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インターネット字書きマンの落書き帳

   
修行に出たししおとまつたぬき。(たぬしし)
最近また刀剣乱舞をぼちぼち始めています。

刀剣乱舞のように、暫くプレイしていなくても以前育ててたキャラなどがまったく無駄にならないジャンル、良いですね。
刀剣乱舞は運要素が絡むものの、刀剣基本的にガチャじゃない……というのも有り難いと思います。

はぁ~帰ってきてもまったりできる本丸!
本丸最高!

そんな気分で、推しCPの同田貫正国×獅子王をかきま……した!
獅子王ちゃんが修行出来るので……修行に出した時の話です。

獅子王ちゃんはもう戻ってきてますが、表情が……こう。
元気な子からちょっとアンニュイになったのがたまらず、繋いだ心を大事にしていく子になった感じでいいですね……。

話は、同田貫正国くん中心ですが獅子王ちゃん視点の話も書いてみたいな……。
と、そうおもいました。(作文)

オリジナル審神者という俺が出てますが、特に何だという訳ではありません。
狂言回しの俺です。




『変わり行く中で変わらない貴方と』

 審神者が道場に顔を出せば、そこにあぐらをかき難しい顔をする同田貫正国の姿があった。
 彼の前には先ほど届いたばかりの獅子王からの手紙が置かれている。
 獅子王が修行に旅立ってから「本丸での時間」はそれほど経っていない。だが修行に出た刀剣男子たちが修業先で長い時間を過してから戻ってくるという事は、同田貫正国も知っていた。
 それは今までの刀剣男子たちがそうだった事もあるし、同田貫正国自身が修行に出た時の経験からも分っているのだろう。
 だからこそ心配が隠しきれず態度に出てしまっているのだろう。

 獅子王の修業先は、彼が慕っている「じっちゃん」こと源頼政の傍であった。

 獅子王は誰よりもお爺ちゃんっ子で、何を話す時も「じっちゃん」の話が出る。
 その憧れの「じっちゃん」を目の当たりにした獅子王がその時代に囚われてしまい、戻ってこなくなるのではないかとでも思っているのかもしれない。

(そういえば、同田貫が修行に出たときも獅子王の奴ひどく浮ついていたっけな)

 審神者は腕を組みながら壁によりかかると、同田貫正国が修行に出た翌日からの獅子王を思い出していた。

『なぁ、正国はいつ帰ってくるんだ?』 と何度聞かれただろう。
『正国、ちゃんと帰ってくるかな?』 といった独り言を何度呟いていただろうか。
『これ、美味しいから正国が帰った時一緒に食べるんだ!』 そういいながら生菓子を油紙に包もうとした時、腐らないうちに食べろと言って無理矢理口に放り込んでやったのも思い出す。

 同田貫正国が修行中、獅子王は落ち着く暇もなく何度も玄関を行き来したり誰もいない道場を覗いてみたり、賑やかな場を見つければ同田貫正国が帰って来たのかと思い顔を出したりと、目に見えて分りやすく心配していたものだからあれはあれでなだめすかすのが大変だったのだが。

(こうも黙りこくって難しい顔をして、始終考え込まれているもの困ったもんだな……)

 審神者はそう思いながら道場へ足を踏み入れた。
 普段の同田貫正国であれば武道のたしなみなどろくにない審神者が入って来ればすぐに気配で察するだろうが、今日は気付いた様子がない。
 同田貫正国ほどの男がこんなにも隙を見せるものかと。実のところ心配するふりをした同田貫正国に謀られているのではないだろうかとさえも考えたが審神者が肩に触れた時。

「うぉっ!? ……驚いた。アンタ、来てたのか」

 そう驚いて見せた様子から、この背中ががら空きの同田貫正国は演技ではないという事を改めて知るのだった。

(そもそもコイツはそういった嘘や演技に向いてないもんなァ)

 審神者は頭を掻くと同田貫正国の前に置かれた手紙を見る。
 獅子王が敬愛する「じっちゃん」に仕込まれたのか、幼い外見とは裏腹に達筆で書かれた手紙には彼が修業先で「じっちゃん」と無事会えた報告などが綴られていた。

「あー、同田貫。おまえ、獅子王の事が心配なのか?」
「べつに、そんなんじゃねぇよ」

 同田貫正国の口ぶりは素っ気ないが、言葉と裏腹に非道く心配しているのは明らかだった。  表情こそ変わっていない。言葉も普段とかわらずぶっきらぼうだ。だが異常に返答が早い。戦の時以外で同田貫正国がこんなにも過敏な反応を見せるのは滅多にない事なのだ。

「心配なら素直に認めた方がラクだと思うが、お前さんはそういった所が青臭いよなァ」

 審神者は再び頭を掻くと大きなため息をついた。
 同田貫正国は何か言いたげな顔をしていたがこういった時に言い返すような語彙を持ち合わせていなかったのだろう。ぐうの音も出ないといった様子で押し黙るとぶすっとした顔を背けた。

「獅子王の奴はお前が修行に出たときは始終そわそわして分りやすいくらいに帰ってくるのを楽しみにしていたぞ? そんな獅子王が『帰ってこない』とでも思っているのか?」
「わかってるっての……あいつには心を打ち直す時間が必用なんだって事も、きっと、ここに帰ってくるってのもな……でもよォ」

 まるで審神者のマネでもするかのように同田貫正国は頭を掻きむしるその様子からは苛立ちのようなものがうかがえた。

「そんな事あるはずねぇって分ってるつもりなんだが、もしアイツが戻ってこなかったらとかよォ……あいつの大好きな爺さんにほだされて俺の事なんて忘れちまってるんじゃないか、とか……余計な事ばかり考えちまって……」
「らしくもなく、剣術の稽古にさえ身が入らない……ってか」
「ふん、その通りだ。返す言葉も無ぇ。自分でも情けねぇと思うんだがな……」

 刀剣男子たちは見た目こそ大人の外見をしているが、元々が人間ではない事もあり精神的に未熟な部分が見られる事も多い。同田貫正国の場合、戦のために産まれた刀という自負から戦う事に対しての情熱に特化した結果、色恋沙汰に関してはとんと無知な状態なのだろう。好きな相手が長く隣にいないという感覚になれていないのだ。
 ましてや獅子王は普段から同田貫正国の背中を護り、ともに武芸の腕を磨いているような仲だ。
 今までは一日の殆どを。あるいは戦での殆どをともにすごしてきた、今は半身とも言える存在なのだから余計に喪失感が激しいのだろう。

「……俺ぁ、あいつの言う爺さんを見た事は無ぇがあいつが爺さんをひどく慕っていて、憧れてんのは分ってる。だからだろうな……あいつがずっと、あの場所に留まっちまうんじゃないか、なんて……思っちまうんだよ」

 修行に出た刀剣男子は、多くが傍に使えていた元の主を看取る事になる。
 元の主が無数にいる、「量産型」であった同田貫正国は多くの「持ち主」を見る事があったがそれを最後まで看取るといった事まではしなかったか。あるいはそれをしたとしても、ほとんど顔も知らぬような男の死に立ち会ったというだけの事だったろう。
 だが獅子王は違う。慕っていて、今でも指標にしている尊敬する「じっちゃん」と別れてくるはずなのだ。

 もしそうなった時、獅子王は立ち直れるだろうか。
 以前と同じように明るく前向きな獅子王でいてくれるのだろうか。
 ひょっとしたら悲しみに引きずられ、以前と同じように笑わなくなってしまうのではないか。  死に引きずられて変わってしまう恋人を見るのが怖かったのだろう。

「気持ちはわからんでもないがな……お前がアレコレ考えてもどうしようもない事じゃないだろ……それに、獅子王は確かに爺さんの事が好きだが、お前の事をないがしろにするような奴ではないよ」
「それくらい、分ってるつもりなんだがな……」

 同田貫正国は腕組みをすると難しい顔をしたまま、ぽつぽつと語り始めた。

「俺は、他人の気持ちにあまり気付く方じゃねぇ。だが獅子王の奴は、俺と一緒にいるだけでいつでも楽しいって顔で笑ってくれていて……俺ァ、それに随分と救われてた。今になって改めてそう思うんだよ。離れている今だから余計にな」

 審神者はその言葉を黙って聞く。
 同田貫正国の視線は変わらず、獅子王からの手紙に注がれていた。

「だからもし、戻って来たあいつが悲しみを背負ってきたのなら、俺が何とかしてやりてぇ……傍にいてやりてぇとは思うんだが、もし俺が傍にいても気の利いた言葉なんてかけてやれねぇし、何かしてやれそうにもねぇ。そう思うと自分が非道く無力だって思えるんだ。やっぱ俺は戦しかねぇ戦闘狂の刀なんだって……」

 本人の言う通り、同田貫正国はあまり気のきいた事を言えるタイプではないだろう。
 戦場では常にどう立ち回ればいいのかを考えて行動し、都度合理的な判断で相手と立ち向かうその姿は隊を率いる長としては頼れる。
 だが日常においての彼は無口で愛想がなくあまり他人の気持ちを推し量って行動出来るタイプではない。
 本人もそれを心得ているのだろう。だからこそ、戻った時の獅子王を傷つけたりしないか心配しているのだ。
 相手の気持ちを推し量る事が出来なくとも、愛しい人を傷つけたくはない。そんな優しさをもっているから。

「お前の気持ちは分るよ。ヒジョーにわかる」
「……ホントかよ。アンタはいつもそう言うが何か胡散臭い所があるからな」
「失礼だなお前は……他人を思いやるからこそ、いらぬ心配をしてしまうなんてのは『人間』にはよくある事なんだぜ? 俺にだって一応はそういう経験あるからな」

 審神者ははそう語りながら内心は自嘲していた。
 一応はあるその経験も本当に自分のものなのか、それとも他人の記憶なのか実のところは非道く曖昧だったからだが、それは今の同田貫正国には関係のない事だろう。

「獅子王はこれから歴史の流れでどうしようもない現実や、変えようのない因果を見てくる。その覚悟もしてるはずだ。そうして、成長して帰って来た時……たぶん、お前には変わず接して欲しいと。そう思っているんじゃないか」

 人間性の乏しい審神者は、乏しいなりの考えを同田貫正国に告げる。
 少なくとも獅子王は、同田貫正国が旅に出た時に彼が変わって自分を忘れるのではないかという事を一番心配していた。
 そんな獅子王だから戻って来た時、何があっても変わらず迎え入れてくれる同田貫正国に居て欲しいのではないか……。
 想像の域を出ないが、何となくそんな気がしていた。

「無理に気の利いた言葉なんて言わなくてもいいいんだよ。あいつはそんなお前が好きなんじゃないか?」
「そうだといいんだがな……」
「あぁ、でも心配していたのと、お前がいなくて寂しかったというのは伝えてもいいと思うぜ? ……お前って弱い所見せたら負け。みたいなプライドあるけど、獅子王はそういう所に関していえばお前よりずっと『大人』だからな。たまにはちょっと甘えてやった方が喜ぶと思うぜ」
「ばっ……何いって……」

 立ち上がり審神者へ向く同田貫正国の視線から逃げるよう道場の出口へと向い、審神者は振り返る。

「ん、ちょっとは元気になったみたいだな。安心したぜ、朝から仏頂面が余計に難しい顔してんだから皆怖がってたからな」
「な……そうだったのかよ……?」
「ま、獅子王が帰って来たら真っ先に出迎えてやれよ。きっとあいつもお前が思っている以上にお前に会いたいと思っているだろうからな」

 そう言いながら消えて行く審神者の背を眺めた後、同田貫正国は獅子王の手紙を手にした。  これから彼が何を見て、何を感じ、得てくるのかは分らない。
 ただ何があっても獅子王が望むのなら傍にいてやろうという思いは強くなっていた。

「そうだな……あれこれ考えるなんてらしくねぇか。俺は、俺らしくあいつの傍にいてやる。それだけだ」

 懐に手紙をしまうと、同田貫正国は歩き出す。
 その姿にはもう迷いなど見られなかった。

 それからどうなったかは多く語る必用はないだろう。
 だが、修行から戻って来たあとも同田貫正国の隣に獅子王がいる事。獅子王がいつものように同田貫正国の前では無邪気に笑っているという事は、蛇足ながら伝えておこう。

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東吾
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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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