荒井はとっさに適当な言葉を語る。

「甘いもの、嫌いではないでしょう。僕と一緒にどうぞ……ふふ、たまにはこんな趣向を凝らしても良いじゃないですか」
「なんだそりゃ……ま、別にいいけどよ」

 新堂は躊躇う事もなくクッキーごと荒井の唇を奪う。
 その口づけを受け、荒井はようやく安堵するのだ。

 今の新堂には自分しか見えていないし、自分以外の存在にはひどく無関心で無頓着である。
 そう思う事で彼の執着全てが自分へ注がれていることに幸福を覚える、歪んだ愛を抱いているのだから。

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東吾
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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
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