インターネット字書きマンの落書き帳
桜散るころに花弁を舟とする(松ガス)
くるくるワッフル桜餅!(挨拶)
というわけで、気付いたら4月も半ば。
関東くらいの場所は、桜もすっかり葉桜になり、初夏の兆しですね。
そんな爽やかな春風のような挨拶をしつつ、走り去る春の気配だけを感じる松ガスを書きました。
大人になるとなかなかどうして。
花見やら花祭りやら何やら、季節の行事に疎くなりますね。
でも、キッズがいる家庭だとそういう季節を感じる事も多いのでしょう。
山田ガスマスクをキッズだと思っている管理人です。
というわけで、気付いたら4月も半ば。
関東くらいの場所は、桜もすっかり葉桜になり、初夏の兆しですね。
そんな爽やかな春風のような挨拶をしつつ、走り去る春の気配だけを感じる松ガスを書きました。
大人になるとなかなかどうして。
花見やら花祭りやら何やら、季節の行事に疎くなりますね。
でも、キッズがいる家庭だとそういう季節を感じる事も多いのでしょう。
山田ガスマスクをキッズだと思っている管理人です。
『東にしかない謎の桜餅』
通勤途中、電車に揺られながら外を見る。
つぼみが綻んだばかりだと思っていた桜はほとんど舞い散り、葉桜になろうとしていた。
今日などはスーツを着ていると汗ばむほどの陽気だ。
春も、もう終わるのだろう。
ぎゅうぎゅうと押してくる乗客と電車の揺れに耐えながら、松田はそういえば、と思い出す。
『そろそろ桜が満開だから、お花見とか行こうよ。お弁当もって、ベンチでご飯食べたりして。結構楽しいと思うけど』
山田からそう誘われたのは、いつだったろう。
年度末に提出する書類仕事に追われ、新年度になったら4月から行われる博物館の企画・運営や学校から来る見学や実習の手続きが舞い込む。
息つく暇もなく、休日も家に仕事を持ち込んでいたから、結局約束は守れなかった。
(――いや、別に約束してた訳やないけどな)
山田が勝手に行こう行こうとだだをこねただけ。
年度末と年度始まりは忙しいから無理だと伝えていたのだ。
行こうと言われた。行けないと答えた。そして実際行けなかった。
それだけのことで、松田が悪い訳ではないが――。
「ただいま」
仕事を終えた帰り道、和菓子屋を覗き、桜餅を買う。
「おかえりー。あれ、おみやげ? なになに? 桜餅? 和菓子かー、珍しいね。こういう、餡子の入った食べ物あんまり好きじゃないって言ってなかったっけ」
松田が差し出したエコバッグを覗いた山田は不思議そうに聞くが、嬉しそうに笑っている。
甘いものが好きなのだろう。
「別にいいやろ? たまには食べたくなるんや。あー……こっちの桜餅、なんか簀巻きになってる奴多いんやな。どっちがいいかわかんから、両方買ってきたで」
「簀巻き……? あぁ、長命寺桜餅ね。うん、東ではこの、クレープみたいに焼いた奴のが多いかな? でも道明寺も普通にあるよ。僕はどっちも好き。せっかくだからお茶入れようかな」
ぺたぺたとスリッパを鳴らして、キッチンに引っ込む。
松田が部屋着に着替える頃、テーブルには二種類の桜餅が並び、山田は湯飲みに茶を入れていた。
「おう、ありがとな」
「うん、別に……あ、そうだ。ちょっとまってて」
と、山田はそこで引っ込むと、小さなポーチをもってくる。
それを開けると、松田の湯飲みに1,2枚の花弁をはらはらと散らした。
「これ、僕が散歩してる時に拾った桜の花びらね」
「はぁ? 何でそんなもん……」
「だって、桜って枝折るとダメなんでしょ? でも、松田さんにも桜見せたいなーと思って。空中でキャッチしてきたから、大丈夫。ちゃんと洗ってあるから」
そういって、にへらと笑う姿は年齢よりずっと子供っぽく見える。
実際、子供みたいなものだ。
舞い散る桜の花びらを追いかけて、大事に持ち帰り、綺麗に洗って見せようとしてくるなんて……。
「……ありがとな」
だが、その子供っぽさが心地よい。
桜の浮かぶ湯飲みを見つめ、松田はようやく春の気配を感じるのだった。
通勤途中、電車に揺られながら外を見る。
つぼみが綻んだばかりだと思っていた桜はほとんど舞い散り、葉桜になろうとしていた。
今日などはスーツを着ていると汗ばむほどの陽気だ。
春も、もう終わるのだろう。
ぎゅうぎゅうと押してくる乗客と電車の揺れに耐えながら、松田はそういえば、と思い出す。
『そろそろ桜が満開だから、お花見とか行こうよ。お弁当もって、ベンチでご飯食べたりして。結構楽しいと思うけど』
山田からそう誘われたのは、いつだったろう。
年度末に提出する書類仕事に追われ、新年度になったら4月から行われる博物館の企画・運営や学校から来る見学や実習の手続きが舞い込む。
息つく暇もなく、休日も家に仕事を持ち込んでいたから、結局約束は守れなかった。
(――いや、別に約束してた訳やないけどな)
山田が勝手に行こう行こうとだだをこねただけ。
年度末と年度始まりは忙しいから無理だと伝えていたのだ。
行こうと言われた。行けないと答えた。そして実際行けなかった。
それだけのことで、松田が悪い訳ではないが――。
「ただいま」
仕事を終えた帰り道、和菓子屋を覗き、桜餅を買う。
「おかえりー。あれ、おみやげ? なになに? 桜餅? 和菓子かー、珍しいね。こういう、餡子の入った食べ物あんまり好きじゃないって言ってなかったっけ」
松田が差し出したエコバッグを覗いた山田は不思議そうに聞くが、嬉しそうに笑っている。
甘いものが好きなのだろう。
「別にいいやろ? たまには食べたくなるんや。あー……こっちの桜餅、なんか簀巻きになってる奴多いんやな。どっちがいいかわかんから、両方買ってきたで」
「簀巻き……? あぁ、長命寺桜餅ね。うん、東ではこの、クレープみたいに焼いた奴のが多いかな? でも道明寺も普通にあるよ。僕はどっちも好き。せっかくだからお茶入れようかな」
ぺたぺたとスリッパを鳴らして、キッチンに引っ込む。
松田が部屋着に着替える頃、テーブルには二種類の桜餅が並び、山田は湯飲みに茶を入れていた。
「おう、ありがとな」
「うん、別に……あ、そうだ。ちょっとまってて」
と、山田はそこで引っ込むと、小さなポーチをもってくる。
それを開けると、松田の湯飲みに1,2枚の花弁をはらはらと散らした。
「これ、僕が散歩してる時に拾った桜の花びらね」
「はぁ? 何でそんなもん……」
「だって、桜って枝折るとダメなんでしょ? でも、松田さんにも桜見せたいなーと思って。空中でキャッチしてきたから、大丈夫。ちゃんと洗ってあるから」
そういって、にへらと笑う姿は年齢よりずっと子供っぽく見える。
実際、子供みたいなものだ。
舞い散る桜の花びらを追いかけて、大事に持ち帰り、綺麗に洗って見せようとしてくるなんて……。
「……ありがとな」
だが、その子供っぽさが心地よい。
桜の浮かぶ湯飲みを見つめ、松田はようやく春の気配を感じるのだった。
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