インターネット字書きマンの落書き帳
ただアガレスが戦うだけの話
戦っているアガレスを書きたいと思って書いた話です。
けっこう前に書いた奴がパソコンの中に残ってたんでサルベージしましたゾイ。
わりと気に入っているので、同人誌にも載せたような気がします。
同人誌のやつはさらに加筆しているからこれがプロトタイプだね。
何か戦っているアガレスを書きたくて書いた!
〆ギドわりと初期のころ書いた話なので今のネタと齟齬があっても可愛い俺のすることだから許してくださいね♥
けっこう前に書いた奴がパソコンの中に残ってたんでサルベージしましたゾイ。
わりと気に入っているので、同人誌にも載せたような気がします。
同人誌のやつはさらに加筆しているからこれがプロトタイプだね。
何か戦っているアガレスを書きたくて書いた!
〆ギドわりと初期のころ書いた話なので今のネタと齟齬があっても可愛い俺のすることだから許してくださいね♥
『躍動する運命』
眼前に迫るは昆虫を模した幻獣であった。腕の先は鋭い鋏となり、それを威嚇するようにギチギチと鳴らす姿はヴィータ達にとって充分な恐怖と驚異とを与えただろう。 大きさだけでもヴィータたちが暮す小屋ほどはあるのだから、出会っても戦おうと思うヴィータなどいまい。
遠くからヴィータの悲鳴が聞こえ、逃げ惑う群衆が我先にと道を求める中、民たちを逆流し走る男の姿があった。
切れ長の目をした、褐色の男だ。
かなりの長身で痩躯ではあるが、その足に力を込め走るスピードはまるで黒豹そのもののようである。男は携えた斧を取ると勢いよくそれを巨躯の幻獣へと投げつけた。
斧は弧を描き幻獣へと向かって行く。 投射された武器というのは非常に避けにくい。戦場では矢は礫のような点にしか見えないからだ。だがそれが弧を描いて飛んでいるのなら避けられる可能性はゼロではない。 弧を描いて飛ぶ斧であればどこに着地するのか、概ね予想出来るからだ。
幻獣は言葉を喋らず、また知能もあまりないとされる。 だが戦うために作られた存在である事が、本能的に斧の落下地点を予測させたのだろう。 身じろぎし斧から避けようとする、その幻獣の最も細い腰に、もう一つの斧が突き刺さる。
幻獣は一瞬、何があったか理解できないといった様子であった。 そして戸惑っているうちに、上から落下する斧をも受けその腕は綺麗に切断される。 斧の重みと落下のスピードは勢いを増しており、フォトンを得ていない男でも幻獣の腕を切断する程度の威力を出す事が出来たのだ。
目に見えてゆっくりと、弧を描くように天上へ投擲した斧は囮である。
本命はさらに素早く真横に投げた斧。幻獣の目に入りやすい攻撃で気を取られている内により強い打撃を与えられるように廻らせた策略であった。
だが、ヴィータの身体で出来る戦いはここまでだろう。曲がりなりにも幻獣を相手にするのだ。殆ど布のような装備しかしてない状態でフォトンも得ていなければ、一撃でもまともに喰らえば死の可能性すらある。
「……だが今死の運命にあるのは私ではなくお前だ、幻獣よ。……王よ! 私にフォトンを回せ!」
声高に叫べば、一人の青年は強く頷く。
「分かった、アガレス……頼むぞ!」
二人は目で合図をしながら幻獣へと向く。
王に導かれたアガレスは王の望むまま、そして自らの求める運命の赴くままに、幻獣を死の円環へと送り出すのだ。
それが運命である限り。
眼前に迫るは昆虫を模した幻獣であった。腕の先は鋭い鋏となり、それを威嚇するようにギチギチと鳴らす姿はヴィータ達にとって充分な恐怖と驚異とを与えただろう。 大きさだけでもヴィータたちが暮す小屋ほどはあるのだから、出会っても戦おうと思うヴィータなどいまい。
遠くからヴィータの悲鳴が聞こえ、逃げ惑う群衆が我先にと道を求める中、民たちを逆流し走る男の姿があった。
切れ長の目をした、褐色の男だ。
かなりの長身で痩躯ではあるが、その足に力を込め走るスピードはまるで黒豹そのもののようである。男は携えた斧を取ると勢いよくそれを巨躯の幻獣へと投げつけた。
斧は弧を描き幻獣へと向かって行く。 投射された武器というのは非常に避けにくい。戦場では矢は礫のような点にしか見えないからだ。だがそれが弧を描いて飛んでいるのなら避けられる可能性はゼロではない。 弧を描いて飛ぶ斧であればどこに着地するのか、概ね予想出来るからだ。
幻獣は言葉を喋らず、また知能もあまりないとされる。 だが戦うために作られた存在である事が、本能的に斧の落下地点を予測させたのだろう。 身じろぎし斧から避けようとする、その幻獣の最も細い腰に、もう一つの斧が突き刺さる。
幻獣は一瞬、何があったか理解できないといった様子であった。 そして戸惑っているうちに、上から落下する斧をも受けその腕は綺麗に切断される。 斧の重みと落下のスピードは勢いを増しており、フォトンを得ていない男でも幻獣の腕を切断する程度の威力を出す事が出来たのだ。
目に見えてゆっくりと、弧を描くように天上へ投擲した斧は囮である。
本命はさらに素早く真横に投げた斧。幻獣の目に入りやすい攻撃で気を取られている内により強い打撃を与えられるように廻らせた策略であった。
だが、ヴィータの身体で出来る戦いはここまでだろう。曲がりなりにも幻獣を相手にするのだ。殆ど布のような装備しかしてない状態でフォトンも得ていなければ、一撃でもまともに喰らえば死の可能性すらある。
「……だが今死の運命にあるのは私ではなくお前だ、幻獣よ。……王よ! 私にフォトンを回せ!」
声高に叫べば、一人の青年は強く頷く。
「分かった、アガレス……頼むぞ!」
二人は目で合図をしながら幻獣へと向く。
王に導かれたアガレスは王の望むまま、そして自らの求める運命の赴くままに、幻獣を死の円環へと送り出すのだ。
それが運命である限り。
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