インターネット字書きマンの落書き帳
カズの事忘れられないタイプの荒井と新堂(新堂×荒井/BL)
殺人クラブ設定、かつカズとの出会いが忘れらない荒井が新堂に「殺して欲しい」と懇願するような話です。
殺人クラブの世界線でいずれ新堂×荒井になる話。
俺は! カズに対して未練たらたらの荒井が大好き!
俺は! 荒井の事殺そうとするけど殺せない新堂が大好き!
なんでこのネタで何回書いてるんだよ……!?
と思うんですが、もう100個くらいネタを描いてるからネタかぶりも5回くらいはいいかなと思ってます。
だって俺が描きたいんだから仕方ない。
何回でも書きます、俺が飽きるまで。
殺人クラブの世界線でいずれ新堂×荒井になる話。
俺は! カズに対して未練たらたらの荒井が大好き!
俺は! 荒井の事殺そうとするけど殺せない新堂が大好き!
なんでこのネタで何回書いてるんだよ……!?
と思うんですが、もう100個くらいネタを描いてるからネタかぶりも5回くらいはいいかなと思ってます。
だって俺が描きたいんだから仕方ない。
何回でも書きます、俺が飽きるまで。
『壺に残ったエルピス』
首の骨が軋む音がする。
呼吸は止まり、脳へ酸素の供給が滞っていくのを荒井は冷静に観察していた。
想像通り、やはり苦しい。
死を渇望したのは自分なのだから相手を傷つけるような無様な真似はしたくないと思っていたのだが、思いとは裏腹に腕は勝手に動き首を絞める両腕を振りほどこうと必死に爪を立てていた。
だが新堂は揺るぐ事もなく、荒井の首を絞め続ける。
自分の事を殺して欲しい。
荒井の頼みを新堂は仕方ないと言いつつ受け入れたのは、荒井が以前より死にたがりである事に気付かれていたのだろう。
最近は殺人クラブの活動でも、専ら相手に殺されようと立ち回ってばかり。その結果、必用以上に訝しんだ相手が勝手に自滅するか、他のメンバーに先に獲物を狩られるかで獲物を嬲る事はあっても直接手を下す事はめっきり減っていたのだから、鈍感な新堂でも荒井から明確に殺意が失せている事はわかっていたのだろう。
新堂に頼んだのは、殺人クラブという活動を持て余している事に気付かれているというのもあったが、彼がメンバーの男で一等に年上だという事も大きかった。
殺されるのなら年上の方がいい。
女性より男性に殺されたい。
自分より背が高い男ならなおさら良い。
いくつか理想を上げた中で、一番近いのが新堂だった。
これは、日野なら「馬鹿言うな」と一蹴されるだけだと思ったのもあるし、風間には死んでも借りを作りたくはないという性格の不一致が著しい事もあったろう。
だから新堂に頼み、新堂は億劫ながらそれを引き受けた。きっと自分を殺す事より、自分を殺した後、日野にどうやって言い訳しようかの方が気にかかっている事だろう。殺人クラブ内での殺し合いは御法度、というのが日野の決めたルールであり、それを破ったのならそれなりのペナルティがあるのだろうから。
喉を締め付ける腕は荒井より一回り以上は大きく、荒井はその腕に爪を立てる。
いや、そんな事をしてはいけない。新堂は自分を殺してくれる男なのだから、傷を付けるなんて野暮だ。この死は自分が望んでいるのだから。
理性で身体を押さえようとはするが、理性よりも身体に残った生きようとする本能のほうがよほど強いのだろう。自然と爪が食い込んで、新堂の両手から血が滴るのが見えた。
それでも新堂はおかまいなしに首を絞める。まるで腕に痛みなどないような所作は、荒井の抵抗如きは小鳥のついばみ程度なのだといった貫禄だ。
思えば新堂の狩りは相手を堂々と迎え撃つ、王者の狩りだったか。それは抵抗しない獲物が相手でも変わらないのだろう。薄れゆく意識のなか、荒井はぼんやりとそんなことを考えていた。
それから少しの間があり、流れるのは思い出の断片。幼少期、他の子供たちと連んで探検に出かけた思い出や両親に無理矢理海外旅行へ送り出された思い出。退屈な高校生活の最中、才能があると見いだされ殺人クラブの一員として人間の死と恐怖を思う存分堪能出来たのは、つまらない16年の人生でも比較的に有意義な時間だったろう。
やはりもう、今以上に楽しい人生があるとは思えない。
ここで死ぬのがちょうど良いのだ。
納得し、自分で決めた死だ。それだというのに。
『荒井くん、キミは僕に似ているから……』
夏の柔らかい風の下、木漏れ日の中で曖昧に笑う男の姿が脳裏によぎる。
ただ一度の出会い。たった一ヶ月の出会い。
それなのに、荒井の心を永遠に縛り付けて、そして消えてしまったあの男が……。
「カズさん、カズさん……カズさん……」
喉は絞められ声など出ないが、わかっていてもその名を呼ぶ。追いすがるように、求めるように、何度も何度も声を震わせて。
「カズさん、カズさん。僕は……僕は、貴方に殺されたい。貴方と一緒に、死にたかった」
伝えられなかった言葉が、喉を震わせる。
もっと早く気付いていれば良かった、この世界などどこまで行っても自分を満足させるものなど一欠片もない陳腐な世界なのだ。
それならば一時の衝動に焼かれ幻想として死へと邁進するほうが、よほど心地よくよほど満たされた死となって身体に降り注ぐのだろう。
そうして命を青白く燃やして、貴方とともに輝けたのならそれは命を賭すに値する本当に幸福だ。本当の豊かさだ。
あの時、出会ったあの男の手をとれば自分は色の無い世界から、青白くも明るく光のともった世界へ向かう事ができたというのに、死への逡巡が判断を鈍らせた結果、空虚な世界へ置き去りにされ寄る辺の無いまま今に至る。
馬鹿なことをした。あの夏を抱えたまま生きることになれば、いずれ必ずこうなると最初からわかりきっていた事なのに。
だが、その後悔の日々ももう終わりだ。
身体に力が入らず、意識が遠のく。
遅くなってしまったが、自分もようやく向こう側に行ける。一人で死んでしまったからカズと同じ場所へ行けるかはわからないが……。
「あぁ、嫌だ。嫌だ……僕は、あなたに殺されたい。あなたに、カズさん、あなたと一緒に……」
意識を手放す前に見たのは、哀れみの目で見る新堂の哀しそうな顔だった。
※※※
目を覚ました時、真っ先に思ったのは死に損ねた事への怒りと後悔だった。
「よォ、起きたか荒井?」
隣では新堂がつまらなそうに腰掛けている。
「どうして……」
どうして殺してくれなかったのだ、約束が違うではないか。
そう告げるより先に、新堂はうんざりといった様子で荒井を見た。
「どうしてじゃ無ェよ。テメェは、俺に殺されたいんじゃ無ェ。カズって奴と死にたいくせに、雑に死ぬため俺を利用した。そうだろ?」
新堂に指摘され、荒井は言葉を飲み込む。全てその通りだったからだ。
「ですが、貴方だったら殺してくれると思ったので……」
「カズって奴が殺してくれなかった代わりにか? 本当に殺されたい訳でもねぇ、他人が殺しそこねた残りカスみてぇな奴を殺したってつまんねぇよ。俺は人殺しだがそれくらいの矜持はある」
荒井は黙ったまま、ただ深く息をつく。新堂は殺せればそれで楽しいタイプの人間だろうと思っていたのだが、どうやら目論見は外れたようだ。
項垂れる荒井の頭を新堂はくしゃくしゃ撫でると
「そんなしょげた顔すんなよ、別にテメェの事を殺してやらねぇって話じゃ無ェからな」
なんて、どこか楽しそうに言う。
「俺にとってもっと魅力的な獲物になってくれよ、荒井。俺が殺すのが惜しいと思う程度の相手にな」
「そんなこと……」
荒井は搦め手を駆使し相手を翻弄するのが得意な人間だ。真っ正面から新堂と戦って満足させられるほどの力量がないのは自覚している。今から新堂と対等の殺し合いが出来るとは思えなかったし、それだけの時間もないと思うのだが。
「出来なくはねぇだろ。だって、お前と会った時そのカズって奴はたぶんお前より弱かったよな?」
それを言われ虚を衝かれたような顔をする。
確かにカズと出会った時、自分が殺そうと思えば彼を容易く殺せていただろう。カズは毒薬の知識に長けていたが身体能力は荒井と同等くらいだろうし、殺意に躊躇いがないぶん荒井の方が確実に殺せていた。少なくとも、カズに荒井を殺す意志がない限りは荒井のほうがよほどアドバンテージがあったはずだ。
だが、殺せなかった。
自分の手で殺してはいけないような輝きを見ていたから、手出しが出来なかったのだ。
「おまえが、俺にとってのカズって奴くらいの人間になってみろよ。そのほうがお前も、死にやすいんじゃ無ェのか」
もう満足する死はどこにもないと思っていた。だからこそ、粗雑でも一刻も早く世界から解放されたかった。
だけどまだ、自分に満足に至る道があるのだとしたらそれは、自分がカズになることだ。
カズのように誰かの心へ楔を打ち据えて、死を渇望する程度には生への執着をなくし、世界から彩りを消す。
その可能性があるのなら、カズとともに歩めなかった自分でもカズの近くにまで迫れるのではないだろうか。
勿論それは、新堂が荒井という人間に縛られ求められることが前提にあるのだが。
「いいんですか、新堂さん。僕は……本気で、そうしますよ」
荒井の顔に自然と、笑みが浮かぶ。
羨望、あるいは憧憬の彼方に消えた光がいま、また種火として揺らめいている歓喜が堪えきれなかったからだ。
自分が狂わされたように新堂が容易く狂ってくれるとは思えない。
価値観も死生観も知性も性格も、何もかも違うのだから尚更だ。
今思ってみれば、カズだってどこまで自分と本質が似ていたのかわかったものではない。漫然とした不安が蔓延る現実に荒井を置き去りにするため言葉巧みに興味を誘った可能性すらある。
それならば、新堂の言う通りにしよう。
殺し甲斐のある男として殺され、世界から彩りを消せるような青白い炎になること。
あらゆる絶望がばら撒かれた世界でまだ幸いが残っているのなら、それがきっとそうなのだろう。
首の骨が軋む音がする。
呼吸は止まり、脳へ酸素の供給が滞っていくのを荒井は冷静に観察していた。
想像通り、やはり苦しい。
死を渇望したのは自分なのだから相手を傷つけるような無様な真似はしたくないと思っていたのだが、思いとは裏腹に腕は勝手に動き首を絞める両腕を振りほどこうと必死に爪を立てていた。
だが新堂は揺るぐ事もなく、荒井の首を絞め続ける。
自分の事を殺して欲しい。
荒井の頼みを新堂は仕方ないと言いつつ受け入れたのは、荒井が以前より死にたがりである事に気付かれていたのだろう。
最近は殺人クラブの活動でも、専ら相手に殺されようと立ち回ってばかり。その結果、必用以上に訝しんだ相手が勝手に自滅するか、他のメンバーに先に獲物を狩られるかで獲物を嬲る事はあっても直接手を下す事はめっきり減っていたのだから、鈍感な新堂でも荒井から明確に殺意が失せている事はわかっていたのだろう。
新堂に頼んだのは、殺人クラブという活動を持て余している事に気付かれているというのもあったが、彼がメンバーの男で一等に年上だという事も大きかった。
殺されるのなら年上の方がいい。
女性より男性に殺されたい。
自分より背が高い男ならなおさら良い。
いくつか理想を上げた中で、一番近いのが新堂だった。
これは、日野なら「馬鹿言うな」と一蹴されるだけだと思ったのもあるし、風間には死んでも借りを作りたくはないという性格の不一致が著しい事もあったろう。
だから新堂に頼み、新堂は億劫ながらそれを引き受けた。きっと自分を殺す事より、自分を殺した後、日野にどうやって言い訳しようかの方が気にかかっている事だろう。殺人クラブ内での殺し合いは御法度、というのが日野の決めたルールであり、それを破ったのならそれなりのペナルティがあるのだろうから。
喉を締め付ける腕は荒井より一回り以上は大きく、荒井はその腕に爪を立てる。
いや、そんな事をしてはいけない。新堂は自分を殺してくれる男なのだから、傷を付けるなんて野暮だ。この死は自分が望んでいるのだから。
理性で身体を押さえようとはするが、理性よりも身体に残った生きようとする本能のほうがよほど強いのだろう。自然と爪が食い込んで、新堂の両手から血が滴るのが見えた。
それでも新堂はおかまいなしに首を絞める。まるで腕に痛みなどないような所作は、荒井の抵抗如きは小鳥のついばみ程度なのだといった貫禄だ。
思えば新堂の狩りは相手を堂々と迎え撃つ、王者の狩りだったか。それは抵抗しない獲物が相手でも変わらないのだろう。薄れゆく意識のなか、荒井はぼんやりとそんなことを考えていた。
それから少しの間があり、流れるのは思い出の断片。幼少期、他の子供たちと連んで探検に出かけた思い出や両親に無理矢理海外旅行へ送り出された思い出。退屈な高校生活の最中、才能があると見いだされ殺人クラブの一員として人間の死と恐怖を思う存分堪能出来たのは、つまらない16年の人生でも比較的に有意義な時間だったろう。
やはりもう、今以上に楽しい人生があるとは思えない。
ここで死ぬのがちょうど良いのだ。
納得し、自分で決めた死だ。それだというのに。
『荒井くん、キミは僕に似ているから……』
夏の柔らかい風の下、木漏れ日の中で曖昧に笑う男の姿が脳裏によぎる。
ただ一度の出会い。たった一ヶ月の出会い。
それなのに、荒井の心を永遠に縛り付けて、そして消えてしまったあの男が……。
「カズさん、カズさん……カズさん……」
喉は絞められ声など出ないが、わかっていてもその名を呼ぶ。追いすがるように、求めるように、何度も何度も声を震わせて。
「カズさん、カズさん。僕は……僕は、貴方に殺されたい。貴方と一緒に、死にたかった」
伝えられなかった言葉が、喉を震わせる。
もっと早く気付いていれば良かった、この世界などどこまで行っても自分を満足させるものなど一欠片もない陳腐な世界なのだ。
それならば一時の衝動に焼かれ幻想として死へと邁進するほうが、よほど心地よくよほど満たされた死となって身体に降り注ぐのだろう。
そうして命を青白く燃やして、貴方とともに輝けたのならそれは命を賭すに値する本当に幸福だ。本当の豊かさだ。
あの時、出会ったあの男の手をとれば自分は色の無い世界から、青白くも明るく光のともった世界へ向かう事ができたというのに、死への逡巡が判断を鈍らせた結果、空虚な世界へ置き去りにされ寄る辺の無いまま今に至る。
馬鹿なことをした。あの夏を抱えたまま生きることになれば、いずれ必ずこうなると最初からわかりきっていた事なのに。
だが、その後悔の日々ももう終わりだ。
身体に力が入らず、意識が遠のく。
遅くなってしまったが、自分もようやく向こう側に行ける。一人で死んでしまったからカズと同じ場所へ行けるかはわからないが……。
「あぁ、嫌だ。嫌だ……僕は、あなたに殺されたい。あなたに、カズさん、あなたと一緒に……」
意識を手放す前に見たのは、哀れみの目で見る新堂の哀しそうな顔だった。
※※※
目を覚ました時、真っ先に思ったのは死に損ねた事への怒りと後悔だった。
「よォ、起きたか荒井?」
隣では新堂がつまらなそうに腰掛けている。
「どうして……」
どうして殺してくれなかったのだ、約束が違うではないか。
そう告げるより先に、新堂はうんざりといった様子で荒井を見た。
「どうしてじゃ無ェよ。テメェは、俺に殺されたいんじゃ無ェ。カズって奴と死にたいくせに、雑に死ぬため俺を利用した。そうだろ?」
新堂に指摘され、荒井は言葉を飲み込む。全てその通りだったからだ。
「ですが、貴方だったら殺してくれると思ったので……」
「カズって奴が殺してくれなかった代わりにか? 本当に殺されたい訳でもねぇ、他人が殺しそこねた残りカスみてぇな奴を殺したってつまんねぇよ。俺は人殺しだがそれくらいの矜持はある」
荒井は黙ったまま、ただ深く息をつく。新堂は殺せればそれで楽しいタイプの人間だろうと思っていたのだが、どうやら目論見は外れたようだ。
項垂れる荒井の頭を新堂はくしゃくしゃ撫でると
「そんなしょげた顔すんなよ、別にテメェの事を殺してやらねぇって話じゃ無ェからな」
なんて、どこか楽しそうに言う。
「俺にとってもっと魅力的な獲物になってくれよ、荒井。俺が殺すのが惜しいと思う程度の相手にな」
「そんなこと……」
荒井は搦め手を駆使し相手を翻弄するのが得意な人間だ。真っ正面から新堂と戦って満足させられるほどの力量がないのは自覚している。今から新堂と対等の殺し合いが出来るとは思えなかったし、それだけの時間もないと思うのだが。
「出来なくはねぇだろ。だって、お前と会った時そのカズって奴はたぶんお前より弱かったよな?」
それを言われ虚を衝かれたような顔をする。
確かにカズと出会った時、自分が殺そうと思えば彼を容易く殺せていただろう。カズは毒薬の知識に長けていたが身体能力は荒井と同等くらいだろうし、殺意に躊躇いがないぶん荒井の方が確実に殺せていた。少なくとも、カズに荒井を殺す意志がない限りは荒井のほうがよほどアドバンテージがあったはずだ。
だが、殺せなかった。
自分の手で殺してはいけないような輝きを見ていたから、手出しが出来なかったのだ。
「おまえが、俺にとってのカズって奴くらいの人間になってみろよ。そのほうがお前も、死にやすいんじゃ無ェのか」
もう満足する死はどこにもないと思っていた。だからこそ、粗雑でも一刻も早く世界から解放されたかった。
だけどまだ、自分に満足に至る道があるのだとしたらそれは、自分がカズになることだ。
カズのように誰かの心へ楔を打ち据えて、死を渇望する程度には生への執着をなくし、世界から彩りを消す。
その可能性があるのなら、カズとともに歩めなかった自分でもカズの近くにまで迫れるのではないだろうか。
勿論それは、新堂が荒井という人間に縛られ求められることが前提にあるのだが。
「いいんですか、新堂さん。僕は……本気で、そうしますよ」
荒井の顔に自然と、笑みが浮かぶ。
羨望、あるいは憧憬の彼方に消えた光がいま、また種火として揺らめいている歓喜が堪えきれなかったからだ。
自分が狂わされたように新堂が容易く狂ってくれるとは思えない。
価値観も死生観も知性も性格も、何もかも違うのだから尚更だ。
今思ってみれば、カズだってどこまで自分と本質が似ていたのかわかったものではない。漫然とした不安が蔓延る現実に荒井を置き去りにするため言葉巧みに興味を誘った可能性すらある。
それならば、新堂の言う通りにしよう。
殺し甲斐のある男として殺され、世界から彩りを消せるような青白い炎になること。
あらゆる絶望がばら撒かれた世界でまだ幸いが残っているのなら、それがきっとそうなのだろう。
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