インターネット字書きマンの落書き帳
クリスマスの三年生たち
鳴神学園3年生組が集まってクリスマス・パーティをダラダラとする話です。
新堂の家に日野、風間、大倉、神田なんかが集まってダラダラ過ごしていますよ。
俺が書きたかったから書いた!
って奴だ!
・新堂×荒井の思想が強いので新堂×荒井が前提
・神田←日野だがフラグは立ってない
・神田の身長165cmくらいだと思っているよ(大倉は168cmくらいだと思っているよ)
特に何もないダラダラ駄文を楽しんでいってね♥
新堂の家に日野、風間、大倉、神田なんかが集まってダラダラ過ごしていますよ。
俺が書きたかったから書いた!
って奴だ!
・新堂×荒井の思想が強いので新堂×荒井が前提
・神田←日野だがフラグは立ってない
・神田の身長165cmくらいだと思っているよ(大倉は168cmくらいだと思っているよ)
特に何もないダラダラ駄文を楽しんでいってね♥
『3年目のクリスマス』
風間がトイレから戻った時、部屋の主である新堂の姿がどこにも無かった。
新堂がいた席には大倉が代わりに座っており、黙々とたこ焼きを焼いている。隣ではぷつぷつと焼けていくたこ焼きを日野がぼんやりと見つめていた。
「あれ? 新堂はどうしたの。神田もいないみたいだけど」
今日の風間は新堂の家でクリスマスパーティの最中だった。
三年は受験という事もあり、集まったメンバーは去年より少ないようだが今日だけは勉強のストレスを発散するかのようにジュースで乾杯し散々、ケーキやチキンを食べて満腹になってきたからそろそろゲームでもやるか、それとも映画を見るかと話し始めていたはずだが主催者がいなくなるとはどういう事だろう。不思議に思って問いかければ、大倉がたこ焼きをひっくり返しながらこたえた。
「新堂ちゃんなら、荒井クンを家まで送って行くってさっき出ていったよ。荒井クン、今日は家族でクリスマスパーティするから門限あるんだってサ」
大倉が慣れた様子でたこ焼きをひっくり返していけば、次々と綺麗に丸くなったたこ焼きが湯気を立てて顔を出す。すでに散々飲み食いをしていたはずだが、デザートにケーキを食べたから口が甘ったるくなっていたのでたこ焼きはいっそう美味しそうに見えた。
「荒井のやつ、こっち来る前は友達のクリスマスパーティに参加してたらしいぜ。付き合いがいいよな」
日野は自分のグラスにコーラを注ぎ、風間にも飲むかと目で問いかける。風間は視線の意味を察し静かに頷き日野の隣へと腰掛けた。
「荒井くんってばそんな忙しい身なのにわざわざ新堂に会いに来たんだねぇ、律儀というか健気というか……」
「新堂ちゃんも結構頑張ってると思うよ? 門限があるのを知ってて誘って、ちゃんと時間通りに家へ帰れるよう送り届けてあげるんだから中々の王子様っぷりじゃない?」
そう言う大倉は帰ってきた新堂が寒い思いをして来るだろうと思って彼の好物であるたこ焼きを焼いているのだろう。 細かい所によく気が回り先んじて事を起こすという面で大倉は気づかいがよく出来る男だった。
「なるほどねぇ、新堂がいないのはわかったけど、神田は何処に行ったんだい。新堂がいないうちに一人で逃げちゃった訳じゃないよね」
今日集まったメンバーは今抜けている新堂と荒井を除けば風間、日野、大倉と神田だ。 神田が来たのは、受験シーズン後半に入り成績が伸び悩んできた神田に息抜きをさせたいと思った日野の気づかいだが、新堂に対して苦手意識がある、もっといえば新堂の事を暴力的で恐ろしい人間だと思っている神田がパーティに来るとは思っていなかった。
だが、新堂から直接「絶対に来いよ」と念押しされたから断ったら殺されるとでも思ってしぶしぶやってきたのだろう。パーティ中も目に見えて怯えているのは風間からしても明らかだった。
「あぁ、神田ちゃんはねー、新堂が出かけてすぐ、疲れたから横になりたいって言ってほら。新堂のベッドで寝てるー」
大倉は間延びした声で言いながら、目だけベッドの方を向く。首を伸ばして覗いて見れば確かに新堂のベッドが神田が栗鼠のように小さく丸まっていた。
「神田、最近は徹夜続きであんまり休んでなかったみたいだったからなぁ」
日野はコーラを飲みながらベッドを見る。それにしても、新堂がいなくなったとたん横になってしまうとは、新堂の前でよほど気が張っていたのかもしれない。 緊張が抜けてベッドで寝てしまうのは少し無防備すぎる気もするが。
「へぇ、神田大丈夫かい? 新堂のベッドで寝たりして、新堂が帰ってきたら怒り狂ってたたき起こされたりしないよね?」
風間はコーラを飲みながら焼けていくたこ焼きを見る。大倉はそろそろ頃合いといった様子でたこ焼きを皿に移していった。
「新堂ちゃんそういうので怒るタイプじゃないよ、あんまり気にしないから。部活で雑な生活強いられるの慣れてるのかな、雑魚寝でも枕が変わってもグースカ寝られるタイプだし、むしろ神田ちゃんあんまり背ぇ高くないから『何だ寝てんのか? まぁ寝る子は育つっていうしな』くらいにしか思わないでしょ」
「そうなのかい? ボクは枕が変わると眠れないタイプだからなぁ」
大倉が皿にうつしたたこ焼きに、日野がソースや鰹節をかけていく。 できたてのたこ焼きを味見といわんばかりに風間は一つ口へ頬張り、あまりの熱さにすぐ吐き出した。
「うわ、何やってんの風間ちゃん!? 食べるならちゃんと食べてくれないと……」
「こんなに熱いと思わなかったんだよ、何だい大倉、ボクの口に相応しい温度にしてくれたまえよ!?」
「焼きたてなんだから熱いに決まってるでしょー、ばっちいなぁ……」
呆れる大倉の隣で、日野は肩をふるわせて笑う。そんな中、扉が開き主催である新堂が部屋へと戻ってきた。
「あ、新堂ちゃんおかえりー」
「おぅ、大倉。たこ焼き焼いててくれたのか、サンキューな」
「今二巡目焼く所。こういう作業、結構好きなんだよねー」
バイクのヘルメットを新堂は部屋を見渡し、すぐに神田の姿がないのに気付いたようだった。
「あれ、神田いなくね? どこいった? 風呂か?」
「神田ならおまえのベッドで寝てるよ」
「マジか……うわ、マジだ。まぁ神田は小せぇからな……寝る子は育つっていうし、もっと寝ればもうちょっと育つだろ……」
新堂の言葉に、風間と日野が同時に吹き出す。
まさか大倉の想像通りのコメントをすると思わず笑う二人を新堂は不思議そうに眺めていた。
「何で日野と風間笑ってんだ……」
「うーん、新堂ちゃんが分かりやすく素直ないい子だからじゃないかな?」
下唇を噛みしめて笑いを堪える大倉を横に、風間は怪訝そうな顔になって聞いた。
「ベッドを神田が占領しちゃってるんだけど、ボクの寝る所はちゃんとあるんだろうね新堂。ボクはデリケートだからフカフカの羽毛布団じゃないと寝られないんだけど」
「一応、隣の部屋に布団あるから寝たくなったらそっちに行けよ。先に言っておけばエアコン入れておいてやるから」
「ちゃんと一人一組布団はあるんだろうね? 布団も寝心地が悪いのは困るんだけど」
「うるせぇ奴だな、外に放り出すぞ……? いや、でも寝心地は俺のベッドより多少劣るかもしれねーな。寝心地を求めんなら神田と一緒に俺のベッドで寝ればいいんじゃ無ぇの? 神田あんまりデカくねぇから気にならないだろ」
「それはダメだ!」
風間が嫌な顔をする前に、日野がらしくないほど大声を出す。周囲の人間がいっせいに日野の顔を見た。
「あ、いや。その……何だ。同衾は流石にふしだらだろうと、風紀の問題だな」
「日野……何なら日野が神田と一緒に寝ていいんだよ、サイズ感ボクと変わらないから問題無いだろう」
「いやー、目が覚めた時、日野ちゃんと一緒に寝てたら神田ちゃん流石に可愛そうでしょ? 『奪われた』って泣いちゃうかもしれないじゃない」
「日野は奪われたい方だから何も起きないんじゃないか」
「あー、お前たちうるさい! それ以上言うとな……泣くぞ、俺が」
周囲に言われ、日野は拗ねたようにそっぽ向き残り少ないコーラを飲む。
「悪かったって、そんな顔すんなよほら。たこ焼き食うか? 大倉が焼いた奴だけど」
「黙れ新堂。お前に優しくされるのが、今の俺には一番堪えるんだぞわかってるのかッ……わかんないだろうな、お前みたいに上手くいった奴にはなッ……」
謝るよう新堂がたこ焼きを差し出しすが、それがかえって日野を傷つけていたようだ。新堂は「何で怒っているんだ?」と不思議そうに首を傾げているのを見て、大倉は苦笑いをしながら二巡目のたこ焼きを焼き上げた。
「それより、皆はまだ寝ないでしょ? これから何かやる? 麻雀だったら一応もってきてるけど」
「映画もいくつか持ってきたぞ」
「映画かぁ、ボクはアニメしか見ない主義なんだけどアニメーション映画かなそれは」
「俺は映画でも麻雀でもいいぜ。あぁ、でも荒井が『皆で遊ぶ用のゲームです』って何か置いていったかな」
次に何をするかの相談になった時、新堂は荒井が置いていったゲームを取り出す。紙袋に入ったそれには灰色のカセットと複数のコントローラーを繋ぐマルチタップがついていた。 一緒に入っているゲームは「ボンバーマン」のようだ。
「えー、何これ。SFCってやつ?」
「初めて見たよ、古いゲームだろう? こんな古いゲームを荒井くんは置いていったのかい」
皆は珍しそうにゲームを眺める。古さはあるものの興味が勝っているようだ。
「ま、とにかくやってみようぜ。コントローラーも4つあるみたいだしな」
慣れない古いゲームの配線に苦慮しながら、何とかゲームを起動する。
「流石にグラフィック古くない?」
「コントローラー軽いねー、古いゲームってこういう感じなんだ」
「4人プレイとか出来るのかこれ? 画面一つしかないだろ?」
そうして4人でゲームを囲み、不慣れながらプレイをはじめた。
そして……。
賑やかなBGMと外から漏れる朝日に急かされ、神田はのろのろと起きる。
パーティの途中で疲れてしまい少し横になったつもりだが、そのまま眠ってしまったようだ。
新堂には怒られないか、皆はどうしたのかと思って周囲を見渡せば。
「うわー! マジかやらかしたかァ……」
「ははっ、新堂ちゃん土壇場でやっぱ弱いねー。そんなんじゃ俺には勝てないよー」
ゲームに興じている面々の元気いっぱいの姿が見えた。
「……みんなひょっとして徹夜してゲームしてたの?」
驚きながら神田はベッドから抜ける。起き抜けは少し肌寒い。
それに気付いたのか、すぐに日野が温かなカフェオレを入れて差し出した。
「よぉ、おはよう神田。おまえもゲームするか?」
徹夜していたからか、あるいは途中でシャワーを浴びたのか、普段きっちりまとめた日野が髪を下ろしている。
その姿を見て、神田は笑いながら髪を撫でた。
「はは、日野めずらしい髪下ろしてるんだ……可愛い。そうしてたらもっとモテるんじゃないかな」
その言葉で、日野はしばらく硬直した後思いっきり鼻血を吹き出す。
「わぁ、日野が鼻血出してる!?」
「何してるんだ神田ァ! おまえ責任とれよ!?」
「えぇ、それこっちのせい!? ってか鼻血止めないと!?」
倒れる日野に皆が集まる。
何にせよ、三年最後のクリスマス・パーティは概ね平穏に終わったようだ。
風間がトイレから戻った時、部屋の主である新堂の姿がどこにも無かった。
新堂がいた席には大倉が代わりに座っており、黙々とたこ焼きを焼いている。隣ではぷつぷつと焼けていくたこ焼きを日野がぼんやりと見つめていた。
「あれ? 新堂はどうしたの。神田もいないみたいだけど」
今日の風間は新堂の家でクリスマスパーティの最中だった。
三年は受験という事もあり、集まったメンバーは去年より少ないようだが今日だけは勉強のストレスを発散するかのようにジュースで乾杯し散々、ケーキやチキンを食べて満腹になってきたからそろそろゲームでもやるか、それとも映画を見るかと話し始めていたはずだが主催者がいなくなるとはどういう事だろう。不思議に思って問いかければ、大倉がたこ焼きをひっくり返しながらこたえた。
「新堂ちゃんなら、荒井クンを家まで送って行くってさっき出ていったよ。荒井クン、今日は家族でクリスマスパーティするから門限あるんだってサ」
大倉が慣れた様子でたこ焼きをひっくり返していけば、次々と綺麗に丸くなったたこ焼きが湯気を立てて顔を出す。すでに散々飲み食いをしていたはずだが、デザートにケーキを食べたから口が甘ったるくなっていたのでたこ焼きはいっそう美味しそうに見えた。
「荒井のやつ、こっち来る前は友達のクリスマスパーティに参加してたらしいぜ。付き合いがいいよな」
日野は自分のグラスにコーラを注ぎ、風間にも飲むかと目で問いかける。風間は視線の意味を察し静かに頷き日野の隣へと腰掛けた。
「荒井くんってばそんな忙しい身なのにわざわざ新堂に会いに来たんだねぇ、律儀というか健気というか……」
「新堂ちゃんも結構頑張ってると思うよ? 門限があるのを知ってて誘って、ちゃんと時間通りに家へ帰れるよう送り届けてあげるんだから中々の王子様っぷりじゃない?」
そう言う大倉は帰ってきた新堂が寒い思いをして来るだろうと思って彼の好物であるたこ焼きを焼いているのだろう。 細かい所によく気が回り先んじて事を起こすという面で大倉は気づかいがよく出来る男だった。
「なるほどねぇ、新堂がいないのはわかったけど、神田は何処に行ったんだい。新堂がいないうちに一人で逃げちゃった訳じゃないよね」
今日集まったメンバーは今抜けている新堂と荒井を除けば風間、日野、大倉と神田だ。 神田が来たのは、受験シーズン後半に入り成績が伸び悩んできた神田に息抜きをさせたいと思った日野の気づかいだが、新堂に対して苦手意識がある、もっといえば新堂の事を暴力的で恐ろしい人間だと思っている神田がパーティに来るとは思っていなかった。
だが、新堂から直接「絶対に来いよ」と念押しされたから断ったら殺されるとでも思ってしぶしぶやってきたのだろう。パーティ中も目に見えて怯えているのは風間からしても明らかだった。
「あぁ、神田ちゃんはねー、新堂が出かけてすぐ、疲れたから横になりたいって言ってほら。新堂のベッドで寝てるー」
大倉は間延びした声で言いながら、目だけベッドの方を向く。首を伸ばして覗いて見れば確かに新堂のベッドが神田が栗鼠のように小さく丸まっていた。
「神田、最近は徹夜続きであんまり休んでなかったみたいだったからなぁ」
日野はコーラを飲みながらベッドを見る。それにしても、新堂がいなくなったとたん横になってしまうとは、新堂の前でよほど気が張っていたのかもしれない。 緊張が抜けてベッドで寝てしまうのは少し無防備すぎる気もするが。
「へぇ、神田大丈夫かい? 新堂のベッドで寝たりして、新堂が帰ってきたら怒り狂ってたたき起こされたりしないよね?」
風間はコーラを飲みながら焼けていくたこ焼きを見る。大倉はそろそろ頃合いといった様子でたこ焼きを皿に移していった。
「新堂ちゃんそういうので怒るタイプじゃないよ、あんまり気にしないから。部活で雑な生活強いられるの慣れてるのかな、雑魚寝でも枕が変わってもグースカ寝られるタイプだし、むしろ神田ちゃんあんまり背ぇ高くないから『何だ寝てんのか? まぁ寝る子は育つっていうしな』くらいにしか思わないでしょ」
「そうなのかい? ボクは枕が変わると眠れないタイプだからなぁ」
大倉が皿にうつしたたこ焼きに、日野がソースや鰹節をかけていく。 できたてのたこ焼きを味見といわんばかりに風間は一つ口へ頬張り、あまりの熱さにすぐ吐き出した。
「うわ、何やってんの風間ちゃん!? 食べるならちゃんと食べてくれないと……」
「こんなに熱いと思わなかったんだよ、何だい大倉、ボクの口に相応しい温度にしてくれたまえよ!?」
「焼きたてなんだから熱いに決まってるでしょー、ばっちいなぁ……」
呆れる大倉の隣で、日野は肩をふるわせて笑う。そんな中、扉が開き主催である新堂が部屋へと戻ってきた。
「あ、新堂ちゃんおかえりー」
「おぅ、大倉。たこ焼き焼いててくれたのか、サンキューな」
「今二巡目焼く所。こういう作業、結構好きなんだよねー」
バイクのヘルメットを新堂は部屋を見渡し、すぐに神田の姿がないのに気付いたようだった。
「あれ、神田いなくね? どこいった? 風呂か?」
「神田ならおまえのベッドで寝てるよ」
「マジか……うわ、マジだ。まぁ神田は小せぇからな……寝る子は育つっていうし、もっと寝ればもうちょっと育つだろ……」
新堂の言葉に、風間と日野が同時に吹き出す。
まさか大倉の想像通りのコメントをすると思わず笑う二人を新堂は不思議そうに眺めていた。
「何で日野と風間笑ってんだ……」
「うーん、新堂ちゃんが分かりやすく素直ないい子だからじゃないかな?」
下唇を噛みしめて笑いを堪える大倉を横に、風間は怪訝そうな顔になって聞いた。
「ベッドを神田が占領しちゃってるんだけど、ボクの寝る所はちゃんとあるんだろうね新堂。ボクはデリケートだからフカフカの羽毛布団じゃないと寝られないんだけど」
「一応、隣の部屋に布団あるから寝たくなったらそっちに行けよ。先に言っておけばエアコン入れておいてやるから」
「ちゃんと一人一組布団はあるんだろうね? 布団も寝心地が悪いのは困るんだけど」
「うるせぇ奴だな、外に放り出すぞ……? いや、でも寝心地は俺のベッドより多少劣るかもしれねーな。寝心地を求めんなら神田と一緒に俺のベッドで寝ればいいんじゃ無ぇの? 神田あんまりデカくねぇから気にならないだろ」
「それはダメだ!」
風間が嫌な顔をする前に、日野がらしくないほど大声を出す。周囲の人間がいっせいに日野の顔を見た。
「あ、いや。その……何だ。同衾は流石にふしだらだろうと、風紀の問題だな」
「日野……何なら日野が神田と一緒に寝ていいんだよ、サイズ感ボクと変わらないから問題無いだろう」
「いやー、目が覚めた時、日野ちゃんと一緒に寝てたら神田ちゃん流石に可愛そうでしょ? 『奪われた』って泣いちゃうかもしれないじゃない」
「日野は奪われたい方だから何も起きないんじゃないか」
「あー、お前たちうるさい! それ以上言うとな……泣くぞ、俺が」
周囲に言われ、日野は拗ねたようにそっぽ向き残り少ないコーラを飲む。
「悪かったって、そんな顔すんなよほら。たこ焼き食うか? 大倉が焼いた奴だけど」
「黙れ新堂。お前に優しくされるのが、今の俺には一番堪えるんだぞわかってるのかッ……わかんないだろうな、お前みたいに上手くいった奴にはなッ……」
謝るよう新堂がたこ焼きを差し出しすが、それがかえって日野を傷つけていたようだ。新堂は「何で怒っているんだ?」と不思議そうに首を傾げているのを見て、大倉は苦笑いをしながら二巡目のたこ焼きを焼き上げた。
「それより、皆はまだ寝ないでしょ? これから何かやる? 麻雀だったら一応もってきてるけど」
「映画もいくつか持ってきたぞ」
「映画かぁ、ボクはアニメしか見ない主義なんだけどアニメーション映画かなそれは」
「俺は映画でも麻雀でもいいぜ。あぁ、でも荒井が『皆で遊ぶ用のゲームです』って何か置いていったかな」
次に何をするかの相談になった時、新堂は荒井が置いていったゲームを取り出す。紙袋に入ったそれには灰色のカセットと複数のコントローラーを繋ぐマルチタップがついていた。 一緒に入っているゲームは「ボンバーマン」のようだ。
「えー、何これ。SFCってやつ?」
「初めて見たよ、古いゲームだろう? こんな古いゲームを荒井くんは置いていったのかい」
皆は珍しそうにゲームを眺める。古さはあるものの興味が勝っているようだ。
「ま、とにかくやってみようぜ。コントローラーも4つあるみたいだしな」
慣れない古いゲームの配線に苦慮しながら、何とかゲームを起動する。
「流石にグラフィック古くない?」
「コントローラー軽いねー、古いゲームってこういう感じなんだ」
「4人プレイとか出来るのかこれ? 画面一つしかないだろ?」
そうして4人でゲームを囲み、不慣れながらプレイをはじめた。
そして……。
賑やかなBGMと外から漏れる朝日に急かされ、神田はのろのろと起きる。
パーティの途中で疲れてしまい少し横になったつもりだが、そのまま眠ってしまったようだ。
新堂には怒られないか、皆はどうしたのかと思って周囲を見渡せば。
「うわー! マジかやらかしたかァ……」
「ははっ、新堂ちゃん土壇場でやっぱ弱いねー。そんなんじゃ俺には勝てないよー」
ゲームに興じている面々の元気いっぱいの姿が見えた。
「……みんなひょっとして徹夜してゲームしてたの?」
驚きながら神田はベッドから抜ける。起き抜けは少し肌寒い。
それに気付いたのか、すぐに日野が温かなカフェオレを入れて差し出した。
「よぉ、おはよう神田。おまえもゲームするか?」
徹夜していたからか、あるいは途中でシャワーを浴びたのか、普段きっちりまとめた日野が髪を下ろしている。
その姿を見て、神田は笑いながら髪を撫でた。
「はは、日野めずらしい髪下ろしてるんだ……可愛い。そうしてたらもっとモテるんじゃないかな」
その言葉で、日野はしばらく硬直した後思いっきり鼻血を吹き出す。
「わぁ、日野が鼻血出してる!?」
「何してるんだ神田ァ! おまえ責任とれよ!?」
「えぇ、それこっちのせい!? ってか鼻血止めないと!?」
倒れる日野に皆が集まる。
何にせよ、三年最後のクリスマス・パーティは概ね平穏に終わったようだ。
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