インターネット字書きマンの落書き帳
キスの日に蘊蓄たれる荒井と聞き流す新堂パイセン(BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂と荒井の話をしてます。(定番挨拶)
世間ではキスの日があったようですね。
僕は「へぇー、そんな日もあるんだー、いついつ? ……終わってる」という有様だったんですが、終わった後にネタを思いついたので書きました。
いいかい、俺が「書きたいと思った日」がキスの日なんだ。
わかったね?
いつもそういった心持ちで生きていきたいとおもーいまーす。
あ、話は新堂に「今日キスの日なんですよ」ってふってどういう反応をするのか楽しみたい荒井が想像してなかった反応に翻弄されまーす。
世間ではキスの日があったようですね。
僕は「へぇー、そんな日もあるんだー、いついつ? ……終わってる」という有様だったんですが、終わった後にネタを思いついたので書きました。
いいかい、俺が「書きたいと思った日」がキスの日なんだ。
わかったね?
いつもそういった心持ちで生きていきたいとおもーいまーす。
あ、話は新堂に「今日キスの日なんですよ」ってふってどういう反応をするのか楽しみたい荒井が想像してなかった反応に翻弄されまーす。
『誘い』
そろそろ部活も終わっている頃合いだろう。
荒井昭二がそう思いボクシング部の部室へ入った時、すでに部員は新堂誠一人になっていた。
部長である新堂は練習場の鍵を任されているのでいつも部員が全て帰るまで居残るのが普通であり、荒井もそれを見越して彼と二人になるため会いに来るのが半ば日課になっていた。
「おう荒井、早かったな。今着替えるから待っててくれ」
新堂はまだ練習着のまま腕に巻いたバンテージをほどいている最中だった。着替えるまでまだ少し時間がかかるだろう。そう思い荒井は備え付けの長椅子へ座ると鞄に入れた文庫本を読み始めた。
気鋭の新人推理作家、待望の最新作だ。随所に海外推理作家のオマージュと言えるシーンがちりばめられておりトリックも緻密な密室殺人が多い荒井お気に入りの作家の一人である。
とはいえ学校での読書は家でするものより集中はできない。近くに新堂がいるなら尚更だ。 文字を追っても頭に入ってこないので仕方なく荒井は本を読んでいる風を装うと、ふと思い出したように言った。
「そういえば、今日はキスの日なんですよ。知ってましたか?」
そして何の意識してないといった素振り、新堂の姿をうかがう。
新堂はおおよそ記念日など意識する性格には思えなかったし、実際その通りの性格だった。付き合ってから何ヶ月、何日なんて気にしていなかったしそれを記念日にしようと言い出すタイプでもない。当然、世間に無数の記念日があることすら気に留めないだろう。
きっと知らない、知る訳ないと答えるに違いない。そうしたら教えてやるのだ。
確か由来は初めて日本でキスシーンが上映された日だったか。違うかもしれないが、最もらしいことを言えば世事に疎い新堂だ、納得し感心するだろう。その後に挑発的に誘えばいい。これを聞いて何もしないのかと悪戯っぽく笑えばいい。
察しの悪い新堂でも流石にキスをねだっているのだと気付くだろう。苦笑いしながら頬を赤らめてキスをする様が容易にうかがえる。
これは新堂との駆け引きだ。まず負ける事はない駆け引きでもある。新堂からの愛情を受けることを疑ってはいなかったし、彼の心をコントロールできるのは自分だけだという自負もあった。そして彼が自分の思惑通りに動くことは荒井は密かな優越感を与えていたのだ。
「ふゥン……そうか、知る訳ねぇだろ俺がそんなこと。知ってるように見えるか?」
「いえ、見えません。知らないだろうな、と思って聞きましたから」
「分かってるじゃ無ェか、まったく仕方ねぇな……」
と、そこで新堂は荒井のそばへ近づくとバンテージをほどきながら唇を重ねる。 不意打ちのキスに荒井は目を丸くし、驚いて声をあげていた。
「な、何するんですか新堂さっ……」
「キスしてほしいからそんな話振ったんだろ? お前はまどろっこしい方法でねだるからなァ……俺はバカだからお前みたいに細かい話をアレコレ覚えてられねぇんだ、ご高説聞いても結局忘れちまう。だからキスだけ先にしといたぜ。これが欲しかったんだよな?」
「それは、そうですけど……」
荒井は手にした文庫本で自分の顔を隠す。
そうだ、新堂はそういう男だった。自分の思い通りな反応を見せる事が多いが、時々にその予想を覆す行動をするのだ。
してやられたと思うが悪い気はしないのは荒井が求めるものを新堂が与えてくれるからだろう。
「それで、キスだけでいいのか?」
新堂はすっかり赤くなった荒井の頬を撫でて挑発的に笑う。
「もう……好きにしてください、僕の負けですよ」
荒井が半ば諦めたように告げれば、再び唇が触れる。
何をするのか、何をされるのか。わかりきっていたが胸の高鳴りがとまらないのは期待だけではなかっただろう。
そろそろ部活も終わっている頃合いだろう。
荒井昭二がそう思いボクシング部の部室へ入った時、すでに部員は新堂誠一人になっていた。
部長である新堂は練習場の鍵を任されているのでいつも部員が全て帰るまで居残るのが普通であり、荒井もそれを見越して彼と二人になるため会いに来るのが半ば日課になっていた。
「おう荒井、早かったな。今着替えるから待っててくれ」
新堂はまだ練習着のまま腕に巻いたバンテージをほどいている最中だった。着替えるまでまだ少し時間がかかるだろう。そう思い荒井は備え付けの長椅子へ座ると鞄に入れた文庫本を読み始めた。
気鋭の新人推理作家、待望の最新作だ。随所に海外推理作家のオマージュと言えるシーンがちりばめられておりトリックも緻密な密室殺人が多い荒井お気に入りの作家の一人である。
とはいえ学校での読書は家でするものより集中はできない。近くに新堂がいるなら尚更だ。 文字を追っても頭に入ってこないので仕方なく荒井は本を読んでいる風を装うと、ふと思い出したように言った。
「そういえば、今日はキスの日なんですよ。知ってましたか?」
そして何の意識してないといった素振り、新堂の姿をうかがう。
新堂はおおよそ記念日など意識する性格には思えなかったし、実際その通りの性格だった。付き合ってから何ヶ月、何日なんて気にしていなかったしそれを記念日にしようと言い出すタイプでもない。当然、世間に無数の記念日があることすら気に留めないだろう。
きっと知らない、知る訳ないと答えるに違いない。そうしたら教えてやるのだ。
確か由来は初めて日本でキスシーンが上映された日だったか。違うかもしれないが、最もらしいことを言えば世事に疎い新堂だ、納得し感心するだろう。その後に挑発的に誘えばいい。これを聞いて何もしないのかと悪戯っぽく笑えばいい。
察しの悪い新堂でも流石にキスをねだっているのだと気付くだろう。苦笑いしながら頬を赤らめてキスをする様が容易にうかがえる。
これは新堂との駆け引きだ。まず負ける事はない駆け引きでもある。新堂からの愛情を受けることを疑ってはいなかったし、彼の心をコントロールできるのは自分だけだという自負もあった。そして彼が自分の思惑通りに動くことは荒井は密かな優越感を与えていたのだ。
「ふゥン……そうか、知る訳ねぇだろ俺がそんなこと。知ってるように見えるか?」
「いえ、見えません。知らないだろうな、と思って聞きましたから」
「分かってるじゃ無ェか、まったく仕方ねぇな……」
と、そこで新堂は荒井のそばへ近づくとバンテージをほどきながら唇を重ねる。 不意打ちのキスに荒井は目を丸くし、驚いて声をあげていた。
「な、何するんですか新堂さっ……」
「キスしてほしいからそんな話振ったんだろ? お前はまどろっこしい方法でねだるからなァ……俺はバカだからお前みたいに細かい話をアレコレ覚えてられねぇんだ、ご高説聞いても結局忘れちまう。だからキスだけ先にしといたぜ。これが欲しかったんだよな?」
「それは、そうですけど……」
荒井は手にした文庫本で自分の顔を隠す。
そうだ、新堂はそういう男だった。自分の思い通りな反応を見せる事が多いが、時々にその予想を覆す行動をするのだ。
してやられたと思うが悪い気はしないのは荒井が求めるものを新堂が与えてくれるからだろう。
「それで、キスだけでいいのか?」
新堂はすっかり赤くなった荒井の頬を撫でて挑発的に笑う。
「もう……好きにしてください、僕の負けですよ」
荒井が半ば諦めたように告げれば、再び唇が触れる。
何をするのか、何をされるのか。わかりきっていたが胸の高鳴りがとまらないのは期待だけではなかっただろう。
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