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インターネット字書きマンの落書き帳

   
記名のある招待状(ヤマアル)
毎度おなじみ場末の字書きが運営するブログです。
(挨拶)

季節の移り変わりを感じつつもね。
こう……イベントに乗っかるのが微妙に下手くそな、人生の尺度がガバガバメンテナンスなので今が年の瀬であるとか……。

そんなの深く考えないで、付き合っている世界線のヤマムラさんとアルフレートくんを……書きます!

書き納めにはちょうどよかろう!
と思いつつ、ヤマムラさんから招待状を受け取ってウキウキしちゃうアルフレートくんの話ですぞい。

みんな良いお年を!
じゃあのッ!




『記名された招待状』

 アルフレートが目を覚ました時、隣にいたはずのヤマムラはすでに姿がなくかわりに一通の封書が置かれていた。
 簡素な封書は露天商や雑貨屋でもよく扱っているもので特別なものではない。封蝋もなくただ〆と記されて封をされているその横にはアルフレートへと宛名が記されていた。
 アルフレートの綴りでさえつたない字はヤマムラの書いたものだろう。異邦人であるヤマムラは喋るのは問題ない程度にヤーナム風のスラングも心得ていたが読み書きはまだ子供と大差なかった。
 それに、アルフレートに対して手紙を書いてくれるような人物もヤマムラ意外に心当たりはない。
 封書を開けて手紙を広げれば、中にはたどたどしい字でこう書かれていた。


『親愛なるアルフレートへ

 急に手紙なんて驚くだろうと思ったし、俺のあまり上手くもない字はさぞ読みづらいだろうと思う。
 だが俺は君の前ではどうにも意気地なしになってしまうからキミを前にしてはうじうじして言い出せないだろうと思ったから、こうして手紙を書く事にした。
 読みづらいところや、わからない所があったらすまない。

 ヤーナムでは聖誕祭が特別な日として祝われてはいないが、それでも家族。あるいは特別な人と過ごす日として認識されているという。
 キミは俺にとって特別な、ただ一人のひとだから俺はその日をキミと過ごしたいと、そう思っている。

 異邦人の俺では高級なレストランなんてわからないし、そもそも店に相手にされないから聖誕祭もいつも通り、俺の部屋でやろうと思っている。
 何だ、いつもの宿で食事をするだけじゃないかと言われればその通りだ。
 だけどいつもと少しでも違うように、腕によりをかけた料理と特別なワインを準備して待っているから、キミさえよければ来て欲しい。

 先にキミの食べたいものを伝えてくれれば、それも作らせてもらうよ。
 一人で過ごす事が長いから、身の回りの事は一通りできる。料理の味は心配しないで欲しい。

 もちろん、キミが他に予定があったのならそっちを優先してくれてかまわない。
 来てくれるにしても断るにしても手紙か言葉で伝えてくれると助かる。

 それでは。
 良い返事がもらえると、嬉しく思う』

 最後にはヤマムラの署名がある。
 お世辞にも綺麗な字とはいえず、ところどころづづりが間違っているものの読めない程酷い字ではないし、何より自分のために必死になってペンを取ってくれた気持ちがありがたい。

「断る訳ないじゃないですか……私だって、貴方との約束ほど大切なことなんてありませんよ……」

 ヤマムラからのささやかな招待状を胸に抱けば様々な思いが駆け巡る。
 どんな服を着ていったら喜ぶだろうか。手土産はあったほうがいいとして、何を送ったらよろこぶだろう。返事といっしょに、二人で食べたいものを考えておこう。

 それは、アルフレートが師の言葉と出会い必ずカインハーストにたどり着くと決めた時から初めて受け取った招待状であり、カインハーストへの招待状の事を忘れる事ができた刹那の出来事であった。

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