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インターネット字書きマンの落書き帳

   
シャックスちゃんと黄色の浴衣(ベリト様×シャックスちゃん)
ベリト様×シャックスちゃんの話をするコーナーです。(挨拶)
〆ギドの推しCPはベリト様×シャックスちゃんなんだよォ……誰が何と言おうとな!
という気持ちで書きました。

この話はベリト様浴衣実装!? と聞いてからすぐに書き始めた話です。
同時にベリト様リジェネ配布決定もあったので 「やばい、俺は公式に殺されるかもしれない」 と覚悟したので 「ひょっとしたら遺言になるかもしれない」 的な気持ちを抱いてましたよね。

幸いベリト様リジェネイベントは幸い致命傷で済みましたが、俺の推しCPは今回も会話をしませんでした。
ドンマイ!

話としては、自分用に浴衣を誂えたベリト様が、せっかくだからといいつつシャックスちゃんにも浴衣を誂えてあげるような話です。

ベリト様×シャックスちゃんのCPに興味はない?
今日から興味を抱こうぜ!



『黄色い背中に思いを馳せて』

 深い濃紺の反物で誂えた浴衣を身につけるとベリトは満足そうに頷いた。

「いいな、悪くねぇ。俺様の注文通りだぜ」

 そう独りごちて髪を結い上げて鏡を見る。 ベリトの長い髪と濃紺の浴衣はまるで最初から揃えてあったかのようによく似合っていた。
 浴衣という服の存在については以前から小耳に挟んでいた。 何でも東方に伝わる民族衣装の一種で、一反の生地をただ真っ直ぐに切り出して作るという独自の製法をもつ風情のある衣装であるという事だ。
 その国は夏ともなれば太陽光と湿度により身体全体にまとわりつくような暑さが続くためこのような薄手で軽くあまり肌に触れないような服が好まれているのだ、というのはかつて自分と取引をしていた商人・アキナイの受け売りである。
 その時は漠然とそのようなものがあるのかと思っただけだったが、今になって話に聞く浴衣を着るようになるとは長生きしていると色々ことがあるものだ。
 ベリトは感慨に浸りながら自分の頬に触れた。

 ソロモンに呼び出される前のベリトは屋敷からあまり外に出る事もなく、目立った行動を避ける傾向があった。
 それは歳もとらぬまま今に至る姿をあまり人目に晒したくないという事もあったし、老いる事がなくとも肉体は脆弱なヴィータのものであり間違って幻獣と出会えば命がないのというのを心得ていたからだろう。
 以前であれば命がけの宝探しでも胸躍ればすぐに出かけていたのだがここ十数年ではそのように自ずから行動したいと思えるような宝の話も聞かなかった事もありますます家に籠もるようになっていた。

 だがソロモンに呼び出されてからは「メギドラルと戦争をする」という大義名分やメギド時代と同等とは言わずともそれに近い能力を扱えるという事もあり以前のように外に出る機会が随分と増えていた。
 そして外出する時は普段着にしていた赤い服を着回していたのだが、最近は段々と呼び出される回数も増えたため心機一転、新しい衣服を誂えようと思ったのだ。

 大富豪ボルフという肩書も無くなりボルフ頃に着ていた服に拘る必用だってなくなったのだ。自宅だった場所は空虚で大きすぎる館にすぎず今の自分では持て余してしまうだろうし、これからアジトに詰める時間が増えればあの赤い服は厚ぼったく重苦しい。
 夏ともなればろくすっぽ風の通らないアジトは尚更暑くなる。だからどうせ誂えるなら少しばかり涼しい服をと思っていたのだが、そのへんの仕立屋で作るようなものだと無難なデザインばかりで物足りなかったし何より「俺様らしくない」と感じたので王都にある仕立屋を覗いたのだがこれが正解だった。
 わざわざ反物を取り寄せた甲斐もあり仕立ては勿論、色合いも着心地も最高の一品を誂えてくれたのだ。帯や小物も好みの品を取り寄せる事が出来たこともありベリトはすっかりご満悦だった。

「金に物を言わせた甲斐があったな。やっぱり身なりには金をかけねぇとダメだぜ」

 生地の手触りを確かめながら、ベリトは悦に浸る。 今まで暑いだけの部屋も、服が代わり気分も変われば心なしか涼しくさえ感じた。少し街に散歩でもいこうかとも思うが、この格好は街ではきっとあまりにも目立つだろう。 少し変わった意匠の服を着ていればそれだけで金持ちだという事に気付く輩がいる。そうやって金の匂いを敏感にかぎつけたヴィータの女たちがどこからともなく寄り添ってくるのは、ベリトにとって不愉快なだけだった。
 ベリトはとにかく、自分の行動を邪魔する女というのが嫌いだったのだ。
 せめて誰か連れがいれば、よってくる女は減るだろう。 そうなると、連れは女性の方がいい。彼女もちと思われた方が寄ってくる輩が少なくなるのをベリトは経験として理解していたからだ。

 並んで歩くのなら女性だろうが、誰か時間を持て余している相手はいないだろうか。
 いや、一緒に歩く相手はもう決まっている。彼女はどこにいるのだろう。
 そう思った矢先にシャックスの快活な声が部屋中に響き渡った。

「あー、リトリト。それ新しい服? イイネイイネ! かーっこいい!」

 シャックスはベリトの姿を見るなりまるで自分の事のようにはしゃぎ回ると空になった籠をテーブルにおいてからすぐにベリトの隣にやってきた。

「すっごーい、見た事もない布だよ! 涼しそうだし、かーっこいーい! すっごいすっごい! これリトリト、新しく買ってきたの?」
「あぁ、まぁな。羨ましいか?」
「うらやましー!」
「……着てみたいか?」
「着てみたい、着てみたい!」

 するとベリトは僅かに笑う。
 きっとシャックスならそう言うと、密かに思っていたからだ。

「よし、まだ仕立屋を帰さなくてよかったぜ……ちょうどお前に似合いそうな反物があったから、おまえの寸法でも誂えておいたんだ。折角だから、あわせてもらえ」

 そして彼女の肩を抱き仕立屋へ声をかける。

「え、本当に!? あたしの? いいの? いいの?」

 困惑するシャックスを前に、ベリトは当然といった様子で笑って見せた。

「当たり前じゃねぇか。俺様のモノであるお前に、変な格好させる訳にはいかねぇからな。俺様の見立てた反物で、とびっきりのいい女になってきやがれ」
「えへへ……はーい! 着替えたら、一緒に遊びに行こう、行こう!」
「当然だ。俺様と夜の街を夕涼みとしゃれ込むぞ」
「やったー! 夕涼み、夕涼みぃー!」
「わかったら、さっさといってこい。俺様をあんまり待たせるんじゃねぇぞ」

 シャックスは弾むように仕立屋と個室へ入っていく。 その背中を眺めながら、ベリトはソファーへ腰を下ろした。
 一人で浴衣を着て歩けば目立つだろうが二人なら目立たないだろう。そう思った時、並んで歩くのなら彼女だと思った理由はベリトにもわからなかった。
 だがきっとひよこをあしらった黄色い浴衣とオレンジの帯をしめた彼女と並んで街を歩くのは賑やかで楽しいだろう。
 瞼を閉じたベリトは一人、そんな事をかんがえていた。

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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
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