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インターネット字書きマンの落書き帳

   
えっちなのは俺ですればいいと思います!(みゆしば)
平和な世界線で普通に恋人同士として付き合っている手塚と芝浦の話です。
(挨拶と幻覚をまとめて説明するスタイル)

普通に恋人同士として過している……。
いい言葉ですね! 噛みしめちゃいますね!
やっぱり平和も、普通も大事ッスよ。

というワケで、今回は「自宅に隠していたエロめの本やDVDが見つかってしまった手塚に対してめちゃくちゃ重い愛をぶつけるしばじゅんちゃんの話」です。
愛が重い相手が愛が重い相手を愛したら質量はゼロ!
健康にいいと覚えて帰って下さい!




『全て俺ですればいい』

 手塚が自宅アパートに戻った時、最初に目に入ったのはテーブルの上に積まれた数冊の雑誌やDVDだった。どの作品も教養に良いとは言えない部類の代物でもある。
 処分するのも億劫で家におきっぱなしにしていたものであり、自分で買ったものもあるが遊びに来た友人が置きっ放しにしていったものもあった。
 それらのいかがわしい作品群を前に、芝浦は明らかに不機嫌そうな顔でソファーに座っていた。怒っているのは明確である。

「いや、芝浦。違うんだ、これはな……」

 何も疚しい事などないはずなのに、つい言い訳から入ってしまうのは悲しいサガとでも言うべきだろう。その弱腰の態度に相手が苛立つのなど目に見えているのにそうしてしまうのだから尚更だ。
 案の定、そんな手塚を見た芝浦は露骨な苛立ちを隠そうとはしなかった。

「ふーん、手塚でもこういう本見つかると慌てるんだ。いつもすました顔してるから、そんな面白い顔が見られるなんて思ってなかったよね。ラッキーって感じ」

 口ではそう言うが、内心は随分とご立腹のようだ。
 芝浦はどこか呆れたような素振りを見せるとテーブルの前に置かれた雑誌をぱらぱらと捲る。

「うっわー、どのページ開いてもおっぱいの大きい女の子ばっかだね? 手塚って巨乳フェチだったんだ」
「そういった雑誌に出るのはスタイルが良い奴が多いもんだ。別に不思議な事でもないだろう?」
「こっちのDVDは、女教師のいけない課外授業! だってさ。手塚、学園モノとか好きだったっけ。それとも年上シチュエーション好き?」
「それは俺の趣味じゃない……以前家にきた友達が置いていったものでな……」
「ふーん、それを後生大事に箱にいれて保管してるとか、よーっぽど気に入ってたんだね」

 芝浦は指先でDVDのパッケージをトントンと叩いてみせる。 言葉使いこそ普段通りだが、胸の内に激しい苛立ちと怒りを募らせているのはハッキリと伝わった。蝶よ花よで育てられたお金持ちのお坊ちゃんはいつも自分が一番でなければ気が済まない性格だ。それが嫉妬深さえと繋がっているのだろう。

「別にそういうワケじゃない。友達が置いていったものだから処分に困って置きっぱなしにしていただけだ……ゴミに捨てるにしても目立つだろう、こういうものは」

 理由を説明しても、どうしても言い訳のようになってしまう。
 だがそれも仕方ない事だろう。
 実の事を言えば、手塚はごく最近「お世話になった」ばかりなのだ。
 ここ暫くはレポートの提出だの何だので立て込んでいた芝浦は泊まりに来ても疲れて眠ってしまう事が多くキスすらしていなかったのだから。

「そう? なんか最近出した形跡あったけど、じゃそれって気のせいかなー?」

 芝浦はしらじらしくそう言う。目聡い芝浦の事だから、片付けをしている時にすでに普段と部屋の様子が違う事に気付いていたのだろう。
 つまり最初から糾弾するためにこの場を設けたというわけだ。

「……部屋を片付けてくれるのは嬉しいが、あまり詮索するのは感心しないぞ」

 芝浦の意図に気付き、手塚は悔し紛れに言葉を漏らす。だが芝浦はさも当然といった振る舞いを崩そうとはしなかった。

「そう言うけど、手塚ってそのへんケッコー雑っていうか、わかりやすすぎるんだよね。ゴミ箱は空っぽになってるし、普段は入れっぱなし使いっぱなしのDVDレコーダーは何も入ってないし……俺だって男だから察しちゃうでしょ」

 そしてどこか軽蔑するような眼差しを向ける。
 いかにも遊び人のドラ息子といった印象の芝浦ではあるがこれでかなり潔癖な一面がある。恋人がかくれて人に言う事を憚られるようなマネをしていた、というのがどうしても気に入らないのだろう。

「お前も男だと言うのならわかるだろう……こっちも退っ引きならない時だってあるんだよ」
「それは、わかるけど。わかるけどさぁ……」

 芝浦は苛立たしげに頭を掻く。生理現象として仕方ないというのは理解しているが、心が追いついていないのだ。暫くそうして項垂れると、突然顔をあげ。

「あー、もう! 俺さぁ、手塚が一人でそういう事してるってだけでもー嫌なの! どうして俺としてくれないんだよッ。キスもセックスも俺としてほしいし、オナニーは俺でして欲しいんだよ! 分るでしょそのくらいさぁ!?」

 突然早口でまくし立てる。そんな事を言い出す。論理も何もない、感情が先走っただけのムチャクチャな注文だという事は芝浦自身気付いているのだろう。だが口に出して言わないと気が済まないのだ。
 いきなり見られたくない品をぶちまけられた焦りから動揺していた手塚も、芝浦がより激しく狼狽する姿を見たおかげで幾分か冷静さを取り戻せた。

「おい、芝浦……自分がどれだけムチャクチャな事を言ってるか分ってるか?」
「わかってるけど、気持ち的にかなりそんな感じ。どうして俺でしてくれないのさ……俺おっぱいないし。女教師でもないからメチャクチャ嫉妬しちゃうんだけど」

 口を尖らせながら芝浦はそわそわと体を揺らす。
 自分が無理を言っているのは委細承知理解しているよううだが、やはり気持ちの整理が出来ないのだろう。頭の中だけで考えていると他愛もない事でもどんどんその考えに囚われてしまい膨れあがってしまう事はよくある事だ。
 芝浦はあれこれ考えすぎてしまう所があるから尚更、一つの考えに執着してしまうのだろう。

「そう言うがな……こっちだってお前としたいに決まってるだろ」

 あまりに感情的にまくし立てるものだから、手塚もつい本音が零れる。
 冷静さを取り戻したとはいえまだ動揺が残っていたか。あるいは場の空気に飲まれていたのかもしれない。

「こんな雑誌やDVDなんて一時の昂ぶりを抑えるだけの消耗品にすぎない事くらい、お前だって分ってるだろ。お前が傍にいてくれたら抱いてるし、お前に奉仕してもらいたいに決まってる。それくらい言わないと分らないのかお前はっ……」

 普段あまりそんな事を口にしないのだが、思いのタガが外れた勢いのまま手塚は矢継ぎ早にそう告げる。あまりに強く迫るものだからから、芝浦も驚いたのだろう。暫く驚いた顔で手塚を見ていたが、洪水のように放たれた手塚の言葉の意味を少しずつ理解しだしたのだろう。急に顔を真っ赤にすると恥ずかしそうに顔をおさえて見せた。

「えっ、えっ。あっ……なんか、ごめん。そ、そっか……俺最近、あんまり手塚の家来てなかったもんね……」
「そうだ……やっとそれに気付いたのか。こっちは待ちわびて仕方なく、箱にしまって久しく見てなかったモノまで引っ張り出してきたんだぞ」
「うわ……何かホントごめん。俺勝手に嫉妬して勝手に悔しがってたけど……待たせてたの俺だった? うわっ……どうしよ、恥ずかし……」
「まったく、どれだけこっちが待たされたか考えてなかったのか? こんな恥ずかしい事俺に言わせたのはお前が初めてだぞ。分ってるな? 自分が俺に何をさせたのか……」
「わかっ……う、うん。分ってる。わかってるって……」

 手塚の言葉にすっかり毒気を抜かれたのだろう。断罪モードだった芝浦は、すっかり大人しくなっていた。今は従順な仔犬のような目を向けるばかりだ。

「本当に分ってるのか? ……お前が俺にそれを求めるなら俺だってお前にそれを求めてもいいと思ってもいいのか?」
「えっ、えっと……」
「……キスもセックスも俺だけとしろ。自慰がしたいなら俺の前でしろ……そう言われたら、お前はそれが出来るか?」
「えっ!? え、えっ……えー……で、出来なくないけど……見てくれるの? そういうの……」
「お前が良ければな」

 芝浦は耳まで赤くしながらテーブルに出したいかがわしい作品を見えない所に追いやる。
 そして手塚の傍までちょこちょこと進むと、その腰に身体に抱きついた。

「いいよ、俺手塚になら何だってするし、何だって見せたげるから……で、俺今日はナニしたらいい? なーんでも俺でしてくれるんでしょ? 俺ホントに何でもするし……手塚になら何でも見せてあげるけど?」

 無邪気にそう告げるその言葉に嘘偽りなどは微塵もないのだろう。
 相変わらず、重い男だと思う。
 恋人には自分だけを見て欲しいし、自分だけのものであって欲しいなど図々しいエゴを臆面なく押しつけてくるのだから。

 だがそれを求めたのは他でもない手塚自身だ。
 芝浦に勝るとも劣らず、手塚の抱いた感情もまた鉛のように重いのだろう。

 芝浦の顔なら、どんな顔でも見たいと思う。
 幸せに笑う姿も、狼狽えて泣き叫ぶ姿も、淫らに悶える恥ずかしい姿も全てを自分の前でさらけ出して欲しいと、本気でそう願っているのだから。

「さて、何してもらおうか。お前は、何がしたい?」
「俺? 俺は……いっぱいあるけど、とりあえずキスしてくれる? ……二度とこんな馬鹿馬鹿しい事言わないように、手塚の口で塞いでおいて欲しいかなー? そうすれば俺もう二度と変な嫉妬しないからさ」

 くすぐったそうに笑う芝浦に求められるがままに唇を重ねれば、いつもより情熱的に舌を絡めてくる。

(……今日はそこまで求めてないと思っていたんだがな)

 火照る身体を感じながら、手塚は貪るようなキスを続けた。
 何でも、どんな事でも受け入れるといった恋人に文字通り、自分の全てを受け入れてもらうために。

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東吾
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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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